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絵本で伸ばそう!これからの子どもに求められる力

子どもの「話す力」、絵本でどう伸ばす? 

絵本には、子どもに働きかける様々な力が備わっています。絵本がきっかけで、新しいことにチャレンジする気持ちを持てたり、苦手なことに取り組もうと思えたりもします。子どもたちの世界を楽しく広げてくれる絵本は、子育て中のパパママにとっても、大きな味方になってくれること間違いなしです!

この連載では、とくに「これからの時代に必要とされる力」にフォーカスして、それぞれの力について「絵本でこんなふうにアプローチしてみては?」というご提案をしていきたいと思います。

子どもの「話す力」を伸ばすには?

連載第1回のテーマは、「話す力」。 これからの時代、自分の考えを自分の言葉で発信する力が子どもたちにも求められており、それに沿って教育内容も大きく変わりつつあります。小学校に入ると、人前で話す機会もどんどん増えていきます。お話ししたくてたまらない子もいれば、自分からは話すことは苦手な子、いろいろな子がいますが、人前に出て声を出すことは、大人でも緊張しますよね。

パパママとしても、「うちの子、おしゃべりが得意ではない?」だったり、「みんなの前では恥ずかしくて声が出せないみたい」など、おしゃべりに関しては、ついつい心配してしまうものですよね。私自身も、「うちの子、言葉がおそいのかな?」「恥ずかしがり屋さんなのかな?」と、言葉に関しては、いろいろ気をもんでしまっています。

ですが、子どもの成長はそれぞれちがっていて、「話す力」といっても、ハキハキと話せたりテクニックが必要というよりも、シンプルに「自分の考えていることを、自分の言葉で伝える」ことが、もっとも大切なのだと思います。
「自分の言葉」を得る方法は子どもによって幾通りもありますが、まずは、「声を出すことが楽しい」「言葉の種類が増やせる」「言葉に興味が持てる」というポイントが、絵本によって「話す力」にどうつなげられるか、ご紹介したいと思います。

掛け合いで、役を演じよう

おならとコンビで、掛け合い漫才?!

おならまんざい

くだらなすぎて笑っちゃう! あほあほ絵本

「いも くったら おなら でた。」…と思ったら、出てきたおならがしゃべって、しかも「ぼくと まんざい せえへん?」と誘われて、おならとコンビを組んで漫才をすることに! コンビ名は「ラッキーこいたでてきた」でいこう! ってどんだけあほな話やねん。
流れるような関西弁で繰り広げられる、これでもかこれでもかという、おならダジャレの数々! くだらなすぎて笑っちゃう、ってこういうことなんだな、と気付かされる爆笑必至の絵本です。

学習雑誌『小学一年生』から生まれた「ぴっかぴかえほん」シリーズ、記念すべき20冊目です。

大阪弁で繰り広げられる漫才がリズミカルで、本当に楽しい絵本です。しかも、「おなら」をテーマにして「ボケ」と「ツッコミ」が延々と掛け合うのですから、子どもたちは大喜びです。

最初は大人が読んであげても、文章がリズミカルなので、あっという間に子どもたちは覚えてしまうことでしょう。

読み聞かせた後は、今度は親子で「ボケ」と「ツッコミ」の役割を演じながら、読んでみてください。この絵本の素晴らしいところは、絵本の文章を読んでいるだけで自分が名漫才師かと思えるくらいネタが面白いところ。漫才師になりきりながら、掛け合い漫才を行うことで、会話の呼吸、型がすっと入ってきます。ふだん恥ずかしがり屋の子でも、「役を演じる」ということであれば、遠慮せず声を出せることもあるようです。

ボケとツッコミのセリフが色違いにされているので、「今度は赤い方を読んでね」など、分かりやすく役割を変える事もできます。

また、繰り返されるおならダジャレの数々も秀逸で、「ダジャレ」という言葉遊びの魅力にも触れられます。

文字がまだ読めない2歳くらいの子でも、「プー」や「ブボボン」など、おならの楽しい擬音語を、声に出してみたくてたまらなくなるので、ぜひ、読んでみてください。声を出す間合いをつかむことができますよ。

言葉の種類を増やそう

たくさんの言葉を知っていた方が、将来的に、話す力につながりやすいと思います。そして、世の中にはたくさんの「言葉」というものがある、と知り始めると、「これはなに? あれはなに?」と子どもたちは、どんどん意欲的に言葉を吸収していきます。そんな、言葉を覚え始める時期の絵本として……

「あ」から「ん」で始まる「たべものなまえ」のオンパレード!

あっちゃんあがつく たべものあいうえお

うたって、あそべて、たのしめる、愉快な「たべものあいうえお」。「あ」から「ん」まで、濁音、半濁音も含めて69音すべてが登場。名前の頭文字で「ことばあそび」もできます。

あいうえお絵本の大定番として、人気の絵本です。

歌の節がついているので、リズミカルにたくさんの言葉を口ずさめます。字が読めなくても、絵で何の食べ物かが分かるので、繰り返すうちに、どんどん食べ物の名前の語彙が増えていきます。「ローストチキン」や「つきみそば」など、子どもにはなじみのない単語が出てくることも、さらに意欲をかきたてるようで、 そうした言葉が出てくると、意気揚々と声を出してくれます。

 

また、同じシリーズの『しりとりしましょ! たべものあいうえお』は、言葉遊びの代表「しりとり」の導入としても最適です。「『ん』で終わり」というしりとりのルールは、小さい子にはなかなか理解しづらいですよね。でも、この絵本は、その「ん」の取り扱いがとても分かりやすく、しりとりのルールを覚えやすいところもすばらしい! この絵本でしりとりができるようになれば、日常生活で、どんどん言葉を使う機会が増えますよ。

歌って声を出そう

急にあてられても、何を話していいのか分からないし、緊張してもじもじしてしまうことってありますよね。でも、自分からは積極的にお話をしなくても、お歌や朗読は上手な子は多いです。そんな場合は、歌って声を出すきっかけを作ってみましょう。

いっきょく いきまぁす

今日は家族三人でカラオケにでかけました。カラオケボックスには、カラオケマシーンの「ミスターカラオケ」がいて、司会をしてくれます。ぼくたちは2時間のコースにしました。まずはぼくが「めだかの学校」を歌いました。次にお父さんが「森のくまさん」と予約しました。すると、ミスターカラオケは、節をつけて歌を紹介してくれました。「花のにおいに誘われて、ゆけばむこうに白い影、あなたにあえてよかったの」。早速歌いはじめると、不思議なことに森の中へとワープしてしまいました。つぎにお母さんが「かえるの合唱」を歌いました。みんなは池の近くでかえるの姿になって一緒に合唱します。今度は、ぼくが「いい湯だな」を歌いました。ぼくは裸になって大きな露天風呂で歌います。人でいっぱいのお風呂には、三匹の動物がこっそりまぎれこんでいます。

人気絵本作家、長谷川義史がおくる、ダイナミックなイラストと繰り返しの面白さが抜群の笑える絵本。

童謡からヒット曲まで、楽しい歌が目白押しのこの絵本。歌詞もしっかり載っているので、親子で順番に楽しく歌えます。歌う以外にも、子どもには「はりきってどうぞ」などと司会者のセリフを言ってもらい、パパママは歌う、という劇遊びのようにもできるので、自然にいろいろな台詞を口にする事ができますよ。

家族で楽しむときに、特にありがたいのが、絶妙な選曲です。昭和世代のパパママ(おじいちゃんおばあちゃんも?)にとって、「神田川」や「津軽海峡冬景色」「どうにもとまらない」など、もう魂に刷り込まれているレベルの名曲が並びます。たとえ疲れて読み聞かせが辛いときでも、この絵本なら、歌っていて自分も癒されるはず。聞いている子どもも、いつのまにか、保育園や幼稚園で「神田川」を口ずさむという、ふふふっといったことも起きますよ。

歌は感情を込めやすいので、言葉で感情を表す練習にも役立ちます。

言葉を面白がってみよう

覚えた言葉の数が増えていくと、「言葉」自体への興味もふくらんでいきます。

そんな時期に、「ダジャレ」や「早口ことば」など、言葉遊びの絵本ももちろん楽しいですが、ちょっと違った側面から「言葉のふしぎさ」に触れられる絵本はいかがでしょうか?

ぐぎがさんとふへほさん

角張ってゴツゴツの「ぐぎがさん」と、まるくってフワフワの「ふへほさん」。ぐぎがさんの挨拶は「ぐがよー」、ふへほさんの挨拶は「ふはよー」。ぐぎがさんがドアを押すとドアはぐぎがさんの形に穴があき、ふへほさんはお腹がすくと浮かんでしまいます。まるで正反対のふたりだけれど、とても仲良し。ある日、ふたりは釣りをしに海にでかけます。おかしなものを釣り上げたふたりは、それぞれ「ぐぎが語」と「ふへほ語」で唱歌「うみ」を歌います。「ぐーぎーがーぎごぎーがー…」「ふーひーはーひほひーはー…」。ふたりの行動や歌がとびきり楽しい、しあわせな気持ちになる絵本です。

「がぎぐげご」でしか話さない「ぐぎがさん」と、「はひふへほ」でしか話さない「ふへほさん」の絵本です。言葉を覚え始めたばかりの子が、ぐぎがさんとふへほさんの使う言葉を理解できるのかな?と思われるかもしれませんが、ご心配なく。子どもたちは、物語や言葉のニュアンスを感覚的に掴む力を持っています。そして、「がー、ぐがぎげが」が「あー、くたびれた」など、言葉の変化や響きを面白がるようになれば、後はどんどん自分たちで、いろんな言葉を「ぐぎが語」「ふへほ語」にアレンジして話しだします。

ぐぎが語・ふへほ語は、声に出しても楽しいですし、「がぎくげご」は固くて強そうに聞こえ、「はひふへほ」は、ふわっとやわらかそうに聞こえるという言葉の不思議さに触れるきっかけにもなります。言葉を面白がることで、「自分でも話してみたい」という意欲をかきたててくれる絵本です。

さいごに

その他、特徴的な楽しいフレーズが入った絵本も、子どもたちはその部分を我先に声を出して読んだりしますよね。例えば「ノラネコぐんだん」シリーズの「どっかーん」などもそのひとつ。 絵本を楽しみながら自然に声を出していけると、お話をする習慣もついて、どんどん人前で声を出す度胸もついてくると思います。

欧米の学校では、「Show&Tell」というクラスの子達の前で発表するアクティビティがあります。日本の学校でも取り入れるところが増えてきましたが、我が家では、お気に入り絵本をテーマに、ときどき発表する機会を設けています。「本当に好き」と思う物に対して、どんなところが好きなのかを考え、自分の言葉で話すことは、子どもの話す力にもつながりますし、親にとっても、今子どもがどのようなことに興味を持っているかを知り、成長を実感できる貴重な時間にもなります。

 

どの子も個性や好みは千差万別、興味をもつ絵本もそれぞれです。その子に合った、楽しいフレーズの入った絵本を見つけて、ぜひ楽しみながら試していただきたいと思います。

徳永真紀(とくながまき)


児童書専門出版社にて絵本、読み物、紙芝居などの編集を行う。現在はフリーランスの児童書編集者。児童書制作グループ「らいおん」の一員として“らいおんbooks”という絵本レーベルの活動も行っている。6歳と3歳の男児の母。

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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