【プラチナブック選定作品】子どもの言い訳「それはウソ」と勝手に判断していませんか?『いつもちこくのおとこのこ ージョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシー』
絵本ナビ1000万人ユーザーが選んだ”とびっきり”の人気作からご紹介するのはコチラ!
どうしても遅刻してしまう少年と彼を厳しく罰する先生の立場が、ある日逆転したら…。生きた言葉のくり返しがユーモラスな絵本。
遅刻してしまうのには理由があった……。
『いつもちこくのおとこのこ―ジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシー』の魅力をご紹介します。
繰り返しのテンポとナンセンスな出来事に笑いがこぼれるユーモア絵本
ジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシーは、明け方から勉強をしに出かけていきます。
でも、いつも途中で不幸な目にあってしまい、学校に遅刻します。
ある日は、一匹のワニがマンホールから現れて、カバンにかみついて離さなかったから。
ある日は、一匹のライオンがしげみから現れて、ジョンのズボンをやぶいてしまったから。
ある日は、高潮がジョンをさらっていこうとして、波が収まるまでうごけなかったから。
…どうですか? なんて不運なことばかり起こっているのでしょう。
でもそれは本当? それともウソ?
分かるのはこの”ありえない”繰り返しがとてもテンポよく描かれていて、「次は何が起こるんだろう……」とおはなしの世界にたちまち引き込まれていくこと。
上質なナンセンスこそが、プラチナブックに選ばれた理由のひとつです。
どんでん返しが起こるラストの爽快感は格別!
ジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシーは遅刻するたびに、その理由を先生にまっすぐ報告します。
でも先生はジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシーの言葉を一切信用せず、
遅刻するたびに、ジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシーに罰を与えていきます。
でも、ある日、ついに先生が、ジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシーが言っていたことが真実であったと知る日がやってきます。
先生は一体どうなってしまったのか……。
そのとき、ジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシーはなんと答えたのか……。
ぜひ絵本を読んで、ラストの爽快感を味わってください。
この絵本を手がけたのは、絵本界を代表する2大巨頭!
ジョン・バーニンガム
1936年イギリスのサリー州に生まれる。
若いころは、兵役を拒否し、さまざまな仕事をしながら世界中をまわった。
その後、ロンドンにある美術学校に通いながらイラストの勉強をし、ポスターなどを描いていたが、はじめて手がけた絵本『ボルカはねなしガチョウのぼうけん』でケイト・グリーナウェイ賞を受賞、絵本作家として鮮烈にデビューした。
その後『ガンピーさんのふなあそび』で再度受賞し、この賞を2度受賞したはじめてのイラストレーターとなる。
『ガンピーさんのドライブ』『おじいちゃん』『ねんころりん』『旅するベッド』など多数。
夫人は著名な絵本作家であるヘレン・オクセンバリー。
ジョン・バーニンガム/作、谷川俊太郎/訳の作品
磯崎編集長のオススメコメント
ジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシーは、今日もお勉強しにてくてく出かけます。
ところが、途中でワニが現れて、ノーマンのかばんにかみついて離れません。
「ワニなど すんでおらん」
遅刻したジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシーは、先生に反省文を書かされます。
次の日はもっと大変。ライオンがジョンのズボンをやぶいてしまいます。
「そんなものはおらん」
ジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシーは、先生にうそをつかないと唱えさせられます。
今日こそは…でも高潮がきてジョンをさらっていこうとするのです。
なかなか時間通りに行けないジョンは、今日も先生に怒られます。
なんだか夢を見ているようです。
子どもの頃、やらなくちゃ、やらなくちゃ、と思うと全く上手くいかなくなる。
そんな夢をよく見たものです。
ジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシーにふりかかる災難の数々。
それは本当に一大事なことばかり。詳しく聞いてみなければいけません。
いや、聞いてみたくなる出来事ばかりです。でも、先生は一切耳をかしません。もったいないことです。
先生にだって、一大事が起こることはあります。でも、もう興味ないよね。
ジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシーが本当に知りたいことは、もっと別のことなんですから。
遅刻、と聞くとちょっとかしこまってしまう方も多いかもしれません。
でも声に出して読んでみれば、これは実に痛快なユーモア絵本なのです。子どもたちは、笑いながらこの物語を楽しみますよ。
絵本ナビユーザーの声をご紹介します。
理由がすごいんです!!
ジョン・バーニンガムさんの絵が好きなので、図書館の本棚に立てかけてあるのを見て、手に取りました。
すごいんです!! 男の子の遅刻の理由が。
言い訳と取るんのか本当と取るのかを議論するなんて、やぼったいんですが、本当だったらすごすぎる。
でも、男の子ならありえるかも、この理由。また怒られても、淡々と罰の課題をこなすのも、なんかクスっと笑えます。
全然反省していないでしょうね。でも、もしかしたら本当なのかな?
だって男の子、結構毎日、太陽が昇るころに一生懸命家を出ているんですもの!!
裏表紙の内側にびっしりと書かれた、
I must not tell lies about crocodiles and I must not lose my gloves.
も、なんかユーモアがあっていいです。装丁というのかな? そこまで凝っているのが素晴らしい。
そして最後に先生に起きた悲劇もブラックで、イギリスらしいですよね。男の子の願望なのかな?
個人的には、男の子のフルネームが長いのも私のつぼでした。
ジョン パトリック ノーマン マクヘネシー。読んでて楽しくなります。
(汐見台3丁目さん)
先生はわたしかも……
「ジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシー」
という名前が繰り返しでてくるのが、呪文みたいで面白い、と思って学校の読み聞かせで読みました。
図書室にかなりの人数が集まって、ざわついた中での読み聞かせだったのですが、良く聞いてくれていたと思います。
いつもとんでもない出来事に巻き込まれ、遅刻してしまうジョンの話しを、端から嘘と決めつける先生。
・・・自分の姿に重なってしまいました。
大人ならなんでもないことでも、子ども達にとっては重大事件ということがたくさんあるのかも。
だって、まだ数年しか生きていないのですから、初めて出会う困難もいっぱいあるはずです。
子どもの言い訳、子どもの目線でしっかり聞こう・・・と思いました。
さもないと、この先生のように、最後は子どもに置いて行かれちゃいそうです・・・
(アサさん)
プラチナブック4月選定作品
プラチナブックメダルとは…?
絵本ナビに登録されている「絵本」ジャンルの作品(約2万4,000作品)のうち、
レビュー評価・レビュー数・販売実績などから算出された、TOP3%のとびきりの人気作品が「プラチナブック」です。
全国の書店店頭には、プラチナブックメダルの目印をつけて、並んでいます。
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