【プラチナブック選定作品】温かな友情を描いたレオ・レオニ後期の名作絵本『いろいろ1ねん』
絵本ナビに登録されている「絵本」ジャンルの作品(約2万4,000作品)のうち、
レビュー評価・レビュー数・販売実績などから算出された、TOP3%のとびきりの人気作品が「プラチナブック」です。
全国の書店店頭には、プラチナブックメダルの目印をつけて、並んでいます。
絵本ナビ1000万人ユーザーが選んだ”とびっきり”の人気作からご紹介するのはコチラ!
大人も子どもも楽しめる『いろいろ1ねん』の魅力をご紹介します。
魅力① 『あおくんときいろちゃん』『スイミー』を生み出したレオ・レオニの作品
レオ・レオニという名前は聞いたことがなくても、赤ちゃん絵本の定番『あおくんときいろちゃん』や、教科書にも載っている『スイミー』を知っている人は多いと思います。
その超有名な2作品を生み出したのが、レオ・レオニです。
1910年にオランダで生まれたレオ・レオニは、1959年に『あおくんときいろちゃん』で絵本作家としてデビューします。
以降、1999年に亡くなるまで、40冊近くの作品を発表しました。
1992年に出版された『いろいろ1ねん』(日本では2000年に出版)は、レオ・レオニ作品の中でも、後期の名作として有名です。
レオ・レオニ
1910年オランダ アムステルダム生まれ。
イラストレーター、グラフィックデザイナー、および絵本作家として、米国でもっとも活躍した芸術家のひとり。
「あおくんときいろちゃん」(至光社刊)「スイミー」「フレデリック」「アレクサンダとぜんまいねずみ」「さかなはさかな」「うさぎをつくろう」「じぶんだけのいろ」(以上好学社刊)などの作品がある。1999年没。
魅力② 双子のねずみと一本の木の、種族を超えた友情物語
主人公はウィリーとウィニーの双子のねずみ。
そして、二匹が出会った1本の木「ウッディ」。
物語は2匹と1本の1年間の交流が1ページに1月ごとの流れで描かれていきます。
雨を楽しみにしたり、花を咲かせてみたり、いい匂いのおいしそうな果物を実らせてみたり。 ウッディの1年はとても変化に富んだことばかり。 それをウッディと共に体感するウィリーとウィニーは、私たち読者の代弁者として、一緒に驚いたり喜んだりしてくれます。
読み終わるころには、ウィリー、ウィニー、ウッディと1年苦楽を共にした友だちのような気持ちになれる絵本です。
魅力③ 谷川俊太郎さんの訳が作品に何重にも深みを与えてくれます。
絵本の原題は「A BUSY YEAR」。
直訳すると、「忙しい1年」もしくは「賑やかな1年」になります。
しかし、訳者の谷川俊太郎さんは「BUSY」を「いろいろ」と訳しました。
この「いろいろ」はウィニーとウィリー、ウッディのいろいろな事があった1年のことを示しています。
さらに、この「いろいろ」には、絵本の中で描かれる四季を通じた「色とりどり」な一年のことを指しているとも感じられます。
読者はページをめくるごとに、ねずみたちとウッディを取り巻く季節の変化を、レオ・レオニの色鮮やかな切り絵から感じることができることでしょう。
絵本ナビ代表・金柿秀幸もオススメ!
───『いろいろ1ねん』は、レオ・レオニ作品の中でも珍しい、縦長の絵本ですよね。この絵本にはどのような思い出がありますか?
娘と2人で一番沢山読んだ絵本なんです。
主人公が木なんですよ。しかも言葉を話す!
それだけで魅力がグッと増しますよね。
娘のお気に入りページは5月の花が咲いている場面と9月の実りの場面。
そして、8月のおやすみの月。
8月は今まで出ていたねずみが2匹とも登場せず、木のウッディだけなんです。
「そんなのもありなんだー!」と。レオ・レオニの遊び心にやられた!と思いますね。
───レオ・レオニ作品の中で一番沢山読んだ絵本ということですが、カナガキさんはどんなときに娘さんと絵本を読むんですか?
うちは夜寝る前以外にも、日常のいろんな場面で絵本を読みました。
でも、『いろいろ1ねん』は、寝る前に持ってくることが一番多かった絵本ですね。
1月に出会って、春が来て、花が咲き、実がなり、葉が落ちて、冬が来る。
12月になって「もうすぐ また、あたらしい 1ねんが、はじまる」というラストの一文を読むとふっと落ち着く。
当時の娘にとってリラックスできる絵本だったんだと思います。
『いろいろ1ねん』に寄せられたユーザーの声をご紹介。
細長サイズがいいですね
木と友達!
1ヶ月毎にその関わりがあります
その関わり方がなんとも
いいです
ずっと、べたべた一緒なわけではなく
11月の場面では
クリスマスのプレゼントのおはなしで
「でも、たいせつなのは、きもちでしょ」
に、思わずくすっと
どうするのかな?って
ページをめくると・・・
なんか、あっという間に
ほのぼの1年が過ぎちゃいました
(しいら☆さん)
谷川俊太郎さんのつけたタイトルが素敵
現題は、『A BUSY YEAR』
『いろいろ1ねん』と訳した谷川俊太郎さんのセンスがほっこりする。
みなさんなら、どう訳すでしょうか。
ねずみのウィリー、ウィニーがウッディという名前の木とおともだちになり、1年を通してあたたかな友情を深めていくお話。
木を擬人化するとき、おじいさんだったりすることが多い気がするけれど、ウッディは女性のきれいな話し方をする。
季節の移りかわりが、レオ・レオニさんのキレイな色合いとタッチで楽しめます。
気づくとあっという間に1年が過ぎてしまいます。
(hinatawalkerさん)
プラチナブック4月選定作品
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