スタイルトップ  >  絵本・本・よみきかせ   >   絵本ナビ編集長の気になる1冊   >   ちょうど真ん中じゃないと会えない。
絵本ナビ編集長の気になる1冊

ちょうど真ん中じゃないと会えない。

 

実家に帰ると、車で通るたびにある出来事を思い出す、大きな橋がある。
小学生の頃、隣町に住んでいた友だちとこの橋の真ん中で待ち合わせをしたのだ。
二人の家はちょっと遠いけど、ここだったらちょうど真ん中だから歩いて会えるね、ってことで。
何て事ないけれど、私にとっては大発見。特別な約束だったのです。

 

だけど、その日は朝から雨。おまけに強く風が吹いている。
橋の上を進もうとすればするほど、傘が飛んで行きそうになる。
立ち止まれば、体がどこかに持っていかれそうになる。
今思えば台風が来ていたのだろう、そういえば家を出る時に母が心配して止めていた気もする。
これ以上前に進む事も出来ず、涙を流しながら家に戻ると母が一言。
「今日は中止だって。さっき電話があったよ。」
…向こう側の橋のふもとで立ち往生していると思っていた友だちは家を出ていなかった。
(それはとっても正しい判断なのです)

 

どんなに仲が良くたって、どんなに好きな相手だって、熱量がちょっと違うだけで上手く出会えないってことがある。今ならよくわかる。

 

でもこのふたりは違う!

はやく あいたいな

はやく あいたいな

ある日、よおちゃんは急におばあちゃんに会いたくなりました。
丘の上に住んでいるよおちゃんは、バスに乗って出かけます。

その頃、おばあちゃんも急によおちゃんに会いたくなります。
山の上に住んでいるおばあちゃんは、電車で出かけます。

…ということは? 
大変!
よおちゃんとおばあちゃんはすれ違いでお家に着いてしまったので、ふたりとも急いでかえります。おばあちゃんはタクシーで、よおちゃんはトラックで。

…ということは?
ふたりはまたまたすれ違い。
だけどね、ふたりはのんびり待ってなんていられません。
だって、今日おばあちゃんに会いたいのですから。
よおちゃんに会いたくて仕方がないのですから!

なんて素敵な関係なのでしょう。
思い立ったらすぐ行動。願いが叶うまであきらめない。
ふたりは息がぴったりです。
最後にふたりで交わす、ふたりだけの約束が私は大好きです。

親と子とはまた違う、相手を想い合うおばあちゃんと孫との関係がパワフルに伝わってきて、元気になれる一冊です。

(磯崎園子 絵本ナビ編集長)

https://www.ehonnavi.net/ehon/6424/%E3%81%AF%E3%82%84%E3%81%8F%E3%81%82%E3%81%84%E3%81%9F%E3%81%84%E3%81%AA/

ちゃんと真ん中で出会っている。
こういう奇跡って何度もあるものじゃない。
そういう事にふたりは気がついているのかもしれない。直感…とも違うのかな。
だからすごいな、って思う。

 

もちろん真ん中じゃなくても、私にとっては大切な出来事ですけどね。

磯崎 園子(絵本ナビ編集長)

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
人気連載
JavaScriptをOnにしてください