大人になりたい、なりたくない
「はやく大人になりたい」
「大人になんて、なりたくない」
子どもに言われて嬉しいのは、どっちだろう…。
「自分の好きなことがしたい」
「ずっと遊んでいたい」
欲求をざっくりと二つにわけると、大体こんなことでしょうか。
今がつらい、今が楽しい、そんなことも含まれているかもしれません。
そういう子どもの考えに対して、どんなことを伝えるのか。
結構大事なポイントですよね。
大人になった今の自分は、どう充実しているか、どう楽しいのか、幸せなのか。
複雑すぎる自分の心を引き出して答えるのは、なかなか困難です。
そんな時、
「仕事ってたのしそう」「はやく大人になりたいな」
爽やかな表情一つでそう思わせてくれちゃう絵本に出会いましたよ。
ゆうびんやさんの ココリさん
「ハッピータウン」は、どうぶつたちがゆかいに楽しく暮らすまち。
仕事にほこりをもって働く姿や、何気ない日常の様子を見ていると、なんだか元気をもらえます。
シリーズ3作目の主人公は、ゆうびんやさんのココリさん。
お話は朝起きるところから始まります。
ココリさんは、ゆうびんやさんだけれど、配達に行く前にもうひとつ大事な仕事を済ませます。それは、屋根の上に登って……!?
「コケコッコー」
そうですよね、そうでした。
さて、自転車に乗って配達です。制服姿もキマっています。
まちのみんなに手紙を届けるココリさん、なかなか大変そうです。休憩時間には、自分の手紙も書いていますよ。一体誰に宛てた手紙なのでしょう?
ささやかだけれど、毎日だれかの心をちょっとずつあたためているココリさんの仕事。その爽やかな表情からは、充実感を感じます。あ、プライベートも充実してて、うらやましいね、ココリさん。
裏見返しには、ハッピータウンの地図。ゆうびんきょくの場所もわかります。お話がふえるほど、このまちの事をもっと知れるということですね。素敵なシリーズです。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
ココリさんみたいな生活、実は大人になってからの方が憧れだったりします。
シリーズ1作目『しょうぼうしのサルサさん』は、やる気と責任にあふれた顔をしているし、2作目の『バスのうんてんしゅのエレフさん』は好きな仕事をしていて嬉しそう。
今の自分も、仕事の目的と喜びをシンプルに整理して、もっと充実感にあふれた毎日を……あ、しまった! 自分のことばかりじゃいけません。
子どもたちと絵本を楽しみながら、さりげなく仕事をする面白さを教えてくれる。
このシリーズ、愛らしい顔して、なかなか頼もしいですよね。
「ハッピータウン」シリーズ
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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