愉快で楽しい落語絵本の世界へようこそ!
テンポのよい語りと人情溢れる人間模様、そして「なるほど~!」とうなってしまう見事なオチ。
日本の話芸である「落語」にはたくさんの魅力がつまっています。
子どもと一緒に、落語を楽しんでみませんか?
落語の魅了をぎゅっと詰め込んだ「落語絵本」をご紹介します。
子どもが喜ぶ動物の落語
落語って面白そうだけど、子どもには難しいかな?
と思っている方には、子どもにも身近な動物が出てくる落語の絵本をまずおすすめします。
動物たちに感情移入しながら、夢中になって落語の世界に入り込んでいくこと間違いありません。
大人気の落語絵本作家・川端誠さんの最新シリーズ!
山里のはずれに住んでいる、ごんべえさん。
ある日の夜、布団にくるまってうとうとしていると、
表の戸を、ドンドン叩き、「ごんべえ、ごんべえ」と呼ぶ声がします。
戸を開けると誰もいません。
戸を閉めてまた布団に入ると、「ごんべえ、ごんべえ」と呼ぶ声がするので、
そっと戸に近づき、ガラッと開けると、子だぬきが転がり込んできました。
たぬきをつかまえて、なわでしばったごんべえさん。
「二度とわるさしねぇようにな」
と、こらしめてやることに……。
いたずら好きのたぬきはいったいどうなる??
子供も大人も大笑い!日本語の楽しさが詰まった「落語」の世界。
達者なごんべえさん
川端誠さんの新シリーズ、らくごえほん。
題名の通り、ごんべえさんとたぬきのエピソードです。
ごんべえさんが寝ようとすると、たぬきがいたずらしにやってくるのですね。
ごんべえさんの名前を色々変えて呼ぶところが笑いどころでしょうか。
子だぬきらしく、その無邪気な様子がほほえましいです。
達者なごんべえさんの行動も見ものですね。
いたずらにはいたずらを?
だからこそのオチ。
小学生くらいから、滋味深い掛け合いの面白さを感じてほしいです。
(レイラさん 50代・ママ )
オチが見事に決まる、人気の古典落語が絵本に
むかしむかしのお話です。
高価なものを探し出してはそれを安く買い、別のところで高く売る、道具屋さんという人々がおりました。
とぼとぼと川岸をゆくひとりの道具屋。
もうけのなかった旅の途中に、一軒の茶店で足を休めます。
ふと奥に目をやると、猫がエサを食べている。
それを見て道具屋はびっくり!
エサの入っている茶碗が、なんと「絵高麗の梅鉢」という、たいへん高価なものではありませんか!
物の価値を知らない店主だ……ほくそ笑む道具屋。
その茶碗を手に入れるために、小ずるい知恵を働かせるのですが──。
落語の演目「猫の皿」が絵本化!
いかにも落語らしい軽妙なかけあいが心地よい一冊です。
皿をちょうだいしようと奮闘する道具屋の必死な様子に笑いながら読み進めていけば、ラストにはなんとも思わぬどんでん返しが待ち構えていて──!?
最後の一行でバシッと気持ちよくオチる、落語の醍醐味が存分に味わえる作品。
人間国宝・柳家小三治監修、落語を楽しむための入門としてもおすすめの一冊です。
思わずニヤリとしました
田舎に住む人たちをだまくらかして、いいものを安く仕入れて・・・なんて、ちょっと悪知恵の働く道具屋さん。
素晴らしい焼き物を見つけて、安く買い上げてやれ・・・なんて思っていたら・・・(笑)
実は偽物なんじゃないかとか、うっかり猫が割るんじゃないかとか、いろんなオチを考えながら読んでいたのですが、まさかあんなオチとは(笑)
息子と一緒に思わずニヤリとしてしまう、ちょっと毒のあるオチでした。
(hime59153さん 40代・ママ 男の子6歳)
くらげが主人公の心地よく愛らしい落語絵本
大島妙子さんの味と愛嬌のある絵が光る「当世落語絵本」シリーズの2冊目は、人気の新作落語から。
「くらのすけ。きょうからおまえは、おっきなおっきな海へでる。」
今日はくらげのおっかさんの一人息子、くらのすけのめでたい海デビューの日。
「慣れるまでは、おっかさんのそばを離れちゃいけないよ。万に一つ、はぐれちまって、怖い目にあった時には、からだじゅうに、ありったけの力をこめるんだよ。」
だけどくらのすけはもじもじ、なかなか外へ出てこない。
それもそのはず、海の世界は本当に広い。たくさんの生き物たちが暮らしていて、そこにはたくさんのドラマがあるのです。しかも、外には陸ってところや、空ってところもあって、そこにもたくさんの生き物がいるんだという。腰も引けるよね。
そのうち、すっかり慣れて友達と夢中で遊んでいると、大波がやって来てくらのすけをさらって浜にうちあげられてしまった!?小さな水たまりでひとりぼっち。心細くみんなを探していると…突然空からふってきたのはみかんの皮。
「おっかさん?」
さてさて、どうなるくらのすけ。無事に海の世界に戻れるのでしょうか。
くらのすけが渾身の力を込める時、何が起こるのでしょう?
「母恋いくらげ」は落語家柳家喬太郎の自作の新作落語。「みかん・電気・水たまり」の三つのお題を客席からもらってつくった「三題噺」として誕生したのだそう。それがこんなお話になってしまうなんて、落語ってすごい。そして、それをこんな愉快な絵本にしてしまった大島妙子さんもやっぱりすごい!!
声に出して読んだ時の心地よい面白さと、くらのすけの沢山の愛らしい表情をご堪能ください。
なるほど~
くらげが主人公のお話って珍しいですよね。
くらげのくらのすけがのみかんの皮をお母さんくらげと間違えるとは・・・
確かに形が似ているかも!?
最後のオチにくすっ、なるほど~(笑)
巻末のくらのすけの子守唄のメロディーが知りたくなりました。
ほっこりリラックスできる絵とストーリーに癒されました。
(ちょてぃさん 40代・ママ 女の子13歳、女の子9歳)
読み聞かせにピッタリの落語絵本
落語絵本は、読み聞かせにもピッタリです。
数ある落語絵本の中でも、特に読み聞かせにお勧めしたい2作品をご紹介します。
爆笑間違いなし!リズミカルな会話が心地いい落語絵本
丁稚のつねきちは、働き者の良い子です。
だけど困ったのは、言われたことを憶えるのがとっても苦手なこと。
今日も、旦那さんに、おとなりへの伝言を言いつけられました。
「わかりました。行ってきまぁぁぁぁぁぁす!」なんて調子よく出かけたはいいけれど、おとなりについたら、やっぱり用事が思い出せません。
つねきちは、おかしなことを言いだしました。
「わたしのおしりをつねってください。」
いつも、おしりをつねってもらうと忘れたことを思い出せる、というのです。
表紙に描かれた、画面いっぱいのおしりは、そういうわけだったのですね。
「おしりをつねってくれ」なんて言い出しただけでも笑ってしまうのに、ここからの展開ったらありません……!
つねきちのおしりに振り回される大人たちが可笑しいやら、気の毒やら。
はてさて、つねきちは用事を思い出せるのでしょうか?
軽快なテンポで、生き生きと楽しい落語の世界を描き出すのは、噺家・桂文我さん。
リズミカルな会話のやりとりは声に出して読むだけで、噺家気分になれちゃいます。
そして北村裕花さんの描くつねきちのおしりの、まあるくぷりんとしてかわいいこと!
親子で読んでも、大勢で読んでも、大笑い間違いなしのおはなしです。
落語好きな大人の方には、子ども版「粗忽の使者」と言えば、ニヤリとするかもしれません。
子どもたち大笑い
8歳次女に選びました。表紙の大きなおしりに「これなら喜ぶぞ」と思い(笑)
おしりをつねって、忘れていたことを思い出すつねきち。いろんな人がおしりをつねるのですが。おすもうさんがつねってダメだったのに、大工さんがつねろうとしたときには、次女も私も「絶対無理だ」と思いましたが。なんとこういうことか!
途中で10歳次女も参加してきましたが、大笑いでした。
(きーちゃんママさん 30代・ママ 女の子10歳、女の子8歳)
怖い!でも可笑しい!学校が舞台の新作落語
「今日から、この『怪談部』のこもんになった、ながれいしです。流れる石とかいて流石だ!」
ある小学校の部室に、新しい顧問の先生がやってきました。いかつい面構えにジャージ姿、威勢のいい先生です。
怪談部とは、おばけや妖怪のこわ~い話をして、みんなを怖がらせるのが主な活動のようです。でも所属しているのは、なんだかダラっとした頼りない生徒たちばかり。
流石先生が檄を飛ばします。「はっぴょう会が近づいてきたので、こわい話を しっかりしてください。」
早口ことばに、怪談を怖くする「出だし」の練習。いろんな訓練がありますが、部員たちは見た目を怖くすることに夢中なようです。
先生は校内を見回りながら個別に指導していくのですが、次々に恐ろしいことが起こります。だって、先生が指導しているその生徒たち・・・。
怖い!でも可笑しい!お化けの生徒たちと、熱血先生の体育会系指導の会話の噛み合わなさといったら。
「熱血怪談部」は、落語家、林家彦いち師匠の新作落語の代表作。
奇妙な設定を飛び交う会話の掛け合いの面白さは、落語の世界ならではですね。
そして、思い切り笑いながら、ゾッとする感覚もじっくり味わえるのは、クレヨン画家加藤休ミさんの絵の迫力あってこそ。休ミさんの描くのっぺらぼうの顔!最高です。
現代の落語家と絵本作家が共演する、新しい落語絵本のシリーズ第1弾。今後もどんな作品が続くのか、ワクワクしてしまいますね。
おはなしのラスト、思い切りびっくりしてください。
腕自慢の方には、ぜひ読み聞かせにも挑戦してみてほしい作品です。
びっくりが楽しい
のっぺらぼう~と出てくるおばけに「先生が書いてやる!」と言い、23年前に死んだ幽霊には、「スカート長すぎ!足を出せ」と一喝するすごく頼もしい顧問の先生。無敵やん!おばけって気付いてないのかな~。と、めちゃめちゃな先生に笑っていたら、なんと先生はろくろくび!
部員も先生もお化けってことに気づいた時の、子どもたちの「え~?」が、読み聞かせしていて爽快でした。絵も楽しくおもしろかったです。
(みっとーさん 30代・ママ 男の子8歳、女の子7歳)
馴染みやすい新作落語をどうぞ
落語には、「古典落語」と「新作落語」があります。
落語が生まれた江戸時代から昭和までに作られたものが「古典落語」で、戦後から現代までに作られものが「新作落語」です。
新作落語は現代が舞台になっているので、子どもにも馴染みやすく、入門編にぴったりです。
ぷぷっと笑えてうーんとうなる、魅力的な新作落語の絵本をご紹介します。
創作落語を楽しめます♪
古典と新作 らくご絵本シリーズ 第5弾
だそうです
国民的人気の「笑点」の司会に抜擢され
飛ぶ鳥の勢いの昇太さんの
創作落語で
古典を生かしているとのこと
絵が、ナンセンスっぽくって
すみません・・・あまり好みではないのですが
気になって読んでみました
だじゃれ 言葉遊び というより
やはり、「落語」なんでしょうね
「オチ」も なるほど!
お相撲さんの業界言葉を知っていないと
ちょっと理解出来ないかもしれませんね
小さい子より
小学中学年位の
特に男の子のギャングエイジは「ツボ」かも
お相撲さんの知識がなくても
ナンセンスOKな子は
OKでしょうね、きっと
第1~4弾も探してみます!
(しいら☆さん 50代・その他の方 )
子どもたちが大好きな「からあげ」が落語になった!?
「きょうはあんたのすきなかしわのからあげや。なんちゅうても、クリスマスやさかいな」「おかあちゃん、かしわゆうの やめてえな。クリスマスやったら、チキンやで」
ケンぼうのおかあちゃんは、コッテコテの大阪のおかあちゃん。ムードがないと怒るケンぼうに「なにが ムードやねん。おおさかドームみたいな かおして」と返します。負けずに「おおさかドームは おかあちゃんの かみがたや。」と返すケンぼうの言葉に、思わずブッと吹き出してしまいます。なんて楽しいおかあちゃん!この時点でみんなすっかりおかあちゃんのファンになっているはず。
けれども、ケンぼうはなんだか不満げ。だって、友達のたかしくんの「ママ」は、美人でおしゃれで優しくて、クリスマスのテーブルにはシチメンチョウが並んじゃうんです。それにくらべて、うちのおかあちゃんときたら!
子どもはみんな、自分の家とよその家族と比べてしまったりするもの。だけど、やっぱりうちのおかあちゃんが一番!それを口には出さないけれど、物語は晴れやかなエンディングを迎えます。
この絵本は「なにわっこ落語絵本」として作られた作品。親子で楽しめる創作落語絵本なんです。掛け合いの端々に笑いながら、いかにも落語のサゲ(オチ)らしい小気味よい終わり方。これがなんとも言えず清々しい。
こんな思いっきり笑えるクリスマスの絵本も楽しいですね。
関西弁のリズムも楽しめる、読み聞かせにもぴったりの絵本です。
からあげのクリスマスもあり!
6歳5歳の娘たちに読みました。関西弁で進められるお話がとっても楽しかったようです。関西ではクリスマスにからあげを食べるのかな?我が家はチキンですが、娘たちは「食べやすいから、からあげでもいいねー」と言っていました。主人公のケンちゃんとお母さんの会話が楽しくて、思わず笑っちゃいます。お母さん、ポンポンとよくこんな返しができるなーと感心しちゃいました。なんで落語絵本かな?と思ったら、最後でわかりました。なるほどー。うまいです(笑)
(きーちゃんママさん 30代・ママ 女の子7歳、女の子5歳)
かっこわるくて、かっこいい!
表紙をみたとき、個性の強いファンタジー?と思ったのですが、そうではありませんでした。
このモモリンは、架空の生きものではなく、中に人が入っているゆるユルキャラなのです。
そのゆるキャラの被りものを興味半分で被ってしまったのが市長。
そしてなんと!ファスナーがかんで、脱げなくなるのです。
市長は超多忙!どうする!?
たぶん、「必死だった…」その一言でしょうが、その姿が、あまりにもかっこわるくて、かっこいいのです!
偉い市長だからこそ、この勇気に感動しました。
土壇場こそ、その人の本質が見える。
人のこころを動かすのは、見た目とか完璧さではないのです。
こころ温まる素敵なおはなしでした。
(しゅうくりぃむさん 40代・ママ 女の子11歳)
有名な古典落語の絵本もチェック
江戸時代の庶民の暮らしや文化がみずみずしく描かれた古典落語の中でも、特に有名で人気の落語も絵本になっています。
落語の魅力がたっぷり詰まった人気の古典落語の絵本を、ぜひどうぞ。
ハマります
3歳になる娘が、最初は圧倒されてきょとんとしていたのに、
読み重ねるにつれて笑うようになり、
今では一緒に「寿限無寿限無・・・」と言う様になりました。
おじいちゃんちに持っていって得意気に唱えています。
私まですっかり覚えてしまいました。
題材が落語ということもあり、年齢を問わず楽しめる本だと思います。
(ランピーさん 30代・広島県広島市 女3歳、女0歳)
「今なんどきだい?」日常でも思わず言いたくなる【時そば】
屋台のそば屋に立ち寄った男、そば屋をおだてるだけおだてて、そばをたいらげ、さて、お勘定となり…。わざわざ「いくらだい?」と聞き、小銭しかないからと、1枚ずつ出しながら「いま何時だい?」と聞き、そばの支払いをごまかそうとしますが…。
★ひとこと秘話
絵本にはしづらい噺として、一度はお蔵入りしたことも。…というのも場面は夜のみ。
しかし川端さん、見事に、夜の闇を描きわけています!行灯と提灯をともした屋台のそば屋が真っ暗闇に照らしだされ、闇の濃さや通りの気配で、午前零時と夜十時の違いが、表現されています。
落語の中でも大好きなお話!
私の大好きな落語「ときそば」が、絵本になりました。それも大好きな川端誠さんの落語シリーズなので、絵がはっきりとしていて、江戸の風情もよく描けていて、目でも充分楽しめて最高です。
絶対に笑えるお話ですが、昔の時の数え方が、笑いのネタになっているので、できればその辺のお話を子供に説明してから読んであげたいところです。
私が、以前落語家さんに「ときそば」のお話をしていただいた時には、その辺のお話も一緒に説明していただいたので、すごくわかりやすく、昔の文化も知ることができ、楽しかった思いがあります。
勿論、予備知識なしでも、笑えます。
小学生以上の読み聞かせなど、おそらくバカうけでしょう。
たくさん練習して、江戸っ子らしくテンポ良く読みたいお話です。
(はなしんさん 40代・福島県郡山市 女10歳、男8歳)
上方落語の名作が力強い絵本に【地獄の惣兵衛】
「とざい とうざい。かるわざしの そうべえ。
いっせいいちだいの かるわざでござあい。」
扇を手にもって軽業師そうべえが「そうれ。ぺペン ペンペン ペーン」と綱渡りを披露していたそのとき、「おっとっとっとっと。あーーーーっ。」落ちて死んでしまったからさあたいへん。
気がつくとどうやらそこは地獄への道。そうべえは衣をはぎとられ、さんずの川をわたり、鏡の前でえんま大王に地獄行きを命じられます。しかし途中で出会った山伏ふっかい、歯ぬき師しかい、医者ちくあんと、4人そろって地獄のなかを大暴れ。糞尿地獄も、熱湯釜ゆでも、針の山も、それぞれの特技をいかして平気のへっちゃらです。人呑鬼(じんどんき。人を食べてしまう鬼)の腹のなかで4人がいっせいにいたずらをする絵は最高!
関西弁と勢いのある絵にのせられ、子どもたちに熱弁ふるって読み聞かせると、息切れしそうなスケール感が味わえます。「もう一回読んで!」といわれると「ちょっと待って・・・」と息を整える間が必要なほど(笑)。
上方落語の「地獄八景亡者戯(じごくばっけいもうじゃのたわむれ)」を題材にした落語絵本。元の落語が大作だというのもうなずけます。でも決して難しくはありません。一気に読めます。そして子どもも大人も抱腹絶倒。圧倒的存在感を誇るロングセラーです。
子どもに大人気!
上方落語の巨匠 桂米朝の 大傑作と言われるこの“地獄八景亡者戯”は 鳴り物入りの賑やかな咄です。
落語では冒頭は サバにあたった喜八と言う男が三途の川の渡し場に向かって歩いているところから始まります。
この絵本では後に出てくる4人組のひとり軽業師を「そうべい」と名を変えて主人公に設えています。
子供向けの絵本ですから原作に忠実ではありませんが 初っぱなから聞き覚えのある文句に引き込まれます。
手には おがらのつえをもち
糸よりほそい声をあげ
おおおおい
ここで「ああ!聞いたことがある!」と思われる方も多いのではないでしょうか。
このような「決めセリフ」や名場面が随所に散りばめられ 原作と遠からずものとするのに一役買っています。
落語では 情景や背景 心情や表情など ほとんど道具を使わずに人の声と動作で表現しますね。
絵本は最小限の文章で後はみんな絵が表すことになるのですが
この田島征彦さんの挿し絵は 軽妙洒脱な庶民の継承する“地獄”が実に上手く表現されていると思うのです。
地獄草紙などで見る地獄絵はとても恐ろしく 因果応報を示すものとして伝えられています。
火の車や 閻魔大王 針の山や葬頭河婆(しょおづかのばば) 浄玻璃の鏡・・・
これらの責め苦も死者の待遇も「地獄の沙汰も金しだい」と笑い飛ばしてしまおうというのが“地獄八景亡者戯”です。
絵本では 浄玻璃の鏡の前で 死者が地獄に落ちるか極楽へ行くか閻魔大王の裁きを受ける場面で表されています。
生きる手段としてのほんのささやかな“悪徳”を 閻魔大王の気まぐれで地獄行きのパスポートにされてしまった4人。
勧善懲悪であるはずの世の中でも 必ずしも権威のある者が正しいことをしているとは限らない・・・
落語では終盤に展開されるスラップスティックなどたばた劇を 絵本では物語の中心にして 権威の失墜をおもしろ可笑しく痛快に表現していきます。
4人はそれぞれの持つ特性を武器に 次々と与えられる地獄の責め苦をクリアしていきます。
こうしたロールプレイング的なゲーム感覚が 現代の子どもに受けるのかもしれません。
いえ むしろ人気のゲームソフトのモチーフこそ“地獄八景亡者戯”のこの場面ではないかと 密かに思っています。
閻魔大王の歌舞伎口調を するりするりとかわしていく軽妙な関西弁・・・言語の持つ妙も面白みがあります。
そして この絵本が子どもに人気のある最大の理由は 排泄物や生理的現象をおおっぴらに表現しているところでしょう。
本来タブー視される言葉をこともなげに使う 何が可笑しいンだと言われればそれまでですが、読んでみると本当に可笑しい。
人呑鬼(じんどんき)の腹の中で 地獄の道連れのひとりである医者の指示通りにさまざまな臓器に悪さを仕掛け おならとくしゃみと腹痛をいっぺんに起こさせ 更にくすぐり笑わせるところは いかにも子どもが喜びそうな場面です。
原作の落語では 主題である“地獄の沙汰も金しだい”をモチーフに 政治 宗教 医療問題などをチクチクと批判するムードや 色艶話も盛り込まれています。
流石に絵本には描かれませんが そういった一切を取り込んで混ぜ合わせ
濾過して子どもに相応しいものを抽出すると たぶんこんな風になるのだろうなぁ・・・と思います。
汚いモノも腑に落ちないことも 笑い飛ばして陽気に現世を生きようじゃないか!
そう力づけられているような気がする不朽の名作です。
(VERONICA’S HOUSEさん)
なんで動物?
落語の「まんじゅうこわい」の登場人物を動物に置き換えてアレンジ。
はじめは違和感があったのですが、この無茶苦茶な設定と、意外に正統な内容に、気がついたら馴染んでいました。
斉藤洋さんと高畠純さんの個性が見事に噛み合っていると思いました。
「親子酒」には大爆笑です。
(ヒラP21さん 60代・パパ )
人情噺の醍醐味を味わう名作古典落語【芝浜】
いつも寝てばかりで、仕事をしない酒好きの魚屋がおりました。
酒はこんどばかりでやめにする、明日からまじめに働くから! そう約束したけど、やっぱりぐうたら。
妻に尻を叩かれ、ようやく仕入れに出た先で——
魚屋、まさかの、大金入りの財布をひろった!
ひろったからにはおれのものだと、友だちを呼んで豪遊三昧!
「急に大勢友だちひっぱってきて、おまえさん、なにかめでたいことがあったのかい?」
「あったじゃねえか。しばの浜で、革の財布をひろってきたじゃねえかよ」
ところがどうして、当の財布がどこにもない。
なんと、お金をひろった夢をみていたらしい。
しかも、豪遊ばかりは現実で、支払う金なんてありゃしない。
酒好きの魚屋も、こんどばかりは自分の酒癖にほとほと懲りて……
笑える噺、怖い噺、そして、泣ける噺もある。
それが落語!
くすりと笑えてほろりと泣ける、古典落語は人情噺の大名作、「芝浜」が絵本になりました!
「芝浜」は個人的にも大好きな噺のひとつで、聞くたびに「やっぱり落語っていいな」と思わせてくれる演目です。
一年を締めくくる大晦日という、どこかふわふわと心わきたつ日を舞台に描かれる夫婦愛と、そしてその美しく粋なオチに、いつでも泣かされてしまいます。
絵本になっても魅力はそのまま!
波立つ青の表紙がさわやかな、あらたな「芝浜」が誕生しました。
くすりと笑えてほろりと泣ける、人情噺の醍醐味を味わうことのできる一冊です。
脈々と話し継がれてきた「泣ける落語」の魅力を、ぜひ絵本でたのしんでください。
いい話です
落語の絵本は、無条件に「わははー」となるものと
人情味があふれるものがありますね。
この本は、人情話の方です。
ぐうたらの主人が、酔って大金を拾ってきたものを
ネコばばせず、届け出
主人には「夢だったのよ」という女将さん。
月日がたって、酒をやめ真人間になった主人に
酒をすすめながら「あれは夢じゃなかった」と言ったとき
主人は「また夢になっちゃいけない」と酒を断ります。
この流れがもう・・私は泣けて泣けて・・・。
(その時の絵が、幼い息子なんですよね・・)
シリーズ本の「しにがみさん」もそうだけど
人間の心を深く探ってくる
とても染み入る一冊です。
(やこちんさん 50代・ママ 女の子14歳)
CD付きで楽しもう
せっかくだから、噺家さんによる落語も聞いてみたい、という方には、CDがセットになった落語絵本をお勧めします!
見て、読んで、聞いて、落語の魅力にどっぷり浸かってくださいね。
子どもにも聞きやすいCD落語絵本
古典落語からおいしいところをいただいて、現代の生活環境を舞台に、そして子ども達を主役にまとめ直した落語絵本。昔ながらの落語のおもしろさのいいとこ取りの落語絵本を前にすれば、笑いたくてうずうずしている子もそうじゃない子も、思わずわはは、ぷぷぷと笑ってしまうこと請け合い! わはは編、ぷぷぷ編ともに6話収録。この6本の落語を実際に録音したふろくCDもついて、見て、読んで、聞いて、3倍楽しめるお得な落語絵本です!
子どもにも聴きやすい
“ぷぷぷ編”を先日借りたのですがCDで聴くことができなくて残念だったのですが
今回のわはは編ではCDを聴くことが出来て良かったです。
子どもにも聴きやすいゆっくりはきはきした語り口調で
楽しめました^^
生まれたばかりの赤ちゃんを見にいく話や
プールの中で石を拾ったり、家族でレストランに行ったり・・・などなど
子どもにもすごく身近なシチュエイションでの笑い話にアレンジされた古典たち。
もう少しランクアップした落語絵本への入口に読むと
子どもの読書の幅も広がるのではないかと思います。
(さえら♪さん 40代・ママ 女の子8歳)
「レッツらっくごー!」シリーズ、こちらもあります
NHK「えほん寄席」を完全絵本化!
NHKで放送され大評判となった「えほん寄席」の完全単行本化。この巻では「蛇含草」「うなぎや」「動物園」「はつてんじん」「時そば」を収録。放送音源を元にしたCD付録付き。
待ってました!!
我が家の子供たちは、NHK教育で放送されている「えほん寄席」の大ファン。
おかげでみんな落語のファン。
その「えほん寄席」で放送されている音源を録音したCDが付き、またテレビと同じ絵の絵本で、テレビそのままに楽しめる。
この抱腹絶倒の巻では「蛇含草」「うなぎや」「動物園」「はつてんじん」「時そば」の5話を収録。
CDを聞きながら、本をめくっていくのが大好きな子供たち。
なかでもお気に入りは「はつてんじん」
悪ガキ金ぼうと、おとうちゃんのやりとりが最高です。
(モモ太郎さん 30代・茨城県水戸市 男7歳、女6歳、男5歳)
CD付き「NHK えほん寄席」こちらもどうぞ!
親子で笑って免疫アップ!
笑ったり楽しい気持ちでいると免疫がアップすると言われています。
面白くてワクワクさせてくれる落語には、人を元気にする力があるのです。
ぜひ、親子でその魅力に触れてみてくださいね。
編集協力・執筆:洪愛舜(ほんえすん/ライター・編集者・絵本作家)
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