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小学1年、2年生向け!2017年課題図書、作品の選び方と感想文を書くポイント

 

夏休みの宿題の定番といえば、読書感想文。課題図書のラインナップを見るといろいろな本が選ばれていて楽しそう。でもいざ書くとなると、どの本でどう書くか悩みの種になっている子も多いのでは?

 

感想文を書く時に一番重要なのは、ずばり本選び。ポイントは、最後まで読み通せる好きな本を選ぶこと! 表紙を見て直観で決めても、あらすじや本の体裁を見てじっくり選んでも選び方はどちらでも良いですが、とにかく自分が面白そう、これなら感想文が書けるかも、と思える1冊を選んで下さいね。さらに、実際に読み始めて、あれ、ちょっと違うかも? と途中で読めなくなってしまったら、思い切って違う本に変える勇気も大切です。

 

こちらでは、低学年の部に選ばれた課題図書4冊の中からどの作品で書くのが自分に合っているのか本選びの参考になる情報を中心に紹介します。

後半では、そもそも読書感想文ってどんな風に書けば良いの?という疑問に答える、読書感想文の基本についてお伝えしたいと思います。

2017年、低学年の課題図書4タイトルの中から、どれを選ぶ?

『ばあばは、だいじょうぶ』

ばあばは、だいじょうぶ

つばさは、ばあばのことが大好き。学校でさかあがりができなかったときも、ママにしかられたときも、ばあばのへやにいって話をきいてもらいます。するとばあばは、「だいじょうぶだよ」といって、頭をなでてくれるのです。
 ところが、そんなばあばが「わすれてしまう」病気になり、同じことを何度も質問してきたり、あんなにとくいだった編み物ができなくなったり、「おかきだよ」といってどんぐりをわたしてきたり……しだいに様子がおかしくなり、つばさはばあばに近寄らなくなってしまいます。
 そして冬の寒い日、ばあばのすがたが見えなくなりました。

どんな子におすすめ?

  • 家族をテーマにしたお話で感想文を書きたい子に。じっくり考えて書きたい子に。
  • お年寄りと一緒に暮らしていたり、交流があったりする子に。

どんな内容の本?

37ページの絵本ですが、文字数が多めで、読み応えがあります。けれども全てのページに絵が入っていてお話の理解を助けてくれます。温かな画風の絵が魅力的です。

どんなテーマが込められてるの?

認知症になったおばあさんを見守る家族の優しさ、孫との心の交流を描いた心温まる内容です。認知症の家族という身近なテーマが主題となっています。

『ばあばは、だいじょうぶ』の感想文を書く時のヒント

  • この絵本を読む前に認知症という症状について聞いたことがありましたか?知っていましたか?
  • いろいろなことをわすれてしまうばあば、もし自分がつばさの立場だったらどう思うかな? ばあばに対してどんな風に行動するかを想像してみよう。
  • たんすに入っていた白い小さなかみきれを見つけたときのつばさは、どんな気持ちだったと思う?またそのかみきれを書いたばあばはどんな気持ちだったかな。

『なにがあってもずっといっしょ』

なにがあってもずっといっしょ

オレ、サスケ。サチコさんと いっしょに いるときが いちばん たのしい。でも…

オレはイヌだ。サチコさんの家の庭に住んでいる。小学生はイヌの言葉がわからないが、サチコさんはわかる。オレはサチコさんと一緒にいると幸せだ。だが、ある日、サチコさんが帰ってこない…。どこに行ってしまったんだ!?

どんな子におすすめ?

  • 犬や動物が好きな子に。ペットを飼っていると特に書きやすいかも。
  • 人見知りだったり、コミュニケーションがちょっと苦手だと思っている子に。(共感できるところがたくさんありそうです)
  • 読みもので感想文に挑戦したい子に。

どんな本?

全部で95ページの読みものです。本の厚さは約1.5cmです。

低学年の子どもたちには少し長く感じてしまうかもしれませんが、文字が大きいのと、全ページにさし絵がついているので読みやすいお話です。

 

サスケという名前の犬が主人公のお話で、サスケの目を通して、飼い主やまわりの人たちを観察している様子が描かれます。

どんなテーマが込められてるの?

ペットと飼い主の心温まる交流を描いています。

ペットの犬が主人公になっているというユニークな設定です。

コミュニケーションの大切さや友達など他の人に心を開く、心を許すことの素晴らしさが読み取れるお話です。

『なにがあってもずっといっしょ』の感想文を書く時のヒント

  • いつも一緒にいるサチコさんがずっと帰ってこなかった日のサスケの気持ちを想像してみよう。
  • どうしてサスケは、飼い主のサチコさん以外に心を開かなかったのかな?
  • 特別な人以外に心を開かないサスケと同じような気持ちになったことはある? またはじめは言葉(気持ち)が通じないと思っていたけど、サスケがねこや小学生の女の子に親切にしてもらったことで見方が変わったように、思っていたのと違ったという体験をしたことはあるかな?
  • 飼い主のサチコさん以外に心を開けなかったサスケが、心を開くようになったらどう変化したかな?変わったサスケをどう思った?

『アランの歯はでっかいぞ こわーいぞ』

アランの歯はでっかいぞ こわーいぞ

アランはこわーいワニの一族。ジャングルではみんながこわがっていましたが、実はアランもみんなをこわがらせる努力をしていたんです。うろこをみがいたり、つめをとがらせたり、とくにおおきな歯は、いっぽんいっぽん10分かけてみがきます。ところが、アランの歯は、じつは……?!ポップで鮮やかな色で描かれた楽しい絵本。アランのおおきな歯が、とても目を引きます。こわがらせることが生きがいだったアランですが、あることをきっかけに大きく方向転換。楽しくて、ユーモラス。歯のたいせつさにも触れられます。

どんな子におすすめ?

  • 楽しいお話が読みたい子に。
  • 長いお話を読むのはまだちょっと苦手、という子に。(4作品のうち、一番簡単に読めます)
  • 仲間や友達について考えたい子に。

どんな本?

32ページの短めの絵本です。文字が少なく、あっという間に読めます。

絵の色彩が美しく、絵を見るのも楽しい絵本です。

お話が短い分、感想をふくらませるのには、少し苦労するかもしれません。

どんなテーマが込められてるの?

ユーモア溢れる愉快で楽しい物語で、読書の楽しさが味わえます。大胆でカラフルな絵が魅力的で絵も楽しめます。

『アランの歯はでっかいぞ こわーいぞ』の感想文を書く時のヒント

  • どうして、アランは森のみんなをこわがらせたいのかな?こわがらせることって楽しいのかな?
  • アランの誰にもいえない秘密は何だった?その秘密を知ってどう思った?
  • 大切なものを失くして落ち込んでいるアランをどう思った? 
  • アランは最初と終わりの方で、どう変化したかな?アランと森のみんなとの関わりの変化に注目してみよう。

『すばこ』

すばこ

巣箱は、ひとが作った鳥の家です。小動物のすみかである森が減っていくなか、巣箱をかけることは、簡単で身近な自然保護と言われています。素材も、かたちも、大きさもいろいろ。その巣箱、もとはドイツの貴族の男性がはじめたことを知っていましたか? 日本ではまだあまり知られていない巣箱の起源と、その楽しみ方を描いたノンフィクション絵本。巻末に豊富な写真の入った解説つき。

どんな子におすすめ?

  • 動物や自然環境に興味がある子に。特に鳥が好きな子は、はじめから最後まで面白く読めます。
  • 物語よりも、自然や歴史などに興味が強い子に。
  • ノンフィクション作品で感想文を書きたい子に。
  • 絵が美しいので、絵が好きな子も楽しく読めそうです。

どんな本?

32ページの絵本ですが、文が多く、内容も説明文なので、低学年の子が1人で読んで内容を理解するのはちょっと難しいかもしれません。

大人の方が一緒に読んであげて、難しい言葉は説明しながら読んであげるのがおすすめです。はじめて知ることがたくさん出てきてワクワク学べる絵本です。視野が大きく広がる絵本です。

どんなテーマが込められてるの?

巣箱の歴史や利用法が学べます。

新しい知識を得る喜びを味わうことができます。

美しい絵で、子どもが自然に目を向けることができる、バラエティ豊かな巣箱が紹介されていて子どもの興味が喚起される絵本です。

『すばこ』の感想文を書く時のヒント

  • 実際に巣箱や野鳥を見たことがありますか?
  • もし巣箱を作るとしたら、どんな巣箱を作る?
  • 身近にできる自然保護の方法にはどんな方法があるか考えてみよう。

読書感想文を書くときの基本構造

さて、感想文を書く本が決まったら、次は書き方です。

読書感想文の書き方の本を参考に、感想文の組み立て方の例を2つほどご紹介します。

※低学年の部の文字数は、本文800字以内です。

感想文の書き方例 その1

参考図書:『読書感想文がスラスラ書ける本 小学1・2年生』(上條晴夫/企画・監修、永岡書店)より

はじめ、なか、おわりの三つのまとまりで書く

 

はじめ
本の説明やその本を読んだ理由を書く
(どんなお話なのか、自分が読んだ本のことを人に教えてあげるつもりで)

  • 題名を説明するorどんなお話かを説明するor主人公や出てくるものを説明するor表紙を説明する
  • 本を読んだ理由を書く

なか

  • 心にのこった場面の説明とその場面で自分が思ったことを書く

おわり

  • 本を最後まで読んで、いちばん強く思ったことを書くまとまり
  • 強く思ったこと、主人公と自分をくらべて考えたこと、これからしたいことなどを書くと良い。

感想文の書き方例 その2

参考図書:『お父さんが教える読書感想文の書きかた』(赤木かん子/著、自由国民社)より

  1. 原稿用紙を赤いペンで3行ずつ、四角く囲んで、低学年の場合は、13~14ブロックに分ける。
  2. 最初のブロックに、感想文の題名と名前を書く。
  3. 2番目と3番目のブロックには動機(本を選んだ理由)を書く。
  4. 4番目のブロックには場面設定(あらすじ)を書く
  5. 5番目のブロックには、4番目に書いたことへの感想を書く。
  6. 4と5の「あらすじを書いてそれについての感想を書く」を何回か繰り返す。
  7. 本の話と自分の体験を比べて書く
  8. 結論を書く。

いかがでしたか?

課題図書のラインナップの中から自分に合った本は見つけられたでしょうか。また読書感想文をどう組み立てたら良いか、少しでも参考になりましたか?

どうか今年の読書感想文が、楽しくスムーズに書けるようになりますように。

 

 

http://www.ehonnavi.net/special.asp?n=3649 2017年課題図書 特設ページOpen!

秋山朋恵(絵本ナビ 児童書担当)

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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