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未来の今日の一冊 ~今週はどんな1週間?~

【今週の今日の一冊】じっくりゆっくり春を待つ、冬眠の絵本

今週末は「節分」。そして翌日は二十四節気のひとつである「立春」を迎えます。暦の上では「立春」から春が始まるとされていますが、実際にはまだ寒さが続き、春はもう少し先かなという感じもしますね。おそらく動物たちも今はまだ冬眠中……。その動物たちがどんな風に冬眠しているのか、またどんな風に春が来たことを感じとるのかを絵本を読みながら想像してみませんか。
今週は、ゆっくり春の訪れを待ちながら読みたい「冬眠の絵本」をご紹介します。
 

1月27日~2月2日までの絵本「今日の一冊」をご紹介

1月27日  雪のしたには、まったくべつのひみつの世界が…

月曜日は『ゆきのうえ ゆきのした』

ゆきのうえ ゆきのした

ゆきのうえは、しんとしずまりかえって、まっしろ。でもゆきのしたには、まったくべつの、ひみつのせかいがあって、リスやウサギ、ネズミやウシガエルにクマなど、いろんないきものたちが、さむさやきけんから、みをまもりながら、くらしている。巻末には、作者のことばと、おはなしに出てきたいきものたちについての解説がはいっています。

https://www.ehonnavi.net/ehon00.asp?no=91390

読者レビューより

まっしろに積もった雪の上をスキーしながら、その雪の下にいる動物たちを想像していきます。そこは、森の小さな生き物たちが寒さや危険から身を守る秘密の世界。リス、カエル、ねずみにクマに昆虫たち。雪の中って寒そうなのに、暖かいのかな?つぶれないのかな?見えない世界を想像することで不思議な世界が広がる、冬にぴったりな絵本でした。
(みっとーさん 30代・ママ 男の子10歳、女の子8歳)

1月28日 寝ぼけたネンネが知らない間に大冒険!?

火曜日は『やまねのネンネ』

やまねのネンネ

やまねのネンネは冬眠中です。ある日ネンネは夢の中で木の実を見つけ、取ろうとして落ちてしまいます。実際も巣から寝ぼけて落ちてしまいます。落ちたところは籠の中・・・・。

読者レビューより

冬眠中のネンネが、巣穴から転がり落ちて、眠ったまま旅にでてしまいます・・。
ネンネだけではなく、うっかりものがたくさん登場。
いろんなトラブル発生、ドキドキさせられます。
春が待ち遠しくなる絵本です。
(NARIGEさん 30代・パパ 女の子3歳)

1月29日 その音は、たくさんのうれしい春の兆し

水曜日は『ぽとんぽとんはなんのおと』

ぽとんぽとんはなんのおと

いろんな音を楽しみながら春を待つ熊の親子
冬ごもりの穴の中で、クマの母さんはふたごの坊やを産みました。坊やはおっぱいを飲んで少しずつ大きくなり、外から聞こえるさまざまな音は何の音とたずねます。「かーんかーん」というのは木こりが木を切る音、しーんと静かなのは雪が降っている時、「つっぴいつっぴい」は、お天気でヒガラが歌う声、そして「ぽとんぽとんってなんのおと?」それはうれしい春の兆し。春を待つ熊の母子の交流と、季節の移り変わりを暖かい言葉と絵で描いた絵本です。

https://www.ehonnavi.net/ehon00.asp?no=1560

読者レビューより

冬ごもりの、くまの穴の中。うまれたふたごのこぐまたちは、温かいおかあさんに抱かれ、おっぱいを飲み、どんどん大きくなっていきます。
そして、いろんな音が聞こえ、おかあさんに「なんの音?」と尋ねます。ひとつひとつ、おかあさんは、優しく答えてあげます。その音の変化は、冬から春へ季節が変化していく様子を伝えてくれます。そして、最後は、匂いまで加わり、春の訪れを感じ、初めての世界へ飛び出していくこぐまたち。
音の変化で、季節の移り変わりを分かりやすく表現しているところがなんとも言えません。おかあさんの優しい語り口、そして優しい絵に、温かい気持ちで、読んであげることができることでしょう。おかあさんの大きな愛を強く感じることができます。
(おしんさん 40代・ママ 男の子23歳、女の子21歳、男の子18歳)

1月30日 緑色のふわふわした贈り物。どうやって使うの?

木曜日は『のはらでまたね』

のはらでまたね

うんと寒い冬の日、たぬきの家にプレゼントが届いていました。
開けてみると、緑色のふわふわした「なにか」が入っていました。
こぐまからのプレゼントです!
“うんと さむいとき つかってね。”

・・・でも、一体どうやって使うのでしょう。
たぬきは試しにお腹に巻いてみます。ぽかぽか温かくなってきました。
この素敵なプレゼントをみんなに見せようと、外に出かけます。
そうすると、小鳥が言います。
「それ、ほんとうに そうやってつかうもの?」
小鳥は、“のはら”だと言うのです。緑の野原。
「こぐまが はるのかけらを くれたのよ!」
なんて素敵な例えでしょう。
春が待ち遠しい森の動物たちが、それを聞きつけて集まってきて、緑のふわふわの上に乗っかります。
でも、本当に使い方あっているのかな?

優しく瑞々しい筆のタッチで描かれた動物たちの可愛らしいこと!
雪が残る寒々しい森の中、緑色のふわふわは本当に引き立ちます。
みんながそこに「春」を見るのも納得ですね。
本物の春がくるまであと少し。また野原で会おうね。

(磯崎園子  絵本ナビ編集長)

https://www.ehonnavi.net/ehon00.asp?no=105971

読者レビューより

「もうすぐ春ね」と言ったら、『お母さん この間も もうすぐ春だよって言ったけど、まだ春にならないね。もうすぐっていつ?』 と息子が言ったことがあったなぁと、ふんわり温かい心地よさを思い出しました。
もうすぐって ほんといつでしょう?
「のはらでまたね」 と冬の暮らしの中に戻っていく動物たち。
さぞ春が待ち遠しいことでしょう。
こぐま が たぬき にプレゼントしたマフラーの緑色に 春の柔らかい若草や小さな花々、優しい風を想像してとても癒されました。
”もうすぐ”春の 寒いけれど日差しが明るくなった季節に、冬と春とを感じながら読みたい本です。
(だってだってさん 60代・その他の方)

https://www.ehonnavi.net/specialcontents/contents_old.asp?id=157 じっちょりんのふゆのみち』『のはらでまたね』かとうあじゅさん、はせがわさとみさんインタビュー

1月31日 なにがおきてもねむいねむい……

金曜日は『カルちゃんエルくんねむいねむい』

カルちゃんエルくんねむいねむい

カルちゃんは冬眠から覚め、春を満喫。
でも、エルくんはねむいねむい・・・
作家の自然への愛情が伝わってくる絵本です。

読者レビューより

いわむらかずおさんの描いた絵本です。
冬ごもりから目覚めた、カエルのカルちゃんとエルくん。
カルちゃんはぱっちりと目を覚ましましたが、エルくんはなかなか目が覚めません・・・。
たんぽぽやつくし、ぜんまいなど、春の訪れを感じさせるものが沢山描かれていて、春が待ち遠しいこの季節にぴったりでした。
いつまでも、目が覚めないエルくんが面白いらしく、娘も笑って聞いていました。
いわむらかずおさんの絵がとても優しいタッチで、お話も分かりやすく、小さい子からお勧めです。
(*どんぐり*さん 30代・ママ 女の子4歳)

2月1日 「もうすぐくるよお。いっしょにいこう」

土曜日は『はるのおとがきこえるよ』

はるのおとがきこえるよ

ふゆのおわりに
「コツン コトン コツコツ」
「ガリガリ バリバリ」
「パリン パクン パン」
こんなふしぎな音がきこえてきたら……きみはどうする?

ベッドからとびおりてそうっと外をみる。
玄関からひとあしふみだすと、そうさ。そこには、くまがいるんだ。
庭のまんなかに立って、こういうよ。
「もうすぐ くるよお」って。

なにがくるんだろう?
くまといっしょに出かけたきみは、いろんな植物や動物、風までもが
「もうすぐ きますよー」
「もうすぐ くるんだわ」
と、うたうのをきく。くりかえすのを、ついてくるのをきく。
きみがなにをきいても、くまは「もうすぐ くるよお」というだけ。
ふしぎな音は、ずっときこえてる。
なにかがきしんでくだける音。ひびがはいる音。
きみは、大きなくまと手をつないで、どんどん冬の森のおくへ歩いていく。
歩いて、ずうっと歩いて……
きみたちが見つけたものは……?

詩人である片山令子さんが翻訳したくまの言葉は、誘うように心地よくあたたかく、
ふしぎな音は、緊張感とあたらしいなにかがちかづいてくる興奮とがいりまじって刺激的にひびきます。
読み聞かせにもぴったり。耳できく言葉が魅力的な翻訳絵本です。

作者は、アメリカ・イリノイ州生まれの児童文学作家、マリオン・デーン・バウアー。
絵を描いたのは、イギリス・バーミンガム生まれのイラストレーター、ジョン・シェリー。
絵本のなかの子ども部屋や、月あかりに照らされた雪の森に、わくわくします。
本書結末にやってくる、色とりどりの驚きをお楽しみに!

(大和田佳世  絵本ナビライター)

読者レビューより

タイトルにある「はるのおと」。一体、この音はなんだろう?と想像しつつ、よみすすめると、思ってもいなかった「はる」の正体におどろきました。今までにないような、はるの表現が素敵だなあ、と。
まだまだ寒い冬。春をまちながら読むのにぴったりだと思いました。
(あんじゅじゅさん 40代・その他の方)

2月2日 みんなが気づいたのは、なんのにおい?

日曜日は『おねぼうさんはだあれ?』

おねぼうさんはだあれ?

森に春が来て、うさぎのミミナちゃんは冬ごもりからなかなか起きてこない友だちを起こしに行きます。
「おきて おきて もうはるよ」
「おねぼうさんはだあれ?」
くまのフワくん、ヤマネのクルリくん、とかげのスールちゃん、かえるのピョントくん……。
みんな気持ちよさそうに眠っています。
ミミナちゃんは、森で摘んだ、いいにおいの花をかごに入れて、ひとりひとり、友だちをたずね、花束を置いてまわるのです。

「おきて おきて もうはるよ」
「おねぼうさんはだあれ?」
繰り返されるやさしい調子に、自然に引きこまれます。
ミミナちゃんが「トントン」とたずねる、友だちのおうちもそれぞれ素敵。

でも……はやく一緒に遊びたいのに、誰も起きてくれない……。
おひさまがあたたかく照らす野原で、ミミナちゃんも眠くなってしまいますが……。

『マルマくんかえるになる』(ブロンズ新社)、『たんぽぽのおくりもの』(ひかりのくに)などの文章を手がける詩人、絵本作家の片山令子さんは、他にも夫で同じく絵本作家の片山健さんとの『たのしいふゆごもり』(福音館書店)をはじめとした、たくさんの作品を世に送り出しています。
そのどれもがあたたかさと、ほのかなユーモラスさが心地いい絵本ばかりです。

絵を手がけたあずみ虫さんは、アルミ板をカッティングする技法が独特の作家さん。
植物や生きものの特徴をよくとらえ、生命力のある雰囲気が魅力的です。
(個人的には、山野草のカタクリや、野いちごの白い花の可憐さにときめいてしまうほど!)
それもそのはず、絵本に登場する植物は、学研の植物図鑑編集部がひとつひとつチェックし、監修されたというプロのお墨付き!

「おねぼうさんはだあれ?」と子どもへの語りかけのような言葉から、素朴で喜びあふれるエンディング。
親子で何度も読みたい絵本です。

(大和田佳世  絵本ナビライター)

https://www.ehonnavi.net/ehon00.asp?no=157991

読者レビューより

春が待ち遠しい季節にぴったりです
冬眠をしないうさぎさんが、冬眠中のお友達のところに「起きて~」と訪ねていきますが、まだまだ起きてくれません。
そこで、春のお花を置いていきます。

次々に訪問して、最後に日当たりのいい場所でゆっくりしていると、今度は自分がうとうと。。。

あずみ虫さんは、アルミ板の切り絵で味わい深い作品をたくさん出版されていますが、今回は可愛いがぎゅっとつまっていて「本当にこれがアルミ板?」と驚くような柔らかなイメージの絵になっています。春の花を見に行きたい、動物たちのように早くお友達と会いたいなと思いました。
(ロアルダールさん 40代・その他の方)

いかがでしたか。

冬眠中、間違えて起きちゃったり、そうかと思えば春になってもなかなか起きなかったり……。

でもみんなとっても気持ち良さそうに寝ていましたね。きっともう少ししたら春がそこここに見られるはず。

それまでは人間も暖かくしてゆっくり休みながら、体調を整えてお過ごしくださいね。

選書・文:秋山朋恵(絵本ナビ副編集長)

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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