【編集長の気になる1冊】きらいなものは、きらいなの!! 『きらいさ きらい』
あれが、きらい。
これが、きらい。
きらいなものは、きらい。
きらい、きらい、きらい、きらい!
どうして、こんなにきらいなのーー?!
子どもの頃から、「すき」っていう気持ちは胸にしまっておくことができるくせに、「きらい」っていう感情には振りまわされてばかり。
「きらい」が「すき」になる場合もあるけど、
「すき」過ぎて「きらい」になる場合もある。へんなの。
でも「きらい」っていう感情には、案外自分の関するたくさんの情報がつまっているものなのです。地団駄踏むほど「きらい」なものに遭遇した時、試しに紐解いていってみると面白いかもしれません。
例えば…
「あの先生がどうしてもきらい!でも、どうして?」
・怒っている顔がいや
・理由がわからないのにすぐ怒る
・そういう時ってあるよね
・…あれ?わたしとそっくり?
・似ているから嫌なのか…
・ということは、自分が嫌いなの?
・いやいや、自分は好き。
・だって、自分のことは許せるもん。
あれあれ、勝手なものです(笑)。
じゃあ、他の人はどうなのかな?
「きらいなたべものってある?」
「ピーマン」
「どうして? あなた八百屋さんでしょ?」
「これには深いわけがありまして…」
かなり気になります。
あー「きらい」って面白い。「きらい」ってクセになる。
明確な理由のある「きらい」、理由が不明確な「きらい」。
色々な「きらい」を楽しみたかったら、こんな絵本がありますよ。
きらいさ きらい
「アイスクリームは あついのが きらい」
「すぐに とけちゃうから」
わかる、わかる。
とけちゃったら、アイスクリームじゃなくなっちゃうものね。
じゃあ、寒いのは?
…やっぱり「きらい」なんだって。どうして、どうして?
「せっけんは きれいな手が きらい」
「あまり やくに たたないから」
なるほど、確かに出番がありません。
自分の存在価値に悩んでしまうかもしれません。
じゃあ、きたいない手は好きなのかと言えば…そうでもないの!?
納得の「きらい」、意外な「きらい」。こんな風に、意外なものたちの「きらい」が次々に登場するこの絵本。不思議な「きらい」も出てきます。
「トンカツきらいな にくやさん」
何があったの?
途端に知りたくなってしまいます。
きっとそこには、深くて長い理由があるはずです。
いや、理由なんてなくて困っているかもしれません。
端から見ていると、なんだか可笑しいですよね。
もともとあまり前向きなイメージがない「きらい」という言葉。子ども達はもちろん、大人だって結構持て余しているに違いない感情です。でも、こうして並べてみると「きらい」って、なかなか興味深くて面白い!そこには、自分を知る、他人を知る、大きなヒントが隠れているのかもしれないからです。
「だったら、楽しく悩んじゃおう!」
中川ひろたかさんと工藤ノリコさんのユーモアセンスが、みんなを全力でバックアップしてくれていますよ。
「ぼくのきらいなものは…?」
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
「絵本がきらいな絵本屋さん」。
…なんていう人がいたら、途端に話を聞いてみたくなっちゃいますよね。
あ、私はちがいますよ。念のため。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
この記事が気に入ったらいいね!しよう ※最近の情報をお届けします |