【季節のおすすめ読み物】『雨の日は、いっしょに』
お気に入りと一緒なら、雨の日はきっと楽しい
雨の日の頼もしいパートナーといえば、「かさ」。あなたの「かさ」は、どんな「かさ」ですか?
雨の日にみんなのかさを観察してみれば、かさって色とりどり、模様もいろいろだし、大きさだってさまざま。家族が持っているかさも、お友達のかさもみんなそれぞれ違いますよね。そう思うと、かさってなんて個性的なのでしょう。きっとそれぞれが体験したことや、 考えていることも違うはず。そんなバラエティ豊かなかさたちが見ている世界をちょっとのぞいてみませんか?
『雨の日は、いっしょに』
出版社からの内容紹介
僕は、ハルくんの黄色いかさ。今日は雨ふりだからうれしい。だって、かさって、雨の日しか外に出られないからね。でも、たまには別の人のかさになって、いつもとちがう景色を見てみたいなあ……。風に乗って小さな空の旅に出た、黄色いかさくん。はたして素敵な“お似合い”を見つけることはできるのでしょうか――。ちがう世界を知って、初めて大事なことに気づくことができた黄色いかさくんの、冒険と成長の物語。
どんなお話?
主人公はハルくんの黄色いかさ。
そろそろ学校が終わる時間。かさ立てのかさたちは、放課後はみんな早く外に出たくてしかたありません。黄色いかさも早くハルくんが来ないかなあと待っていますが、のんびりやのハルくんはなかなか来ません。ハルくんを待つ間、黄色いかさは、おりたたみがさや、とうめいのビニールがさと初めておしゃべりをします。
おりたたみがさもとうめいのビニールがさも黄色いかさの知らない気持ちや知らない世界をたくさん知っていて経験豊かで、なんてかっこいいのでしょう。話を聞くうちに、黄色いかさは初めて、ちがう人のかさになって、いつもとちがう道を歩いてみたい、と願います。
そんな気持ちを抱いた後、すぐに始まった、黄色いかさの冒険。
さて、黄色いかさはハルくんと離れて、その後誰と出会い、どんな体験をするのでしょうか?
対象年齢は?
全てのページに楽しい挿絵が入っていて、易しい文章で書かれているので、2年生ぐらいからおすすめのお話です。1年生でも3学期ぐらいからなら読める子がいるでしょうか。もしまだ自分で読むのが難しそうな時には、ぜひ親御さんが読んであげて下さいね。
おすすめポイント
- 読み始めるとすぐにかさの視点になって、たちまちかさたちの世界へ入り込んでしまいます。かさたちの愛嬌たっぷりの目を見ながら、それぞれのかさがどんなことを考えているのか想像してみて下さいね。
- いろいろなかさに憧れる黄色いかさの気持ちに共感できるところがたくさんありそう。とくに自分の知らないことを知っていたり、経験が豊かだったりすると憧れてしまいますよね。
- 「おりたたまれるって、どんな気持ち?」「体がとうめいって、どんな気持ち?」自分とは違う憧れのかさたちに、黄色いかさが質問する場面はみどころのひとつ。さて、それぞれどんな答えが出てくるのでしょうか。
- いろいろな色や模様のかさが登場し、性格がそれぞれのかさの外見に合っていたり、持ち主との組み合わせがなるほど~と思えるのが楽しいところ。貼り絵で描かれたかさのイラストも見応えたっぷりです。
- 冒険の前と後で、黄色いかさとハルくんの関係はどう変わったでしょうか。
読者の声より
傘が主人公のお話。
傘目線で書かれるストーリーで、ワクワクします。
主人公の傘の持ち主が、小学生で、自分の傘を大事にする気持ちも、上手にかかれています。
どうしても、憂鬱になってしまう雨の日。また、子供の頃は大事にしていた傘への想いも大人になるにしたがって、うすれていってしまっていました。
でも、自分の傘に気持ちがあったら、なんて考えると、雨の日も悪くないな、と思わせてくれた、本です。
(タケえさん 30代・ママ 女の子7歳、男の子4歳)
この本を書かれたのは?
お話を書かれたのは、作家の大久保雨咲(おおくぼうさぎ)さん。大久保さんの手にかかると、さまざまなモノたちがたちまち生きているかのように生き生きと楽しそうに動き出します。温かくてユーモラスな世界が心地よく、今後、ますますの活躍が楽しみな作家さんです。挿絵を描かれているのは、殿内真帆(とのうちまほ)さん。殿内さんの貼り絵で描かれる世界には温かみがあり、とくに目が生き生きと表情豊かでユーモラス! 大久保雨咲さんの描く作品世界ともとてもマッチしていて、楽しい世界が作りあげられています。
大久保雨咲さんの本
雨の日にはいつも一緒にお出かけするかさ。うちの息子もかさが大好きで、とっても愛着を感じているようなのですが、このお話を読んだらそのなぞがちょっと解けたように思いました。
子どもとかさはきっとお友達のような関係なのですね。私もかさはいつもデザインにこだわってお気に入りを選ぶのですが、お気に入りなのにも関わらずよく置き忘れてしまうことがしばしば。あちこち探しても結局見つからないことが多かったりするのですが、今ごろ私の失くしたかさたちはどこでどうしてるのかなあ‥‥‥。
秋山朋恵(絵本ナビ 児童書担当)
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