【ふわはね絵本のある時間】2月におすすめの本
絵本講師として10年以上ご活躍中のふわはねさん。絵本講座や絵本コンサル、絵本の読み聞かせ会などを年に200回以上こなしています。そんなふわはねさんに季節にあった絵本と読み聞かせ会の流れについて語ってもらいました。
- 1. 二十四節気(にじゅうしせっき)を意識してテーマを組み立てる
- 2. 読み聞かせのはじまりは「いつもの手遊び歌」から
- 3. まずは【季節の絵本】から
- 3.1. 赤ちゃんから楽しめる節分の絵本
- 3.2. 【昔話】幼稚園~小学校で読み聞かせの定番絵本
- 4. 【大型絵本】大勢と楽しむなら取り入れたい
- 4.1. 掛け合いが楽しめるしかけ絵本
- 5. 【うたえほん】童謡やわらべ歌の力をかりる
- 5.1. 親子で触れ合いながら楽しめるわらべ歌絵本
- 6. 【お話し絵本】寒い冬に親子で一緒に読みたい
- 6.1. 登場する動物の真似っこをしてみたい絵本
- 7. 最後はほっこり笑える絵本
- 8. その他 2月におすすめの絵本
- 9. 絵本の読み聞かせについて思っていること
- 10. ふわはねプロフィール
二十四節気(にじゅうしせっき)を意識してテーマを組み立てる
二十四節気とは…一年を12か月さらにその半分、24個に分けた季節を表す名称です。季節を知るためのものさしとして取り入れられた暦は、自然と共に暮らした人々の知恵が詰まっています。少し意識するだけで季節の移ろいや、日本の伝統行事や習わしを感じられます。それらを子どもたちにも伝えるためにも季節を感じる絵本は読み聞かせラインナップに必ず取り入れます。
2月の場合…立春(2月4日頃)の前日である2月3日は「季節を分ける」と書いて「節分」です。2月は節分の絵本を選びます。
親子読み聞かせ会<想定>
- 対象年齢:0歳~5歳
- 時間:30~40分程度
読み聞かせのはじまりは「いつもの手遊び歌」から
さぁ、絵本とお歌の「ふわはね絵本のある時間」。実際に「読み聞かせ」会をするイメージで流れをご紹介します。
始まりはいつも同じ手遊び歌を歌っています。
♪はじまるよったらはじまるよ はじまるよったらはじまるよ
いーちといーちでにんじゃだよ ドロン!
始まりと終わりの大切さを感じてもらいたいので、毎回この歌を歌っています。まだまだ時間の感覚や記憶の曖昧な小さな子どもにとって、「いつも同じ始まり」「いつも同じ終わり」というのは安心するものです。お話し会やイベント、教室、園での生活も「いつも同じ始まり方」「いつも同じ終わりの歌」や「絵本」がおススメです。
さあ、絵本の時間を始めましょう。
まずは【季節の絵本】から
赤ちゃんから楽しめる節分の絵本『まめのかぞえうた』
ひとーつふたーつ、みっつ、よっつ、いつつ・・・
リズム感のある心地よい音で「まめ」がどんどん生長していきます。太く力強いタッチの絵がまめを生き生きと動かす、これは立派な科学絵本でもあります。
<読み聞かせ時間目安 2分>
【昔話】幼稚園~小学校で読み聞かせの定番絵本『かえるをのんだととさん』
『かえるをのんだととさん』は2月にイチオシの昔話で節分の絵本です。
日本の昔話は、私たち祖先の生きる知恵がつまっています。絵本にはテレビのような効果音も刺激的な光もありません。でも言葉の魅力と絵の面白さでぐいぐいと引き込まれてしまう。この作品には、そんな絵本の力を感じます。
<読み聞かせ時間目安 4分45秒>
ある日、ととさんのお腹が痛くなり、お寺の和尚さんに相談に行くと、和尚さんは「お腹に虫がいるせいだから、蛙をのむといい」と教えてくれます。教わったとおりに蛙をのみこむと、お腹にはいった蛙が虫を食ったのでお腹の痛いのはなおります。でも今度は、お腹の中で蛙が歩くので気持ちが悪くなり、また和尚さんに相談すると、「蛇をのむといい」といわれます。蛇の次は雉、というように前にのみこんだものを食べる動物を次々とのみこみます。その後は、雉を撃つ猟師をのみこみ、次に鬼をのみこみ、最後はお腹の中の鬼を退治するため和尚さんが「鬼はそとー」と、ととさんの口の中に豆を投げ込むと、お腹の鬼は「これは節分の豆だ。痛い痛い。たすけてくれえ」といって、尻の穴からとびだし逃げていくという落ちになっています。
このような聞いて笑える昔話は、とくに子どもたちの好むところです。節分の時期だけでなく、何度も何度も親子で読んでお楽しみください。
このお話は新潟県の「まわりもちの運命」という昔話から採りました。
【大型絵本】大勢と楽しむなら取り入れたい
掛け合いが楽しめるしかけ絵本『ビックブック おめんです』
絵本は目の前30センチの人に向けて作られていると聞いたことがあります。大勢の人たちと絵本を楽しむなら大型絵本がおススメ。一冊でもあるだけでより楽しくなりますよ。『ビックブック おめんです』には鬼や、お福さん、だるまにひょっとこなど今の季節にぴったりのお面がたくさん出てきます。お面の向こうを、誰かな誰かなと想像しながら掛け合いが楽しめる一冊です。
<読み聞かせ時間目安 1分20秒>
『おめんです』がビッグブックになりました!
きつねのおめんに、おにのおめん。おめんをとると・・・、あっとおどろくしかけが待ってるよ。本格的で迫力満点のおめんと、しかけをめくったあとのギャップが楽しいしかけ絵本が、待望のビッグブックに! 読み聞かせの現場で大好評の絵本が、ビッグブックになって、さらに迫力を増しました!赤ちゃんから、小学生まで、だれもが楽しめる作品です。
【うたえほん】童謡やわらべ歌の力をかりる
親子で触れ合いながら楽しめるわらべ歌絵本『あぶくたった』
ねずみのかあさん うたいます おいしくなあれと うたいます。
♪あぶくたった にえたった にえたかどうだか たべてみよ♪
『あぶくたった』はさいとうしのぶさんのわらべうたえほんのひとつです。あぶくたったの歌を邪魔しない流れるような文章。楽しい絵と相まって子ども達に大人気の一冊です。
わらべうたは心が落ち着く優しい旋律と、どこか懐かしい温かさがあります。赤ちゃんや子ども達と触れ合いながら歌い、楽しめる絵本です。
<読み聞かせ時間目安 2分20秒>
【お話し絵本】寒い冬に親子で一緒に読みたい
登場する動物の真似っこをしてみたい絵本『ぽめちゃん』
ふかふかの犬のぽめちゃんが寝ていると、そこに寒そうなねずみくんがやってきて、すぽっ!とモフモフの毛の中に入ります。
「はあーあったか~い!ありがとう」ねずみくん、ぽめちゃんにはいってほかほかいいきもち~!
絵本と一緒に親子で体をゆらしていいきもち~。絵本は黙って静かに聞きなさい!というものではないと思っています。お歌の力も借りながら、大好きな人の温もりのなか楽しんでほしいなぁと思っています。
<読み聞かせ時間目安 3分>
最後はほっこり笑える絵本
「笑う門には福来る」みんなにこにこでさようなら『おふくさん』
お多福(おたふく)って多くの福と書いてお多福。縁を起こすと書いて縁起物。私は日本のこういう言霊が大好きで、いつもそこに気づいてはっとします。幸せの先とかいて幸先(さいさき)など、素敵ですよね。『おふくさん』はそんな福が溢れた絵本。
山の奥に暮らしているにこにこふくふくのおふくさんたち。
ある日鬼がやってきて・・・
奥付にある服部美法さんの言葉が素敵です。
笑う門には福きたる
いつもにこやかにしている人のところには自然に幸運がめぐってくる。
(『国語辞典 第十一版』旺文社)
つらいとき、かなしいときは、みえない おにが やってきて 「おまえを こわがらせてやるぞ」って にらんでる。
でも そんなときは おもいっきり わらおう。
わらって わらって おにも、わらわせてしまえ。いっしょになって わらいとばせば、きっと・・・。
わらうかどには、ふくきたる! (p32)
経験を積み知識をもったからこそ絵本から見えて感じられ気づくことがあります。
2月は、暦の上では一年の始まりです。にこにこふくふく穏やかに。笑う門には福来る。
そう。お母さんの笑顔は家族の笑顔に繋がります。また絵本がそっと大切なことを教えてくれました。
<読み聞かせ時間目安 3分40秒>
その他 2月の読み聞かせにおすすめの絵本
絵本の読み聞かせについて思っていること
絵本はコミュニケーションツールです。 絵本は子ども達の歩みを助け、その成長を促してくれるかもしれません。 しかしそこには読んでくれる人の温もりを通した生きた声が不可欠です。 人と人とが向かい合い、片手間にはできない読み聞かせだからこそ愛情が注がれるのです。 子どもの持つその心のコップを絵本を使って愛情で満たしてあげてください。それはあっという間の子育ての濃密な時間を助け、後にその子どもたちの長い人生の心の支えとなるでしょう。
ふわはね(内田 祐子)
大学で児童文学を学ぶ。2005年絵本講師1期生として絵本講師資格取得。関西を中心に企業での定期教室をはじめ、
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