【編集長の新宿絵本日記】きになる、きになる、きになる。 2019年5月23日
ああ、今日もまた。
15時ピッタリに引き出しから取り出したお菓子の袋を開ける音が響く。
隣の会議室に入ると、スタートして5分後に必ず大きな笑い声を立てる人がいる。
18時になったから、あの人のくしゃみタイムだ。
集中力があるのか、ないのか。
毎日、仕事に集中すればするほど気になって仕方がない。
というか、なければないで待っている自分がいる。
思い出すのは子どもの頃。
食卓での私の頭の中はいつだって「きになるきになる」でいっぱいだった。
朝食時に新聞を読む父は、開いた後に必ずパンっと紙面を叩く。
母は、ごはんとおかずを必ず均等な量で順番に交互に食べ続ける。
祖父は、毎日朝食のパンを必ずハサミで切る。
…… それらの法則に気がついたら最後、毎回確認しないでは終われなくなる。
そして、「きになる」の種類は約束事だけじゃ終わらない。
幼稚園年長さんの時のお遊戯会の写真の私はずっと横を向いている。隣の男の子の花を出すタイミングと角度が気になって仕方がなく、本番中もずっと横向いて指導をし続けていたのだそう。
お部屋で遊んでいる時に、壁によりかかっている子をチラチラと気にして見ていた子も私。「2時間以上壁にもたれかかっていると、くっついて離れなくなる」という兄のしょうもないウソが気になって気になって。忙しい子です。
「ぼく、気がつくとこういう動きをしちゃうんだよね。なんでだろう。」
そう言って、両手を空中で不可思議な動きをさせながら考え続けているのは息子。
……わかりづらい!
この絵本に登場するのは、誰もが一度は経験したことのあるような「きになる」ことばかり。だからこそ、思いっきり笑えるのです。
きになる
話を聞かなくちゃいけないってわかっていても、
集中しなくちゃと思っていても、
なんだか……気になる。
そんなとこ見ちゃいけないって思っても、
今はちがうって自分に言い聞かせても、
気になる。
どうしても……気になる!!
こういうことってあるよね。
笑っちゃうくらい違うところを見ている子たち、いるよね。
仕方がない、それが小学生。
おおなり修司さんが小学生だった頃に「きになっていた」ことを書き、広瀬克也さんがそれを明快に絵にしてくれています。誰もが懐かしさを感じる小学校を舞台に、大胆なめくりしかけを使って思いっきり笑わせてくれるのです。ああ、面白い!!
音楽の時間、どうしてもバッハの髪型が気になって仕方がなかったあなた。
あなたのための絵本が出来上がりましたよ。
気になりますよねえ……。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
↓めくると
ああ、今日もまた。
真面目な話を聞きながら、その方の眉から生えている銀色に輝く立派な宝毛が気になってしかたがなくなっている。ごめんなさい、大人になっても「きになるきになる」はおさまらないようです。
磯崎 園子(絵本ナビ編集長)
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