【入園・入学 絵本】「かっこいい」VS「普通じゃない」
大人になっても、新しい環境に飛び込む時は、いつだってドキドキしてしまうものです。「どんな雰囲気なんだろう」「気が合う人はいるだろうか」「ちゃんとやっていけるかな」……案外、気にすることは子どもの頃から変わりません。
そう考えると。
初めての小学校なんて、とんでもなく大きな冒険だと思いませんか?
勉強があって、授業があって、給食があって。担任の先生がいて、たくさんの友達がいて、上級生もいる。何もかもちゃんと準備してくる子がいて、何にも知らないで入ってきちゃう子もいる。「宿題ってなんだ?」
そんな所へ「丸腰」で立ち向かおうとするのは、なかなか勇気がいるものです。不安で占められた心を、一瞬にして期待に膨らむ心に変えてしまうような、そんなアイテムがあったら心強いのに……。
あ、そんなアイテムがあった!!
ランドセルがやってきた
ある日、うみひこくんが、ようちえんから帰ってくると、大きな箱が届いています。
「あ、おじいちゃんから」
開けてみると、入っていたのは…ランドセル!
「やったー!ランドセル!うゎおー!あお!」
かっこいい。おじいちゃんは、ぼくの好きな色を覚えていたんだ。
早速、背中にしょってみると、なんだか大きい。
「だって 6ねんせいに なるまで つかうのよ。」
とお母さん。そうか、6ねんせいかぁ。
うみひこくんが、中に色々入れて、外へ出かけてみると、近所の人たちが声をかけてくれます。「りっぱだねぇ」「かっこいいね」ちょっぴり、おにいさんになった気分です。
「あ、そうだ! 」
うみひこくんは、大事なことを忘れていましたよ……。
新一年生になる直前の、ドキドキとワクワクが入り混ざった、あの特別な期間。新しいことばかりが始まるんですから、当然ですよね。だけど、そんな時に、初めて手にする自分だけの「ランドセル」。その嬉しさに、不安なんて一気に吹きとんでいきます。
中川ひろたか&村上康成の大人気コンビによる、春にぴったりなこの絵本。うみひこくんの張り切る様子に、読んでいる方も清々しい気持ちになってくるのです。
かっこいいね、青いランドセル。そして、がんばれ新一年生!
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
なにしろ、小学校6年間をともに過ごす仲間です。特別な思いを抱くランドセルが「かっこいい」のは大切なことですよね。ところが、その自分だけのランドセルが「普通のランドセル」とは限らないとしたら…!?
かぶとむしランドセル
みっちゃんのところに届いたのは、おじいちゃんからの入学祝いのランドセル。
喜んで箱を開けてみると、なぜか中にはおがくずが・・・なんだか様子がヘンです。
ババーンと出てきたのは、「かぶとむしランドセル」!
みっちゃんはおかあさんに文句を言います。
「ぼく、ふつうのランドセルがいい!!」
でもお母さんは、
「せっかくおじいちゃんがくれたんだから、だいじにしなさい!!」
とピシャリ。一方、かぶとむしランドセルはやる気マンマンのようなのです。
「わしとおまえで学校のにんきものになるだに」
さあ、一体「かぶとむしランドセル」は普通のランドセルとどう違うのでしょう。
入学式の前の夜、暗い部屋の中でガサゴソガサゴソ音がします。みっちゃんが眠い目をこすりながら見ると、かぶとむしランドセルが忘れ物がないかチェックをしようと元気に動き回っています。どうやら、本当のかぶとむしと同じで夜行性のようです。もしかして、習性はかぶとむしのままなのかしら!?
当然、次の日からみっちゃんのまわりは大騒ぎ。大きなツノがはえたランドセルは何しろ目立ちます。その上、授業中にうんこをしたり、給食のゼリーに興奮したり、くわがた先生を天敵だと思って威嚇したり……。
みっちゃんの苦労に同情しながらも、このコンビの日常が面白すぎて、お腹を抱えて笑ってしまいます。でも、とうとうみっちゃんは腹を立てて!?
みんなとちょっと違うランドセル。持ってて嬉しい子もいれば、ちょっと恥ずかしがる子もいるでしょうね。でも、ここまで突き抜けてまわりと違うランドセルを持っていたら……やっぱりかっこいいと思うのです。みなさんはどうでしょう?インパクトと笑いで読めば元気にしてくれる、ふくべあきひろさん&おおのこうへいさんコンビのユーモア絵本です。
大変です。でも、これはこれで、冒険にあふれた日常になるはずです。どちらのランドセルになったとしても、前向きに受け入れて、学校生活を軽快にスタートさせていってほしいものですね!!
まだまだあるある「ランドセル絵本」
磯崎園子(絵本ナビ編集長)
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