【ランキング】2023年9月の児童書人気ランキングBEST10は?
今、絵本ナビで売れている児童書は? 話題になっているのはどんな本? 2023年9月の児童書人気ランキングをご紹介します。9月は、ベスト10内にロングセラー作品に加えて今年発売の新刊が2点入りました。さて、どんな新刊が入ったのでしょう。秋の読書や読書週間に向けて、読みたい本を探してみませんか。
2023年9月の児童書人気ランキングBEST10【2023/9/1~9/30】
第1位は『メメンとモリ』。
9月末に放映されたTV番組「新・美の巨人」でのヨシタケシンスケさん特集で、話題となりました。
「人は何のために生きてるの?」の3つのお話。
身も蓋もない言葉の中にだけ、
希望を見出せるときもある。
ヨシタケシンスケが描く
「人は何のために生きてるの?」の3つのお話。
『メメンとモリとちいさいおさら』
メメンが作ったお皿を割ってしまったモリ。
「世界にひとつしかないお皿なのに…」といつまでもクヨクヨしているモリに、
メメンは「大丈夫よ、また作ればいいんだから」と励まします。
『メメンとモリときたないゆきだるま』
夜のうちに降った雪。メメンとモリは次の日の晴れた朝、張り切ってゆきだるまをつくりました。
でも雪は足りず、晴れて溶けかかり、できあがってゆきだるまは想像していたものと違いました。
複雑な顔をしてゆきだるまを見つめるメメンとモリ。
でもゆきだるまは、そんなふたりの顔を冷静に見ていたのです。
『メメンとモリとつまんないえいが』
つまらない映画を見てしまったメメンとモリ。「時間を損しちゃったね」と話しているうちに、
モリは「みんなは楽しいことをしているのに、ぼくだけ損をしているみたい」と思いはじめます。
そんなモリにメメンは「いきものはべつに楽しむために生きているわけじゃないからね」と言うのですが…。
第2位は『エルマーのぼうけん』。今年7月15日(土)~10月1日(日)には、PLAY! MUSEUMにて企画展が開催され、大きな話題となりましたね。もし惜しくも逃してしまった……という方には、展覧会図録も販売中です。
初めての本格的な冒険物語との出会いに
さあ、リュックサックに道具をつめて、エルマーと一緒に冒険の旅に出発しよう!
これは僕の父さん、エルマーが小さかった頃のある冒険のお話です。ある雨の夜、エルマーは、年取ったのらねこから、「どうぶつ島」に捕らえられているかわいそうなりゅうの話を聞きます。りゅうは、空の低いところに浮いていた雲から落っこちてきたちっちゃな子どものりゅうで、ジャングルの猛獣たちに捕まえられて、川を渡るために働かされているというのです。
エルマーは、すぐに助けに行こうと決心します。早速ねこにどうぶつ島のことや、持っていくものを教えてもらい、旅の準備に取り掛かります。エルマーがリュックサックにつめたのは、「チューインガム、ももいろのぼうつきキャンデー二ダース、わゴム一はこ、くろいゴムながぐつ、じしゃくが一つ、はブラシとチューブいりはみがき‥‥‥」などなどたくさんの道具。そして「どうぶつ島」へと繋がる「みかん島」行きの船に忍び込んだエルマーは、六日六晩たってようやく「みかん島」へ。ここで食料のみかんをリュックいっぱいに詰め込んで、夜の間に「どうぶつ島」へと渡ります。
「どうぶつ島」へ着くと、早速りゅうがつながれている川を探しに、気味の悪いジャングルの中を歩いていくエルマー。ジャングルでは、おかしな喋り方をするねずみや、うわさ好きのいのししに出くわしたり、とら、さい、ライオンなど恐ろしい猛獣たちにつぎつぎと出くわします。猛獣たちはたいていお腹をすかせていて、食べられそうになることもしばしば。さてエルマーは、どんな風に猛獣たちの危険をくぐり抜け、どうやってりゅうを助け出すのでしょうか?
特に注目したいのは、リュックサックに詰めた道具たちの活躍と、見返しに描かれた「みかん島とどうぶつ島のちず」。道具は、はじめはこんなものが何の役にたつのだろう? と思ってしまいそうなアイテムばかりなのですが、エルマーの知恵も合わさって、驚くほどぴったりはまって役に立つ様子にワクワクさせられます。道具を介した猛獣たちとのやりとりもユーモアたっぷり。何回読んでも繰り返し楽しませてくれる場面がいっぱいです。
「みかん島とどうぶつ島のちず」には、エルマーが冒険した場所や、エルマーの足取りが細かく描かれています。地図を見ながらお話を読み進めていくと、よりエルマーと一緒に冒険しているような臨場感が味わえるでしょう。お話の途中で、また一章ごとに、お話を読み終えた後になど、ぜひ地図をたっぷり眺めながら読んでみて下さいね。
日本では、1963年の刊行から50年以上も読み継がれ、幼年童話の最高峰とも呼ばれる本書。作者は、ニューヨーク生まれのルース・スタイルス・ガレットさんという女性で、このお話でニューベリー賞(アメリカで毎年最もすぐれた児童文学作品に与えられる)を受賞しています。さし絵は、お継母さんのルース・クリスマン・ガネットさんによるもの。細かいところまで丁寧に描かれながらも、ユーモアあふれる魅力的なエルマーやりゅう、猛獣たちのさし絵が、物語を一層楽しく盛り上げます。さらに英語版の文字の大きさや書体を決めたのは旦那様のピーターさんだそうで、刊行時は、家族総出でこの本を作るのに取り組まれていたそうです。
この後も、『エルマーとりゅう』『エルマーと16ぴきのりゅう』と続いていく、エルマーとりゅうのとびきりの冒険と友情の物語。内容は5才ぐらいから楽しめるかと思いますが、子どもがひとりで読むのは小学2年生ぐらいまでは難しいのではということと、なかなかのハラハラドキドキの冒険となりますので、はじめはぜひ大人が読んで聞かせてあげて下さいね。
(秋山朋恵 絵本ナビ編集部)
「エルマーのぼうけん」展(PLAY! MUSEUM)の公式図録。3部作の原画約140点を収録
今日も出かけよう、新しいぼうけんの旅へ
しま模様のかわいらしいりゅう、リボンを結んでご満悦のライオン、にんまりとキャンデーをしゃぶるワニ……思い浮かべるだけで、ワクワクがよみがえってきませんか? そう、『エルマーのぼうけん』のワンシーンです。
1948?51年にアメリカで出版された『エルマーのぼうけん』『エルマーとりゅう』『エルマーと16ぴきのりゅう』の3部作は、今も愛され続ける幼年童話の金字塔。作者は執筆当時20代だったルース・スタイルス・ガネット、挿絵は作者の継母であるルース・クリスマン・ガネットが手がけました。渡辺茂男が訳した日本語版もまた、累計700万部を誇ります。
本書は、日本初の展覧会「エルマーのぼうけん」展(2023年7月15日―10月1日 PLAY! MUSEUM)の公式図録です。3部作の原画約140点を収録し、その巧みな筆致を綿密に再現しました。物語の誕生秘話や制作プロセス、まもなく100歳を迎える作者の人柄を伝えるテキストも。ガネット母娘の描く、勇気と思いやりとユーモアにあふれたシーンの数々は、子どもはもちろん、かつて子どもだった大人をもあたたかく包み込みます。
ページをめくればそこに、あのやさしい世界が広がっています。りゅうの背にふわりと乗って出かけましょう、ぼうけんの旅へ!
第3位は『ふたりはともだち』。国語の教科書でも長きにわたり掲載されているお話。小学2年生は、9月、10月に勉強している子も多いでしょうか。
濃くて、可笑しくて、ちょっぴり切ない……がまくんとかえるくんが織りなす温かな物語
仲良しのかえる、がまくんとかえるくん。ふたりの間で繰り広げられるのは、濃くて、可笑しくて、ちょっぴり切ない……様々な愛すべきエピソード。アーノルド・ローベルの「がまくんとかえるくん」シリーズは幼年童話の傑作として、子どもから大人まで、たくさんの人たちに40年以上も愛され続けています。
そのシリーズ第1作目が『ふたりはともだち』、5つのお話が収録されています。
春が来たからと大急ぎでがまくんの家に走っていき、「おきなよ!」と大きな声で呼びたてるかえるくん。お日さまがきらきらして、雪も溶け、新しい一年がはじまったかと思うと、いてもたってもいられないのです。ところが、がまくんは布団の中。もう少し寝ていたいのです。11月から眠っているがまくんは「5月半ば頃にまた起こしてくれたまえよ。」なんて言うのです。そこで、かえるくんは……?
がまくんを外に連れ出して遊ぶためなら頭の回転だって早くなるかえるくんと、カレンダーに合わせて簡単に5月だと思い込んでしまうがまくん。最初のお話「はるがきた」で、幼さと可笑しさがたっぷり詰まったふたりのキャラクターを存分に味わうことができます。
続く「おはなし」と「なくしたボタン」では、それぞれのやり方でお互いを思いやっている様子(大いに巻き込みながらね)を、「すいえい」ではちょっぴりブラックな面をのぞかせつつ、思いっきり笑えるエピソードを披露してくれます。
すっかりふたりの世界観に夢中になった頃、登場するのが最後の「おてがみ」です。
悲しそうな顔で玄関にすわっているがまくん。なんでも「もらったことのないお手紙を待つ時間」なんだと言うのです。それを聞いたかえるくんは、がまくんに内緒でお手紙を書くことにします。ところが、配達を頼んだのがかたつむりくんだったので……。
国語の教科書に採用されたことで、今では多くの子どもたちに知られているのがこのお話。いずれ届くことも、その内容までもわかっているお手紙をじっと待つがまくんとかえるくん。その幸せそうな様子に、「手紙」の持つ力を感じずにはいられませんよね。
シリーズ4冊。がまくんとかえるくんのキャラクターを知れば知るほど、どのお話も読み返したくなる珠玉のエピソードばかり。日本では三木卓さんの翻訳で楽しむことができます。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
「がまくんとかえるくん」シリーズ4冊セットも販売中です。ギフトにもおすすめ♪
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第4位は、同数の売れで4タイトルが並びました。
第4位 ふらいぱんじいさん
「あたらしいせかいで、だれかがわしを まっているかもしれない。」1969年から読み継がれる幼年童話の名作
まるくてくろくてにっこり顔のこのお方はいったいだれでしょう? みんなの家の台所にもきっとあるはず。このお話はあるお家のふらいぱんのふらいぱんじいさんが旅に出るお話です。なぜ旅に出るようになったかって!?それはこういうわけなんです。
ふらいぱんじいさんは、たまごを焼くのが大好きでした。
けれどもある日、おくさんが新しい目玉焼きなべを買ってきて、たまごを焼かせてもらえなくなってしまいます。
そこで、ふらいぱんじいさんは旅に出ることにしました。
「そうだ、ひろい よのなかに でれば、
この わしだって、なにか
やれそうなものだ。よし、でかけよう。
あたらしい せかいで、だれかが わしを
まっているかもしれない。」
初めて家の外に出たふらいぱんじいさん。外の世界はなんて明るくて広いのでしょう。空には小鳥たちが歌い、ふらいぱんじいさんは希望いっぱいに出発します。
けれどもふらいぱんじいさんの行く先には、困難がいっぱい。ものめずらしいふらいぱんじいさんは、ジャングルの動物たちに「かがみ」や「たいこ」と間違われたり、だちょうに卵をねだって蹴られたり。それでも砂漠を超え、海を超え、どんどん進んでいくふらいぱんじいさん。いっときの安らぎを得たかと思えば急に嵐がやってきたり、波乱万丈の冒険の旅が続きます。
はたしてふらいぱんじいさんは、何かを見つけることができたのでしょうか。
お話は全部ひらがなで書かれていて、字も大きく、読み物への入り口にぴったり。読み始めたらあっという間にひきこまれ、ドキドキワクワクがとまりません。そんな読み応えたっぷりのお話で子どもたちを一喜一憂させ、楽しませてくれるのは、『ちびっこカムのぼうけん』や『くまの子ウーフ』で知られる児童文学作家の神沢利子さん。そして、お話と合わせて大きな魅力となっているのが、堀内誠一さんの挿絵です。堀内さんの描く愛嬌たっぷりでユーモラスなふらいぱんじいさんは、すぐに子どもたちの心を掴むことでしょう。カラフルであざやかな色づかいは今でも全く古さを感じさせないほど、おしゃれで目をひきますよね。
『ふらいぱんじいさん』は、1969年の登場以来たくさんの親子に読み継がれ、2019年の今年で50周年を迎えます。
ふらいぱんじいさんが旅の途中で出会うさまざまな出来事は、子どもたちの心の深いところに残り、いざ広い世界に出ていく時の心強いお守りとなってくれることでしょう。この先も、50年、100年……とずっとずーっと子どもたちそして大人をも勇気づけてくれるこの名作を、大切に伝えていきたいですね。
(秋山朋恵 絵本ナビ編集部)
第4位 大どろぼうホッツエンプロッツ
少年カスパールとゼッペルVS大どろぼうホッツェンプロッツと魔法使いの対決。いったいどちらが勝つのか最後までハラハラドキドキ!
おばあさんの大切なコーヒーひきが、大どろぼうホッツェンプロッツに盗まれてしまいました。大魔法使いツワッケルマンや妖精も登場して、少年カスパールとゼッペルの大活躍がはじまります。
読者の声より(こどもレビュー)
カスパールはあたまがいい。
どろぽうをおぴきよせるわなをしかけたり、ばかなふりをしてだましたりするから。
ホッツェンプロッツは、わるいやつだけどちょっとおばかだけど、
やっぱりいやなやつ。
カスパールとゼッペルがついにホッツェンプロッツをつかまえたときは、
よかったと思った。
カスパールはようせいのねがいごとで、ぼうしをもどしたり、コーヒーひきをとりもどしたり、ホッツェンプロッツをつかまえたりしたけれど、
ぼくなら、なにをかなえようかなと思った。
みんながへいわにくらせるようなねがいごとがいいな。
ホッツェンプロッツはつかまったけど、だつごくをねらっていると
かいてあったので、次はどうなるか、楽しみです。
またやっつけられるといいな。
(9歳長男本人の感想を代筆しました)
(りらまいりらさん 30代・ママ 男の子8歳、男の子6歳)
続きのお話やゲームブックも合わせておすすめ。
第4位 エルマーとりゅう
「エルマーとぼうけん」シリーズの続編『エルマーとりゅう』もランクイン!
「エルマーのぼうけん」の続編。ぶじ動物島を脱出したエルマーとりゅうが、「知りたがり病」という病気をめぐって大活躍。一度読みはじめたらやめられない抜群のおもしろさです。
空を飛んで家に帰る途中、エルマーとりゅうはひどい嵐に遭い、ある島の近くに不時着しました。そこはカナリヤだけが住んでいる島で、“しりたがりびょう”にかかっているカナリヤの王様は、秘密の宝箱を掘り出してくれと、エルマーたちにたのみます。ついに宝物を見つけ、王様の病気を治したエルマーとりゅうは、ふたたび空を飛んで、エルマーの家のある“かれき町”に着くことができました。
読者の声より
エルマーのぼうけん に引き続き、エルマーシリーズ2冊目。
今回は、前回助け出したりゅうと一緒に家路につくも、
嵐にあい途中で一旦停車中の冒険物語です。
エルマーのお相手はカナリヤですが、
これがなかなか面白い!
以前飼ってたカナリヤが出てきたり、
そしてカナリヤの王様がなかなかユニークです。
(注:おそらく王様ご本人は、大真面目です)
この王様とエルマーのかけあいがなかなか楽しくて、
娘は頑張って一人二役、なりきって音読をしていました。
最後は無事におうちへもどれてよかったエルマー!
続編もあるようで、次を読むのが楽しみです!
(ムスカンさん 30代・ママ 男の子11歳、女の子6歳)
第4位 おおきなおおきな おいも
秋といえば、この本ですよね。想像を膨らませて思いっきり楽しみたい名作。
いよいよ明日はいもほり遠足。あおぞらようちえんの子ども達は、それはそれは楽しみにしています。ところが…当日は雨。いもほり遠足は一週間延期です。先生は仕方ありませんねって言うけれど。
「つまんない つまんない」
でも大丈夫。おいもは7つ寝ると、いっぱい大きくなって土の中で待っててくれるんですって! そのおいも、どのくらい大きくなっていると思う? 子ども達は想像しているうちに紙に描いてみたくなりましたよ。大きな大きな紙を用意して、それでも足りないからのりで貼り合わせてもっと大きくして。絵具を筆で「ごし ごし しゅっ しゅっ」「ぴちゃ ぴちゃ しゃっしゃっ」…もっと紙を足して。もっともっと。
ああーーーすごい!!
絵の具で描いたおいもの大きいこと、大きいこと。
先生もびっくり仰天。
「こーんな大きなおいも、どうやって掘り出すの?」
さあさあ、そこから子どもたちの素敵な想像の世界が膨らんでいきます。
綱引きみたいにして引っこ抜いて、ヘリコプターでようちえんまで運び、みんなで洗ったら、プールに浮かべ…!?
発売から40年以上経ってなお読まれ続けているこのお話。実際の園での遊びからヒントを得て作られたのだそう。自分たちの想像を超えたとんでもなく大きなおいも。そのインパクトは一度読んだら忘れることはありません。「いもざうるす」や「おいもパーティ」、印象に残っているシーンは沢山あるけれど、その全てがシンプルな線画。そこに効果的に使われているのが、サツマイモを思わせる紫一色のみというのも驚かされます。それでも子どもたちの生き生きと動き回る様子や、先生の役割、主役であるおいもの桁外れな存在感が伝わってくるからです。
いもほり遠足の前に。雨で退屈になっている子どもたちに。お絵描きやごっこ遊びが大好きな子どもたちに。子ども達の心を存分に刺激してくれる絵童話です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
第8位 しごとへの道(2) 獣医師 オーケストラ団員 地域おこし協力隊
「しごとへの道はひとつじゃない―」読む「しごとば」シリーズ第2弾!9月の新刊よりランクインです。
迷って、なやんで、とびこんで、自分の「好き」をしごとにするまで。
読む「しごとば」シリーズ第2弾は、獣医師、オーケストラ団員、地域おこし協力隊の3職業を収録。
自分のしごとに出会うまでの紆余曲折、人生を変える言葉や人との出会いを、子ども時代から取材。
しごとへの道はひとつじゃない―
子どもから大人まで、心に響くエピソードが満載!
コミック仕立てで充実の読み応えです。
1巻をまだ読んでいない方は、こちらもぜひ。
第9位 ロッタちゃんのひっこし
ごきげんななめでおしゃまなロッタちゃんの魅力全開の楽しいお話。国際アンデルセン賞作家リンドグレーンの名作です。
夢見がわるく、ごきげんななめのロッタちゃんは、家をとび出してとなりの家の物置小屋へ引っ越します。幼児の心理をとらえ、いきいきと描く幼年童話。
読者の声より
小学校1年生くらいのときに、自分自身も読んだことがあり、とても好きだったのを覚えています。
やんちゃでわがままなロッタちゃん。でも、一生懸命で、にくめないとってもかわいい女の子です。
今、ちょうど1年生の娘も読んでいます。親子2代で楽しめた本です。
(あいあい☆さん 30代・ママ 女の子5歳、男の子3歳)
合わせておすすめ。
第10位 ぼくはめいたんてい(1) きえた犬のえ(新装版)
ネートと一緒にどんどんナゾを解いて、名探偵になろう!
9歳のネートは探偵です。
今日もネートの元に1本の電話が入りました。
仲良しの女の子アニーから、なくなった絵を探してほしいとの依頼です。
すぐにアニーのところへ駆けつけるネート。
まず、アニーの話をじっくり聞き、部屋の中をくまなく調べます。
次に、その絵を見た他の人たちー仲良しのロザモンド、弟のハリー、犬のファングについて丁寧に調査していきます。
はたしてネートは、アニーのなくなった絵を発見することができたのでしょうか。
一見、すぐに解けそうと思わせておきながら、意外になかなか解けないナゾの面白さと、ネートのツボを押さえた探偵ぶりに子どもも(大人も!)たちまち心を掴まれてしまいます。
また9歳という年齢でありながら、どんなナゾが来ても常に落ち着き、周りから頼りにされているネート。子どもたちは、自分と同じぐらいの年齢の子の活躍とカッコよさにたちまち憧れてしまうのではないでしょうか。一方でパンケーキが大好物で、気が付けばいつもパンケーキを食べているところには親しみを感じてしまいますね。
こちらは、1982年の発売以来、たくさんの子どもたちに愛され、読み継がれてきた「ぼくはめいたんてい」シリーズの第1巻目。マージョリー・W・シャーマットさんによる全17巻となるこちらのシリーズは、5歳ぐらいから小学校低学年の子どもたちにちょうど良いハラハラさで、子どもたちがはじめて物語の楽しさに出会えるシリーズでもあります。つぎつぎにネートに降りかかるナゾ解きの面白さはもちろんのこと、巻ごとに増えていく個性的な登場人物、ネートからママへの置き手紙の内容など、読めば読むほど多くの楽しみをも発見できるでしょう。
すべての漢字にふりがながついているので、はじめての読み物としてもぴったり。ひとり読みに移る前に、まずは読んであげながら親子で一緒にナゾ解きを楽しんでみるのもいいですね。シーモントさんの温かくユーモアたっぷりの挿絵と、訳者の小宮由さんの柔らかな語り口も、子どもたちの読書をやさしく応援してくれます。お話の最後には「めいたんていのこころえ」もついていて、もし周りでなにかナゾが起きた時の役に立つかも!? さあ、ネートとどんどんナゾを解いて、一緒に名探偵になろう!
(秋山朋恵 絵本ナビ編集部)
合わせておすすめ(秋に読みたいハロウィンのお話)
2023年9月児童書人気ランキング:第11位から20位はこちら
2023年9月の新刊Pickup!
最後に、9月に発売された新刊からおすすめ作品をご紹介します。
『ピースケのいえで』
みどちゃんと、たまにぷりっとしちゃうマイペースなのぶちゃん、ふたりが大切にしているぬいぐるみたち……それぞれのふしぎでゆかいな時間。たかどのほうこさん作・絵による日常で起こった魔法のようなお話。
4歳ぐらいから小学2年生ぐらいまでおすすめです。
おなじマンションに住むみどちゃんとのぶちゃんは仲良し。でも、のぶちゃんはときどきぷりっとすることがあります。
今日も遊んでいるうちにきげんが悪くなったので、のぶちゃんの家を出たみどちゃん。家に帰ってきて手提げを見るとびっくり! なんとのぶちゃんの大事にしているうさぎのピースケのぬいぐるみが入っていたのです。前にもまちがえて持って帰ってきてしまった時、「もうまちがえないでね!」なんて言われたことがあるのに……。なぜみどちゃんの手提げに、ピースケが入っているのでしょう。
みどちゃんが部屋から出ていくと、ぬいぐるみたちがピースケにつぎつぎに質問をします。
<なにがあったの? きかせて>
<それは たいへんだったなあ>
<……ここの なかまに なるのが いいよ>
その時、「ピンポーン!!」とインターホンを3回ならしてのぶちゃんがやってきました。
ハッとしてドキドキするみどちゃんとぬいぐるみたち。いったいどうなるのでしょう。
さっきまで仲良く遊んでいた友達が急にぷりっとしてしまって、どうしたかな? なんて気持ち、大人はもちろん、小さな子どもたちも感じたことがあるのではないでしょうか。みどちゃんの複雑な気持ちに共感する子も多いのでは? けれど、お友達と遊ぶってやっぱり楽しい! たかどのほうこさんの温かなユーモアが読む子どもたちをホッとさせてくれることでしょう。のぶちゃんがやってきてからの展開は、なんだか魔法を見ているかのようです。
個人的には、ぬいぐるみたちがにんげんのある習性について話す場面に、にんげんってそういうところ確かにあるかも……とうんうんうなずいてしまったり、ぬいぐるみたちにみんな名前があって、おしゃべりの内容にそれぞれの性格が垣間見えるところや、協力し合う温かな関係性に嬉しい気持ちになったり。
なんだかふしぎなことが起きた!?と思ったら、それはぬいぐるみたちだけが知っているひみつかも。そばにいるぬいぐるみたちを観察しながら、楽しい想像をどこまでも広げてみてくださいね。
(秋山朋恵 絵本ナビ編集部)
『スクール・フォー・グッド・アンド・イービル 1』
おとぎ話の主人公を養成しているという「善の学校」と「悪の学校」があることを知っていましたか? 四年に一度「人さらい」に子どもがさらわれるというガヴァルドン村で、友だち同士の二人ソフィとアガサが、それぞれ「善の学校」と「悪の学校」に入れられてしまいます。はたしてそれぞれの学校でどんなことが起こるのでしょうか。
ファンタジー物語にどっぷりはまりたい小学生や大人の方に。また何か面白い本はないかと探している小学生に。10歳ぐらいからおすすめの新しいファンタジーシリーズの登場です。こちらはこの後6巻まで刊行されるそうです。
村に嫌気がさしている美少女のソフィと、村で孤立しソフィしか友達がいないアガサが、正体のわからない「校長」にさらわれて、それぞれ「悪の学校(悪者養成所)」と「善の学校(プリンス・プリンセス・ヒーローなどの養成所)」に入れられる。おとぎ話のプリンセスになりたいソフィは、自分が悪の学校に入れられたことに我慢ができない。一方、善の学校に入れられたアガサは、どうにかして村に帰りたいと願うものの、たった一人の友達と離れたくない。お互い環境になじめずトラブルつづきのなか、ソフィが善の学校の男の子(アーサー王の息子)に恋をして、さまざまな事件を巻き起こす。
『博物館の少女 騒がしい幽霊』
博物館の怪異研究所で働くイカルは、仇敵である薩摩と会津の出身である大山巌と山川捨松の結婚に、あらぬうわさが立てられていることに憤慨します。そして、捨松の兄の依頼で、捨松と巌の結婚後に大山邸で続いている怪異現象について調査することに……。
富安陽子さんによる、読み応えたっぷりの、明治時代✕あやかしミステリー第二弾が発売となりました。
明治16年秋、博物館の怪異研究所で働くイカルは、突然の指名で、陸軍卿、大山巌とその婚約者、山川捨松の博物館観覧に同伴することになる。11歳で渡米し、大学卒業後に帰国した捨松の身の上を聞き、その聡明さと温かい人柄にひかれたイカルは、巌と捨松の結婚について、それぞれが仇敵である薩摩と会津の出身であることを根拠に、あらぬうわさが立てられていることに憤慨する。そんなある日、捨松の兄、山川健次郎が怪異研究所にやってくる。捨松と巌の結婚後、大山邸で続いている怪異現象について調査してほしいというのだ。所長のトノサマは、巌と亡くなった先妻との子どもの教育係として、イカルを大山邸に送りこむことを思いつく。
いかがでしたか。
秋は一年の中でも落ち着いて読書に集中できる季節。10/27~11/9は「読書週間」でもあります。何を読もうか迷ったら参考にしてみてくださいね。
秋山朋恵(あきやま ともえ)
絵本ナビ 副編集長・児童書主担当。書店の児童書仕入れ担当、小学校の図書室司書(8年)を経て、2013年より絵本情報サイト「絵本ナビ」に勤務。子どもたちが本に苦手意識を持たずに、本って楽しい!と感じられるように、子どもたち目線で本を選び、さまざまな切り口で紹介している。編著書に「つぎ、なにをよむ?」シリーズ(全3冊)(偕成社)がある。
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