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子どもと考えるSDGs|食品ロスをなくそう

食品ロスってなんのこと?日本や世界での現状

「食品ロス」「フードロス」という言葉を聞いたことはありますか?まだ食べられるのに、食べ残しや売れ残り、賞味期限切れなど様々な理由から廃棄されてしまう食品のことです。

 

世界では年間約13億トン、日本国内では年間600万トン以上の食品ロスが発生しており、その量は1日に10トントラックが約1700台分に及びます。とてつもない廃棄量に驚いてしまいますね。

どうして食品ロス削減が必要なの?

「食品ロス」が深刻化している今、私たちはどう行動すべきなのでしょうか。そもそも食品ロスが発生する原因はどこにあり、なぜ地球にとって良くないのか考えてみましょう。

食品ロスが生まれる原因

食品ロスは様々な場所で発生しています。年間約612万トンの食品ロスのうち、飲食店や販売店などの事業系ロスが約328万に対し家庭系ロスは約284万トンです。(平成29年度)

食品ロスの約半数は家庭から発生しています。どのような理由から発生しているのでしょうか。

  • 家庭→過剰除去、食べ残し、直接廃棄、過剰な買い物
  • 学校→給食の食べ残し
  • 販売店→販売期限切れ、売れ残り、シーズンオフ商品、規格外品
  • 飲食店→食べ残し、調理ミス、食材の期限切れ、作りすぎ
  • 食品工場→過剰生産
  • 生産地→規格外品、移動中のキズ

まだ食べられる状態でも廃棄される機会がとても多いことがわかります。

特に家庭における食品ロスの原因を知ると、私たちの日頃の行動で減らすことができそうです。

食品ロスはどうして良くないの?

食品ロス問題はSDGs17の目標のうち、「12 つくる責任 つかう責任」にあたります。日本の食料自給率は38%(令和元年度/カロリーベース)と高いとは言えない数字。食料の多くを外国からの輸入物でまかなっています。

 

国内生産の食糧では足りないにもかかわらず、私たちは多くの食べられる食品を廃棄しているのです。また、食べ物に困っている国がある一方で貴重な食料を無駄にしているのは良いこととは言えません。

食品ロスは以下のような困った問題を引き起こしてしまいます。

  • 環境問題
  • 無駄なエネルギー・コスト
  • 貧困問題

廃棄される食品は可燃ゴミになり、燃やすために1トンあたり4~5万円ものコストがかかります。年額にするとなんと8000億~1兆円というとてつもない金額がかかるのです。問題なのはコストだけではありません。

捨てられてしまった大量の食品を生産するために使われるエネルギーにも目を向けましょう。

 

農作業、輸送、工場の機械の動力、販売店での冷蔵・冷凍のためにも、食品が作られてから私たちのもとに届くまで多くのエネルギーが必要です。食品ロスは貴重なエネルギーを無駄にしている言えます。

また、ゴミを燃やす際に大量の二酸化炭素が排出され、結果として地球温暖化を進めてしまうのです。そして、地球温暖化は途上国に様々な打撃を与えます。

このようにSDGs17の目標はそれぞれが繋がっていて、横断的に考える必要があります。食品ロスを出すことで、その先に何が起こってしまうのかまで親子で考えたいですね。

「食品ロス問題」のガイドブック

①食べられるのに捨てられちゃうの?

「私は食べ物を捨てたりしないから、あまり関係ない」もしかしたらそう思っているかもしれませんね。
コロナウィルスで私たちの生活は一変し、将来、「食べ物がある」ことが当たり前でなくなるかもしれません。
まだ食べられるのに捨てられてしまっている現状を考えます。

食べ物はどうやってできるかを「絵本」を使って考えよう

日々当たり前のように食べている食べ物。食卓に並ぶまで、多くの人が関わっていて、時間や労力がかかっています。食べ物はどうやってできるかを「絵本」を使って考えてみましょう。

お米ができるまで

お米は約1年という長い歳月をかけて作られます。気が遠くなるほどの工程をふみ、農家の方たちが手間をかけて私たちはおいしいお米が食べられるのです。

お米作りの過程が視覚的にわかる写真絵本

おこめができた!

食育におすすめ、お米の絵本

私たちが毎日のように食べているご飯。ご飯のお米はどうやって作られているのでしょう。本書では、一軒の農家を長期にわたって取材した写真を元に、水田を耕すところから、稲がお米になるまでを見ていきます。
稲が生長する様子ばかりでなく、季節ごとの水田の風景や、お米を作るための作業、田んぼに集まる虫たちなどを、定点観測した写真や連続写真、ワイドページなどをおりまぜて紹介。身近な食と、自然に対する子どもたちの興味を深めます。

どうしてお肉やお魚が食べられるの?

『しんでくれた(佼成出版社 )』を読み聞かせをし、筆者の6歳の長男はとてもショックを受けた顔をしていました。しかし「食べ物は無駄にしてはいけない」という気持ちが芽生えたようです。

私たちがお肉やお魚を食べられるのは、家畜の命をいただいているから。もしかしたら子どもにとっては、残酷な事実かもしれません。

しかし、「命をいただいている」ことを知り食事を無駄にしないように気を付けたいですね。

衝撃的なタイトルに隠された食べることの意味

野菜だって生きている

苦手意識が強い野菜も、「嫌いだから」と言って無駄にすることは避けたいですよね。やみくもに「残さず食べなさい!」と言っても気持ちがを変えるのはなかなか難しいです。

そんな時に絵本の出番!野菜も生きていることがわかると、なんとなく「残したらもったいない」という気持ちが芽生えるかもしれません。

また、体験するとより良いでしょう。野菜の収穫体験や、切れ端から野菜が育つ様子を目の当たりにすることで野菜への見方が変わります。

野菜がもつ偉大な生命力

やさいは いきている

しぜんにタッチ!シリーズ。いつも料理に使う、野菜たち。切れ端を育ててみれば…あら、ふしぎ。身近な野菜に潜む生命力が感じられる写真絵本。

親子でできる食品ロス対策アクション

家庭から発生する食品ロスの多さについて先述しましたが、私たちは何ができるでしょうか。とっても簡単で今からでもすぐに実行できることばかりです。

  • 残さず食べる
  • 無駄に買わない
  • 過剰除去をやめよう

こんなことからまずは始めてみませんか?

食事を残しそうな時、こんな声かけをしてみよう

わが家では6歳の長男の好き嫌いが激しくなってきたとき、

  • 残したご飯はゴミになってしまうこ
  • でも、食べたら栄養になること

を伝えました。それでもどうしても苦手なものやお腹がいっぱいで食べられないこともありますが、「もう食べられない」と言った後は必ず一度そのお話をします。

 

SDGsの視点で親子で考えるときは「ゴミを処理するエネルギーを使うなら、自分のエネルギーに変えた方がいいよね」と食品ロスの背景も含めて話しています。

無駄な買い物はしないためには?

安売りや日頃の買い物でついついやってしまう無駄な買い物。安いしまとめて買ったはいいものの気づいたら消費期限切れ、まだストックがあるのを忘れたなんてことはありませんか?

食品ロスに繋がりやすい無駄な買い物を防ぐためには「買うものを決めていく」ことが一番です。

子どもと一週間の献立と必要な材料を一緒に考えてみましょう。お料理を題材にした絵本を使うのもおすすめです。

一杯のカレーライスに込められた命のありがたみ

イチからつくる カレーライス

世界中を旅してきた探検家で医師でもある関野吉晴さん。授業で美大の学生に提案したのは「イチからカレーをつくる」こと。ニンジン、米、肉、お皿に塩まで、一杯のカレーに必要なものを全部自分で作ってみる。

もったいない!野菜の切れ端の使い道を考えよう

家庭での食品ロスの一つの要因として、「過剰除去」があります。下ごしらえの際に食べられる部分まで過剰に廃棄してしまうことです。

過剰除去ででた野菜の切れ端を使って出汁をとる、「ベジブロス」に挑戦してみませんか?

 

野菜の旨みでスープや味噌汁がぐっとおいしくなり、栄養も満点です!

わが家では煮豚を作るときに余った野菜の切れ端を一緒に煮込んでいます。肉に旨みが染み込んで甘味が増しますよ。ぜひやってみてくださいね。

 

また、先ほど紹介した『やさいは いきている(ひさかたチャイルド)』のように、切れ端を水につけておくとまた収穫できる野菜があります。豆苗がポピュラーですね。

コンポストを作ってみよう

段ボールコンポストを使って、食材の余りを肥料に変える方法もあります。必要なものはホームセンターで揃うので簡単に始められます。

3カ月生ゴミを入れ、3週間熟成させると微生物が生ゴミを分解し堆肥が出来上がる仕組みです。電気もガスも使わずに、3カ月で約50kgもの生ゴミを処理できます。

 

生ゴミを堆肥にし、その土でまた農作物が育ち食べ、またそれを堆肥にする…というように循環を生み出すのもコンポストのメリットです。自由研究の題材としても人気があります。

今ある食料を大切にして「もったいない」をなくそう

食べ物が豊かにあると言われている日本ですが、食品ロスを出し続けていると今の状態を保つことは難しいでしょう。多くの食品廃棄が発生しながらも、食べることの支援が必要な世帯も少なくありません。

 

ひとりひとりの意識を変えることが、持続可能な社会への第一歩です。

「もったいない」という気持ちを忘れないようにしましょう。そして、命に繋がる食べ物やそのためのエネルギーを大切にして食品ロスを減らしていけるといいですね。

 

次回は「目標5 ジェンダー平等を実現しよう」について考えます。

秋音 ゆう

東京都在住。

3人の男の子(6歳と2歳と0歳)を育てるWEBライター。

「絵本」「幼児教育」「子どもの発達」「多様性」を得意とし、子育てメディアで執筆。

自身も絵本育児で育ち、母になってからは子どもたちと絵本のある時間を大切に過ごしている。

「生きる力の育み」をモットーに、国語講師の夫と幅広い視野で子育て・教育に奮闘中!

 

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掲載されている情報は公開当時のものです。
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