【今週の今日の一冊】2023年8月、9月にメディアで紹介された絵本と作家特集
8月、9月はメディアで絵本作家の方がつぎつぎに登場したり、さまざまな絵本が取り上げられました。番組は見たものの、あの本ってなんていうタイトルだったっけ? と思っていた方、またうっかり見逃してしまった! という方、こちらで情報をまとめましたので、復習やチェックに使ってみてくださいね。今週は、メディアで取り上げられた本の特集をお届けします。
2023年9月25日から10月1日までの絵本「今日の一冊」をご紹介
9月25日 鈴木のりたけさん
【番組名】「情熱大陸」世界は「面白い」に満ちている! 人生をポジティブに描き変える極意
「そうそうこんな本が欲しかった」子どもたちが夢中になる“おしごと”に“大ピンチ”のずかん。毎日の生活や子どもとの関わりから、「面白い!」を生み出す鈴木のりたけさんの視点や熱い思い、お人柄がたっぷり伝わる内容でした。
今週は、そんな鈴木のりたけさんの、発売ほやほやの最新刊からスタートです♪
月曜日は『しごとへの道(2) 獣医師 オーケストラ団員 地域おこし協力隊』(2023年9月新刊)
迷って、なやんで、とびこんで、自分の「好き」をしごとにするまで。
読む「しごとば」シリーズ第2弾は、獣医師、オーケストラ団員、地域おこし協力隊の3職業を収録。
自分のしごとに出会うまでの紆余曲折、人生を変える言葉や人との出会いを、子ども時代から取材。
しごとへの道はひとつじゃない―
子どもから大人まで、心に響くエピソードが満載!
コミック仕立てで充実の読み応えです。
鈴木 のりたけ
1975年、静岡県浜松市生まれ。会社員、グラフィックデザイナーを経て、絵本作家に。『ぼくのトイレ』(PHP研究所)で第17回日本絵本賞読者賞、『しごとば 東京スカイツリー®』(ブロンズ新社)で第62回小学館児童出版文化賞、『大ピンチずかん』(小学館)で第6回未来屋えほん大賞・第13回リブロ絵本大賞・第15回MOE絵本屋さん大賞を受賞。また2022年に第2回やなせたかし文化賞を受賞した。ほかの作品に『おしりをしりたい』(小学館)、『す~べりだい』(PHP研究所)、『ねるじかん』(アリス館)など多数。
©黒澤義教
9月26日 八島太郎さん
【番組名】日曜美術館「故郷は遠きにありて ~絵本画家 八島太郎~」
戦時中アメリカでデビューし、故郷である鹿児島への思いがこめられた絵本作品を多く描いた八島太郎さん。望郷の思いを胸に、ついに帰国を果たせなかった八島太郎さんの人生や故郷への思いを追いながら、『からすたろう』の出版経緯や、内容について詳しく紹介されました。
他、紹介されたのは…
9月27日 ヨシタケシンスケさん
【番組名】「新・美の巨人」ヨシタケシンスケ「メメンとモリ」×千秋
ヨシタケシンスケさんの絵本は、一体なぜ大人もハマるのか? 千秋さんとの対談はじめ、コピーライターの糸井重里さん、絵本評論家の広松由希子さん、グラフィックデザイナーの大島依提亜さんがその魅力を語られました。そのうち千秋さんの朗読で紹介された一冊がこちら。「人は何のために生きてるの?」がテーマの3つの物語です。
水曜日は『メメンとモリ』
身も蓋もない言葉の中にだけ、
希望を見出せるときもある。
ヨシタケシンスケが描く
「人は何のために生きてるの?」の3つのお話。
『メメンとモリとちいさいおさら』
メメンが作ったお皿を割ってしまったモリ。
「世界にひとつしかないお皿なのに…」といつまでもクヨクヨしているモリに、
メメンは「大丈夫よ、また作ればいいんだから」と励まします。
『メメンとモリときたないゆきだるま』
夜のうちに降った雪。メメンとモリは次の日の晴れた朝、張り切ってゆきだるまをつくりました。
でも雪は足りず、晴れて溶けかかり、できあがってゆきだるまは想像していたものと違いました。
複雑な顔をしてゆきだるまを見つめるメメンとモリ。
でもゆきだるまは、そんなふたりの顔を冷静に見ていたのです。
『メメンとモリとつまんないえいが』
つまらない映画を見てしまったメメンとモリ。「時間を損しちゃったね」と話しているうちに、
モリは「みんなは楽しいことをしているのに、ぼくだけ損をしているみたい」と思いはじめます。
そんなモリにメメンは「いきものはべつに楽しむために生きているわけじゃないからね」と言うのですが…。
ヨシタケシンスケ
1973年、神奈川県生まれ。筑波大学大学院芸術研究科総合造形コース修了。日常のさりげないひとコマを独特の角度で切り取ったスケッチ集や、児童書の挿絵、装画、イラストエッセイなど、多岐にわたり作品を発表している。『りんごかもしれない』(ブロンズ新社)で、第6回MOE絵本屋さん大賞第1位、第61回産経児童出版文化賞美術賞などを受賞。著書に、『しかもフタが無い』(PARCO出版)、『結局できずじまい』『せまいぞドキドキ』(以上、講談社)、『そのうちプラン』(遊タイム出版)、『ぼくのニセモノをつくるには』(ブロンズ新社)、『りゆうがあります』(PHP研究所)などがある。2児の父。
9月28日 絵本ナビ編集長の磯崎、ミニチュア写真家・見立て作家の田中達也さんが登場
【番組名】ひるおびライフ 特集「絵本ナビ編集長磯崎園子さんのオススメ『大人もハマる絵本』」
絵本ナビ編集長の磯崎が番組に出演し、『大人もハマる絵本』を紹介しました。番組内に作家さんも登場して貴重なお話が伺えた作品がこちら。
木曜日は『おすしがふくをかいにきた』
おすしが買い物にやってきた。ずらりと並んだ華やかなネタ……いえ、服を見ながら迷います。
「サーモンにします?」
「おもいきって、トロにしようかな?」
続いてアイスは帽子を買いに、箱の親子はリボンの着付け、サウナにやってきたのはシュウマイ、ソーセージは車を買いにきます。いちごが自分のベッドに選んだのは……?
ミニチュア写真家・見立て作家として大人気田中達也さんが手がける写真絵本第2弾。「おすしがふくを」という言葉だけで、すでに期待に胸が膨らみます。いったいどんな「みたての世界」が繰り広げられているのでしょう。
お皿のビルにいくらのネックレス、板チョコのカウンター、美味しそうなパンの車にレタスの海、マカロンのソファーに美味しそうなベッド。使われているのは見たことのあるものばかりだけれど、登場するのは最高にワクワクする見たことのない店ばかりの仮想の街。
じっくりゆっくり繰り返し、画面の隅々まで眺めて楽しんでくださいね。買い物を済ませた彼らは、その後どんな一日を過ごすのか。次の日になったらお店にはどんな商品が並ぶのか。あるいは次に登場するとしたらどんなお店がいい? きっと、想像の世界も止まらなくなってしまうはず!
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
田中達也
ミニチュア写真家・見立て作家。日常にあるものを別の物に見立てたアート「MINIATURE CALENDAR」を、2011年からInstagramで毎日発表し続ける。展覧会を国内外で開催。主な著書に『MINIATURE LIFE』、『MINIARURET TRIP IN JAPAN』、『MINIATURE at HOME』、絵本『くみたて』(福音館書店)、『おすしが ふくを かいにきた』(白泉社)など。Instagramのフォロワーは360万人を超える。
番組内で他にも紹介された絵本はこちら
9月29日 五味太郎さん
【番組名】首都圏情報 ネタドリ! 絵本作家・五味太郎 50年の “みち”
「なんとなく、なんかいいこと、面白いことがないっていう気分のときに、まず逃げる。逃げて、次に見つけて、それも少し違うって、微調整をする。軽やかに逃げる能力っていうのは、ちょっと必要かもしれない。」
五味太郎さんの「逃げる」についての言葉が印象的でした。そんな五味さんの『きんぎょがにげた』に続く、「にげる」をテーマにしたもう一つの絵本がこちら。
金曜日は『ひよこはにげます』
ひよこがにげます。
おうちを飛び出して、元気に、まっすぐ。
少し休んだり、休まなかったり。
草むらににげたり、じっとしたり、バスにのったり。
ひよこは絵本の中で、元気ににげまわります。
にげてにげて、その先にたどりついたのは……?
『きんぎょが にげた』から40年! 今度はひよこがにげています。迷うことなく、楽しそうに、さまざまな方法で。その姿の愛らしいこと。
楽しい気持ちになっている時も、ちょっぴり暗い気持ちになってる時も。絵本を開けば、いつでも小さな明るい彼らが駆けています。ひよこはにげるもの、当たり前だけど、なんだか嬉しくなっちゃいますよね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
他、紹介されたのは……
五味 太郎
1945年東京生まれ。桑沢デザイン研究所卒業。絵本作家。 子どもから大人まで幅広いファンを持ち、その著作は450冊を超える。世界中で翻訳出版されている絵本も数多い。 『かくしたのだあれ』『たべたのだあれ』(以上文化出版局刊)でサンケイ児童出版文化賞受賞のほか、ボローニャ国際絵本原画展等、受賞多数。『みんなうんち』(福音館書店刊)、『きいろいのはちょうちょ』(偕成社刊)、『さる・るるる』(絵本館刊)などの作品がある。
9月30日 パンどろぼう最新刊登場!
【番組名】王様のブランチ[BOOKコーナー]
話題の「パンどろぼう」の最新作登場ということで、ブランチでも取り上げられていましたね。
土曜日は『パンどろぼうとほっかほっカー』
ヤギのおばあさんの頼みで、パンを届けにでかけたパンどろぼう。
なかなかたどりつかずうなだれる横を、一台の車がとおりすぎますが―――。
ほかほかのパンとほかほかの思いをのせて、「ほっかほっカー」が走りだす!
「パンどろぼう」シリーズ
10月1日 14ひきシリーズ登場!
【番組名】「NHKあさイチ“テーマは秋「植物本」のイチオシ書籍」より
秋の実りを感じる本がいろいろ紹介されましたね。
牧野富太郎の図鑑に掲載されている植物画の「塗り絵」本は、塗り方の指南を元に、丁寧な塗り絵に挑戦してみたくなりました。不思議な木の実がたくさん登場する図鑑も魅力的でした。絵本はこちらが話題でしたね。
日曜日は『14ひきのあきまつり』
おとうさんにおかあさん、おじいさんにおばあさん。そしてきょうだい10ぴき。四季折々の自然の風景を舞台に「14ひき」のねずみの大家族が活躍するこのシリーズは、小さな子どもたちに大人気!読んでいると、まるで自分が外でお散歩しているような気持ちになれるのです。
『14ひきのあきまつり』の舞台はすっかり秋の色に染まった森の中。おかあさんたちが木の実を採りに行っている間、子どもたちとおばあちゃんはかくれんぼをします。
「もういいかい」「まあだだよ」
葉っぱのかげや地面にかがみこんで隠れているのを、みんなが次々に見つかっていく中、ろっくんが見つからない。いったい、どこにかくれたの?
きょうだいとおばあちゃんが探しているうちに、どんどん森の奥へと入り、そこでふいに出会ったのは、くりくりあたまのくりたけきょうだい。駆け出したくりたけきょうだいについていくと、そこで始まったのは…!?
シリーズの中でも、少し不思議な雰囲気を漂わせているこのお話。作者のいわむらかずおさんいわく、秋は生き物たちの祭の季節なのだとか。命が終わる者たち、休息に入る者たち、動物、植物、キノコたちがいのちをたたえ、カミに感謝する祭をやっている、と。そうして次の世代へと命を引き継がれていくパワーと隣合っているのは静寂の世界。そんな移り変わっていく秋の森の風景を、個性豊かなきょうだいたち、確かな観察をもとに描かれるたくさんのキノコや落ち葉と共に味わうことのできる一冊です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
他、番組内で紹介された本
絵本作家さんのお人柄や、創作にかける思いを知ると、より目の前の作品が深く迫ってきて、愛おしく感じられますね。絵本作家さんについて知ることができる本を紹介するテーマもありますので、こちらも合わせてお楽しみください。
構成・文:秋山朋恵(絵本ナビ副編集長)
この記事が気に入ったらいいね!しよう ※最近の情報をお届けします |