NHK Eテレ「怖い絵本season4」芳根京子さん、飯豊まりえさん、板垣李光人さん インタビュー!
真冬の夜、恐怖に凍える 朗読×アニメ×ドラマ Season4!
怖い、見たくない、でもちょっとだけならのぞいてみたい。私たちの心をつかんで離さない怪奇の世界……。
NHK Eテレ「怖い絵本」のSeason4が、1/7(金)に放送決定となりました!
Eテレ「怖い絵本」は、第一線で活躍する人気作家が実力派アーティストとタッグを組んだ話題の怪奇絵本を主題に、「朗読」と「ドラマ」とハイクオリティの「アニメーション」が味わえる贅沢なホラーコンテンツです。絵本を新進気鋭の若手俳優が朗読、さらに、朗読の前後に短いホラードラマの主人公を演じ、視聴者を恐怖の世界へといざないます。2020~21年で計9作放送され、「本気で怖い!」「アニメが美しい」「絵の世界と現実が繋がっていて恐ろしい」など、大きな話題となりました。
今回は、Season4で映像化される絵本3作品と、朗読・出演される、芳根京子さん、飯豊まりえさん、板垣李光人さんのインタビューをお届けします! 出演される絵本についてはもちろん、絵本との関わりや思い出なども伺うことができました。どうぞお楽しみください。
【放送予定】
2022年1月7日(金)午後10時30分~11時 Eテレ 3本一挙放送!
【出演・朗読】
「雪ふる夜の奇妙な話」芳根京子
「おいで おいで…」飯豊まりえ
「かっぱ」板垣李光人
【制作統括】古屋吉雄(NHK)川崎直子(NHKエンタープライズ)上田勝巳(ライツ)
【演出】 安村栄美
【構成】 倉本美津留、本多アシタ(ニンポップ)
Eテレ「怖い絵本season4」作品紹介
『雪ふる夜の奇妙な話』出演と朗読:芳根京子(女優)
【ドラマ】雪道で車が動かなくなり、とある山小屋に避難させてもらった女性。ちょうど話し相手が欲しかったという住人が温かいココアでもてなしてくれた。この辺の吹雪はひどく行方不明者も出るという。部屋にあった絵本を読み終えた彼女が見た世界は?!
ミチオは山奥で大雪に襲われる。風の音にまぎれて近づいてきたのは恐ろしい顔の雪女。雪女が氷のような息を吐くとミチオは気が遠くなっていった。カチリ。電気スタンドが点く音でハナコが目を覚ますと枕元に小さな男が立っていた。「お願いがあります。私と一緒に来てください。」ハナコは男についていく。一面に広がる白銀の世界でハナコが出会うのは、かまいたち、一本足の妖怪や三つ目の大入道…ハナコは大入道に食べられそうになるが…。
『おいで おいで・・・』 出演と朗読:飯豊まりえ(女優)
【ドラマ】ネットカフェで店番をしていた女性は、誰もいないはずの部屋から、何か声がするのを聞いた。声に導かれるように部屋に入るとパソコンの画面の中に黒い本が浮かんでいる・・・読み終わった彼女に起こった事とは?!
『かっぱ』 出演と朗読:板垣李光人(俳優)
【ドラマ】プールの掃除当番をしていた高校生・李光人は、プールサイドの赤い痕跡に導かれるように赤い絵本を手に取る。本を読んだ後、彼が水の中に見たものとは!?
遠野では、川岸の砂地で足跡を見つけることがある。猿の足跡にも似ているが、小さな人間の手の跡にも見える。それは、河童の足跡である。他の土地と違い、遠野の河童の顔は赤い。近所の子供たちをくるみの木の間から真っ赤な顔の男の子がのぞいていた。河童だ。ある時、馬に水を浴びさせていたら河童が馬にとりついた。河童は馬を淵に引きずり込もうとしたが、逆に厩(うまや)の前まで引きずられてしまい、かいば桶をかぶって隠れた。やがてある家の娘が子を生んだ。それは……
出演者インタビュー
出演された 芳根京子さん、飯豊まりえさん、板垣李光人さんに、番組のみどころや絵本の感想、好きな絵本を伺いました!
芳根京子さん
―― 絵本『雪ふる夜の奇妙な話』を初めて読んだときの印象を教えて下さい。
1回読んだだけでは、登場人物「ミチオ」と「ハナコ」の関係が読み切れなかったのですが、アニメーションの映像を見て「なるほど!」と。朗読するという目線で読ませてもらったときは、「見越し入道」の声をどうしようか悩みました。
―― 朗読の注目ポイントはありますか?
登場するたくさんの妖怪の声を含めて、全部私の声です! これ以上ないぞというくらい、いろんな声を出させてもらいました。特に「イツマデ イツマデ」と鳴く鳥「いつまで【以津真天】」 を演じたときに、周りが「そうくると思わなかった」とざわついていたので、ぜひ注目して聞いてみてください。怖いおはなしですが、実際に妖怪たちのセリフを演じるときに自分がノリノリで楽しんでいることに気づいて大丈夫かなと思いました(笑)。怖くなっているといいなと思います。
―― 絵本で印象に残ったページを教えてください。
雪女のアップのページですね。「怖っ!」って(笑)。どこか日本人形みたいですよね。子どもの頃から、ぬいぐるみは好きなんですが人形はちょっと苦手なんです。イラストでもゾワッとしました。
――芳根さんは、子どもの頃絵本が好きでしたか? 心に残っている絵本はありますか?
絵本は、よく読んでもらっていました。『ぐりとぐら』は本当にたくさん読みましたね。ほかにも『おれはねこだぜ』(作・絵:佐野洋子/講談社)は、大人になってから改めて魅力に気づいた絵本です。サバが大好きな猫が主人公で、サバの大群に追いかけられる悪夢を見るのだけれど、それでもサバが好きという絵本。私も好きな食べ物は、食べすぎておなかを壊したとしても、ずっと好きなタイプ。なんだか気持ちが分かるんです。昔は、絵本に描かれたサバの絵が少し怖かったんですが、今はあの猫ちゃんにすごく共感します(笑)。読み返したくなる中毒性のある絵本だなと思いますね。『おれはねこだぜ』は今でも家の本棚にあります。20年近くずっと一緒にいる絵本です。
―― もし芳根さんが絵本を描くとしたら、どんな絵本を作りたいですか?
母が絵を描いたり物を作ったりするのが好きで、
もし作るとしたら、ファンタジーがいいですね。やっぱり絵本ってその世界に一気に飛び込めるものだと思うので、
―― 最後に、番組のみどころとメッセージをお願いします!
絵本とドラマの世界がリンクしていて、その境目が分からなくなるような作品です。演じている側も不思議な気持ちになるくらいなので、その世界観にどっぷりと浸かっていただければと思います。私はホラーを見るのが苦手ですが、もし1人で見るのが怖いと思う人は、放送当日、芳根も一緒に見ていると思えば怖くないと思います! みんなで一緒にゾワゾワできたら嬉しいです。
飯豊まりえさん
――絵本『おいでおいで・・・』を読んだ感想を教えてください。
絵の、色鮮やかなのにちょっと奇妙な感じと、同時に、言葉も端的で静かに物語が進んでいく感じが怖いなと思いました。昼間の絵なのに怖かったり、分かりやすく怖いお化けが出てくるわけじゃないのが逆に怖いんです。明るい絵と静かな文で生まれる世界観が魅力的だなと感じました。
――朗読で意識した点があれば教えて下さい。
普段の自分の声のテンションとは少し違う、表情が分からないような声で淡々と読むことを意識しました。声の大きさやペースなども、朗読しながらその場で調節しています。喋りながら聞きながら、自分の耳で、どうやるのが怖いかなと探りながら収録しました。
特に「おいで…」というセリフは、聞いている人の後ろから急に聞こえるような感じがいいなと思ったので、ウィスパーボイスで声の中に息を吐く音の方を多めにしたりしています。
――絵本のお気に入りのページはありますか?
「ぼくは みてしまったんだ」という少年の絵が怖くて好きです。
主人公の少年は、他の子は見えないのに、ひとりだけ何者かの存在に気付いているんですよね。怖がってはいるけれど、「ぼくには すぐに、なんのおとか わかったよ。」というセリフがあったり、それが何かを分かっている。「おいで…」という存在も怖いけれど、この少年もじんわり怖いですよね。
―― 飯豊さんは、子どもの頃絵本が好きでしたか? 心に残っている絵本や好きな絵本はありますか?
祖母にもらった『おやすみなさい、おつきさま』( 作:マーガレット・ワイズ・ブラウン、絵:クレメント・ハード、訳: せた ていじ/評論社 )という絵本がすごく好きです。はじめてもらった絵本なんです。夜のおはなしで、ベッドにいるうさぎの子が、ひとつひとつ部屋にあるものにおやすみを言っていくおはなしで、明るい部屋から、どんどん灯りが暗くなっていく絵がきれいで。いまだに見たくなる絵本ですし、友人にプレゼントしたことがあるくらい好きです。
それから大人になって好きになった絵本の1つに、『アンジュール』(作:ガブリエル・バンサン/BL出版)があります。文章はないけれど、切ない物語や、鉛筆の描写が好きです。
―― もしも飯豊さんが絵本を描くとしたら、どんな絵本を作りたいですか?
学生のときに絵本を描きたくてプロットを作ったことがあるのですが、それはそのまま眠っていますね。ずっと『星の王子さま』のような、哲学的というか、読んで一緒に考えられるような、いろいろな捉え方ができる作品を作ってみたくて。それは夢のひとつです。
―― 最後に、番組のみどころとメッセージをお願いします!
ドラマパートの舞台となったネットカフェは、私の中では、何かがいそうな気がする場所だと感じていたので、この絵本の世界観とすごく合っています。絵本自体は、奇妙で不気味な雰囲気があり、あとあとじわじわと怖くなる作品です。新年早々怖がらせてしまいますが、ぜひ、楽しんでもらいたいです。
板垣李光人さん
――『えほん遠野物語 かっぱ』を読んだ感想を教えてください。
遠野の物語ということで、自分が今まで持っていたかっぱのイメージや、想像していたかっぱの話とは違っていました。かっぱが赤いということや、話の結末もすごく意外で、こういうかっぱの話もあるんだなと、シンプルに話として面白かったです。
――これから朗読の収録があるということですが、朗読への意気込み、注目ポイントを教えていただけますか?
ゾクゾクっとする内容なので、声の低さや抑揚でその空気を出せたらなと思います。
絵本の中で、広い画面の中にぽつんと「河童だったのだろう。」という一言がある場面があります。ここは、初めて読んだときに印象に残りましたし、読むときも大切に読みたいと思っています。
――絵本の中でお気に入りのページはありますか?
ぼくは自分が絵を描くときでも「手」にこだわるんです。このかっぱの手はいい手だなと思いました。爪の形や指の細さ、水かきの感じ、色も、赤にピンクと濃紺が混ざっているのもきれいだなと思いました。僕が好きな手でした(笑)。
――板垣さんは、子どもの頃に怖い絵本を読んだ記憶はありますか? 思い出の絵本、心に残っている絵本があれば教えてください。
今もホラーを観るのは得意ではなくて、子どもの頃も怖い絵本は全く読まなかったです。ディズニーの作品の絵本などを読んでいました。家に「クマのプーさん」の分厚い絵本があって、寝る前にいつも読んでいた記憶があります。しかけがあるタイプの絵本で、それが楽しかったんだと思います。大人になってから読む機会は全くなくなりましたが、今回の仕事で久しぶりに絵本に触れて、自分が絵を好きなこともありますが、大人になってもやっぱり楽しいものだなと思いましたね。
――板垣さんもSNSなどでご自身の絵を発信されていますが、もし絵本を描くとしたらどんな作品を作ってみたいですか?
この『かっぱ』の絵本のような、日本の妖怪や都市伝説みたいなものをテーマにしたもの、ダークファンタジーの要素が入っている作品が作ってみたいです。話としてもそういうものが好きなんですが、自分の絵の雰囲気にも合っているのかなと思います。
――最後に、番組のみどころと、メッセージをお願いします。
ホラーの要素がある作品に出演させていただくのは初めてでしたが、いつかは出演してみたいと思っていたのですごく楽しかったです。
この作品は、恐怖の実態が見えないところが1番怖いところだなと思います。そこに恐怖の残り香だけがある感じの、じわじわと続く怖さを楽しんでもらえたらと思います。何よりこの番組の特徴で面白いところですが、絵本とドラマが合わさって、時代もシチュエーションも全く違うものがリンクする、その部分を楽しみにしていただけたらなと思います。
――ありがとうございました!
文・構成:掛川晶子(絵本ナビ副編集長)
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