【今週の今日の一冊】だれかを大切に想う心とともに ~春の門出を応援する絵本~
いよいよ3月。卒園や卒業を迎える親子の皆さんも多いことでしょう。そして4月の入学、進級を前に、楽しみな気持ちと同じくらい、不安やさみしさも胸に広がる時期なのではないでしょうか。勇気をくれる物語、安心をくれる言葉、自分らしく一歩を踏み出す力をくれる絵本など、今週は、気持ちが揺れ動く時期の子どもたちと大人に贈る応援の絵本をお届けします。身近な場所でだれかを大切に想う心が、希望へとつながっていきますように。
2026年3月2日から3月8日までの絵本「今日の一冊」をご紹介
3月2日 みえないほどのチビチビだったちび竜は、今や……
月曜日は『ちび竜』
誰もが心の中で憧れを抱いているかもしれない、竜。
想像するのは、あの壮大な姿。
ところが、その竜が生まれてきたのは……雨つぶの中!
小さな小さなちび竜が最初に出会うのは、水たまりで出会ったボウフラ。
一緒にぴんぴんしながら、彼らは言うのです。
「みんなで ちび竜 うまれるのを たのしみに まっていた。」
そして、教えてくれます。ちび竜はここを飛び出して、どんどんでか竜になる、と。
その言葉通り、たんぽぽの綿毛で飛び立つと、とんぼに飛び方を教えてもらい、フナからは「うろこ通信」のやり方を、もぐらからは「土」の色んなことを。うさぎと飛びくらべをし、こうまとかけっこをし、杉の木と背くらべ。さらに、入道雲から…海から…山や森と…。そうやってあらゆる自然界の友だちと遊びながら、仲良くしながら、やがて神通力も身につけて。
みえないほどのチビチビだったちび竜は、今や……
光る青い地球を抱いている!
あらゆる命のキラキラした輝きを、うたうような言葉にのせてお話を作り出す詩人工藤直子さん。最初は驚くほど愛らしいちび竜の姿を、めくるたびに迫力を加えていき、やがて地球を包み込むほどのスケールの大きさへと変化させていく絵本作家あべ弘士さん。
そのラストのシーンに感動を覚えながら、それでも嬉しいような、くすぐったいような気持ちが残るのは、工藤さんが誰も彼もを私たちの「ともだち」として描いてくれているからでしょうか。竜はきみの心の中にも……いる!
自分だけの本棚にしまっておきたくなる1冊です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
読者の声より
どんなお話なのか知らずに一年生の娘に読み聞かせをしました。竜が小さなつぶからうまれたという発想にわくわくしながら、心地よい言葉のリズムを楽しんで読み進めました。
シンプルなイラストが次第にダイナミックに壮大に変化していく様子が素敵で、見開きであらわれた大きな竜の姿は、「ひかる あおい 地球を だいている」という言葉と共に胸に響き、とても感動的でした。
ラストには工藤直子さんの力強い言葉のメッセージが続き、どんな子もありのままで前を向いて生きていけるように背中を押してくれているんだな~と感じました。娘にも伝わっているといいなと思いながら読みました。多くの子どもたちに触れてほしい一冊です。素敵な絵本に出合えました。
(ouchijikanさん 40代・ママ 女の子12歳、女の子7歳)
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3月3日 せなけいこさんがつむいだ詩の贈りもの
火曜日は『せなけいこ詩画集 ちいさな世界』
絵本作家せなけいこさんからの詩の贈りもの、「ちいさな世界」。
折り紙のような正方形の装丁に、表紙には私たち絵本の読者が馴染んできた愛らしい子どもたちの顔。ワクワクしながらめくると、最初に登場するのは、せなさんが子どもの頃にはじめてつくったという「土星の詩」です。せなさんの絵本の元になっている世界観がぎゅっとつまっているようです。
さらに季節感あふれる自然の風景から、子どもたちの日常の言葉まで。せなけいこさんの代表作である数々の絵本の絵とともに、次々と登場します。なんて贅沢な一冊なのでしょう。
子どもたちへのあたたかなまなざしと、独自のユーモアセンス、そして声に出せば元気が出てくるリズム感。詩の世界からも存分に味わうことができます。巻末には歌人の穂村弘さんによる解説も。
この春届いた、せなけいこさんからの贈りもの。新しい世界へ踏みだそうとしている子どもたちへ、春を心待ちにしている大人にも。心を明るくしてくれるこの一冊。プレゼントにもぴったりですね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
3月4日 もうすぐ小学生になるきみへ
水曜日は『そつえんするってことは』
読者の声より
3月に卒園式を控えている息子。幼稚園では「もうすぐ1年生だから。」と求められることが増えてきました。卒園式の練習も少しずつ始まるようです。小学校がどんなところか、不安が膨らんでいるようです。そんな中で、少しでも優しくイメージできるものを探していた時に一目惚れした絵本です。ほんわか優しい絵で、どうして小学校に行くのか、子どもたちにも伝わるように説明してくれています。4月まで読み過ぎず、ゆっくり息子と一緒に読んでいけたらと思います。彼の中で卒園や小学校への入学がイメージでき、不安が少しでも和らぎますように。
(はとねたぬきさん 40代・ママ 女の子9歳)
3月5日 谷川俊太郎さんが母校へ残したメッセージ
木曜日は『あなたに』(2026年2月刊)
矛盾を抱えて生きるあなたへ──、人生をともに歩む詩、絵本化
・詩人・谷川俊太郎氏の母校で、1968年から卒業式で朗読され続けている詩「あなたに」を待望の絵本化!
・火・水、人間の持つ矛盾を通して、生きることの根源を描いた詩に、日本絵本賞受賞作家・ザ・キャビンカンパニーが新たな生命を吹き込む
・人生の節目や困難な局面で手に取るたび、前へ進む勇気と力を与えてくれる美しい一冊
詩人・谷川俊太郎氏の母校で1968年から卒業式で朗読され続けている詩「あなたに」が、待望の絵本化。火と水、人間の持つ矛盾を通して生きることの根源を描いた美しい詩に、日本絵本賞受賞作家・ザ・キャビンカンパニーが新たな生命を吹き込みました。人生の節目や困難な局面で手に取るたび、前へ進む勇気と力を与えてくれる一冊。矛盾を抱えて生きるすべての人に贈る、人生をともに歩む詩絵本。
3月6日 あのこがずっとしあわせでいられますように
金曜日は『あのそらをきみにあげたい』(2026年2月刊)
なかよしの2ひきのねこ、ミーナとゼブラ。ミーナの飼い主がひっこしてしまうことになりました。もうすぐ2匹はお別れです。ゼブラはミーナの心にのこる、とくべつなプレゼントをあげたいと思いました。
出会いと別れの季節に、ぴったりの切なくも心温まる絵本です。
読者の声より
小学校で6年生へ最後の読み聞かせに読む本をずっと探していました。
卒業向けの絵本を探していておすすめされて出てくる本は、皆、新しい世界に旅立つ誰かに向けて鼓舞したり「素晴らしい世界が待ってる!さぁ!進もう!」と言うような内容ばかりで、私が子供たちに伝えたい事とはどうも違い、どうしたもんかと頭を抱えつつ入った本屋さんでこちらの本を見つけました。
「だいすきなあのこが、ずっとしあわせでいられますように」本の帯に書かれていた作者さんの言葉です。
「あぁ、これだ、これが伝えたかったんだ…」と思い、手に取り、中も読んでみて大正解!
離れ離れになってしまうけど、ずっとずっと大事に思ってるよ。どうか幸せに。
その気持ちがたくさん詰まった優しい本でした。
まだ、読み聞かせしていませんが、子供たちに伝わるといいなぁ…
(みき(・ω・)さん 40代・ママ 女の子12歳)
3月7日 子どもたちにこそ、たいせつなことを伝えたい
土曜日は『まどさんからの手紙 こどもたちへ』
「どうか みなさん、まいにち まいにちを
むだにしないで げんきいっぱいに やってください。」
きみがそうしてくれることを、お母さんもお父さんも、世界中の大人が、いや地球が宇宙が、そう願っている……子どもたちにそう伝えているのは、詩人まど・みちおさんが84歳の時にふるさとの小学校の子どもたちに送られた手紙です。
「子どもたちにこそ、たいせつなことを伝えたい」そう強く願い、100歳になっても詩を書き続けたまどさん。その魂の言葉は、どれも子どもたちにもわかるやさしいものばかりです。この手紙も、すべての子どもたちへむけて書かれたものでしょう。
画家ささめやゆきさんの絵が入り、さらに多くの子どもたちが手に取り読めるよう、1冊の本となりました。子どもたちを思う全ての大人にも。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
読者の声より
普段あまり意識しないことですが、命は時間です。
まどさんから母校の子どもたちへと綴られた手紙を読んで、今生きている時間、これからの未来の時間について考えました。今この瞬間を精いっぱい生きる、そしてその精いっぱい生きた瞬間の連なりが自分自身を作っていく。
本の見返しの手書きの字はまどさんご自身の字でしょうか。ひらがなで小さな子どもたちにもわかりやすく、また言葉も平易なものを使いとてもわかりやすくかつ心をこめて綴られたことがわかります。
まどさんの母校の子どもたちだけでなく、この地球すべての子どもたちに贈られたメッセージのような手紙だと思います。
子どもだけでなく、これを読んだ大人たちもしっかりと言葉を受け止めて生きていきたい、そんな気持ちになるお手紙でした。
(はなびやさん 40代・ママ 男の子12歳)
3月8日 ひかりをあびて かぜをあびて あめをあびて
日曜日は『きみはいっぽんの木』(2026年2月刊)
きみは いっぽんの 木
おかの うえに たっている
えだは そらへと のびている
ねっこは ちきゅうと つながっている
ひかりをあびて かぜをあびて あめをあびて
いきている
小さないきもの、大きないきもの、風、ブランコ、かさ、病院にいるひと。
ひとつひとつに心をよせて。すべてのものとつながりながら、生きていることのへ喜びをうたう絵本。
【作者のことば】
公園で、大きな木をながめていたら、こんなことを思いました。
「もしもわたしが、あの一本の木だったら、どんな気持ちだろう?」
足下では、小さなアリが歩きまわっています。
「もしもわたしがアリだったら?」
つぎからつぎへと、いろんなものの気持ちを想像してみました。
「鳥だったら? 犬だったら?」
それぞれがみんな、じぶんの場所で精一杯生きていることを感じて、胸がいっぱいになりました。
地球は大きいけれど、宇宙からみたら小さなひとつの星です。
その地球のうえで、太陽の光をわけあい、どこかでつながりながら、たくさんの命が生きているということ。今、じぶんがここに生きているということ。
そんな奇跡のような「今」を、みなさんと一緒に感じられたらうれしいです。
(やまぐちりりこ)
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- 2025.03.03【今週の今日の一冊】卒業を迎える子どもたちを応援する絵本

- 2024.03.04【今週の今日の一冊】卒業生に贈る絵本

新しい一歩を踏み出す子どもたちに「がんばって」と声をかけながら、その姿から勇気をもらうのは、大人のほうかもしれません。節目の3月。揺れ動く気持ちを抱えながらも、ともに頑張っていきましょう。
選書・文:秋山 朋恵(絵本ナビ副編集長)
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