【子どもと絵本のエピソード】保育士がっちょに聞く!保育園・幼稚園に行きたくない子に読んであげたい絵本
現役保育士で絵本専門士の大河原悠哉(がっちょ)です。私は公立保育士・幼稚園教諭を計10年経験したのち、現在は株式会社SHUHARIが運営する認可保育園元気キッズにて勤務しています。また、子育て支援のイベントを主催・運営したり、保護者向け・保育士向けの絵本講座をしています。子どもとの絵本エピソードや活用方法についてお話しします。
保育園・幼稚園に行きたくない子に読んであげたい絵本
新年度のクラス運営はいかがでしょうか?
子どもたちも周りの様子が見えてきて、保育園や幼稚園を嫌がったり、泣いて登園したりといったことも見られるのではないでしょうか?嫌がったり、泣いたりして自己表現をできることは決して悪いことではありません。きっとその子なりに理由があるのです。いかにその気持ちに寄り添えるかで、今後の関係性も決まってくるのではないかと思います。私自身、保育園・幼稚園に行きたくない子に対して絵本をきっかけに信頼関係を築き、元気に登園できるようになったといったことが何度もあります。そんな経験なども含め、オススメの絵本をご紹介していきたいと思います。
【1】気持ちが安定!ふれあい絵本
乳幼児の子が保護者と離れ、保育園や幼稚園に行くことは、大人でいう一人旅をするようなものだと思っています。一人旅が得意な人もいれば、そうでない人もいますよね。それだけ子どもにとってハードルの高いことなのだと思います。年齢が低くなればなるほど、そのハードルも高くなっていきます。不安で仕方ないんですよね。その不安な気持ちを保育者がしっかりと汲み取り、関わっていくことが大切だと思います。
みなさんは「オキシトシン」という言葉をご存じですか?「愛情ホルモン」と言われたりもしますが、人との親密な関わりや肌と肌が触れ合うスキンシップなどで分泌される脳内物質です。このオキシトシンがたくさん分泌されることで、子どもたちの安定や安心感に繋がってくるそうです。簡単にお伝えをするのであれば、スキンシップをとることで子どもの不安を軽減し、安心感に繋がるということです。
保育園や幼稚園を嫌がる子どもは、膝の上で読んであげることで、気持ちが落ち着き、先生との信頼関係もできていきます。「この先生は信用して良いんだ」「この先生と一緒だったら安心する」そんなことを思ってもらえたら、保育園に行きたい!になってくるのではないでしょうか?スキンシップを図れる絵本を使って子どもたちの脳内をオキシトシンでいっぱいにしてみましょう!
スキンシップを図れる絵本3冊
にゃあにゃあ、ねこが2匹やってきて…ぎゅぎゅぎゅの ぎゅー。金魚がたくさんやってきて…ぎゅぎゅぎゅの ぎゅー。あれあれ、どこからともなく色んな子たちがやってきて…最後はどうなる!? 読んだ後は、みんなで思わずぎゅーっとしたくなる! 0.1.2歳向け絵本。
「めとめが あったら」「にこっ」 「めとめが あったら」「と と と と」
動物の親子の、めとめがあう瞬間から、つられて同じ動作をするなんともかわいらしい姿がユーモアたっぷりに描かれています。スキンシップやコミュニケーションをたのしめるファーストブック。
【2】なんだか笑っちゃう!オノマトペ絵本
行きたがらない子どもや嫌がる子に対しては、ガラッと気持ちを変えてあげることも必要です。子どもたちは素直なので、嫌だと思えば嫌だし、やりたいと思えばやりたいのです。嫌な気持ちを楽しいに変えてしまえば、子どもたちは楽しく園生活を送ることができます。そんな時にオススメなのが、オノマトペ絵本です。
オノマトペ絵本は大人からすると「何を言っているの?」「何が楽しいの?」と思われることも多いようですが、意味が分からないから面白いのです。子どもたちにとっては『ごぶごぶ ごぼごぼ』の濁点のある言葉や、『ぴぽん』の破裂音と呼ばれる言葉は気持ちをガラッと変えてくれます。オノマトペ絵本に関しては、騙されたと思って、ぜひ読んでいただきたいです。私自身もオノマトペ絵本で何度も子どもたちの気持ちが切り替わるのを体験してきました。むしろ毎日「読んで!」と言われるほど。ぜひオノマトペ絵本の不思議な世界を楽しんでみてください。
オノマトペ絵本3冊
ぴぽん ぴ ぴぽん。ふしぎなことばとリズムにのって、丸や三角、四角になみ線、いろんな形が現れた! やわらかい音、はじけた音、多彩な色と形が子どもの感性を刺激する絵本です。初めて内田麟太郎さんが絵を描いた話題作。
【3】気付いたら夢中!遊べる絵本
「絵本」=「おもちゃ」私は保育現場での絵本をこのように捉えています。絵本はおもちゃの1つ。特に幼児クラスの子たちは絵本を使って遊ぶことをオススメします。『おたのしみじどうはんばいき』では、ボタンを押しながら自動販売機で飲み物を買っているような感覚で楽しめますし、『どっちのてにはいってるか?』では、どっちの手に入っているかを当てていくゲーム感覚の絵本です。『めくってごらん ことばのかくれんぼ』では、4~5歳くらいの文字を理解できてくると楽しめる絵本で、例えば「カレーライス」のなかにかくれているものなーに?との問いがあります。みなさんは、何だと思いましたか?きっと1つではないと思います。それをうまく表現された絵本なので、盛り上がること間違いなしです。気付けば、行きたくない気持ちはどこへやら。きっと笑顔になっているはずです!
遊べる絵本3冊
「何が出るのかお楽しみ」と表示されている自動販売機。ボタンには1から10までの数字が。ためしに「1(いち)」のボタンを押してみると、なんと「“いち”ご」が出てきた!
子どもの大好きな「自動販売機」と「ボタン」と「数字」を思う存分楽しめる言葉遊びの絵本です。縦開き。
どちらかの手になにかを隠して「どっちの手に入ってるか?」を当てるのは、
小さな子にもなじみぶかく、人気の手遊びです。これを絵本のかたちで楽しめるよう
構成しました。あたたかな色合いの絵で、親子一緒に楽しめる絵本シリーズです。
カレーライスの中にかくれている鳥ってなんだろう
めくってみれば、出てくるよ
言葉がどんどん好きになる、新感覚の型抜きしかけ絵本。
絵本を使って子どもと1対1の時間を!
今回は9冊の絵本をご紹介させていただきましたが、それに限らず子どもが喜んだり楽しんだりする絵本を選んで読んで欲しいと思います。普段は複数人の子どもの中で絵本を読むことも多いと思いますが、1対1の時間を作ってあげることで、子どもたちにとって特別な時間になります。また、保育者にとっても、その子を深く知るきっかけや時間になります。保育園や幼稚園を行きたがらない子に限らず、他の先生たちとうまく連携をとりながら、個別で絵本を読む時間を作って欲しいと思います。
大河原悠哉(がっちょ)
公立保育士・幼稚園教諭を計10年経験ののち退職。現在は、株式会社SHUHARIが運営する認可保育園元気キッズにて勤務。 平成29年6月に独立行政法人国立青少年教育振興機構による「絵本専門士」を取得。子育て支援センターや図書館、本屋などでおはなし会や保育者・親子向けの絵本講座や研修を行っている。 現在は、保育士・ライター・子育て支援イベントの主催、運営・講師など様々な顔を持つ。 『【絵本専門士】がっちょの絵本ブログ』を運営。
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