【編集長の気になる1冊】旅立つには手順がひつよう。『ねむりどり』
「どこか知らない新しい世界を見てみたい」
「あの壁の向こうには何があるんだろう」
「いつかあんな風になりたい」
夢を見るのは好き。
すぐそばにある夢も、はるか遠くにある夢も。
誰かの夢を一緒に見るのも、背中をおすことだって。
だけど次の瞬間には、もうどうしたらいいかわからなくなる。
すぐに緊張と不安がおそってくる。
手に入らないかもしれない…という心配で目をそむけてしまう。
そういう時はどうすればいいのだろう。
まずは、ゆっくり静かに立ちどまること。
道すじは? 持ち物は? 心持ちは?
してはいけないことって何?
要するに。
旅立つことを夢見るには、手順が必要なのです。
例えば、こんな風に…
ねむりどり
目指しているのは…
やわらかくて、あたたかくて、ここちよい夢の世界。
ねむりどりが連れていってくれると言うけれど。
どうしたらそこへ行けるのでしょう。
この絵本は、その方法を教えてくれるのです。
そこにはね、いくつかの決まりごとがあるみたいですよ。
「そこ」に向かうまでは、静かに進むこと。
守らないと、驚いて逃げてしまうかもしれません。
できればパジャマで。
余計なものを取って、とにかく楽な格好で。
持って行くものは…
どうしても必要なもの!
そして、音を立てずに出発です。
ゆっくり、注意深く、小さな手がかりを頼りに。
すると、ほら…!!
ああ、なんて気持ちよさそうなのでしょう。
なんて素敵な旅立ちなのでしょう。
この後、きっとすばらしい夢の時間を過ごせるに違いありません。
作者は『あおのじかん』『はくつぶかんのよる』など、一度見たら忘れられない美しく不思議な線画と独特な色彩が特徴的なフランスの絵本作家イザベル・シムレール。「おやすみ前」のほんの短い、でもとても特別な時間の過ごし方を、ユニークにわかりやすく提案してくれます。子どもたちだけでなく、大人も巻き込みながら…。きっとこの絵本を読んだ誰もが、夜が来るのが楽しみになってしまうはずです。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
やっとつかんだ飛び立つための切符。
その先にはどんな世界が待っているんだろう…。
例えワクワクしてても。緊張していても。心配しかなかったとしても。
ちょっと一呼吸して、静かに耳をそばだてる。
「ねむりどり」との冒険の経験は、今の私におおいに役に立つのかもしれない。
イザベル・シムレール絵本作品
磯崎 園子(絵本ナビ編集長)
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