【子どもと絵本のエピソード】保育士がっちょに聞く!「さるかにがっせん週間」
現役保育士で絵本専門士の大河原悠哉(がっちょ)です。私は公立保育士・幼稚園教諭を計10年経験したのち、現在は株式会社SHUHARIが運営する認可保育園元気キッズにて施設長を務めています。また、子育て支援のイベントを主催・運営したり、保護者向け・保育士向けの絵本講座をしています。子どもとの絵本エピソードや活用方法についてお話しします。
『さるかにがっせん』知っていますか?
みなさんは「さるかにがっせん」のお話を知っていますか?
さるとかにが出てきて、にぎりめしとかきのたねを交換するあのお話です。
私自身は「さるかにがっせん」で幼いころから馴染みがありましたが、実は「さるかに」「さるとかに」「かにむかし」など同系統のお話でもタイトルや話の内容が少し異なるものがあります。
担任時代に、子どもたちと「さるかにがっせん週間」と名付け、様々なものを読みました。その時の子どもの反応なども交えながら厳選してご紹介していきたいと思います。
以前ご紹介した「ももたろう週間」の記事はこちら
あかね書房の『さるかにがっせん』
まず、最初にご紹介するのが私自身も耳馴染みのある『さるかにがっせん』です。
こちらは、かにがかきのたねを植えたところから、くり や うす などがアドバイスしたり手助けをしたりしながら、木が成長していきます。
そのためか猿を懲らしめる際の団結力を感じるストーリー展開となっています。
クラスで読んだ際は、子どもたちも息を飲むようにじっくりと集中しているのが印象的でした。
個人的には、劇遊びをするなら、このストーリー展開が良いと思っています。
高畠那生さんのイラストも絶妙です!
ユーモラスな助っ人たちが、力を合わせ大活躍!
おなじみの勧善懲悪物語を、痛快な語りとダイナミックで鮮やかな絵でお届けします。
BL出版の『さるとかに』
こちらの絵本は、元々銀河社さんで発行されていた長く愛されている絵本で、2017年にBL出版さんが復刊されています。
神沢利子さんと赤羽末吉さんのお二人で手掛けられたこともあり、文章の心地良さと絵のダイナミックさが相まって、読んでて気持ちの良い1冊!
長年愛され、復刊された理由もわかる気がします。
絵の迫力に子どもたちも1ページ1ページ、驚いたりしているのが印象的でした。
童心社の『さるかに』
松谷みよ子さんの作られたお話は、他の出版社さんでも様々な画家さんがイラストつけて出版されています。
その中でも、私が子どもたちと読んだのがこの絵本です。
長谷川義史さんのイラストは今の子どもたちにも馴染みやすく親しみやすいかと思います。
子どもたちからも「また読んで!」と言われるほど、大人気の1冊でした。
岩波書店の『かにむかし』
昭和34年(1959年)に発行された岩波書店さんの『かにむかし』。
こちらは、かにがかきのたねを拾って植えるところからストーリーが始まります。
さるがかきを食べてしまい、かににかきを当てるところまでは、他のお話とほとんど一緒ですが、ここから急展開!
なんと、ももたろうのように「きびだんご」を使って、クリやハチなどを仲間にしていきます。
子どもたちとも「ももたろうみたい!」と盛り上がったことを覚えています。仲間にしていくストーリー展開は子どもたちも大好きなんですね。
有名な日本民話「さるかに合戦」が木下順二氏の新解釈により,ユニークな絵本になりました.方言の味わいを生かしたリズミカルな再話に,清水崑氏ののびやかな墨の絵がぴったりです.
こちらは【岩波の子どもの本】版です。
どれを気に入るかは人それぞれ
さるかに合戦の昔話1つとっても、タイトルやイラスト内容など様々です。
私は正直、保育士になるまで様々なタイトルがあることを知りませんでした。
しかし、読んでみると、それぞれの良さがあり、子どもたちの反応や好みも様々です。
大人は絵本の良し悪しを評価しがちですが、それだけにとらわれず、色々読んでみると発見があるかもしれません。
保育者の方は、様々な絵本に触れ、子どもたちと一緒に楽しんでほしいと思います。自分の好きや子どもの好きという気持ちを大切にしてあげてくださいね!
大河原悠哉(がっちょ)
公立保育士・幼稚園教諭を計10年経験ののち退職。現在は、株式会社SHUHARIが運営する認可保育園元気キッズにて施設長を務める。 平成29年6月に独立行政法人国立青少年教育振興機構による「絵本専門士」を取得。子育て支援センターや図書館、本屋などでおはなし会や保育者・親子向けの絵本講座や研修を行っている。 現在は、保育士・ライター・子育て支援イベントの主催、運営・講師など様々な顔を持つ。 『がっちょの絵本ブログ』を運営。
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