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“耳で絵本を読む”ように楽しむポッドキャスト番組「五味太郎 絵本の時間」

ポッドキャスト番組【五味太郎 絵本の時間】#6『まどからおくりもの』しかけ絵本/人生のペンディング

日本を代表する絵本作家の一人、五味太郎さん。1973 年に『みち』(福音館書店)でデビューしてから 50 年以上、これまで350 冊以上の絵本を手がけ、そのうち 100 点以上の作品が世界 30 カ国以上で翻訳出版されています。
いまも新しい作品を生み出し続ける五味太郎さんが、その創作の背景や絵本への思いに加え、普段の考えから本音の話まで本人の語りで届けるポッドキャスト番組「五味太郎 絵本の時間」がスタートしました。(放送は全9回を予定)

 

本記事では、1月23日(金)の第六回目配信で取り上げた絵本を紹介します。

番組内で紹介された絵本『まどからおくりもの』『きいろいのはちょうちょ』『とうさんまいご』

今回配信で取り上げたのは、1983年に刊行された『まどからおくりもの』と『きいろいのはちょうちょ』、『とうさんまいご』の3冊(すべて偕成社)。

 

3冊それぞれのユニークなしかけが楽しく、五味太郎さんの作品の中でも大人気のシリーズです。しかし五味さんはというと、元々しかけ絵本は「全然嫌い」だったのだとか! ちょっとドキリとする意外な一言ですが、「やってみたらおもしろかった」と五味さん。「(本を)めくったときに裏と表っていう物理があるのは、これ使えるかもね」と思い、それが『きいろいのはちょうちょ』の穴あけしかけに繋がっていったそうです。

そこから「“紙を切る”という、本ではあまりやってはいけない手法に“必然性”を持たせて、3つの(異なる)方法で制作した」と言う五味さん。それぞれをどんな気づきから制作したのかとても興味深く、3冊全て並べてじっくりと味わいたくなりました。

 

ほかにもアニメーションや挫折のエピソード等、ファンには興味津々の話題が五味さんと聞き手・堀井美香さんとの軽快な会話でどんどん繰り広げられます。途中で登場する偕成社の編集者・秋重さんのコメントもお聞き逃しなく!
五味さんの頭の中を覗かせてもらっているような約25分を、どうぞじっくりお楽しみください。

『まどからおくりもの』

まどから おくりもの

「きょうは どうやら クリスマス。」

サンタクロースが空からやってきましたよ。これから、みんなの家をまわって、窓から贈り物を配るみたい。部屋をのぞいてみると、みんなぐっすり眠っています。目が覚めたら喜ぶよね、きっと!

……ところが。
このサンタさん、なんだかちょっと慌てもので大ざっぱ!?
窓からのぞくと見える姿はねこさんの顔。じゃあ、贈りものは可愛いリボンね!
サンタクロースは投げ込みましたが、ページをめくると、なんとそこに寝ていたのは「ねこさん」の絵柄のパジャマを着たブタさんだったのです。

次にやってきた家の窓。今度はしましまの模様が見えます。
サンタクロースは、思います。

「ここは どうやら しましまさんのおうち。」

ページをめくってみると、やっぱり違う。
その部屋で寝ていたのは、なんと…!?

「五味太郎 しかけ絵本」シリーズ3作目のこの絵本。みんなの家の「窓」の部分が穴あきのしかけになっていて、ページをめくると、その部屋の中の意外な様子が見られるのです。慌てもののサンタクロースは間違ってばかり。だけど、この絵本を読んでいる子どもたちは、その間違え方に夢中!笑ったり、正しい答えを叫んだり。ページをめくるたびに楽しい事件が巻き起こります。

さて、どうやら全て配り終わったサンタクロース。間違った贈り物をもらったみんなは、ちゃんと喜んだのかな? 安心してくださいね、ちゃんと最後には上手いことおさまったようです。しかけが楽しい小さな子どもから、勘違いを楽しめる子どもたちまで。幅広い年齢層に毎年大人気のクリスマス絵本です。

 

(磯崎園子  絵本ナビ編集長)

『きいろいのはちょうちょ』

きいろいのはちょうちょ

「きいろいのは ちょうちょ」

だって、そうでしょ。どんなところにいたって、目に飛び込んでくる黄色くてフワフワしているものと言えば。ほら、ここにもきいろいの!

「…あれ、ちょうちょじゃない」

男の子が思いっきり振りおろした網の中から出てきたのは、黄色いお花。でもでも、やっぱり「きいろいのはちょうちょ」のはず。今度こそ!

「あれれ?」

きいろいのはちょうちょ、どうしたってちょうちょ…のはずなのに!?


ちょうちょを捕まえようと、網を持って追いかける男の子が主人公のこのお話。絵本の中に登場するのは、きいろくてフワフワして羽がふたつあって。読者だって思うのです。「あ、ちょうちょ見つけた!」ところが、ページをめくってみると…そこにいたはずのちょうちょが違うものに変わってる!きいろいけれど、ちょうちょじゃない。おかしいな、確かにいたと思ったのに…。

この繰り返しで進んでいくのですが、最大の魅力は「穴あきしかけ」になっているというところ。ちょうちょだと思っていたものは、じつは穴になっていて、めくれば全然違うものに変身している! 同じ色なのに、こんなものに!? 同じ形なのに、こんな見せ方があったか! パズル的な要素もあって、バツグンに楽しめるめくりしかけ絵本。

「ちょうちょだと思っているそれは、本当にちょうちょなのかな?」

絵本の中から、作者・五味太郎さんのいたずらっぽい声が聞こえてくるようですね。

(磯崎園子  絵本ナビ編集長)

『とうさんまいご』

とうさんまいご

父さんとデパートでお買い物。ところが、ぼくがおもちゃを研究している間に…父さんが迷子になった!?
大変、探しに行かないと。

「なんだ、いた いた、あのせびろ……」

柱のかげに見えるのは、背広を着て帽子をかぶった人。さっそく見つけたと思って、柱をまわってみると…あれ!? 違う! 父さんじゃない。父さんよりもちょっと立派すぎる。

「あっちに いた いた、あのぼうし……」

あれ、全然違う。今度はだいぶオシャレすぎ。今度こそ、あの靴は。いやいや、あのネクタイは!……いったい父さんはどこにいったの?

男の子が迷子になった父さんをデパート中探しまわるこのお話。父さんの着ていたスーツや帽子はしっかり覚えているはずなのに、やっと見つけたと思ったのに、みんな知らない人。実際にあったら大変な出来事です。ところがこの絵本の一番の面白さは、この間違いにあるのです! デパートの売り場の柱やショーケースやピアノの下など、ページの中の場面の一部分が切りおとしのしかけになっていて、チラッと見えている父さんらしい小物を手掛かりにページをめくってみると、全然違う人が登場する、というわけなのです。その巧みなしかけには、大人だって驚いちゃうほど。最後のエスカレーターのシーンなんて……。しかけは絵、だけとは限らないようです!?

何年経っても色褪せないかっこ良さのある「五味太郎 しかけ絵本」シリーズの第2作目。作者が絵本に対して本気で遊んでいる様子が伝わってきます。『きいろいのはちょうちょ』『まどから おくりもの』と合わせてどうぞ。

(磯崎園子  絵本ナビ編集長)

配信は以下【「五味太郎 絵本の時間」を視聴する】より視聴可能です。ぜひ五味太郎さんの生の声で、改めて絵本を味わってみてくださいね。

ポッドキャスト番組「五味太郎 絵本の時間」について

本企画は、五味太郎さんの作品を刊行する複数の出版社(福音館書店、偕成社、岩崎書店、絵本館、ブロンズ新社、文化出版局)の協力により制作されています。
デビューから半世紀以上、今なお第一線で活躍している五味太郎さんの魅力を絵本ファンのみならず多くの方に知ってほしいとの思いで、出版社の垣根を越えて実現しました。
番組では、それぞれの出版社が刊行する代表作を通して、五味太郎という作家の多面的な魅力を紹介し、聴き手が “耳で絵本を読む” ように楽しめる番組を目指しています。

  • 番組名:五味太郎 絵本の時間
  • パーソナリティ:五味太郎(絵本作家)/堀井美香(フリーアナウンサー)
  • 配信開始日:2025年12月12日(金)10:00スタート ※毎週金曜日10:00頃~ 配信
  • 配信プラットフォーム:Spotify/Apple Podcasts/Amazon Music/YouTube Music ほか
  • 配信回数:全9回(予定)
  • 企画:福音館書店、偕成社、岩崎書店、絵本館、ブロンズ新社、文化出版局
  • 制作:TBSラジオ
  • 協力:絵本ナビ

五味太郎(ごみたろう)さんプロフィール

1945 年生まれ。工業デザイナーを経て絵本の世界へ。著作は 350 冊を超える。サンケイ児童出版文化賞、ボローニャ国際絵本原画展などで数多くの賞を受賞。絵本に『きんぎょが にげた』『ひよこは にげます』『みち』『みんなうんち』(以上、福音館書店)『かくしたのだあれ』『たべたの だあれ』(ともに文化出版局)『さる・るるる』(絵本館)「ことわざ絵本」シリーズ(岩崎書店)『まどから おくりもの』「言葉図鑑」シリーズ(ともに偕成社)「らくがき絵本」シリーズ(ブロンズ新社)など多数。絵本論『絵本をよんでみる』(平凡社)、絵本の仕事をまとめた『五味太郎 絵本図録』(青幻舎)がある。海外翻訳も多数。2025 年『ぼくは ふね』(福音館書店)で第 30回日本絵本賞大賞を受賞。

展覧会「五味太郎 絵本出版年代記展 ~ON THE TABLE」が開催中!

絵本作家・五味太郎がデビュー以来描き続けた、総タイトル372作に海外30カ国以上で出版された翻訳本を加え、五味太郎の絵本の全貌を展示する展覧会「五味太郎 絵本出版年代記展 ~ON THE TABLE」が、2025年12月12日より東京都渋谷区のLURF GALLERYで開催されます。1階カフェでは、タブロー(絵画)やシルクスクリーンなどの作品もご覧いただけます。

  • 会期:2025年12月12日(金)〜2026年2月15日(日)11:00〜19:00(12月30日〜2026年1月6日は休館)
    ※会期が延長しました(旧会期:2月2日(月)まで )
  • 入館バッジ(期間中有効)1500円 ※未就学児は無料
  • 場所:LURF GALLERY 東京都渋谷区猿楽町28-13

会期中のギャラリートークについて

『五味太郎絵本出版年代記展 ON THE TABLE』では、全著作372タイトル+海外翻訳本を並べ、「本」を作る楽しさ、「出版」という世界の広がりを展示する、絵本作家・五味太郎。
あらためて自身の作業を振り返りつつ、本の魅力について、スペシャルゲストをお招きして語り合うギャラリートークが開催されます。

 

ギャラリートークは全6回(予定)。会場ではもちろん、オンライン配信での参加も可能です。ポッドキャスト番組と合わせて、五味太郎さんの魅力をぜひ味わってみてくださいね。

次回・第七回目のポッドキャスト配信は1月30日(金)を予定しています。お楽しみに!

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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