【今週の今日の一冊】絵本で出会う 日本のお正月文化
一年の行事の中でも、日本のお正月の文化はとても豊かです。
「大掃除(すす払い)から始まり、門松やしめ飾り、鏡餅を飾り、おせち料理の準備や餅つき、年越しそばを食べて迎える大晦日。そして新しい年を迎えると、おせちを囲み、初詣に出かけ、かるたや凧揚げなど、お正月ならではの遊びも楽しみます。
こうした一つひとつの風習を、すべて実際に体験するのは難しいかもしれませんし、慌ただしくて味わう時間もないかもしれません。けれど、絵本の中でなら年末からお正月にかけての時間を、じっくり味わえたり、子どもにも楽しく伝えたりできるでしょう。
2025年から2026年へ、新しい年へと向かうこの一週間。
絵本とともに、日本の年末とお正月文化を楽しんでみませんか。
2025年12月29日から2026年1月4日までの絵本「今日の一冊」をご紹介
12月29日 お正月を迎える前の、にぎやかな慌ただしさ
月曜日は『もうすぐおしょうがつ!』
冬休み、おじいさん、おばあさんの家でお正月を迎える、ある家族のおはなしです。
久しぶりに訪れた、おじいさん、おばあさんの家で、家族はお正月を迎える準備を手伝います。まずは、ガラス磨きに、障子張り、大掃除と大忙しです。翌日はおじさん、おばさん、いとこもやってきて、みんなでお餅つきをします。つきたてのお餅のおいしいこと! 大晦日は、朝から市場へ買い出しにでかけます。お正月料理の材料や、お正月ならではのおもちゃも売っていて、市場は大賑わいです。家に帰ってからも、お餅をお供えしたり、しめかざりを飾ったり・・・・・・。終い湯に入ってからは、年越しそばを食べて、お寺におまいりに出かけます。
お正月を迎える前の、日本ならではの年末のせわしない様子、こまごまとした準備の様子、新しい年を心待ちにしている家族の様子が楽しく描かれた絵本です。絵本に書いてある文章以外のドラマもいっぱい。絵の隅々までじっくり見て、楽しんでもらいたい一冊です。
読者の声より
ひろくんとゆうちゃんは、お正月休みに家族でおじいさんとおばあさんのうちへ出かけました。
その日は再会の様子。29日からは31日まで一日ごとに、正月準備の様子が描かれています。
家の掃除はもちろん、障子の張替えにお餅つき、商店街や露店での買い出し。おせち料理を作ってしまい湯に入って年越しそばを食べて新しい服を枕元に用意して、除夜の鐘つき。
これでも全部書ききれない、事細かに描かれた家族の年末。
2歳の娘が大いにハマって、季節も何もなく思い出したように持ってくる絵本です。
時に自分で出してきては露店の人ごみをジ~ッ。穴が空くほど見つめております。
向きの関係で売っている物が描かれていない店が、いったい何屋さんなのか、それはそれはしつこく追及していました。
正直うちは実家でもここまで丁寧に正月準備をしていないのですが、娘の胸にお正月は、こんな風に収まっているようでもあります。
実家がそんなだから母もここまでの思い出はないにしても、小さい頃にに感じた大掃除や買い出しの感触が形のない思いとしてこみ上げてきました。
わからないながらも刻み込まれていった自分だけの師走が絵になったみたいです。
そしてこれを読んで餅つきにたいへん憧れていた娘。
このたび幼稚園での餅つき初体験に、えらく喜んでいたと先生から報告を受けました。
絵本と実体験が、またひとつ結びつきました(^^)
(てぃんくてぃんくさん 30代・ママ 女の子4歳)
12月30日 朝早くから準備して、家族みんなでぺったんとったん
火曜日は『14ひきのもちつき』
季節感あふれる自然を背景に、14ひきの様子をじっくり眺めながら読んでいくのが楽しみな「14ひきの」シリーズ。12冊目のテーマは「おもちつき」。お正月にぴったりな内容ですね。
朝早くから準備が始まって、一日かけておもちを味わうまでが丁寧に描かれていきます。「おもちつき」の準備ってどんなことをするのでしょう。お米の下準備や、ついたおもちをのす方法、おもちのつき方までしっかり分かります。へぇー、うすの下にわらのざぶとんをしくんだ……なんて発見もいっぱい。
もう読者にお馴染みの、いっくんからとっくんまで子ども達が、それぞれ何をしているのか目で追っているうちに、気分はすっかり家族の一員。こんなにうきうきする行事を家族でできるなんて、やっぱり大家族って素直にうらやましくなってしまいますよね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
読者の声より
14匹の大家族だと、家族でもちつきができるので素敵ですね。私たちも親戚集まって昨年末にもちつきをしました。見てるのとやってみるのとでは大違い。思った以上にうまくいかず大変でした。息子も、きねの重さにびっくりしていました。
そんなもちつきをしたときのことを思い出しながら親子で読みました。
やっとのことでおもちができて、つきたておもちを食べる場面では、私も息子もつきたておもちのおいしさを思い出し、また食べたいね~とおなかがすいてきました。
家族の仲の良さに心が和む、温かい気持ちになれる絵本でした。
(てつじんこさん 30代・ママ 男の子6歳、男の子4歳)
12月31日 大みそか、大黒さまの台所はごちそう作りで大忙し!
水曜日は『はらぺこえびすのおしょうがつ』(2025年11月刊)
大みそか、大黒さまの台所では、新年会のごちそう作りで大いそがし。ところが、釣ってきたはずのタイがどこにも見あたりません。「しゃあないなぁ」とえびすさま、年越しそばも食べずに海へ。だけどおなかがすいていて、見るもの見るもの、なにもかもがお正月のごちそうに見えてきた……。
食と人をテーマに創作活動を続けるはらぺこめがねのふたりがえがく、おなかのすくお正月絵本。大人気『はらぺこサンタのクリスマス』に続く第2弾!
今回は、おせち料理がテーマです。次から次へ登場する、伝統のおせち料理。迫力満点、おいしそうな絵に目がくぎづけ。テンポよく、おめでたい気分がいっぱい! 巻末には絵本に登場したおせち料理がひと目でわかるイラスト一覧つき。
合わせておすすめ。
2026年1月1日 日本の伝統食・おせち料理の素晴らしさがたっぷり!
読者の声より
子供の頃、おせちのくわいが苦手だった。
芽がでるというのでおせちには欠かせないものだが、食べきれない。
だから、芽が出ないままおとなになったのかもしれないが、いつの頃からおいしく感じるようになった。
つまりは、くわいは大人の味なのだろう。
おせちにはどこか懐かしい思い出がある。
(2024年)12月28日の朝日新聞「天声人語」で
「文と絵が内田有美さんの『おせち』という絵本が今、人気だそうだ」と紹介されたのが、
この絵本。
筆者が書いていたように「写真のような精密な絵にやさしい説明がつく」。
「黒豆、だて巻き、田作り。一品ずつ由来が浮かぶのは私が昭和の人間だからかも」と書いていたが、 それはおせちゆえの、あるいはお正月ゆえのことかもしれない。
ちなみに、この絵本でくわいにはこんな説明がつきます。
「たけのこ くわい/めがでてのびる/めのものたくさんいただいて/すくすくそだって/おおきくなあれ」
とにかくこの絵本の魅力はなんといっても、その絵。
写真ではないかと見間違いそうになる。だから、料理がとにかくおいしそうなのだ。
天声人語では「平成育ちの親と令和の子が一緒に学べるのも、人気の理由か」とあったが、
そこに昭和の祖父母がおせちにまつわる思い出話なんかをするのもいい。
お正月にはこの絵本を開きながら、
お重をのぞきこんで、これはこういう由来だったのかと話が弾みそうだ。
(夏の雨さん 60代・パパ)
1月2日 羽根つき、凧揚げ、すごろく。百人一首に書き初め…
金曜日は『十二支のお雑煮』
夜の雪もやみ、元旦の朝をむかえます。
ねずみたちが、年のいちばんはじめに汲む水「若水(わかみず)」を汲み、この水でお雑煮をつくります。
ねずみ、うし、とら、うさぎ、たつ、へび……みんなきちんと着物を着込み、膝の上に手を置いて。
十二支そろって……あけましておめでとうございます。
さあ、新年です。
きらびやかな何段ものお重に詰められたお節料理。
鏡餅にやってくる年神さまにご挨拶をし、初詣へ。
十二支の動物たちは、羽根つき、凧揚げ、すごろく。百人一首に、書き初めと思い思いに楽しみます。
そして、神さまに供えるのと同じお餅を、鍋で煮込んだお雑煮をいただきます。
作者・川端誠さんによると、お雑煮は、神さまにお供えする同じお餅を食べることで、一年の力を授かろうとしたものだとか。
お雑煮をつくる火を大切にするため、他の煮炊きをしないように年末に重詰めにしたのがお節料理。
年末につくるのがお節で、年始につくるのがお雑煮。
だから正月の祝いの膳の主役はお雑煮なのだそうです!
絵本からは、ぴんとはりつめた年始の空気、清冽な水、お正月のとくべつな気配が伝わってきます。
川端誠さんと言えば多くの絵本の本文を、彫刻刀で彫っています。
本書も彫った文字がとても素朴で味わい深いです。
最後は白い雪の中、しめ飾りを外し、朱塗りのお膳をきれいにしまい、赤く燃え上がるどんど焼きで締めくくられます。
白と赤色のコントラストといい、十二支の動物たちの生き生きとしてユーモラスなにぎわいといい、作者が愛する日本のお正月文化を、ページのすみずみまで余すところなく描こうとする姿勢が貫かれた素敵な絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
読者の声より
同じ川端誠さんのシリーズ本『十二支のお節料理』が大好きなので、こちらを見つけてとても嬉しくなりました。
十二支それぞれのお正月の過ごし方。すごろくや羽つきやたこ上げなどなど、いろいろ楽しんでいます。そして、いのししが餅を焼き、さるが雑煮を作ります。
いろんなお雑煮が並びます。いくら雑煮やブリ雑煮、あんこの入った雑煮もあります。友だちと「家の雑煮ってどんなの?」なんてこの本を見ながら、聞いてみたりしました。みんなそれぞれ違って、楽しかったです。
お正月に読むのにぴったりの絵本です。
(クッチーナママさん 40代・ママ 女の子17歳、女の子14歳、男の子12歳)
1月3日 いいことがありますようにと願いをこめて…
土曜日は『おみくじ』
木の筒をジャラジャラ振って、出てくる棒で運勢を占う、おみくじ。神社へお参りしたときは、必ずおみくじをひくという方も多いのでは。ちょっとした運試しなんて思いつつ、ひくときはみんな真剣そのもの。結果に一喜一憂してしまったりするものですよね。
「2回連続『凶』が出た!」、「あの子ばっかりいつも『大吉』!」、「ここのおみくじどうなってるのー?!」なんて思ったこと、ありませんか?
そんなとき、おみくじの箱の中では、こんなことが行われているのかも・・・?
こんな会話が聞こえてきます。
「おやぶん、こんどの にんげんは おさいせんを ケチりましたー!」
「なに!?よし、大凶、おまえがいけ!」「へいっ」
「おやぶん、つぎの にんげんは すっごい べっぴんさんです~!」「よし、おれが いこう♪」
箱の中で話しているのは、おみくじの棒たち。えらそうなヒゲを生やしているのが、おやぶんの大吉。おみくじの結果は、おやぶんの大吉の気分次第というわけです。
そんなある日、おみくじたちの声を聞いてしまった男の子に、小吉の棒が持ち去られてしまったから、さあ大変!「小吉をかえしてください~!」おみくじたちは、泣いて神頼み。いったい、どうなってしまうのでしょう。
絶妙な設定がユニークな、きたあいりさんの作品。1作目の「おしゃべりメニュー だれがいちばん?」(ひさかたチャイルド)に続き、ユーモラスな雰囲気と場面展開の楽しさが、読み聞かせにもおすすめです。読んだ後のおみくじは、余計にワクワクしてしまいそう。初詣の時期にぴったりの一冊ですね。
(掛川晶子 絵本ナビ編集部)
読者の声より
2年生のクラスで読みました。
最初はガヤガヤしていた教室内も、絵本を見せた途端、、インパクトのある表紙に、目が釘付けになっていました。話をすすめるうちに、お話にひきこまれているのが分かるくらいに、見入っていました。
明るい絵のタッチで、はっきりと大きめの絵が、遠くからも見やすいうえ、起承転結が分かりやすく、何より面白い!ので、大勢での読み聞かせにぴったりだと思います。
表、裏の見返しは、「おみくじしんぶん」になっていて、おみくじの豆知識が楽しめます!
(ハリボーさん 40代・ママ 男の子11歳、女の子8歳)
1月4日 「たこたこあがれ」天まであがったらどうなるの?
読者の声より
魚屋のてっちゃんが友だちとたこあげしたら、てっちゃんのたこは、どんどんぐんぐん、どんどんぐんぐん上がっていきます。天まで上がって、どうなるの?凧揚げとタコ、これがキーワードで楽しめる絵本です。商店街の子ども達で凧揚げを楽しむ・・下町の雰囲気がありどこか懐かしさも感じられました。
(ぼんぬさん 40代・ママ 女の子3歳)
毎週月曜更新の連載「今週の今日の一冊」。今年も楽しんでいただけたでしょうか。
この連載も今回で441記事目。毎週、その時々の行事や記念日、季節や気持ちなどからテーマを考え、作成してきました。中でも「絵本」「読み物(物語)」「図書館」「読書」に関する記事などは人気がありますし、私自身も作るのが楽しいです。他には気持ちに関するテーマの時も力が入ります。
ぜひ何か読む本をお探しの時には、過去の記事ものぞいてみてください。
また来年も、新しいテーマも発掘しながら、楽しくお届けしていけたらと思っております。
来年もどうぞよろしくお願い致します。
秋山 朋恵(絵本ナビ副編集長)
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