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【おはなし会】絵本講師ふわはねによる季節の絵本とお話

【ふわはね絵本のある時間】3月におすすめの本

絵本講師として10年以上ご活躍中のふわはねさん。絵本講座や絵本コンサル、絵本の読み聞かせ会などを年に200回以上こなしています。そんなふわはねさんに季節にあった絵本と読み聞かせ会の流れについて語ってもらいました。

ふわはねさん

二十四節気(にじゅうしせっき)を意識してテーマを組み立てる

二十四節気とは…一年を12か月さらにその半分、24個に分けた季節を表す名称です。

 

3月では…啓蟄(3月5日)土の中で冬ごもりしていた虫や蛙が、春の気配を感じて外にはい出る頃。

      春分(3月20日)昼と夜の長さが同じになる日。この日を境に昼の時間がだんだん長くなっていく。

こちらの2点を意識しながら絵本のテーマを考えます。

親子読み聞かせ会<想定>

  • 対象年齢:0歳~5歳
  • 時間:30~40分程度

読み聞かせのはじまりは「いつもの手遊び歌」から

さぁ、絵本とお歌の「ふわはね絵本のある時間」。実際に「読み聞かせ」会をするイメージで流れをご紹介します。

始まりはいつも同じ手遊び歌を歌っています。

 

♪はじまるよったらはじまるよ はじまるよったらはじまるよ
いーちといーちでにんじゃだよ ドロン!

♪はじまるよったらはじまるよ はじまるよったらはじまるよ
にーとにーとかにさんよ チョキン!
 

始まりと終わりの大切さを前回書きました。

【ふわはね絵本のある時間】2月におすすめの本

 

そして毎回初めに読む絵本もあるのです。

 

さあ、今月も絵本の時間を始めましょう。

【生活絵本】ごあいさつ

同じ絵本を読み続けるよさ『こんにちは』

はじまりのお歌と同じく、はじまりの絵本も決めています。同じ絵本を読むことで、その成長が見えてきます。

まだまだ目線も合わなかった赤ちゃんが声のする方を見るようになり、そして絵本を見るようになり...声が出る、指差しをする、「こんにちは」にあわせて頭をぺこりとさげてくれようになり、こんにちはの「は」だけ言ってくれるようになる。お話しを覚えセリフを言ってくれるようになり、最後は字が読めるようになり、字を追い読み始める。

 

テレビのような強い光や刺激に見さされているのではなく、絵本との付き合いはよりこちら側に主導権を持ち、ゆっくりとその成長を見せてくれる。そしてそれぞれの年齢に応じた楽しみ方や気づきを与えてくれます。ご挨拶をさせたいから読み聞かせるのではない、その子の成長を絵本と共にぜひ見守ってあげてください。

<読み聞かせ時間目安 1分10秒>

こんにちは

いっしょに えがおで「こんにちは」 
くまくんがお花やすずめ、ねこなど出会うたびに「こんにちは」ってあいさつします。ページをめくって読むたびに、子供と一緒に「こんにちは」って頭を下げながら言い合いました。うちの子にこの絵本を読み始めたのは1歳前でしたが、笑顔でよろこんで、何度も何度も一緒におじぎをしたのを思い出します。「くまくん」の絵本シリーズで、他に「どうすればいいのかな?」や「おふろだ、おふろだ!」などがあります。
(かあぴいさん 30代・兵庫県宝塚市  男11歳、女9歳)

まずは【季節の絵本】から

暦を知ると見えてくる世界『カルちゃんエルくんねむいねむい』

春のお彼岸に出会ったてんとう虫

3月5日は二十四節気のひとつ啓蟄(けいちつ)です。一雨ごとに春が近づき、土の中で眠っていた虫たちが春の陽気に誘われて地上に出てくる頃のことを言います。写真は春のお彼岸にお墓参りに行ったときに見つけたてんとう虫。その日が啓蟄だったからびっくり。暦を知るとその風の香りや季節の足音までもが聞こえてくる。エルくんの「ねむいねむい」も聞こえてきそうです。

<読み聞かせ時間目安 2分15秒>

カルちゃんエルくんねむいねむい

春・・・心地いい季節です。
いわむらかずおさんが描いたかえるのカルちゃんとエルくんの春夏秋冬を描いたシリーズです。
冬眠から目を覚ましたエルちゃん。
春だよと、声をかけても起きないエルくんを連れ出して外へ出かけます。
「すみれが咲いてる。」「アゲハチョウがとんでる。」・・・
たくさんの春に触れてもエルくんは、ねむいねむい。
最後は、くすっとほのぼのさせてくれるお話ですよ。
とってもあたたかくやさしい絵が親子でお気に入りです。
 

大好きな人の温もりの中大好きな人の声で『いいきもち』

春分の日を境に、日は一日一日と長くなり、窓を開けるとまだ肌寒い空気の中に春の陽の力を感じます。この絵本にはたくさんの「いいきもち」が出てきます。ぜひこの「いいきもち」のところ、お子さんをお膝にだっこしながら「いいきもち」と揺れてみてください。

あたたかな温もりの中、大好きな人の声を通して耳に届く絵本の言葉。絵本はイライラした気持ちでは読めない魔法のツール。

絵本を読むということはその子としっかりと向き合うということ。それは生きる力の土台となると私は思っています。

<読み聞かせ時間目安 1分35秒>

 

いいきもち

子どもは、お母さんに抱っこされるのが大好き。だからお母さんはみんな、つい頑張っちゃうんですよね。「でもほら、気がついて!お母さんだって、おひさまに、自然に、抱かれているんですよ!」『かみさまからのおくりもの』の作者ひぐちみちこさんが、そんなメッセージをこの1冊の絵本に託しました。
地面に落ちた一粒の種は、土に抱かれて、いいきもち。花は風に抱かれて、魚は水に、リスは緑の葉っぱに抱かれて、いいきもち。そして、赤ちゃんは…。みんなを見ているお日様がポカポカ暖かくて、読んでいると、大人も子どもも「いいきもち」になってきますよ。

【歌絵本】歌の力に助けられ

歌は心の奥深いところに届く言葉の贈り物『ふうせん』

幼稚園や保育の現場でよく歌われているお歌が絵本になった一冊。優しい言葉とのびのびとした絵が歌とあいまって、一度歌うと耳に心に残ります。歌は言葉よりも少しだけ心の深いところに届く気がします。

お話し会の現場でもざわっとした空気を歌絵本や手遊びが助けてくれます。お歌の力を借りながら絵本の時間は進みます。

<読み聞かせ時間目安 2分20秒>

ふうせん

黄色のふうせんがあれ、ちょうちょになった。色々な動物がふうせんを持ってきます。何になるのかな? 楽譜つき。

【昔話】幼稚園~小学校で読み聞かせにも

信頼できる大人から聞く昔話『はなさかじい』

こちらはお馴染みの昔話。裏の畑でポチ借りて~のお歌から知る子もいるかもしれません。いやいや某CMで?!なんていう子も。どんな形で出会うにしてもぜひお話としての『はなさかじい』に出会わせてあげてください。情報の多いこの時代だからこそ語り手として愛情をもった信頼できる大人から聞く昔話の大切さを思うのです。
<読み聞かせ時間目安 5分45秒>

はなさかじい

小さい子にもわかりやすい
「はなさかじいさん」
すごく親しみのあるお話。一般的に昔話といえば、これでしょ!と思うくらいに有名なお話だと思うんだけれど、なんと、わが子は知らないという。
よく考えてみれば、絵本はよく読むけれど、その中に昔話がどれくらい入っているかというと...あまり聞かせてないかも。
というわけで、借りてみました。
まず、西村繁男さんの絵が、とっても昔話にあっていていいなぁと思ったので、これに。
昔話は、いいですね。よい人と悪い人がいて、最後には、ぜったいに悪い人が負ける。わかりやすいのがいい。
そして、「つんぶく かんぶく」流れてくる箱、「チリンポン パラリ」と落ちる小判。言葉の響きがとても美しい。
昔話って、けっこう文章が長いので、5歳の息子には、読んでいて、ちょっと難しいかな、と思うことが多いけど、この「はなさかじいさん」は文章も少なめ、で小さい子にもわかりやすいです。
(たかくんママさん 30代・広島県広島市  女9歳、男5歳)

【大型絵本】大勢と楽しむなら取り入れたい

みんなで大きくジャープ『ビックブック ぴょーん』

絵本は目の前30センチの人に向けて作られていると聞いたことがあります。大勢の人たちと絵本を楽しむなら大型絵本がおススメ。一冊でもあるだけでより楽しくなりますよ。

子ども達も大好きな一冊。みんなで「ぴょーん」と大盛り上がり。自然観察描写の第一人者だからこそその飛ぶ姿は正確に描かれ、大きくなったカエルやうさぎ、バッタやかたつむり?!たちがよりリアルにその姿を見せてくれる。大勢の読み聞かせに大活躍の一冊。

<読み聞かせ時間目安 1分30秒>

 

(大型絵本)ぴょーん

「かえるが・・・ぴょーん」「こねこが・・・ぴょーん」ページをめくると次々にいろんな動物がジャンプします。くりかえしが楽しい絵本。

【お話し絵本】親子で見返しの工作も楽しんで

お弁当には作った人の愛情という魔法がつめられる『おべんとうだれとたべる?』

あずみ虫さんという作家さんはアルミ板をカッティングする手法で絵本を描かれています。

さもすると無機質になりがちな素材を使っているのに温かさ優しさがあります。

 

おべんとう おべんとう くまさんの おべんとう

オオバコとひまわり のせた にんじんサンド

コーンをいれた しゃけサンド

はちみつ かけた ヤマモモみっつ

ぎゅっぎゅっとつめて

どこで たべる? 

だれと たべる?

おひさま ぴかぴか いいてんき!だから―

 

誰かのためにつくるお弁当。それは愛情の証だと思っています。作ってくれた人の愛情のこもったおべんとう。だれとたべる?どこでたべる?カレンダーをめくるように季節を一緒に巡りたい。そして最後のお弁当は・・・。

今の季節にぴったりの絵本です。

<読み聞かせ時間目安 3分30秒>

おべんとう だれと たべる?

「おべんと おべんと クマさんのおべんとう
サンドイッチを ぎゅぎゅっとつめて どこでたべる? だれとたべる?」
わらべ歌のようなリズミカルな文章にのって、動物や人間たちが色々なお弁当を作ります。完成したらそれを持ってお出かけ。夏にクマさんが、秋におばあちゃんが、冬にねずみさんが作るお弁当は、誰とどこで食べるためのものでしょう? お弁当の中身にもヒントがあるかもしれません。親子で想像してからページをめくってみてください。そして、待望の春がやってきて、たくさんのおにぎりを作った子どもたちが向かった先は……?
お弁当は一人で食べてもおいしいけれど、誰かと食べるとまた格別のおいしさ。アルミ板から切り出すというユニークな技法で描き出す四季折々のお弁当の中身も、見ていて楽しいものばかりです。読み終わったあとは、きっとお弁当を作って外に出かけて行きたくなりますよ。

その他 3月の読み聞かせにおすすめの絵本

絵本の読み聞かせについて思っていること

絵本はコミュニケーションツールです。 絵本は子ども達の歩みを助け、その成長を促してくれるかもしれません。 しかしそこには読んでくれる人の温もりを通した生きた声が不可欠です。 人と人とが向かい合い、片手間にはできない読み聞かせだからこそ愛情が注がれるのです。 子どもの持つその心のコップを絵本を使って愛情で満たしてあげてください。それはあっという間の子育ての濃密な時間を助け、後にその子どもたちの長い人生の心の支えとなるでしょう。 

ふわはね(内田 祐子)

絵本講師・子育てアドバイザー・ふわはねehon 主宰
 

大学で児童文学を学ぶ。2005年絵本講師1期生として絵本講師資格取得。関西を中心に企業での定期教室をはじめ、幼児教育に携わる先生や書店員への研修。絵本講座、研修、絵本コンサルなどを行っている。高校2年生と中学2年生の娘をもつ。インスタグラム @fuwahane 

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