【ふわはね絵本のある時間】2021年5月におすすめの本
絵本講師として10年以上ご活躍中のふわはねさん。絵本講座や絵本コンサル、絵本の読み聞かせ会などを年に200回以上こなしています。そんなふわはねさんに季節にあった絵本と読み聞かせ会の流れについて語ってもらいました。
二十四節気(にじゅうしせっき)を感じる
二十四節気とは…一年を12か月さらにその半分、24個に分けた季節を表す名称です。
5月では…
立夏りっか(5月5日)立つ夏と書いて立夏。暦の上ではこの日より夏となる。優しかった日差しが日に日に力を増す頃。
端午の節句…五節句のひとつ。男の子の健やかな成長と健康を願いお祝いをする日
小満しょうまん(5月21日)太陽の力を受け、あらゆる命がすくすく育つ頃。麦の収穫時期でこれで米の収穫まで食いつなげると少し満足したところから小満という。
5月に入り急に太陽の力が増し、日差しがきつくなったと思い暦を見るといつも立夏の頃で。
あっ夏になったんだなと暦と気温、体感の感覚の重なりいつも驚き感動すら覚える。
薄緑で柔らかかった新芽も次第に色濃く強くなると同じく、少しずつ新しい生活に慣れていく子どもたち。
そうしてまた不安や心配をひとつづつ乗り越えて強くなる。大人も子どももほんの少し強く逞しくなる5月です。
【季節の絵本】
刺繍で描かれる草花絵本『ぼくの草のなまえ』
木や野に咲く花の名前をさらっといえるお母さんになりたいと思っていました。
当たり前に春が来て夏が来て、野には花が咲くけれど、名も知らぬ花には足も止めず目もくれず。
足早に通り過ぎるなんてもったいない。絵本と一緒に少しずつお花と友達になりませんか。
この絵本はなんと全部刺繍で描かれています。
太郎くんがおじいちゃんに電話します。プランターに植えた覚えのない草。この名前を知りたいと。
春の雑草タンポポ、ナズナ、スミレ、ハハコグサ、ヒメオドリコソウ…おじいちゃんはお花の色や葉っぱの形、茎の伸び方、ひとつずつ太郎くんに聞いていきます。さぁ、太郎くんの草の名前はわかるのでしょうか。
刺繍でこんなにも花をしかも雑草と呼ばれるような花を表現できる長尾玲子さんを尊敬します。
写真でも絵でもない刺繍だからこそのこの立体感、温かみ。おじいちゃんと孫の電話を通した掛け合いがまたとてもよくて。
姉妹編は『ざっそうの名前』。ここではおじいちゃんのおうちに遊びに行く太郎くん。夏にはこんなふうに自由に気兼ねなくおじいちゃんのお家に遊びに行けるようになっているといいなぁ。
姉妹編
子どもたちと一緒に作りたいレシピ絵本『こいのぼりパーティぐんぐんすくすく』
本屋のままこさんはお料理が大好き。きょうはこどもの日なので、「かしわもち」「こいのぼりパイ」「こいのぼりちまき」など、元気になれるごちそうを、子どもたちと一緒につくります。
親子で簡単に作れるハレのお料理の絵本です。
おいしい行事のえほんから『こいのぼりパーティーぐんぐんすくすく』
お料理が大好きな本屋さんのままこさん。お昼過ぎに張り紙をぺたっとな。
「きょうは こどものひなので、おやすみにします。ままこのほんや」
さあ、まずはかしわのはっぱを探しに・・・。
親子でかんたんに作れる、とありますがいやいやなかなかですよこれは。
ハレの日のお料理です。だからこそ出来上がったときの満足感、子ども達の喜びは計り知れません。
かしわもちはもちろん、こいのぼりフルーツパイにこいのぼりちまきにかぶとはるまきなどなど!
子どもたちと一緒に作りたいレシピ絵本。
今年の子どもの日の食卓に。子どもたちとはりきってみませんか?
昔話
こんな昔話との出会いも『うたう!ももたろう』
うたう! ももたろう
よんで楽しい! うたって楽しい!
ぜーんぶうたえる「ももたろう」!
ご存知、あの「ももたろう」のお話が、全部歌える楽しい絵本になっちゃった!
読みきかせても歌いきかせても、いっしょに歌っても盛り上がります。
赤ちゃんからパパ・ママ、おじいちゃんおばあちゃんなどなど、みんなで歌って遊んでね!
お話は覚えていなくても、歌える昔話の歌ってありませんか?
♪むかしむかしうらしまは助けたカメにつれられて〜
♪まさかりかついで金太郎〜。くまにまたがり おうまのけいこ…
♪うらのはたけでぽちがなく しょうじきじいさんほったなら〜
などなど…。
その中でも一番有名なのはやはり桃太郎かも知れません。
♪ももたろさんももたろさん おこしにつけたきびだんご ひとつわたしにくださいな
その桃太郎の歌が丸ごと一冊の絵本になりました。
桃太郎のお話がこの歌のメロディを通して、最初から最後まで歌い読みできるという!なんと画期的な!!スペシャル絵本なのです。
『♪おおむかし そのむかし
ばさまが かわで せんたくを
してたら ももが どんぶらこ(p1)』
そう。桃太郎のお話が♪ももたろうさんももたろうさん♪のメロディで進むのです。
言葉もとても良くて。
途中♪おこしにつけたきびだんご が出てきた時にはなんだか、きたきたきたー!!とテンションあがりながら…(笑)
昔話については出会うタイミングやどうやって?どの形で?と悩むところ。
講座もさせていただいていますが、こんな出会いもいいなぁ。と思える楽しい昔話歌絵本でした。
わらべうた
幼な子との暮らしにわらべうたを『おはようからおやすにまで12のわらべうたえほん』
小さい子の生活リズムを作るのにピッタリのわらべうた。日常すぐに使える、小さな子の1日のリズムを作るのにピッタリ。朝起きてから夜眠るまで、毎日の生活の中ですぐに使える歌12曲を収録。
保育に絵本の読み聞かせとわらべうたあそびを取り入れて30年以上実践してきた小林衛己子さんの、わらべうたあそびの絵本です。
幼い子との暮らしにわらべうたを。と思っています。
わらべうたがあることで、様々な生活シーンの中で育児の助け手となるでしょう。
この絵本はおはようからおやすみまでの1日を通して、各シーンにぴったりのわらべうたとその解説が丁寧に描かれています。
朝起こす歌、顔をふく歌、おさんぽの歌、お風呂の歌におやすみの歌…。
わらべうたを通して触れ合いながら生きた声を子どもたちに届ける。
それは暖かな温もりの中、大好きな人の声を通した最上のスキンシップだと思っています。
ぜひ絵本と一緒にわらべうたのある生活を。それはきっと幼な子との生活を豊かに優しくしてくれることでしょう。
児童文学を読む
改めて読む『オリジナル版星の王子さま』
世界中で100以上の言語に訳されている名作『星の王子さま』.英語の初版本と,版権を所有するフランス・ガリマール社版を比べると,さし絵の色調やタッチが微妙に異なっていました.このたびサン=テグジュペリの生誕100年を記念して,作者が生前目にした唯一の版といわれる英語版に基づいて,オリジナル版『星の王子さま』をお届けします.
この春からは改めて児童文学をしっかりと読んでいきたいと思っています。
できれば長く愛されてきた名作と呼ばれるものをひとつづつ。
子どもの頃に読み。そして児童文学を学んでいた学生時代に読み、そして子どもたちに手渡してきた本を改めて今読む。
読むたびに知識や経験を積んだからこそ見えてくる景色が違います。
改めて読んだ星の王子様は、これは児童文学なのか?子どもたちが読むものなのか?というほど深く、難解さと確信をついた真実が共存し、大きなため息と共に読了しました。
「肝心なことは目には見えない。」
「仲良しになるってどういう意味?」
改めて読んだ星の王子さまは思っていたよりも薄く、そして重い本でした。
皆さんはどう感じられますか。是非教えてください。
またこちらでも児童文学ご紹介していきたいと思います。
その他 5月の読み聞かせにおすすめの絵本
絵本の読み聞かせについて思っていること
絵本はコミュニケーションツールです。 絵本は子ども達の歩みを助け、その成長を促してくれるかもしれません。 しかしそこには読んでくれる人の温もりを通した生きた声が不可欠です。 人と人とが向かい合い、片手間にはできない読み聞かせだからこそ愛情が注がれるのです。 子どもの持つその心のコップを絵本を使って愛情で満たしてあげてください。大好きな人の声で温もりの中聞く美しく豊かなお話。それはあっという間の子育ての濃密な時間を助け、後にその子どもたちの長い人生の心の支えとなるでしょう。
ふわはねプロフィール
ふわはね(内田 祐子)
大学で児童文学を学ぶ。2005年絵本講師1期生として絵本講師資格取得。関西を中心に企業での定期教室をはじめ、
【ふわはね絵本のある時間】では、読者のみなさんからの感想や質問を募集しております。アンケートよりご意見をお寄せください。
この記事が気に入ったらいいね!しよう ※最近の情報をお届けします |