【今週の今日の1冊】甘さとほろ苦さが贅沢に広がるチョコレートの物語
2022年2月7日から2月13日までの絵本「今日の1冊」をご紹介
今週は、懐かしい名作から新しい作品までチョコレートの味がするような物語をたっぷりお届けします。今週から来週にかけてというのは、子どもも大人もきっと1年で1番チョコレートを食べたり、作ったりする時期ですよね。チョコレートの物語を集めて眺めてみると、お話の内容は甘いだけではなくて、チョコレートと同じようにほろ苦さやメリハリがあり、そこが心に残る魅力となっているようにも感じます。チョコレートの世界をぜひ物語でも!
2 月7日 老舗洋菓子メーカー モロゾフの歴史がここに。
月曜日は『チョコレート物語』
出版社からの内容紹介
ロシア革命からのがれるようにして中国、アメリカへ、そして関東大震災後の日本へとやってきたロシア人のモロゾフ一家。ようやく神戸に腰を落ちつけ、チョコレート店を開店させました。
ところが、チョコレートづくりには不向きな日本の猛暑、亡命者に対する不信、太平洋戦争よる材料不足と店の焼失、戦後の混乱など、次つぎにおそってくる困難に直面します。それでもあきらめずに家族で立ちむかい、みんなを幸せな気持ちにさせる本物のチョコレートをつくりつづけ、たくさんの人びとに届けました。
ロシア革命から、百年がすぎました。世界や日本で起こったできごとを追いながら、一粒一粒のチョコレートづくりにすべてをささげた、モロゾフ一家を描きます。
読者の声より
モロゾフ一家の物語。
ロシア革命からいろいろ困難にあってきたのだなーと思えました。
当時は日本のチョコレートは子供向けのものしかなく、大人のおもてなしに出したりはしないものだったのですね。
この本を読むだけあって、私はチョコレートが大好きなので、チョコレートの地位を上げてくれたモロゾフ一家のみなさんにお礼を言いたいです。
チョコレートが食べたくなりました。
(みちんさんさん 30代・ママ 女の子6歳、女の子4歳、女の子0歳)
2月8日 チョコレートを食べながらゆっくり進む物語の時間。
火曜日は『チョコレートのおみやげ』
みどころ
チョコレートの箱をそっと開けるようにページをめくりたいとびきりのお話。
作者は、物語を紡ぎ出す名手、児童文学作家の岡田淳さん。
小学五年生のわたしとお母さんの妹・みこおばさんとの神戸デートの1日。
港の公園のベンチに座って、途中で買ったチョコレートを開けるほんのひとときの時間。
箱のなかにチョコレートは六つ。赤や青や緑色の紙で包まれたちょっと贅沢そうなチョコレート。
わたしとおばさんで三つずつ。まずは私が緑色、おばさんが青。
そっと紙をはがして、ふたりいっしょに口にいれる。
舌の上で、かたまりがゆっくりととけていく。
「時間がとけていくみたい」
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2月9日 子どもたちの名誉の戦いを描いたロングセラー!
水曜日は『チョコレート戦争』
みどころ
すずらん通りにある町いちばんの洋菓子屋さん、金泉堂。
特に、ショートケーキ、シュー・ア・ラ・クレーム、エクレールなどは舌もとろけそうなうまさで、金泉堂の洋菓子をいくつたべたかが、子どもたちのじまんの種にもなっているという憧れのお店です。その金泉堂と子どもたちの間で何やらトラブルが?!
それは、光一と明が学校の帰り道に金泉堂に立ち寄った時のこと。2人がショーウインドーに飾ってあるチョコレートのお城をのぞいていると、いきなり目の前のガラスが割れて、出てきたお店の人に犯人扱いされてしまうのです。
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読者の声より
9歳の息子と読みました。
私が小3か小4の頃に読んで、小学校時代詠んだ本の中で一番大好きだった本。大人になっても忘れられず、いつか自分の子供が小3になったら、絶対一緒に読もう!と固く決意をした一冊でした。
息子が小学校にあがってから1年、2年と待って、ようやく一緒に読めた!
金泉堂の禿げちゃびん社長にむかついたこと、光一たちのクラスの「速達便」に憧れたこと、小学校新聞のみどりさんの活躍にドキドキしたこと。私が感じた気持ちと同じ気持ちを、息子も隣で味わってくれたようで、そして私もひさしびりにドキドキしながらチョコレート戦争を読めて、本当に充実した時間を過ごせました。
名作はいつまで経っても名作。
私はいまだに、洋菓子のエクレアを見ると、金泉堂を思い出す生活をしています。
(ムスカンさん 30代・ママ 男の子9歳、女の子4歳)
2月10日 食べたものが全部チョコレートの味に!?
木曜日は『チョコレートタッチ』(2021年10月刊行の新刊)
出版社からの内容紹介
ジョンは、お菓子が大好きな男の子。ごはんやおかずは残して、お菓子ばかりたべています。なかでも、チョコレートには目がありません。
ある日、ひろったコインで買ったチョコレートを食べたところ、不思議なことがおこりはじめました。
朝起きて、歯磨きをしたジョン。口に入れた歯磨き粉が、チョコレートになっていました。朝ごはんのジュースやベーコンエッグもすべてチョコレートの味になってしまいました。ジョンは大喜び。
学校についたジョンは、飲み水、給食のおかず、あげくのはてに口にくわえたトランペットまで、すべてチョコレートになってしまいました。
チョコレートにあきたジョンは、水が飲みたくてもチョコレートになってしまうので、どうしたらよいかわかりません。
パパとママは心配して、病院に連れて行きました。病名は「クレイニアム病」。つまりチョコレート病です。
途方に暮れたママは泣き出し、ジョンはママのほっぺたにキスをしました。するとママは全身がチョコレートに・・・・・・。
どうすれば、ママを元通りに戻せるのか
ジョンは必死に、チョコレートを買ってお店を探しました。
2月11日 チョコレートにまつわるとびきりの名作といえば…
金曜日は『チョコレート工場の秘密』
出版社からの内容紹介
チャーリーの町にあるチョコレート工場は、世界一有名。でも、働く人たちの姿をだれも見たことがない、ナゾの工場! そこへ5人のこどもたちが招待されることになった。そして…? 国際アンデルセン賞画家Q・ブレイクの軽妙洒脱な挿画、柳瀬尚紀による渾身の〈新訳〉で贈る新シリーズ・第一回配本。本書を原作とする映画『チャーリーとチョコレート工場』は、ジョニー・デップ主演、ティム・バートン監督で2005年秋公開。
読者の声より
謎につつまれた、巨大チョコレート工場を見学できるのは、チョコレートの包み紙の中にたった5枚しか隠されていない黄金切符を引き当てた子どもだけ。そして、それを引き当てたのは一癖もふた癖もある子どもと、その保護者たち。
ウィリー・ワンカ氏の案内で工場の中を見学しますが、次々と騒動がおこります。
私がこの本を読んだ動機は、クェンティン・ブレイクの挿絵にひかれたからです。おもしろかったので、当時小4の息子にもすすめました。すると、「読み出すと止まらない。」とうれしい悲鳴の息子。奇想天外な出来事にひっぱられて、ぐんぐん読み進めていました。甘いチョコレートの香りにあふれているけれど、かなり風刺もきいていてビターな世界です。
(のはらなずなさん 40代・ママ 男の子11歳、男の子6歳)
2月12日 魔女型のチョコレートを溶かしたら本物の魔女が!!
土曜日は『カフェ・エルドラド チョコルとチョコレートの魔女』
出版社からの内容紹介
森へとつづく道の途中にカフェ・エルドラドはありました。ある日、魔女の形をしたチョコレートがお店にきました。鍋でとろとろ溶かすと、なんと本当の魔女が現れたのです。
2月13日 絶品のチョコレート・ケーキを召し上がれ!
日曜日は『魔法使いのチョコレート・ケーキ』
出版社からの内容紹介
魔法と驚きに満ちた世界へ子どもたちを案内
ニュージーランドの児童文学作家、マーガレット・マーヒーのお話集。魔法と驚きに満ちた世界へ子どもたちを案内し、夢と願いを存分に満たしてくれる不思議なお話を、石井桃子さんの訳でお届けします。収録作品は「たこあげ大会」「葉っぱの魔法」「遊園地」「魔法使いのチョコレート・ケーキ」「家のなかにぼくひとり」「メリー・ゴウ・ラウンド」「鳥の子」「ミドリノハリ」「幽霊をさがす」「ニュージーランドのクリスマス」。
文庫版はこちら
いかがでしたか。
チョコレートのお話を読んでいると、なんだか口の中がどんどん甘くなっていくような気がするのは私だけでしょうか。チョコレートにまつわる、嬉しかったり、悔しかったり、ドキドキハラハラしたり‥‥‥の贅沢な物語たち。子どもも大人も楽しんで下さいね。
選書・文:秋山朋恵(絵本ナビ副編集長)
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