「第9回 MOE絵本屋さん大賞2016」贈賞式開催!1位はヨシタケシンスケさんの作品
MOE絵本屋さん大賞とは?
月刊MOEが、全国の絵本専門店・書店の児童書売場担当者3000人にアンケートを実施、2016年に最も支持された新刊絵本30冊を決定する年間絵本ランキングです。
毎年恒例となったこの企画、月刊MOEの最新号2017年2月号に巻頭大特集としてランキングや作品の紹介、さらに受賞作家へのインタビューまで掲載されているので、この1冊を読めば最近の絵本の特徴や動向がよくわかる、というわけです。
「MOE 2017年2月号」MOE絵本屋さん大賞2016
MOE 2017年2月号
出版社: 白泉社
■ 巻頭大特集 ■
全国の絵本屋さん3000人に聞いた2016年の絵本ランキング
第9回MOE絵本屋さん大賞2016
● 絵本屋さんが選んだ2016年の絵本ベスト30発表!
● 第1位~第5位 受賞作家インタビュー
● 第6位~第10位 受賞作家コメント
● 第9回MOE絵本屋さん大賞2016 新人賞・パパママ賞
● 絵本屋さん座談会 2016年の絵本の特徴とは?
● 第11位~第30位 受賞作紹介
● MOE読者が選ぶ わたしのベスト絵本
● 絵本トピックス2016
「第9回 MOE絵本屋さん大賞2016」贈賞式が開催されました
先日、その「第9回 MOE絵本屋さん大賞2016」の贈賞式が開催されましたので、参加させていただきました!
入り口には受賞作品がずらり。どれも年間を通してよく目にした絵本ばかりです。
ワクワクしてきますね。
お出迎えは「ぶーちゃんとおにいちゃん」。
MOE絵本屋さん大賞の新シンボルキャラクターになったのです。
表紙にもなっているこのイラストは、島田ゆかさんによる描きおろしです。
贈賞式には、MOE絵本屋さん大賞2016でベス10に選ばれた作品の作家さん、あるいは担当編集者の方が出席され、それぞれ受賞のコメントを発表されました。
そして印象的だったのは、ベストレビュアー賞に選ばれ、壇上でスピーチされていた書店児童書売り場の方々のコメント内容です。
それぞれにレビューを寄せた作品に対する思いや、売場でのエピソードなど、現場での熱が伝わってきて、会場を感動の空気で包むと同時に「絵本屋さん大賞」の企画の意味をしっかりと感じさせてくれました。
そんな熱い絵本屋さんたちに選ばれた作品と作家さんを、改めてご紹介したいと思います。
第2位 「このあと どうしちゃおう」 ヨシタケシンスケさん ブロンズ新社
しんだおじいちゃんがかいた「このあと どうしちゃおう」ノートがでてきた。
「じぶんが しょうらい しんだら どうなりたいか」が、かいてある。
「うまれかわったらなりたいもの」「こんなかみさまにいてほしい」......なんだかおじいちゃん、たのしそう。
でも、もしかしたらぎゃくだったのかもしれない。
ぼくだったら、どうしちゃおうかな。いま、いきているあいだに、かんがえてみよう!
ヨシタケシンスケさんが1位、2位独占です!
そして、なんと絵本屋さん大賞の第1位が3回目という快挙。圧巻です。
『もう ぬげない』、『このあと どうしちゃおう』。
テーマは全く違うけれど、どちらもありふれた日常の一コマの出来事や会話を切り取りながら、ヨシタケさん流の視点やユーモアセンスで多くの読者を楽しませてくれます。
自分ではどうしようもない状況になり、「もうおしまいだ」と主人公に言わせたかったという『もう ぬげない』。
あきらめる子どもが主人公…本当に新鮮な発想です。
一方『このあと どうしちゃおう』のテーマは「死」。ご両親の死をきっかけに、どうしても描きたかった作品なのだそう。
こんな風にもっと日常的に死んだあとのことを話せたら、もうちょっと心が救われたかもしれない。
そんな強い思いも込められていたんですね。
第3位 「ノラネコぐんだんおすしやさん」 工藤ノリコさん 白泉社
大人気絵本『ノラネコぐんだん』シリーズ、第3弾!
まわるおすしが気になったノラネコぐんだんが、またまたなにやらたくらんでいるようす。
夜中にこっそりおみせにしのびこんで、ニャーニャー、ガラガラ、ドッカーンと大あばれ!
絵本ナビでも大人気、工藤ノリコさんの「ノラネコぐんだん」シリーズの3作目が第3位にランクインしました!
シリーズの既刊2作も過去にMOE絵本屋さん大賞で入賞しています。これもすごいことですよね。
工藤ノリコさんのスピーチでも、みんなが大好きな恒例の爆発シーン「ドッカーン?」をこれからも描いてくださるとおっしゃっていました。嬉しいことです。
読者はいつもストーリーの展開にハラハラしながらも、ノラネコたちが正座して反省している姿を待っているんですよね(笑)。
第4位は、『しごとば』や『たべもんどう』、『す~べりだい』など、すっかりMOE絵本屋さん大賞でもお馴染みとなっている鈴木のりたけさんです。
見たことのないものを見せたい!とおっしゃる通り、のりたけさんの作品はどんどん印象が変わっていきます。
今回の『とんでもない』も、これまでとまた違って重厚な雰囲気。
そんな中で動物たちから発せられる言葉は不平不満ばかり。
そのギャップに、あっという間にその世界に引き込まれていってしまうのです。
第5位は読み聞かせの現場からも大人気の絵本、『ぺんぎんたいそう』です。
作者の齋藤槙さんが学生の頃にはすでに描かれていたというこの絵本、今では子どもたちみんなが真似するように!
これから、まだまだ色々な現場で引っ張りだこになりそうな絵本です。パパママ賞でも第3位に入っています。
第6位はこのインパクトのある表紙が忘れられない絵本『ネコヅメのよる』の町田尚子さんです。『いるのいないの』ではゾクゾクするような怖さを表現していた町田さん、この作品ではご自身の家の猫を主人公にしているそう! 今度は猫好きたちの心をがっちり鷲掴みしてしまっています。
第7位には、またまたねこの絵本。2016年には絵本作家としても大ブレイクしたヒグチユウコさんの作品です。本物になりたいぬいぐるみのニャンコの物語。登場するねこたちの表情を見ているだけでも時間を忘れてしまいそうです……。
この日はご都合で欠席された大島妙子さんでしたが、富安陽子さんがこの作品の誕生の秘密を話してくださいました。
実はこの絵本、富安さんの2014年の初夢が元になっているのだそうです。赤鬼がスーツを着て、家族に見送られながら地獄へと出勤する。血の池地獄にクモの糸が垂れていて……。目が覚めてすぐに原稿を書き上げた富安さん。そんな奇想天外な世界を見事に実現させてしまったのが、大島妙子さん。そしてその物語を絵本屋さんたちが大いに喜んだ結果、第8位にランクインしたのがこの絵本『オニのサラリーマン』というわけだったのです。面白すぎます。
第9位 「やさいのがっこう とまとちゃんのたびだち」 なかやみわさん 白泉社
やさいの子どもたちが、おいしいやさいになるためにかよう「やさいのがっこう」。あこがれの「ごうかくシール」を貼ってもらうため、みんな毎日ふんとう中。とまとちゃんも真っ赤になる日を夢見て、がんばります。読めばやさいが好きになる!
第9位は、なかやみわさん。去年に引き続き、今年も新作がランクイン!
絵本ナビでもインタビューさせていただいた、新シリーズ1作目の『やさいのがっこう とまとちゃんのたびだち』です。次回作も楽しみですよね。
スピーチでは「これからも子どもに寄りそう絵本をつくっていきたいです」と強くおっしゃられていたのも印象的でした。
第10位 「うめじいのたんじょうび」 かがくいひろしさん 講談社
今日はうめじいのたんじょうび。ところで、うめじいって、いくつなんだろ?
100さい? 200さい? 1000さい?
浅漬けきゅうりや、たくあんや、らっきょう漬けや千枚漬けが、梅干しのうめじいを囲んで、たんじょうびを祝います。
あらゆるものへのあたたかい目線あふれる、ゆかいな絵本。
第10位は、かがくいひろしさんの幻の絵本『うめじいのたんじょうび』です。こちらも絵本ナビで特集記事を公開しています。
うめじいのキャラクターのもとになっているのは、かがくいさんのお母さまだそう。もともと2004年に行われた講談社絵本新人賞の佳作作品だったこの作品。デビュー10年を記念して発売されることになったのです。
スピーチでは、担当編集者の方よりかがくいさんの奥様からのメッセージも読みあげられました。
最後は、今年から新設されたパパママ賞1位を受賞されたえがしらみちこさん。
0・1・2歳向けのファーストブックが対象となっていて、絵本屋3000人のアンケートで選べれたノミネート作品から、小学校入学前のお子さんのいるパパ・ママによるweb投票で選出されたとのこと!小さな子どもたちとパパ、ママに愛されている作品です。
最後に絵本屋さん大賞受賞作家さん、ベストレビュアー賞受賞の絵本屋さん、島田ゆかさんが全員集合して…!
※前列左から、富安陽子さん・鈴木のりたけさん・ヨシタケシンスケさん・齊藤槙さん・町田尚子さん・なかやみわさん。
後列左から、島田ゆかさん・ジャック鷲津駅前ブック館 山本幹子さん・紀伊國屋書店 横浜店 花田優子さん・平和書店 TSUTAYAアル・プラザ城陽店 奥田真弓さん・有隣 堂 テラスモール湘南店 由元麻美さん・未来屋書店 イオンモール岡崎店 長谷川 直美さん・えがしらみちこさん
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