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「新宿絵本日記」

まるいかおの人。 2017年4月18日

 

今、私のななめ前に座って仕事をしている人の顔は白くて丸い。
丸いというか、まんまるです。
そして、更に丸い髪型をしているので…
二重丸、がしっくりきます。

 

彼女はしごく真面目で優等生タイプなので、
仕事をしている時は真顔です。
二重丸と言えども、完全に気配を消してしまっています。
パソコンの隙間からチラリと見える丸いカーブで、在席を確認します。

 

でも、普段はとても明るいキャラクターなので、仕事が終わったり、休憩時間になると、途端に二重丸がキラキラと発光しだします。

 

さらに、彼女の特技はパフォーマンスを含めたよみきかせ。
その場にいる子どもたちの目は、二重丸の彼女の顔ににくぎ付けです。

あれ、この感じ。どこかで見た事あるような…?
まっしろで、まんまるで、発光していて、子どもたちが大好きなもの。

 

 

おつきさまだ。


なかでも、あかちゃんが一心に見つめたり、笑ったり、ちょっと悲しそうな顔をしたりするこの絵本!

おつきさまこんばんは

おつきさまこんばんは

濃い紺色の夕闇の中で、三角屋根のおうちにあかりがつきます。
屋根の上に1匹、下に1匹のねこのシルエット。
「よるになったよ ほら おそらが くらい くらい」
「おや やねのうえが あかるくなった」
「おつきさまだ」
だんだん姿をあらわす、黄色くかがやくおつきさま。
もう1匹のねこも屋根にかけあがり、2匹の影はおつきさまを見あげます。
「おつきさま こんばんは」

目をふせて屋根の上に顔を半分だした、おつきさまの「いいおかお」といったら。
小さな絵本のまんなかに、本当に月がのぼったようです。
読んであげると、ページをめくるたびに、幼い子がいきいきと反応することにおどろきます。
雲に遮られおつきさまが泣きそうな顔をすれば、子どもも心配そう。
雲がいってしまえば、あーよかったとほっとします。
子どもは胸をときめかせて、おつきさまをながめ、「こんばんは」をするのでしょう。

今宵もまた、夜空を見あげれば、おつきさまに会える幸せ。
「こんばんは」「こんばんは」って互いにごあいさつする幸せ。
1986年発売以来、たくさんの子どもたちに支持されてきた本。
林明子さんの傑作の一つに数えられるあかちゃん絵本です。
裏表紙もかわいいですよ。

 

(大和田佳世  絵本ナビライター)

http://www.ehonnavi.net/ehon/52/%E3%81%8A%E3%81%A4%E3%81%8D%E3%81%95%E3%81%BE%E3%81%93%E3%82%93%E3%81%B0%E3%82%93%E3%81%AF/

ファーストブックとしても圧倒的な人気を誇るこの絵本。
改めて読んでみると、おつきさまはずっと登場しているわけではなくて、真っ暗な場面から少しずつ顔を出したり、雲に隠れてしまったり。困った顔をしていたかと思えば、あっかんべーをしてみたり。意外とあかちゃんごころを振り回しているのです。

 

もし、子どもたちの前でパフォーマンスをされる様な方がいたら、案外おつきさまの存在感って、参考になるのかもしれませんよね。

(磯崎園子 絵本ナビ編集長)

掲載されている情報は公開当時のものです。
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