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【展覧会レポート】PLAY! MUSEUM「堀内誠一展 FASHION・FANTASY・FUTURE」(~2025年4月6日まで開催中!)

2025年1月22日から開催されている、PLAY! MUSEUM「堀内誠一展 FASHION・FANTASY・FUTURE」に絵本ナビスタッフが行ってきました! デザイナー、アートディレクター、絵本作家、著述家など多くの顔をもつアーティスト堀内誠一さんは、わくわくする作品をたくさん残してくれました。本記事では、そんな堀内さんの魅力がたっぷり味わえる展覧会のみどころをご紹介します。

展覧会のみどころをご紹介!

展覧会概要

堀内誠一展 FASHION・FANTASY・FUTURE  
2025年1月22日(水)ー 4月6日(日)
休館日: 2025年2月16日(日)
開館時間:10:00ー17:00(土日祝は18:00まで/入場は閉館の30分前まで)

入場料:一般1,800円 / 大学生1,200円 / 高校生1,000円 / 中・小学生600円 /未就学児無料
◯割引制度(併用不可)
①[立川割]一般 1,200円 / 大学生700円 / 高校生600円 / 中・小学生400円 /未就学児無料
*立川市在住・在学を確認できる免許証、学生証等をご提示ください
②[障害者割引]障害者手帳をご提示の方とその介添人1名は半額
③[相互割引]MUSEUMに「一般」で入場の方は、レシート提示で同日PLAY! PARKを200円引きで利用できます

 

特別協力:堀内事務所
協力:福音館書店

キュレーション:林綾野

堀内さんの魅力がたっぷり味わえる、3つのセクションで構成された展覧会

こちらの展覧会は、ひとつの展覧会を「FASHION」「FANTASY」「FUTURE」という「F」を頭文字とした3つのセクション(企画展示)で構成されています。セクションごとに、有山達也さん、設計事務所imaさん、三宅瑠人さん・岡崎由佳さんの各組が展示空間をデザインし、3つの個性的な堀内誠一展を同時に体験する趣向です。堀内誠一さんのデザイナーとして新時代を切り開いた雑誌作りを紐解き、絵本作家として描いた夢いっぱいの絵の世界を楽しみ、そして写真や著述にも広がる膨大な仕事から私たちの未来への指針を見つけ出す内容となっています。
 

「3つの堀内誠一展」を同時開催

1.「FASHION」展  堀内誠一さんが手がけた『anan』49冊を紐解き魅力を味わう

2.「FANTASY」展  大きな絵本の森の中を歩き、原画や映像に出会う

3.「FUTURE」展    100人が選んだ「私の好きな堀内さん」から未来を見出す

まず、絵本ナビのユーザーさんにおすすめの「FANTASY」展からご紹介します。

大きな絵本の森の中を歩き、原画や映像に出会う「FANTASY」展

大人から子どもまで、誰もがわくわくし、心ときめく展覧会が「FANTASY」。『ぐるんぱのようちえん』や『オズの魔法使い』など、堀内さんがファンタジーを描いた9つの絵本作品を大空間で楽しめます。楕円の展示室は高さ3メートルの大きな絵本や壁で仕切られ、来場者は迫力ある大きな絵を見たり、美しい原画を鑑賞したり、時には幻想的な映像を味わいながら進んでいきます。「FANTASY」セクションは、展示デザインを担当するima小林恭+マナさんが、「大きな絵本に囲まれ、ミニチュアの世界に迷い込み、堀内さんのファンタジーを体験してもらいたい」と想いを込めてデザインした特別な空間です。

『オズの魔法使い』(1969年) 世界文化社 、2022年偕成社で復刊

絵本『オズの魔法使い』はこちら

オズの魔法使い

たつまきにあったドロシーは、子犬のトトといっしょに、家ごと、空にまきあげられてしまいました。
家がおちたのは、魔法使いや魔女たちのいるオズの国。わらでできたかかしに、ブリキのきこり、それに弱虫なライオンと友だちになったドロシーは、オズ大王に会って、カンザスに帰してもらうため、みんなで、エメラルドの都をめざします。
岸田衿子のはずむような文章と堀内誠一のカラフルなイラストで、ファンタジーの古典をあざやかに絵本化した愛蔵版。

『くるみわりにんぎょう』( 1968年)偕成社

絵本『くるみわりにんぎょう」はこちら

くるみわりにんぎょう

マリーは、ねずみたちとたたかっているくるみわり人形を助けます。バレエ組曲としても親しまれているファンタジーを絵本化。

『 雪わたり』(1969 年) 福音館書店

絵本『雪わたり』はこちら

雪わたり

雪の日の美しい情景が広がる幻想的な絵本。
雪が凍って大理石よりも堅くなった日、四郎とかん子は野原できつねの子に出会い、幻燈会の切符をもらいます。約束の夜、チカチカ青く光る雪の中を出かけていくと、林の空き地にたくさんの子ぎつねが集まっていました。2人が、きつねの作ったきびだんごを食べると、子ぎつねたちはおどりあがって喜びます。宮沢賢治による幻想的なことばと、堀内誠一の描く美しい雪国の情景がこだまする、空想物語の傑作。

3m以上の大きなぐるんぱに会える!

一周して会場中央に広がるのは、夢いっぱいの『ぐるんぱのようちえん』ゾーン。3m以上の大きなぐるんぱの像が待ち受ける大広場でゆったりと絵本の原画を味わうことができます。さらに堀内さんが愛した国内外の名作絵本の数々や堀内さん自身の絵本など約100冊が揃えられ、自由に読めるコーナーが設置されています。

頭の上にクッキーやお皿を載せた大きなぐるんぱ像!
『ぐるんぱのようちえん』(1965年) 福音館書店

絵本『ぐるんぱのようちえん』はこちら

ぐるんぱのようちえん

ぐるんぱは、ひとりぼっちの大きなぞうです。ビスケットやさん、靴屋さん、ピアノ工場、自動車工場……。ぐるんぱは、色々な仕事場で一生懸命に働きますが、つくるものが大きすぎて失敗ばかり。そんなときぐるんぱは、子どもがたくさんいるお母さんに出会います。子どもたちの世話をたのまれたぐるんぱは、とても素敵なものを作ります。それはぐるんぱが作った大きなものでたくさんの子どもたちが遊べる、すてきな幼稚園でした。

次は、脱ぐのも、踊るのも、食べるのも、旅するのもファッション! 革命的な『anan』を全身に浴びる「FASHION」展をご紹介します。

堀内誠一さんが手がけた『anan』49冊を紐解き、魅力を味わう「FASHION」展

堀内さんが1970年の創刊から49号までアートディレクションを手がけた『anan』。ファッションを装いや流行だけに留めず、音楽や食、旅行やライフスタイルなど、さまざまなカルチャーをビビッドな誌面で伝えた雑誌作りは「革命的」なものでした。展覧会では、創刊1周記念号(26号)の全ページを20メートルの⻑さにわたって展示するほか、堀内さんが手がけた49冊を「身にまとう」「脱ぐ」「リズムをとる」などの8つのキーワードに解体して壁面に再構成します。展示デザインを担当する有山達也さんは「堀内さんが作った、いまの時代では作れない”自由”を感じてもらえたら」と語られています。

次に「パリの絵地図から挿絵まで100人が薦める「私の好きな堀内さん」を感じる「FUTURE」展をご紹介します。

100人が選んだ「私の好きな堀内さん」から未来を見出す「FUTURE」展

四谷シモンさん(人形作家)、junaidaさん(画家)、松浦弥太郎さん(エッセイスト)ら、生前の堀内さんと交流があった方、刺激や影響を強く受けた方100人が推薦する堀内作品とコメントがずらりと並ぶ空間です。未来にむけた創造へのインスピレーションあふれる場をデザインする三宅瑠人さんと岡崎由佳さんは、「堀内さんへの言葉、作品を通じて、視点の広がる感覚を楽しんでもらいたい」と言われています。

3つの展覧会を楽しんだ後は、ショップとカフェへ!

ブックカフェで楽しいオリジナルメニューを!

展覧会のお楽しみといえば、展覧会限定のオリジナルグッズや、オリジナルメニューが味わえるカフェ。PLAY! のカフェでは、展覧会にあわせて、堀内さんが手がけた70冊以上の絵本や挿絵本、アートディレクションを担当した雑誌、世界を巡った旅行記やガイド本をカフェメニューと共にお楽しみいただけます。オリジナルメニューは堀内さんの絵本とコラボレーションした『ぐるんぱのようちえん』の祝祭プレートやビスケットが載ったパフェ、『たろうのおでかけ』のアイスクリーム、『ふらいぱんじいさん』のたまごたっぷりオムライスなど。そのほか堀内さんが旅して暮らしたパリのカフェ気分が楽しめるフードを味わうことができます。

今回、絵本ナビスタッフが注文したのはこちら♪
カフェ内に併設された、堀内さんの作品が読めるブックコーナー

PLAY! ならではの オリジナルグッズ

展覧会の最後は、堀内誠一さんを感じられるショップ「FEEL」で締めくくり♪ 絵本をモチーフにしたビスケットポーチ、Tシャツ、エコバッグ、ブランケットなどのアパレルアイテムや、堀内が描いたパリの地図をあしらったハンカチ、ステーショナリーやお菓子など、PLAY! ならではのグッズを買うことができます。ご家族やご友人へのお土産にもおすすめです。

公式アートブック『世界はこんなに 堀内誠一』(※絵本ナビでもご予約受付中)

世界はこんなに 堀内誠一

うつくしい、おもしろい、ゆめいっぱい、はてしない。

堀内誠一は、目の前に広がる景色を写し、空想世界の夢を描いた。
古き良きものの面影を讃え、新しい時代の息吹を捉えた。世界はこんなに、と伝えるために。

PLAY! MUSEUMで開催の「堀内誠一展 FASHION・FANTASY・FUTURE」公式アートブックを刊行します。
あなたもきっと見たことがある、絵本『ぐるんぱのようちえん』の大きなぞうの絵、雑誌『anan』『BRUTUS』『POPEYE』のロゴマーク。それぞれを知っていても、同じ人が手がけたことは意外と知られていません。なぜか? それは堀内誠一が自由な発想で、幅広い仕事に取り組んだアーティストだったからかもしれません。
絵本作家、イラストレーター、アートディレクター、デザイナー、時には写真家として、多くの仕事に携わりました。さまざまな画風で描いた絵本、新しい表現で作りあげた雑誌、絵画やリトグラフ、地図、ポスター、旅行記にエッセイ、絵手紙と、一人の仕事とは思えないほどです。
1987年、54歳で生涯を終えるまで多彩な作品を生み出しつづけた堀内は、どのように世界を見つめていたのか??「世界はこんなにうつくしい」「世界はこんなにはてしない」など4つのテーマから、約100点の絵や写真と言葉を贅沢に散りばめ、その知性と好奇心、関わる人を惹きつける思いやりに満ちた視点を探ります。

「世界はこんなに」のその先に思いを馳せ、宝物をふと手に取るように、何度も楽しんでもらいたい一冊です

堀内誠一さんプロフィール

1932年東京に生まれる。デザイナー、アートディレクター、絵本作家。『anan』や『BRUTUS』、『POPEYE』など雑誌のロゴマーク、『anan』においては創刊時のコンセプト作りやアートディレクションを手がけ、ヴィジュアル雑誌の⻩金時代を築いた。1958年に初の絵本『くろうまブランキー』の刊行を皮切りに『たろうのおでかけ』『ぐるんぱのようちえん』『こすずめのぼうけん』など70冊を超える絵本を世に送り出し、挿絵も数多く描いた。1973年から81年にかけて家族と共にパリ近郊に移住。ヨーロッパを中心に世界を巡り、旅行記やガイド本を出版。また著書に『父の時代私の時代』(マガジンハウス)、編著書に『絵本の世界・110人のイラストレーター』(福音館書店)など著述家、絵本批評家としても活動、多彩な表現に意欲的に取り組んだ。1987年、54歳で亡くなるまで絵本やデザインの仕事に従事した。

 

堀内誠一©Seiichi Horiuch

※「FANTASY」展の一番はじめに展示されている「おおおとこのおくりもの」は1977年、学研の月刊誌「よいこのくに」の作品で、単行本になっておりません。

いかがでしたか。「FASHION」「FANTASY」「FUTURE」の3つの個性的な堀内誠一展を同時に体験できる貴重な展覧会。子どもにも大人にも楽しみや発見がいっぱいです。会期は4月6日まで。ぜひお出かけしてみてくださいね。

取材・写真:所 靖子

文・編集:秋山 朋恵

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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