ふりかえれば……うしがいた! 2017年8月17日
夏の真っ盛りだって、新宿の高層ビルに通います。
ギラギラ光るビル群を抜けて向かうのは、クーラーの効いたいつものオフィス。
何も考えることなく、エレベータの列に加わります。
今日の服装も黒をベースにした地味な色。
ふと横の鏡を見れば、その姿はまるで「うし」の様。
表情なんてありません。そのまま、何の気なしにうしろをふりかえると…
そこにいたのは、やっぱり同じ顔をした「うし」。
そのうしろのうしろにも、うしろのうしろのうしろにも…!?
「うしだなんて、なんてひどいことを!!」
ごめんなさい。暑さで少しおかしくなった、わけではありません。この絵本のことを思い出しながら、一人で妄想していただけなのです。
だって…おもしろいんだもん。
うし
いきなり登場するのは、うしの後ろ姿。
あ、ふりかえった!
そのすっとんきょうな目で見ているのは、うしろ。
そしてうしろには…うしがいた。
うしろのうしも、同じ目。そして、うしろをふりかえる。
…うしがいる。
そのうしろのうしろのうしもうしろをふりかえると、やっぱり?
なんだ、これは。
「そのうしろのうしろのうしろのうしもうしろをふりかえった
うしがいた」
これ、永遠に続くの?
開いたページはすでにうしだらけ。いったいどうなるの?
と、突然やってくる最後のオチ。
…なにこれ、笑っちゃったじゃない!!
内田麟太郎さんが書かれた詩「うし」。高畠純さんの絵と組み合わさって完成したのが、この最高に楽しいナンセンス絵本なのだそう。うしがうしろをふりかえり続けるだけなのに、ずっと可笑しくて仕方がない。うしの顔を見ているだけでも笑ってしまう。
「ところでこの絵本、何がいいたかったの?」
そんな質問をしたら、うしにあきれられてしまいます。
それよりも、ぜひ親子で一番しっくりくる「間」を研究しながら読みあってみてもらいたいものですね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
バリバリ仕事をこなしているつもりでも、ふりかえった時にいるのはライバルでも、敵でもなく「うし」。なんかいい(笑)。今年の夏はこれで乗り切ることにします。
一緒に楽しみたい!内田麟太郎×高畠純作品
磯崎園子(絵本ナビ編集長)
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