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安心でおいしいお取り寄せ「セコムの食」 生産地に足を運んで取材した著書「おいしい理由」をちょこっとご紹介

私は、応援団。レストラン山﨑のおいしいもの

たべる 2015-01-28 連載
[PR]セコムの食×絵本ナビ

安心安全にこだわり、日本各地の選りすぐりの逸品を届けているお取り寄せ通販サイト「セコムの食」。スタッフが全国の産地を徹底的に取材する中で出会った1,500人の中から12名の生産者をクローズアップして紹介しているのが単行本「おいしい理由」です。商品を購入するだけでは知ることのできない丁寧で丹精込めた商品づくりの様子や生の声がつづられ、消費者と生産者をつなぐ一冊となっています。
第2回はこの「おいしい理由」の中から、青森県弘前市・レストラン山﨑の商品をご紹介します。地元の食材を愛するシェフの山﨑隆さんは、畑や牧場に赴いて生産者の話に耳を傾け、自分の目でじっくりと食材を厳選されているそう。レストラン山﨑の商品が多くの人々に愛される一品になるまでのストーリーをお楽しみください。

 

「私の角煮」に出会うまで

 

じっくり煮込んだ豚肉のとろとろの柔らかさ、染み込んだ甘から味。ごはんならばお茶碗何杯でもいけちゃうし、晩酌に登場すればお酒がとまらない。豚の角煮は老若男女みんなが愛する和食の代表格ですが、お店によって、また家庭によって実に様々なレシピや味が楽しめる料理でもあります。もとは九州地方の郷土料理である角煮、甘みを付ける砂糖は黒糖や三温糖を使うとコクが増したり、日本酒の代わりに焼酎や泡盛を入れると風味が変わったり。豚肉の部位や調理法、加える香辛料など、地域や作る人によって初めての味に出会えるのも角煮を味わう楽しみ。「これが私の角煮!」いつかそんな味に行き着く日まで、いろいろな角煮に挑戦したいなと思うのです。

 

word by 絵本ナビ編集部

私は、応援団。
レストラン山﨑の逸品の角煮

DATA

シェフ:山﨑 隆さん
生産地:青森県弘前市
「レストラン山﨑」のメニューには、生産者の名前や産地が明記されている。その多くの生産者と、山﨑さんは実際に会い、畑に立ち、彼らの苦労や努力を目にしてきた。最近では、産地を明記するレストランが増えてはいるが、料理人が実際に生産地にまで足を運ぶケースは、そう多くない。

「たどえばな、山に山菜狩りに行く人らがいるけどな、彼らが山に入っだら、根こそぎ山菜を取って行ぐんだな。けどな、そんときにほんの少しだけでも山に棲む動物や来年の山に対しでの優しさをもって、二、三本でも残してやろうって思ってほしいのな」
「んだんだ。一点だげでなく、生態系全体を見ねばまいね」
久々の再会だという二人の会話は途切れることなく、運ばれてくる料理に舌鼓をうちながら、ときには真剣に、ときには大笑いをしながら、地元の人にしか聞き取れないような、こてこての津軽弁が飛び交う。二人のかたわらには苦労を共にしてきた奥さんたちが、こちらも尽きない話に、身振りを交えながら笑顔の食事会。
そしてその場に運ばれてくる料理を手がけるシェフが、席に座って彼らの会話に加わると、さらに賑やかに会話の華が咲いていく。彼らはそれぞれ違った道を進んでいるものの、志を同じくする長年の盟友。一人はリンゴ農家の木村秋則さん、一人は養豚家の長谷川光司さん。そして真っ白なコック服に身を包んで話に加わるのが、山﨑隆さんです。

山﨑さんは、青森県弘前市でフランス料理のレストランを営むシェフ。山﨑さんのレストランのメニューには、木村さんのリンゴの冷製スープや長谷川さんが育てた豚肉を使った料理のほか、良いものを育てようと頑張っている生産者の名前がついたものが並びます。
「私の腕なんて大したことはない。すごいのは彼らが手がけている食材です。私は彼らの応援団なんです」。その言葉は、長く辛酸をなめてきた朋友たちの苦労に対する敬意と、彼らと思いをひとつにして頑張ってきた山﨑さん自身の人生へのエールのようにも聞こえます。
山﨑さんが料理人を志したのは、ごく自然なことでした。食べることが大好きで、野山で遊ぶときには必ず自宅の台所から塩や砂糖を拝借し、川で釣った魚を焼いて食べたり、秋には自生する果物をかじる少年時代。今思えば、そんな毎日のなかで口の周りを果汁で甘く汚しながら、自然のおいしさこそ本物であることを、知らずと学んでいたのでしょう。
料理人として地元で少し経験を積んだ山﨑さんは、さらなる高みを目指そうと上京し、いくつかのレストランで修業を重ねます。尊敬できる師匠のもとで多くのことを経験したのち、請われてホテルのレストランの料理長となりました。
一見、順調そうに見える人生ですが、生来、一本気な山﨑さんは、周囲とぶつかることもしばしばでした。職人気質の人が多い職業だけに、なおさらだったのかもしれません。お父さんの看病のため、長く仕事を離れなければならない時期もありましたが、料理人としての高い技術を認められての、料理長就任でした。
料理を作ること、それを食べてもらって喜んでもらうことが無上の喜びである山﨑さんは、それまで以上に料理に没頭します。自ら市場に出向き、食材を吟味し、良い調味料を選んで試行錯誤しながら、おいしいものを作ろうと努力しました。
ところが、山﨑さんの思いとは裏腹に、ホテル側が山﨑さんに期待したのは管理者としての仕事でした。人のやりくり、いかに効率よく安く料理を作るかなどを強く求められ、本来のシェフとしての仕事をしようと厨房に立つと、下のスタッフから迷惑そうな目を向けられる。自身の思い描く料理人とは違う現実を前に、妥協をすることができなかった山﨑さんは、料理長という安定した職を辞し、自らオーナーとして思い描く料理を提供することを選んだのです。

その料理長時代に、良い食材はないかと探して歩き、知り合ったのが木村さんと長谷川さんでした。 木村秋則さんは、それまで「絶対に不可能」だといわれていたリンゴの無施肥無農薬栽培を成功させた農家です。 2006年にNHKのドキュメント番組で取り上げられて以来、木村さんのリンゴ農家としての半生を描いた本が競って出版されたり、日本のみならず海外からも講演依頼が相次ぎ、今や世界一有名なリンゴ農家と呼ばれるほどになりました。

岩木山をバックに山﨑隆シェフ(右)と木村秋則さん(左)

木村さんが無農薬栽培を始めたのは、農薬を噴霧するたびに奥さんが体調を崩し、寝込んでしまうことがきっかけでした。
ところが、品種改良がすすみ、農薬を使用せずにリンゴを育てるのは不可能だといわれていたなかで無農薬栽培に取り組んだ木村さんを待っていたのは、想像を絶するほどの苦労でした。何年もリンゴ畑からの収入が途絶え、周囲からは“カマド消し”と呼ばれ蔑まれる日々。草を食べて生活をしのがなければならないほど貧困を極めた木村さんは、自身の死をもって無農薬栽培に対する思いと家族に負わせている過大な苦労に終止符を打とうとしたのです。そして弘前を見下ろす岩木山の奥深くに入り、自分で編んだ縄を木にかけようとした瞬間、縄が手から離れ、草の中で縄を探しているときに一本の木が目に入ったのです。
最初、リンゴの木だと思ったそれは、あとから見るとどんぐりの木だったのですが、木村さんはそこで転機となるあることに気づくのです。「どうして農薬を一切受けてないのに、この木は病害虫の被害が少なく元気なのだろう」。「この自然と同じ環境をリンゴ畑に作ってやればいいのではないか」。

それからの木村さんは、農薬どころか肥料さえ与えない農法に挑み、さらなる苦労を重ねるのですが、その真っ只中で出会ったのが山﨑さんでした。木村さんの試みに強い信念を感じた山﨑さんは、時折会っては励ましながら、自身の料理に木村さんのリンゴを使い続けたのです。「リンゴを主役にするには、どんな料理があるんだべが」。木村さんのリンゴに対する思いを受けつつ散々いろんな料理を試したなかで生まれたのが、冷製のスープだったのです。

「当時はちょっと甘みが強くてな。あっあっあ」と、歯のない木村さんがその頃のリンゴのスープを振り返り懐かしそうに笑いましたが、山﨑さんの思いは、なによりもありがたく心に沁みるものでした。その絆があるからこそ、今では一つ手に入れるのも困難といわれている木村さんのリンゴが、山﨑さんのレストランには、最優先でたっぷりと届けられているのです。いたずら半分に「ちなみに、今のスープの味はどうですか?」と木村さんに聞くと、「いやぁ、おいしいなぁ。あっあっあ」と、満面の笑みが戻ってきました。

 

もう一人の盟友、長谷川自然牧場の長谷川光司さんと山﨑さんとの出会いもまた、山﨑さんが地元の良い食材を探していたときでした。

当時、長谷川さんが育てる豚は同業者から「ざんぱん豚」と呼ばれていました。その理由は、長谷川さんが豚に与えている餌にありました。長谷川さんには、豚に与える餌が上質の肉を作るためにもっとも欠かせないものだという強い思いがありました。既製の餌ではなく、人が食べるものと同じものを豚にも与えたい。そう考えた長谷川さんは、地元の大手パン工場から賞味期限が切れたパンを引き取りました。賞味期限が一日二日切れようと、まだ立派に食べられるものばかりです。また、ポテトスナックにするジャガイモを育てる農家からは、菓子にするには小さすぎるジャガイモを譲り受けました。長谷川さんが引き取らなければ、これらはすべて産業廃棄物として処理されてしまうのだそうです。

ポテトスナックになり損ねたジャガイモ。食べるとホクホクしてとってもおいしかったです。

確かに残った食品ではあるものの、そこにはまだ小麦やジャガイモの命が宿っている。長谷川さんはそれを無駄なく生かすことで、豚にとっても自然にとっても優しい牧場を作ってきたのです。長谷川さんの牧場を訪れると、放し飼いになっている鶏や、ときにはヤギや、ダチョウに似たエミューも出迎えてくれます。さすがに豚は豚舎に入っていますが、中はとても開放的で、豚たちは長谷川さんが豚舎に入ってくると、競うように近寄ってきます。
長谷川さんの牧場では、通常行われている肥育日数より二カ月ほど長く育てます。100kg近い巨大な豚が突進してくると思わず逃げてしまうほどの迫力ですが、長く育てることで旨みもまた増すのだと長谷川さんは言います。長谷川自然牧場の豚肉は、木村さんのリンゴに先んじて高い評価を受けるようになり、豚肉のなかでもトップクラスの価格がつけられるようになりました。

「人であっても豚であっても、口にする食べ物がその命と性格を育むんだ。だがら、手を抜げねぇんだ。明日は三時起ぎで、豚たちの食事を取りに行かねばまいね」
人が食べるものは、動物であれ植物であれ、それには必ず命が宿っています。それを殺生せずに私たちが生きていくことはできないのです。であれば、その命を大切に、感謝の気持ちを持っていただくことが、なによりも大切だということを、長谷川さんは食べる人たちに伝えたいのだと思います。

 

彼らの思いを知る山﨑さんは、長年彼らを支え続けました。しかしそれは、簡単なようで実は大きな努力が必要なことでした。一度や二度のイベントで彼らの手がけた食材を使うのは簡単なこと。ただ、本気で支えるにはそれらを使い続けることこそが大切なのです。ときには山﨑さんと一緒に地元の食材を盛り上げたり応援したりするシェフもいたけれど、ずっと絶え間なく使い続けてきたのは山﨑さんだけでした。
素材の持つ力をよく知る山﨑さんは、木村さんのリンゴのスープにしても長谷川さんの豚肉を使った料理にしても、過剰に手を加えることはしません。ハンバーグもカレーも、素朴でどこか懐かしい味わいに満ちています。とりわけ人気の高い角煮については、山﨑さんがホテルのシェフ時代に考えていたレシピをさらにブラッシュアップしたもの。豚肉そのものはもちろんのこと、煮汁で葉野菜を煮込むと抜群の中華惣菜となるし、自宅にある食材を入れて白ご飯にかけたら、おいしいオリジナル丼が完成します。
食事会の最中に、木村さんはこう言いました。

洋食屋さんの味を思い浮かべるハンバーグ。(左) 手作りならではの深みのあるカレー。お肉はもちろん長谷川さんが育てたもの。(右)

「自然で安全でおいしいのに安いものなんてのは、ね(ない)。そんなごとばっか求めてたら、ウソや騙しが生まれる。これからは、真面目にいいものを作っている生産者を、消費者が応援しなければまいねのさ」
きれいごとではなく、自身の人生を賭けてリンゴ作りにすべてをかけた木村さんと、どんなに非難されようと信念を曲げなかった長谷川さん。そして、それを応援する山﨑さん。彼らの食べ物や生き物に対する思いが、そのまま大きなおいしさになっているのです。

角煮ができるまで

取材後記
山﨑さんは、真っすぐ過ぎるほど真っすぐな性格のシェフです。そして、長谷川さんや木村さんもまた、どんなに大きな風が吹こうと自身の信念を揺るがせない胆力の持ち主です。彼らを何度も取材するなかで、自分を信じることがいかに大切なことなのかを強く実感しました。

レストラン山﨑の逸品の角煮

税込4,968円 (税別4,600円) /送料込

 

(セコムの食)

レストラン山﨑のハンバーグ

税込4,968円 (税別4,600円) /送料込

 

(セコムの食)

木村秋則さんのりんごのスープ

税込6,048円 (税別5,600円) /送料込

 

(セコムの食)
                                        

レストラン山﨑のカレー

税込4,968円 (税別4,600円) /送料込

 

(セコムの食)

「セコムの食」

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絵本ナビ編集部
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