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プラチナブック選定作品

【プラチナブック選定作品】100年前の生活、災害、奇跡の出来事が絵本から伝わる。『森のおくから むかし、カナダであった ほんとうのはなし』

最近多くなったと感じる台風などの自然災害。
災害の被害を目にするたびに、自然の驚異と無慈悲なまでの公平さを感じずにはいられません。
しかし、災害は同時に今まで気にも留めていなかった身近に生きるものとのつながりの大切さを気づかせてくれることがあります。
それは、近代化の進んだ現代日本も、100年前のカナダの田舎町もおそらく同じこと。
2017年に出版された『森のおくから むかし、カナダであった ほんとうのはなし』には、約100年前に本当に起こった自然災害と、そこから生まれた人と野生動物との奇跡が綴られている絵本です。

絵本ナビ1000万人ユーザーが選んだ”とびっきり”の人気作からご紹介するのはコチラ!

森のおくから むかし、カナダであった ほんとうのはなし

これは、いまから100年ほど前に、カナダでほんとうにあった話です。
アントニオは、深い森にかこまれた、みずうみのほとりにすんでいました。近くに子どもがいなかったので、アントニオの友だちは、はたらくおとなたち。動物をさがして、ひとりで森を歩くことも好きでした。
ある夏、おそろしい山火事がおきました。にげる場所は、ただひとつ──みずうみです。人間も、動物も、必死に生きのびようとしたそのとき、アントニオの目の前で、思いもよらないことがおこったのです……。

人間と動物の思いがけない出あいを繊細に描いた、胸に迫る絵本です。(5歳から)

『森のおくから むかし、カナダであった ほんとうのはなし』魅力をお伝えします。

孫が描く、100年前の祖父の体験と当時の人々の生き生きとした姿。

舞台は1914年のカナダ。
5歳の少年アントニオは、ゴーガンダ湖のほとりで母親の営む3階建ての大きなホテルで暮らしています。
絵本の中には、子どもらしい仕草のアントニオの目を通して、ホテルで働く大人たちの様子、ホテルに泊まっている客の姿が描かれています。
薪を集め、壊れた部分を修理し、かまどを使って料理を作る。
客室に置かれている旅行かばん、釣り竿、猟銃。
暗闇の中、ランプの灯りの周りでトランプに興じる。
ひとつひとつが、繊細なタッチで丹念に描かれていて、見ていくだけでも、当時の人々の暮らしをリアルに感じることができます。

作者のレベッカ・ボンドは、今は亡き祖父のアントニオ・ウィリー・ジローから幼い頃の出来事をいろいろ聞いて育ったそうです。
その中でもレベッカの心を捕えて離さなかったのが、このアントニオが5歳の頃に体験した話だったのだと言います。

(前略)
でも、わたしがいちばんすきなのは、祖父が自分の子どもたちに語って聞かせ、そして、母がわたしに語ってくれた、この話です。
わたしの子どもたちは、もうアントニオに会うことはできません。
でも、だからこそ、わたしは子どもたちに、ひいおじいさんが子どものころ、オンタリオ州ゴーガンダで出あった、このおどろくべきできごとを話してやりたいのです。
(「作者あとがき」より)

炎の熱、むせかえるような獣のにおいを感じる物語。

前半のアントニオから見た暮らしの様子が、線画とセピア調の色でまとめられているため、物語のクライマックスで起こる山火事の炎の、赤黒く煤けた色彩が迫りくるような迫力で際立って感じます。
絵を通して、読者は絵本の世界に入り込み、燃える火の熱さや、水の冷たさ、こもるような獣のにおいを五感で受け取ることでしょう。
普段の生活では味わうことのできない体験を、この作品で体感してください。

2018年、小学3,4年生の読書感想文 課題図書に選ばれました。

『森のおくから』は2018年、小学3,4年生の課題図書に選ばれています。
選定理由は、「絵の描写が素晴らしく、命の危機に立ったときの生きものたちの姿を考えさせる」ということ。
この作品を選んだ子どもたちは、どんな感想文を書いたのか、気になりますね。

【こんなタイプの子に特におすすめ!】
心に強く残るお話を読みたい子に
全く想像がつかないような世界を味わいたい子に
犬、猫、鳥などペットになるような可愛い動物だけでなく、野生動物にも興味がある子に
どんなことが起こるのかハラハラするお話なので、ドキドキハラハラを感じたい子に


【どんな本?】
子どもにも大人にも忘れられない強い印象を残す1冊です。
表紙からは、一見暗い印象を受けるかもしれませんが、ページをめくればたちまち惹きこまれ、驚きの場面が待っています。
絵が精密で美しいのもみどころなので、じっくり眺めて、絵から感じるものも大切にしてみてください。

磯崎編集長のオススメコメント

「想像の力」があれば、どんな事だって起こりうる絵本の世界。
だから面白いし、夢中になれるのだけれど、時にはしばらく頭から離れないほど印象に残る「ほんとうの話」というのもあるんだと驚かされたのがこの絵本。

今から100年ほど前に、カナダでほんとうにあった話です。
もうすぐ5歳になるアントニオが住んでいたのは、深い森に囲まれた小さな町ゴーガンダ。
おかあさんが湖のほとりに立っている3かいだてホテルをやっていたのです。
近くに子どもがいなかったので、アントニオの友だちは、ホテルで働く大人たち。
そして、食堂のはしっこの台所の奥にある小さな部屋がアントニオの寝る部屋。
2階の客室のドアが開いていれば中をのぞいてまわり、2段ベッドがずらりと並んだ3階の部屋では猟をする人や木を切る人たちと、夜までにぎやかに過ごします。
アントニオはこの部屋が一番のお気に入りでした。

動物を探しに森の中もひとりで歩きます。
でも、普段は動物はめったに姿を見せません。
猟師がいたり、罠があったりするからです。
もっと奥の方に隠れているのです。

その夏、森から煙が出ているのに気がつきます。
おそろしい山火事が起きたのです。
あっという間に燃え広がり、逃げる場所はただひとつとなりました。
湖です。町にいた全ての人たちが湖に浸かります。
でもそれは、動物たちも同じでした。
その時、目の前で繰り広げられたのは思いもよらない光景で…。

それは、絵本の中でも息を飲む瞬間。
アントニオと同じく、読者もきっといつまでも忘れないことでしょう。
人間と動物を隔てていたものがなくなった、その時間のことを。

絵本ナビユーザーの感想をご紹介します。

出会えることができて幸せ
 

本当の話だからこそ、よりゾワッと鳥肌が立つぐらい、最後の場面が面白かったです。

最後の場面までの子どもの日常も淡々としていながらも丁寧に書かれていて面白いのですが、 最後の場面は当分イメージが心に残りそうです。

今の生活の中でなかなか生き物との共存を実感することは少ないですが、子どもたちにも折に触れ、伝えていきたいので、また読んでいきたくなる絵本に出会えることができて幸せです。
(まことあつさん)

この文体、物語にいざなわれていきます。
 

いやいやいや…。すごい絵本でした。
良かったです。
この淡々とした語り口調は邦訳の際考えられたのでしょうか。
それとも、原文自体、そういう雰囲気をまとっていたのでしょうか。
この文体での世界観が何より素敵で、こういう語り口調だからこそ、いつのまにか読み手や聞き手は物語のなかへいざなわれていくのではないでしょうか。

高学年くらいの読み聞かせにお薦めですが、1ページ内のテキスト(文字)の量がやや多めなので、持ち手が震えてくるし、 文字が絵に同化して読みにくいところもあるので、事前準備をしっかりしておかないと大変なことになりそうです。

アントニオが2階の個室部屋が気になって覗いているシーンは、出来るだけゆっくり子どもたちに見せてあげたいです。
(すごくこだわって色々描かれています)
普段は人間たちのそばへやってこない森の動物たちが、肉食動物も、草食動物も、果ては人間という垣根を越えて、 みんなが湖に避難してきたシーンは、なんともいえない静かな迫力がありました。
(てんぐざるさん)

プラチナブックメダルとは…?

絵本ナビに登録されている「絵本」ジャンルの作品(約2万4,000作品)のうち、
レビュー評価・レビュー数・販売実績などから算出された、TOP3%のとびきりの人気作品が「プラチナブック」です。
全国の書店店頭には、プラチナブックメダルの目印をつけて、並んでいます。

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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