ちこくのしくみ。
皆さん大人なので、あんまり声に出して言わないでしょうが。
遅刻した時の理由って、人それぞれ大体同じパターンに陥っているものです。
最もスタンダードな理由は「寝坊」でしょう。
でも、それって本当?
急ぐと、転んでしまう。
焦ると、ついついゆっくりしてしまう。
目はしっかり開けているのに、電車を乗り過ごしてしまう。
家を出る前、なぜかお腹が空いてしまう。
こんなフワっとした理由、なかなか他人には伝わりません。
聞かされた方だって、いまいち腑に落ちません。
だから「寝坊」の一言に封じ込めちゃいます。
現に、私もかなりの早起きです。余裕がありすぎる時間に起きて、ぼーっとしているのが好きで……ゴニョゴニョ。こんな話、面白くないですね。遅刻のしくみって、そんなものです。
だけど、ジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシーくんの遅刻の理由は、そんなゆるいものじゃありません。
いつもちこくのおとこのこ-ジョン・パトリック・ノーマン・マクへネシー
ジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシーは、今日もお勉強しにてくてく出かけます。
ところが、途中でワニが現れて、ノーマンのかばんにかみついて離れません。
「ワニなど すんでおらん」
遅刻したジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシーは、先生に反省文を書かされます。
次の日はもっと大変。ライオンがジョンのズボンをやぶいてしまいます。
「そんなものはおらん」
ジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシーは、先生にうそをつかないと唱えさせられます。
今日こそは…でも高潮がきてジョンをさらっていこうとするのです。
なかなか時間通りに行けないジョンは、今日も先生に怒られます。
なんだか夢を見ているようです。
子どもの頃、やらなくちゃ、やらなくちゃ、と思うと全く上手くいかなくなる。
そんな夢をよく見たものです。
ジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシーにふりかかる災難の数々。それは本当に一大事なことばかり。詳しく聞いてみなければいけません。いや、聞いてみたくなる出来事ばかりです。でも、先生は一切耳をかしません。もったいないことです。
先生にだって、一大事が起こることはあります。でも、もう興味ないよね。ジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシーが本当に知りたいことは、もっと別のことなんですから。
遅刻、と聞くとちょっとかしこまってしまう方も多いかもしれません。でも声に出して読んでみれば、これは実に痛快なユーモア絵本なのです。子どもたちは、笑いながらこの物語を楽しみますよ。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
きちんと説明のできない私と違って、ジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシーくんの理由は実にはっきりしています。
遅刻なんてしたくないのに、どうしてこんなことが起こるのか。そこに答えが見つからないってことは、大人だって知っていること。もしかしたら、子どもたちの方がとてつもない出来事を乗り越えて、学校に通ってきているのかもしれませんよね。
勝手に妄想して、ちょっとワクワクしてきちゃいました。
色々な事が起こるバーニンガムの世界
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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