「ねむたいひとたち」なのに、ねむれない。2017年10月12日
いつもいつも「ねむたいひとたち」の私にとって、もちろん夜寝る瞬間というのは至福の時間。
「今日も一日お疲れさま」。
ちょっといつもより早い時間に布団に入り、めざましをセットして、電気も消して、スマホも見ずに目をつむります。うん、すぐに寝れそうだ。
…あれ? まだ寝れない。ちょっと最近あった嬉しい出来事の振り返りでもしてみようかな。これも何もない夜の楽しみのひとつ。そのまま気がついたら寝入ってるっていうのが幸せだよね。
…まだ寝れない。気がついたらもう半年分くらい振り返っているよ。飽きてきちゃったよ。
……朝だよ。
驚いたことに、この日は一睡もできず! そのまま起きて通勤。今仕事をしているわけです。特に疲れているわけでも、悩んでいる訳でもないのに、一年に一度くらいこういう日があるのです。不思議です。だから、机の上に置いてあったこの絵本の中の小さなひとたちに問いかけてみることにします。
「ねむたいひとたちでも、ねむれない日はあるの?」
ねむたいひとたち
タテ126ミリ、ヨコ119ミリという小さなサイズの青い表紙に、ゆるい服と帽子をかぶった4人が立っています。目を閉じていますが…なんだかとっても幸せそう。絵本を開く前から伝わってきます。
どうやら彼らは、とっても小さなサイズの家族。どのくらい小さいかというと、みんなの履くスリッパの片方の中に一家まるごとすっぽり入れちゃうくらい。
そして、彼らを説明する言葉はただひとつ、「ねむたいひとたち」。
ねむたいひとたちは、ねむれる場所さえあれば、どこでもいいのです。いつもとってもねむいんです。おねまきを着て、ナイトキャップをかぶって、あくびをして…。ねるまえには、とうさんが探してきたココアとクッキーで「ねるまえのスナック」をもぐもぐ。ココアをのんでいるうちに目はとろんとろん。とうさんも寝息をたてはじめて。
私たちは、いったいなにを見ているのでしょう。ねむたいひとたちがお休みする時間? それとも彼らの大事な仕事の時間?それとも可愛いあくび?…どちらでもいいですよね。大切なことは、かれらが部屋のどこかすみっこに住んでいるのかもしれないってこと。私たちも、かれらと一緒におやすみしましょうね、「すーすーくーくー」。
人生においての幸福とはなにか、特に誇張することなく、いつも淡々と問いかけてくれるゴフスタインの作品。この『ねむたいひとたち』は特に直接的で、誰にでも共感できて、とてつもなく愛らしい。子どもたちと一緒にかみしめたい一冊です。
(磯崎 園子 絵本ナビ編集長)
すごいなあ、「ねむたがりかぞく」は。幸せそうにねむるのがとっても上手。この寝顔、寝姿は子どもたちにしか出来ない技だと思っていたけど。今度「ねむたいのにねむれない日」があったら、彼らの行動を全て真似してみることにしよう。まずは、ねむそうな顔をつくることから……すーすー。
ねむるのが上手なひとたちの絵本
磯崎 園子(絵本ナビ編集長)
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