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プラチナブック選定作品

【プラチナブック選定作品】母から娘へ伝えられる「変わらないこと」とは?『そらはあおくて』(あすなろ書房)

絵本ナビプラチナブックメダルとは…?

絵本ナビに登録されている「絵本」ジャンルの作品(約2万4,000作品)のうち、
レビュー評価・レビュー数・販売実績などから算出された、TOP3%のとびきりの人気作品が「プラチナブック」です。
全国の書店店頭には、プラチナブックメダルの目印をつけて、並んでいます。

絵本ナビ1000万人ユーザーが選んだ”とびっきり”の人気作からご紹介するのはコチラ!

そらはあおくて

アルバムの中でこちらを見てほほ笑んでいる女の子は、髪を一つに束ねて、リボンで結んでいる。服だって、なんだか私の服とちがう。

「このこ、おかあさんなの?」

女の子はおかあさんにたずねます。だって、お人形だって、お買いものに行くお店だって、お家のなかだって、今とちがうみたい。だけど、おかあさんは言うのです、大切なことはなにもかわっていないって。

「そらは あおくて、くさは みどり。
 ゆきは しろくて つめたくて、
 おひさまは まぶしく あたたかい。
 いまと おんなじだったのよ」

寝る前におかあさんが明かりを消しにきてくれるのも、暗い部屋のおふとんの中で耳を澄ますのも、みんな今の私といっしょ。おばあちゃんも、ひいおばあちゃんも、やっぱり今の私といっしょ。それって、ほんとなの……?

アメリカの児童文学作家シャーロット・ゾロトウが1963年にかいたお話が、なかがわちひろさんの訳と杉浦さやかさんの絵で生まれ変わったこの作品。舞台はアメリカだけれど、どれだけ時代をさかのぼっても変わらないもの、普遍的なもの、そして親子の深い結びつきというのが、女の子とおかあさんの会話を通して、そして各時代の女の子たちの表情を通して伝わってきます。

どこを切り取っても愛らしいこの絵本だけれど、眺めて楽しい、そして口に出して気持ちいいのは、女の子がはだしで青空を見上げるシーン!(ブランコに乗っていたり、寝転んでいたり、走り回ったり……ポーズはそれぞれだけどね。) 子どもたちへ、そしてその子どもたちへ。この絵本が読み継がれていくことを思うと、なんだかふんわりくすぐったいような、幸せな気持ちになってくる一冊です。

ユーザーの声をご紹介します。

同じ空の下

何世代にもわたってアルバムに残された写真の女の子は、母親であり祖母であり、そのまた母親であり、暮らしや衣服の移り変わりが見えて、とても興味深く見比べました。
でも、この絵本の言いたいことは、空の青さや、雪の白さは昔も今も変わらないということです。
そして、自分の未来にも継承していくということです。
この視点は素晴らしいと思います。
人間自体も、人を愛する心は変わらないということにつながっていくのですから。
(ヒラP21さん)

イラストも可愛い絵本。

小学校2年生の我が家の娘が一人読みしました。
女の子にぴったりな可愛らしいイラストの絵本です。
登場人物たちの服装にもなんだか目に行ってしまう,そんな絵本です。
そう!おばあちゃんもお母さんも「女の子」だったのよ。
そして,そこにはやっぱり青い空があったな~確かに!
青い空を見上げて綺麗~って言えるそんな環境と心でいられる中で子供を育ててあげたいなと思いました。
今の子供達は色々忙しすぎるので。。。
(まゆみんみんさん)

絵を担当した杉浦さやかさんのインタビューが読めます。

https://www.ehonnavi.net/specialcontents/contents.asp?id=432

インタビューの一部をご紹介

───(今回の絵本の)依頼があったのは、いつ頃ですか?

2年半前です。『童謡えほん』(あすなろ書房)でお仕事をご一緒した編集者さんから、「杉浦さんにぴったりの絵本があるんですけどどうですか」と、訳の草案を送っていただきました。

───それが今回の『そらはあおくて』だったのですね。

はい。原書は『THE SKY WAS BLUE』。なかがわちひろさんの訳文を読んですごく感動して、「描きたい!」と思いました。
「描きます!」とすぐにお返事しました。

───なぜ「描きたい」と思ったのでしょうか。

とにかくおはなしが素晴らしいんですよね。はじめて訳文を読んだとき、わくわくして、頭には絵が浮かんでいました。
読み終わったらもう涙が出てきて……。
ちょうどその頃、娘が生まれて3歳くらいだったのかな。
自分と娘にも当てはまるおはなしで、これは今わたしが描きたい絵本だ、今描かなくては、と思いました。

「おかあさんが こたえます。『そうよ。おかあさんが、いまの あなたと おなじころ』」(『そらはあおくて』より)

───ご自身も子育て中でいらっしゃるんですね。

もうすぐ6歳になる娘がいます。
作品の中で古いアルバムを見ながら「このこ、おかあさんなの?」と尋ねている子は5、6歳くらいかなと思って、草案を読んだときから、娘が5歳になるまでに絵本を完成させたい!と勝手に思っていました。ぎりぎりで間に合いました(笑)。

───「おかあさんが こどものころって、いまと なんだか ちがうのね」という女の子に、おかあさんが返す言葉が素敵ですよね。

この「そらはあおくて……」一文が繰り返し出てくるのですが、なかがわちひろさんの訳のリズムが、すごく気持ちいいんです。
やさしくて、大きく包み込まれるような感じが伝わってきて……。
何度読んでも胸に迫る文章だなあと思います。

「たいせつなことは すこしも かわっていない。そらは あおくて、くさはみどり。」(『そらはあおくて』より)
掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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