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月別児童書ランキングBEST10

【ランキング】2022年10月の児童書人気ランキングBEST10は?


今、絵本ナビで売れている児童書は? 話題になっているのはどんな本? 2022年10月の児童書人気ランキングをご紹介します。10月は、久しぶりにロングセラーでなく、新刊が第1位にあがってきました。さて1位はどんな作品なのでしょう。他、ロングセラー作品は懐かしい名作が勢揃い♪ 毎日の本選びの参考にしてみてくださいね。

2022年10月の児童書人気ランキングBEST10【2022/10/1~10/31】

雑誌「母の友」掲載の楽しいお話が一挙30話。巻末には、一日一話の企画への松居直さんの思いをつづったエッセイのページも。

こどもに聞かせる一日一話 「母の友」特選童話集

「こどもに聞かせる一日一話」は、福音館書店の雑誌「母の友」で長く続く人気企画です。短くておもしろい童話を30話一挙に掲載。気軽に読めて、子どもとおとなが一緒に楽しめると毎年好評をいただいています。この本には、21世紀以降、約20年分の「一日一話」から選んだ楽しいお話を中心に『ぐりとぐらのピクニック』や『だるまちゃんとうらしまちゃん』など、過去に「母の友」だけに掲載された、絵本の人気者たちの未単行本化作品を収録しています。

濃くて、可笑しくて、ちょっぴり切ない……がまくんとかえるくんが織りなす温かな物語

ふたりはともだち

仲良しのかえる、がまくんとかえるくん。ふたりの間で繰り広げられるのは、濃くて、可笑しくて、ちょっぴり切ない……様々な愛すべきエピソード。アーノルド・ローベルの「がまくんとかえるくん」シリーズは幼年童話の傑作として、子どもから大人まで、たくさんの人たちに40年以上も愛され続けています。

そのシリーズ第1作目が『ふたりはともだち』、5つのお話が収録されています。

春が来たからと大急ぎでがまくんの家に走っていき、「おきなよ!」と大きな声で呼びたてるかえるくん。お日さまがきらきらして、雪も溶け、新しい一年がはじまったかと思うと、いてもたってもいられないのです。ところが、がまくんは布団の中。もう少し寝ていたいのです。11月から眠っているがまくんは「5月半ば頃にまた起こしてくれたまえよ。」なんて言うのです。そこで、かえるくんは……?

がまくんを外に連れ出して遊ぶためなら頭の回転だって早くなるかえるくんと、カレンダーに合わせて簡単に5月だと思い込んでしまうがまくん。最初のお話「はるがきた」で、幼さと可笑しさがたっぷり詰まったふたりのキャラクターを存分に味わうことができます。

続く「おはなし」と「なくしたボタン」では、それぞれのやり方でお互いを思いやっている様子(大いに巻き込みながらね)を、「すいえい」ではちょっぴりブラックな面をのぞかせつつ、思いっきり笑えるエピソードを披露してくれます。

すっかりふたりの世界観に夢中になった頃、登場するのが最後の「おてがみ」です。

悲しそうな顔で玄関にすわっているがまくん。なんでも「もらったことのないお手紙を待つ時間」なんだと言うのです。それを聞いたかえるくんは、がまくんに内緒でお手紙を書くことにします。ところが、配達を頼んだのがかたつむりくんだったので……。

国語の教科書に採用されたことで、今では多くの子どもたちに知られているのがこのお話。いずれ届くことも、その内容までもわかっているお手紙をじっと待つがまくんとかえるくん。その幸せそうな様子に、「手紙」の持つ力を感じずにはいられませんよね。

シリーズ4冊。がまくんとかえるくんのキャラクターを知れば知るほど、どのお話も読み返したくなる珠玉のエピソードばかり。日本では三木卓さんの翻訳で楽しむことができます。

(磯崎園子  絵本ナビ編集長)

第3位は2タイトルが同数の売れで並びました。

ネートと一緒にナゾを解こう!

ぼくはめいたんてい(1)

みどころ

1982年の発売以来、たくさんの子どもたちに愛され、読み継がれてきた「ぼくはめいたんてい」シリーズの第1巻目。マージョリー・W・シャーマットさんによる全17巻となるこちらのシリーズは、5歳ぐらいから小学校低学年の子どもたちにちょうど良いハラハラさで、子どもたちがはじめて物語の楽しさに出会えるシリーズでもあります。つぎつぎにネートに降りかかるナゾ解きの面白さはもちろんのこと、巻ごとに増えていく個性的な登場人物、ネートからママへの置き手紙の内容など、読めば読むほど多くの楽しみをも発見できるでしょう。

すべての漢字にふりがながついているので、はじめての読み物としてもぴったり。ひとり読みに移る前に、まずは読んであげながら親子で一緒にナゾ解きを楽しんでみるのもいいですね。シーモントさんの温かくユーモアたっぷりの挿絵と、訳者の小宮由さんの柔らかな語り口も、子どもたちの読書をやさしく応援してくれます。お話の最後には「めいたんていのこころえ」もついていて、もし周りでなにかナゾが起きた時の役に立つかも!? さあ、ネートとどんどんナゾを解いて、一緒に名探偵になろう!

(秋山朋恵  絵本ナビ編集部)

楽しく個性的な登場人物がいっぱい!

「こーんな大きなおいも、どうやって掘り出すの?」

おおきなおおきな おいも

いよいよ明日はいもほり遠足。あおぞらようちえんの子ども達は、それはそれは楽しみにしています。ところが…当日は雨。いもほり遠足は一週間延期です。先生は仕方ありませんねって言うけれど。

「つまんない つまんない」

でも大丈夫。おいもは7つ寝ると、いっぱい大きくなって土の中で待っててくれるんですって! そのおいも、どのくらい大きくなっていると思う? 子ども達は想像しているうちに紙に描いてみたくなりましたよ。大きな大きな紙を用意して、それでも足りないからのりで貼り合わせてもっと大きくして。絵具を筆で「ごし ごし しゅっ しゅっ」「ぴちゃ ぴちゃ しゃっしゃっ」…もっと紙を足して。もっともっと。

ああーーーすごい!!
絵の具で描いたおいもの大きいこと、大きいこと。
先生もびっくり仰天。

「こーんな大きなおいも、どうやって掘り出すの?」

さあさあ、そこから子どもたちの素敵な想像の世界が膨らんでいきます。
綱引きみたいにして引っこ抜いて、ヘリコプターでようちえんまで運び、みんなで洗ったら、プールに浮かべ…!?

発売から40年以上経ってなお読まれ続けているこのお話。実際の園での遊びからヒントを得て作られたのだそう。自分たちの想像を超えたとんでもなく大きなおいも。そのインパクトは一度読んだら忘れることはありません。「いもざうるす」や「おいもパーティ」、印象に残っているシーンは沢山あるけれど、その全てがシンプルな線画。そこに効果的に使われているのが、サツマイモを思わせる紫一色のみというのも驚かされます。それでも子どもたちの生き生きと動き回る様子や、先生の役割、主役であるおいもの桁外れな存在感が伝わってくるからです。

いもほり遠足の前に。雨で退屈になっている子どもたちに。お絵描きやごっこ遊びが大好きな子どもたちに。子ども達の心を存分に刺激してくれる絵童話です。

(磯崎園子  絵本ナビ編集長)

第5位 なぞなぞのすきな女の子

オオカミと女の子のユーモアたっぷりのやりとりと、なぞなぞ遊びの楽しさが詰まった一冊

なぞなぞのすきな女の子

なぞなぞ遊びは好きですか? 答えるのも楽しいけれど、なぞなぞを出すのも楽しいですよね。特に答えられないような、なぞなぞが出せたら!

この本は、そんな、なぞなぞが大好きな女の子が主人公のお話です。女の子は、一緒に遊べるお友達を探しに森に出かけ、はらぺこオオカミと出会います。お母さんとなぞなぞ遊びをいつもしている女の子は、オオカミにぴったりの、何やら長いなぞなぞを出しました。オオカミは一生懸命考えるのですが、長いなぞなぞに、答えがいっぱい出て来てしまい…あらら? なぞなぞの答えは一つ、ですよね。さあ、オオカミは答えられるでしょうか? 

いい考えを出すには、手を頭にあてて目をつぶって考えるといいのよと、アドバイスする女の子。オオカミが目をつぶって考えているうちに、逃げてきてしまうなんて、何て頭がいいんでしょう! 間が抜けたオオカミとおりこうな女の子の楽しいお話が2話入っています。オオカミの表情がユーモラスで、くすくす笑ってしまいそうですね。(そうそう、女の子のお母さんのなぞなぞの出し方もとてもすてきなので、こちらにも注目下さいね。)

本の見返しにも、楽しいなぞなぞがたくさんのっているので、ぜひお子さんと挑戦してみてくださいね。このお話はもともと、作者の松岡享子さんが、人形劇のために作ったそうですよ。手袋や布でオオカミ、女の子、うさぎなどを作って演じてみても、楽しそうですね。

(長安さほ  編集者・ライター)

第6位は同数の売れで3タイトルがならびました。

第6位 はれときどきぶた

はれときどきぶた

三年三組。畠山則安。あだなは、十円やす。じまんは毎日、日記をつけていること。けれどもある日、大事な日記をお母さんが勝手に読んでいるところを目撃してしまった則安くんは、腹を立て、「あしたの日記」としてへんなことを書き始めます。トイレに大蛇がいた! お母さんが鉛筆を天ぷらに! 金魚が飛び回る、お母さんの首がのびた、そして空からぶたが降る!? はたして日記を書いた後に起きたこととは?

1980年に刊行され、40年近くにわたり読み継がれてきた『はれときどきぶた』。子どもの頃に読んだという大人の方もたくさんいらっしゃることでしょう。大人になって『はれときどきぶた』を思い出した時に頭をよぎったのは、本の中のエピソードの記憶。特に、鉛筆の天ぷらの記憶は五感とともに残っていて、食べたことはないのに口の中で鉛筆の味がしたり、ガリガリと固い感触がしたり、則安くんのお父さんと同じようにお腹が痛い気までしてくるようで、子どもの頃にお話を読んで感じた感覚がそのまま蘇ってくるようでした。さらに、空からぶたが降るのか、降らないのか、という場面では、心配そうに空を眺める則安くんと同じく、この後どうなるのだろうと不安とワクワクが混ざったような気持ちになったことを思い出したりも。そんな風に、子どもの頃に読んだ記憶が心の深いところに残り続けることがこの作品の持つすごい力ではないかと思います。

子どもたちは、とにかく一度手にとってページをめくったら、あとはもうどんどん読めてしまうでしょう。
まずお話の最初の方で、お母さんが勝手に日記を読んでいたことに衝撃を受け、則安くんと一緒に腹を立てるでしょうし、「あしたの日記」にへんなことを書いてお母さんをぎゃふんと言わせてやろうという則安くんの気持ちにたちまち入り込んでしまうのではないでしょうか。

対象年齢は、主人公の則安くんと同じ小学3年生ぐらいからがちょうど良いかと思いますが、5、6年生でも読んだことがない子がいたらおすすめしたいと思います。内容を考えると、ひとりでこっそり読む方が面白いと思うので、読み聞かせには向かないかもしれません。
ひとり読みのはじめの段階に、もしくは、最初の面白い本との出会いの1冊として、声を大にしておすすめしたい作品です。1巻目が気に入ったら、「はれぶた」シリーズとして10巻まで出ていますので、ぜひ続けて読んでみて下さいね。

大人の方が読む場合には、あとがきに書かれている作者のメッセージにもぜひご注目を。たとえ人から「ばかなこと」だと思われるようなことでもいろいろなことを自分の頭で考えることの大切さや、自分の感じたこと、考えたことをちゃんといえるようにならなくちゃいけないというメッセージに、面白おかしいだけではない、『はれときどきぶた』が長く読み継がれる秘密が伝わってきます。

(秋山朋恵  絵本ナビ編集部)

第6位 きつねの子(1) きいろいばけつ

きつねの子(1) きいろいばけつ

「だれのだろう。」
月曜日、きつねの子は「きいろいばけつ」を見つけました。名前はありません。まだ新しいようです。
それは、きつねの子が前から欲しかったようなばけつでした。きつねの子は、急いでうさぎの子と、くまの子に、ばけつのことを知らせに行きます。きつねの子が持つと、まるできつねの子のもののようにとっても似合うばけつ。くまの子は、「もしだれもとりにこなくて、ずっとそこにおきっぱなしだったら、きつねくんのにしたら」と言います。そこできつねの子は1週間、待つことにしました。

火曜日、水曜日、木曜日……と、きつねの子は毎日、きいろいばけつがあるかどうか見に行きます。うっとりと眺めたり、横でうたたねをしたり、持って歩いてみたり、魚を釣って入れる真似をしてみたり。1日に何度も、たとえ雨が降ったってきいろいばけつのところへやってきて、一緒に楽しい時間を過ごします。だんだん月曜日が近づいていくと、バケツに自分の名前を書くまねまでしたりして。

伝わってくるのは、きいろいばけつのことを大切に思い、好きで好きでたまらないきつねの子の気持ちと、毎日ちゃんと元の場所にあるかどうかドキドキする気持ちです。読む子どもたちも、あっという間にきつねの子の気持ちになって、1日1日、今日はあるかな? 今日はどうかな?と祈るような気持ちでページをめくることでしょう。

そうしてやってきた1週間後の月曜日。はたして、きいろいばけつはあったのでしょうか。きつねの子が発したひと言に、子どもたちは何を感じるでしょうか。

お話を書かれたのは、いつもやわらかい子どもの心をすくいあげ、優しく見守るように描き出す森山京さん。『きいろいばけつ』は森山京さんの代表作「きつねの子」シリーズの最初のお話です。幼い子どもたちの揺れる気持ちに丁寧に寄り添ったお話は、子どもたちの頼もしい味方として多くの親子に愛され続けています。きつねの子の喜び、楽しさ、心配の気持ちを表情や仕草で生き生きと描くつちだよしはるさんの挿絵もお話全体を温かく包み込み、安心感を与えてくれています。

「かけがえのないものは、いつの時でもたった一つしかないということを一番よくわかっているのは、ほんとうは幼い子どもであるのかもしれません」
あとがきで森山京さんがそう伝えてくれているように、かけがえのないものと過ごす豊かな時間とそれに出会った喜びの思いがたっぷり詰まったお話です。そんなきつねの子のドラマを、そばで優しく見守るうさぎの子とくまの子の友情にも注目ですよ。

(秋山朋恵  絵本ナビ編集部)

第6位 ふしぎ駄菓子屋銭天堂(18)

ふしぎ駄菓子屋銭天堂(18)

駄菓子の商品会議で、企画が出なくなった招き猫たちに、紅子は過去の思い出を語りはじめる。なにかアイデアの参考になるかもしれないからだ。紅子はそのむかし、行商スタイルで、ひとり駄菓子を売っていた。
この巻では、エピソードごとに、その時代の紅子の思い出が語られる。
・妖刀糖(戦国時代)
・舌鼓(江戸時代)
・写し柿(江戸時代)
・夢あめ(大正時代)
・育て手(昭和 高度成長期)
・景気ケーキ(昭和 バブル期)
最終話は、紅子と墨丸の出会い、銭天堂のお店をかまえるまでを描く。

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第9位も同数の売れで2タイトルがならびました。

第9位 エルマーのぼうけん

エルマーのぼうけん

さあ、リュックサックに道具をつめて、エルマーと一緒に冒険の旅に出発しよう!

これは僕の父さん、エルマーが小さかった頃のある冒険のお話です。ある雨の夜、エルマーは、年取ったのらねこから、「どうぶつ島」に捕らえられているかわいそうなりゅうの話を聞きます。りゅうは、空の低いところに浮いていた雲から落っこちてきたちっちゃな子どものりゅうで、ジャングルの猛獣たちに捕まえられて、川を渡るために働かされているというのです。

エルマーは、すぐに助けに行こうと決心します。早速ねこにどうぶつ島のことや、持っていくものを教えてもらい、旅の準備に取り掛かります。エルマーがリュックサックにつめたのは、「チューインガム、ももいろのぼうつきキャンデー二ダース、わゴム一はこ、くろいゴムながぐつ、じしゃくが一つ、はブラシとチューブいりはみがき‥‥‥」などなどたくさんの道具。そして「どうぶつ島」へと繋がる「みかん島」行きの船に忍び込んだエルマーは、六日六晩たってようやく「みかん島」へ。ここで食料のみかんをリュックいっぱいに詰め込んで、夜の間に「どうぶつ島」へと渡ります。

「どうぶつ島」へ着くと、早速りゅうがつながれている川を探しに、気味の悪いジャングルの中を歩いていくエルマー。ジャングルでは、おかしな喋り方をするねずみや、うわさ好きのいのししに出くわしたり、とら、さい、ライオンなど恐ろしい猛獣たちにつぎつぎと出くわします。猛獣たちはたいていお腹をすかせていて、食べられそうになることもしばしば。さてエルマーは、どんな風に猛獣たちの危険をくぐり抜け、どうやってりゅうを助け出すのでしょうか?

特に注目したいのは、リュックサックに詰めた道具たちの活躍と、見返しに描かれた「みかん島とどうぶつ島のちず」。道具は、はじめはこんなものが何の役にたつのだろう? と思ってしまいそうなアイテムばかりなのですが、エルマーの知恵も合わさって、驚くほどぴったりはまって役に立つ様子にワクワクさせられます。道具を介した猛獣たちとのやりとりもユーモアたっぷり。何回読んでも繰り返し楽しませてくれる場面がいっぱいです。
「みかん島とどうぶつ島のちず」には、エルマーが冒険した場所や、エルマーの足取りが細かく描かれています。地図を見ながらお話を読み進めていくと、よりエルマーと一緒に冒険しているような臨場感が味わえるでしょう。お話の途中で、また一章ごとに、お話を読み終えた後になど、ぜひ地図をたっぷり眺めながら読んでみて下さいね。

日本では、1963年の刊行から50年以上も読み継がれ、幼年童話の最高峰とも呼ばれる本書。作者は、ニューヨーク生まれのルース・スタイルス・ガレットさんという女性で、このお話でニューベリー賞(アメリカで毎年最もすぐれた児童文学作品に与えられる)を受賞しています。さし絵は、お継母さんのルース・クリスマン・ガネットさんによるもの。細かいところまで丁寧に描かれながらも、ユーモアあふれる魅力的なエルマーやりゅう、猛獣たちのさし絵が、物語を一層楽しく盛り上げます。さらに英語版の文字の大きさや書体を決めたのは旦那様のピーターさんだそうで、刊行時は、家族総出でこの本を作るのに取り組まれていたそうです。

この後も、『エルマーとりゅう』『エルマーと16ぴきのりゅう』と続いていく、エルマーとりゅうのとびきりの冒険と友情の物語。内容は5才ぐらいから楽しめるかと思いますが、子どもがひとりで読むのは小学2年生ぐらいまでは難しいのではということと、なかなかのハラハラドキドキの冒険となりますので、はじめはぜひ大人が読んで聞かせてあげて下さいね。

(秋山朋恵  絵本ナビ編集部)

第9位 きつねの子(2) つりばしゆらゆら

きつねの子(2) つりばしゆらゆら

“きつねの こは、はしの いたの うえに、こわごわ あしを のせました。あしもとがゆうらり ゆれました。
「ひとつ、ふたつ、みっつ……。」
みっつ あるいた ところで いたの すきまから、あおく すんだ かわの みずが みえました。とたんに あしが すくみ、まえへ すすめなく なりました。”

谷川にかかる細いつり橋。ある日、きつねの男の子のこんすけは、友だちのくまの子とうさぎの子といっしょに、橋のたもとに遊びにきました。おそるおそるむこう側をのぞき込んでいた3匹は、橋をわたって来たいのししのおじさんから、反対側にはきつねの女の子が住んでいると聞きます。その子と遊びたい一心で、こんすけは翌朝からひとり、つり橋をわたる練習をはじめます。
はじめての朝は3歩。次の朝は5歩。そのまた次の朝は6歩……。朝早く、まだ誰も通らない時間にやってきては、毎日少しずつ、昨日よりも遠くへと進んでゆきます。

おそるおそる、でも着実に、まだ見ぬ新しい世界へと踏み出していくようすが、かわいらしくもたのもしいお話です。このくらいの年頃の子どもたちにとってはこんなちょっとしたことが大冒険。みんなにはないしょのところがワクワクドキドキ感を高めてくれます。すべてのページにつちだよしはるさんのほんわかあたたかい絵が添えられていて、風がふいてつり橋がゆれると、こんすけといっしょにどきっとしたり、足がすくんだり。まだ見ぬ世界への好奇心とおそれの間でゆれる気持ちが伝わってきて、応援する手にも思わず力がこもります。

さあ、こんすけはきつねの女の子と会えるのでしょうか?

(三木文  絵本ナビライター)

いかがでしたか。

だんだん寒さの増す季節、おうちの中で過ごす時間に何か本を読もうかな、と思ったら、ぜひランキングを参考に選んでみてくださいね。

これからの時期、ギフトにもおすすめです。

秋山朋恵(あきやま ともえ) 

絵本ナビ 副編集長・児童書主担当

書店の本部児童書仕入れ担当を経て、私立和光小学校の図書室で8年間勤務。現在は絵本ナビ児童書主担当として、ロングセラーから新刊までさまざまな切り口で児童書を紹介。子どもたちが本に苦手意識を持たずに、まず本って楽しい!と感じられるように、子どもたち目線で本を選ぶことを1番大切にしている。著書に「つぎ、なにをよむ?」シリーズ(全3冊)(偕成社)がある。

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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