もやもや、フワフワっとした気持ちを形にすると…?
例えば。
ぐっすり眠る小さなあかちゃんの寝顔を見ている時の気持ちを言葉にしてみてって言われたら。すぐに答えられるでしょうか。
ずっとぐずっていると思ったら、ふと自分の顔を見てニコッって笑ってくれた我が子の顔を見た時の気持ちを言葉にしてみてって言われたら。
「…なんていうか、こう、ほわっとあたたかくて、かわいくて、食べちゃいたくて、でもつねってみたくなったりもするし。」
それをそのままあかちゃんに伝えてみて、って言われたら。
「んーーー」「かわいいねえ」「かわいいねえ……」
私の語彙力なんて、そんなものです。(がっくり)
それでは、息子がまだあかちゃんの頃、そんな、もやもや、フワフワっとした、持てあますほどの愛しい気持ちをどうしていたのでしょう。今思えば、この絵本たちに託していたように思うのです。
いいおかお
ふうちゃんがひとりで、いいおかおをしていたら、「いいおかお、みせて」ってねこがきたんですよ。いぬがきて、ぞうさんがきて、みーんなでいいおかおしていたら、おかあさんが、おや、みんないいおかおねっていってくれて…。
『いないいないばあ』と同じコンビ、松谷みよ子さんが文を書き瀬川康男さんが絵を描いたあかちゃんのための本です。まつげをそろえておめめをつぶる、すましたような表情がたまらない。いいおかお、いいおかお…やさしい響きが印象に残ります。最後は、「ああ おいしいおいしい おいしいはどーこ」。顔いっぱいに「おいしい」お顔をしているふうちゃん、ねこ、いぬ、ぞうさん。幸福感がぎゅっとつまった絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
もうねんね
ねむたいよう、ワン。いぬもねんね。ねむたいよう、ニャーン。ねこもねんね。めんどりもひよこも…そして「もうねんね モモちゃんもねんね おめめがねむたいよう」。ねむそうなお顔が愛らしくて、読むこちらもついついつられてあくびが出そう。松谷みよ子さんの「おめめつぶって くうくう ねんね」「おめめつぶって とろとろ ねんね」繰り返しのリズムに揺られている気分になります。
『いないいないばあ』と同じコンビ、松谷みよ子さんが文を書き、瀬川康男さんが絵を描いています。『いないいないばあ』で動物たちがぱっちりおめめで「ばあ!」をしていたのとは対照的に、本書ではだあれもおめめをあけていませんよ。ねむくてねむくてもうおめめが閉じてしまったお顔ばかり。最後は「みんなねんね おやすみなさい」。…お布団で読んであげたいなあ。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
いないいないばあ
「いない いない ばあ」「にゃあにゃが ほらほら いない いない…」
ページをめくれば、おめめぱっちりのにゃあにゃが
「ばあ」。
次はくまさんが、ネズミさんが、キツネさんも。
そして最後にはのんちゃんも「いない いない ばあ。」
絵本を読み進めるたびに、あかちゃんがわらってくれます。
その安定した笑顔の繰り返しがこの絵本の一番の魅力です。
私たちが子どもの頃からずっと愛され続けてきた『いないいないばあ』。
息子にも毎日毎日読んで聞かせていました。
声に出してわかる、その響きの優しさ。
何回もめくってみてわかる、あかちゃんが喜ぶ絵本のつくり。
そして、なんといっても子どもに決してこびることのない、
でも、その生き生きとした表情は大人になるまで心に残る瀬川康男さんの絵。
みどころをあげていくときりがないのですが、それもそのはず…(続きはこちら>>>)
「いいおかお みせて」「おいしい、おいしいはどーこ」「もうねんね モモちゃんもねんね」。その頃は意識なんてしていなかったけれど、この絵本を読む時は、それはもう自然と優しい声が出るのです。だから、繰り返し繰り返し読んであげていたのです。
もしかしたら、もっと自然に愛情を言葉にしてあげられるようなお母さんには必要のない絵本なのかもしれません。
でも、少なくても私にとっては、我が子に言葉として愛情を伝えてくれる、まさに「役に立つ絵本」であったことは間違いありません。作者の松谷みよ子さんが「あかちゃんのための文学を書こう」という決意のもとに誕生したという絵本。実際に読んでみて納得のシリーズなのです。
「松谷みよ子 あかちゃんの本」シリーズ
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