「にょっ!」ならわかる。 2017年10月25日
いつも朝は、中学生になる息子を送りだしてから出勤するために駅へ向かいます。たまに出発が息子と前後することはあるけれど、学校と駅は反対方向。外で出会うことは殆どありません。
だけど、今朝は学校の行事で隣駅の市民会館に集合だと言う。息子を見送ってから、自分も支度をして駅へ向かいます。エスカレーターでホームに降りていくと、見覚えのある運動靴。すると、そこに立っていたのは、案の定わが息子。隣にはお友達もいます。嬉しくて思わずニヤついてしまう自分を抑えながら、声をかけます。
「よっ!」
右手を軽くあげて。「あら、奇遇ね」っていう顔をして。お友達にも恥ずかしくない程度に嬉しそうな顔をして。そして、すんなり口から出てきた言葉がこれです。朝の挨拶は家で済ましているし、久しぶりってわけでもないし。名前を呼ぶのも思春期の男の子にはキツいでしょうし。これしかないでしょう、うん。
でも、電車にひとり乗り込んでから考えます。
…「よっ!」の「よ」ってなんだろう?
「おはよう」の「よう」? でも夕方でも言うよね。
それとも「yo!」ってこと? いつからそんなノリが染み付いちゃったのか?
うーん、わからない。
もやもやして会社に着くと(もちろん、ここは「おはようございます」と言いますよ)、目に飛び込んできたのは本棚にあったこの絵本のタイトル。
「にょっ!」
…似てる。
にょっ!
ここは海。広くて深い海。
今は夜でしょうか、朝でしょうか、美しくて不思議な色。
見とれてしまいます。
…と、とつぜん。
「にょっ!」
何かが海面に飛び出してきましたよ。
シルエットしかわからないけれど、先が大きく2つに割れている形。
あれ、なんだと思う?
人魚のポニーテール? それとも、かぶとむしのツノ?
「にょっ!」
またです。今度はニョロニョロしたもっとへんな形。
「にょっ!」
またまた。またまたまた。
わ!今度はいっぱい飛び出してきた!?
一体海面の下には何が潜んでいるというのでしょう。
絵本からの問いかけが続くこの絵本。
例えば…と、みんなの想像の手助けをしてくれるのも絵本です。そこには思いもよらないものが、それはそれはカラフルに描かれています。こんなものが海にいるわけない!?でも、いたらいいな…ってものばかり。
ザ・キャビンカンパニーさんならではの、奇想天外な展開。見ているだけでウキウキしてくるダイナミックで色鮮やかな絵。そして何より楽しいのが「にょっ!」っていう響き。遊び心たっぷりなこの絵本、どう楽しむのかも自由ですよね。
ところで一体。ほんとのほんとは…何だったのでしょう?
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
「にょっ!」ならわかる。
これだってよくわからない語感だけど、明らかに「にょっ」と出てきています。しっくりきています。「よっ!」っていうのも語感なのかな。確かに気持ちがいい。
ということで、今後もどんどん使っていきたい!という決意だけは固まった一日なのでした。
その他、ザ・キャビンカンパニーの絵本
磯崎 園子(絵本ナビ編集長)
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