「日本文学の名作」を絵本で読もう~宮沢賢治、夏目漱石、芥川龍之介など
夏目漱石の『坊ちゃん』や『吾輩は猫である』、宮沢賢治の『セロ弾きのゴーシュ』や『注文の多い料理店』、芥川龍之介の『クモの糸』など……誰もが一度は聞いたことがある日本文学の名作。
でも、「日本文学」と聞くと、なんとなく読むにはハードルが高く感じてしまいませんか?
そんな心配はご無用。
なんと、日本文学の名作を、絵本で読むことができるんです。
文学作品の深さや日本語の面白さを、まずは絵本でぜひ味わってみましょう!
日本文学の名作のおすすめ絵本をご紹介します。
『吾輩は猫である』『坊ちゃん』など、千円札にもなった夏目漱石の作品
■読者の声
純文学、入門編
斉藤孝さんがまとめる、声にだすことばえほんの中の一冊です。
私自身も子どもの頃、小説で読んだことがあったのですが、なんだかあまり意味がわからず、内容はほとんど印象に残っていませんでした。
でも、絵本で読むと武田さんのかわいい絵の助けもあって、面白い!
おいしいところがぎゅっと凝縮されているので、腹八分目に楽しめるような感じです。
子どもが始めて出会う純文学にぴったりです。
息子ももう少し大きくなって、自分でちゃんと小説が読めるようになったら、この絵本を思い出して夏目漱石のこの小説を、全部読んでみてほしいと思います。
私も、この絵本でまず漱石に出会いたかった!
(さるるさん 30代・愛知県海部郡 男5歳)
『セロ弾きのゴーシュ』『銀河鉄道の夜』など、岩手が生んだイーハトーブの国民的作家・宮沢賢治の作品
■読者の声
私の最初の賢治
子どもの頃、家の本棚にこの本がありました。いつからあったのかはわかりませんが、賢治が好きだった母が自分のために買った本だったように思います。家にある他の賢治の作品は絵本ではなかったので、小学校低学年の頃の私にとって宮沢賢治といえば、まずゴーシュでした。
茂田井武さんの力強い絵は子どもに媚びるような絵ではなく、話の躍動感と共に圧倒的な存在感で私の心に焼き付いています。松居直さんの著書「絵本のよろこび」の中でこの作品の出版秘話が書かれていますが、茂田井さんは病床の身をおしてこの作品を描き上げたそうです。私にとって最初の賢治がゴーシュで良かった、最初に読んだゴーシュがこの作品で良かったと心から思います。
(ままぱんさん 30代・ママ 男の子6歳、男の子1歳)
■読者の声
静かで美しい絵本
とても美しい絵本です。
静かに静かに 本の中へ 引き込まれていきます。
生きていくこととは・・?
答えがないようだけれど 自分で心のなかで考えるような
とても静かで・・ 静かに水の波紋のように広がっていく絵本だと思います。
サソリの生き方。
カンパネルラの生き方。
誰かのために 何かできるということ。
どのように 娘がうけとめて考えているのかはわかりません。
母としては 何としてもそれでもどんなことがあっても
生きていてほしい って思うのだけど。
そんなことを思いながらも 結構読み聞かせをすると時間をとるのですが
「読んで」
と持ってくる小学3年生の娘に 持ってくる間は一緒に読んでいきたいなぁ
なんて こっそり願っている母なのでした。
(みぽみぽさん 30代・ママ 女の子13歳、女の子9歳、女の子4歳)
■読者の声
絵本から。
作者宮沢賢治の物語をいもとようこさんのイラストで。
何とも豪華な1冊に思います。
いもとようこさんのどこか可愛らしい感じのイラストが、幼児期や小学校低学年にも親しみやすい1冊になっているように思いました。
宮沢賢治デビューにもぴったりではないでしょうか。
(まゆみんみんさん 40代・ママ 女の子10歳)
『宮沢賢治×いもとようこ』の絵本、こちらもぜひどうぞ!
人間の闇まで描いた早世の天才作家、芥川龍之介の作品
■読者の声
みんなが知ってる話だからこそ
5年生の読み聞かせで使いました。
読み聞かせのリストで数か月前に「杜子春」をした記録がありました。
「同じ作家の作品です。」と初めに紹介しました。
この作品は有名なのでタイトルを見せると「あ~!これね!」みたいな反応でした。
でもあらすじだけは知っているだろうけど、本を読んだことはないかもしれない。子供用に編集したものもありますから、原文を知ってもらうというのは大切だと思ったのです。
この絵本は原文で書かれています。そして遠山さんの描く地獄がものすごく怖い。この絵は小さい子にはショッキングかもしれないですね。
高学年向きの作品かなと思いました。
芥川龍之介は好きな作家のひとりです。文章がとても美しいと思います。教訓のようなものはあってもそれが宗教臭くなく、押しつけがましくないところも好きなところです。
読み聞かせにもいろいろ使いたいのですが、時間に制限があるので読み聞かせに使う作品は決まってしまいますね。
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読み聞かせに使った学年:5年生
子供の反応:★★★★☆
所要時間:~10分
(きよぴこさん 30代・ママ 男の子11歳、男の子9歳)
■読者の声
芥川龍之介
小学校1年生の子供に、芥川龍之介作品はまだ早かったかな?とも思ったのですが、なかなかいい反応でした。
主人公の少年の、トロッコに憧れる気持ち・見知らぬ土地にいる不安・自分ひとりの力で家に変える勇気など、共感できるお話だったことでしょう。
(なしなしなしさん 30代・ママ 女の子7歳、女の子3歳)
芥川龍之介に憧れ、波乱の人生を生きた激情の作家、太宰治の作品
■読者の声
やっぱり全文よみたい
名作の絵本ということで
入りやすいかなと思い手にとりました。
メロスの世界観と
竹内さんのイラストが
マッチしていて、
一部抜粋なんてもったいない。
全文、竹内さんのイラスト付きで
読みたい!!挿絵でもいいので。
と思うくらい
臨場感あふれる絵本でした。
初めての<走れメロス>にぴったりの作品だと思います。
最後の斉藤孝さんの解説もいいですね。参考になります。
次は児童書で、全文チャレンジさせたいと思います。
(ちいとまさん 40代・ママ 女の子9歳)
五千円札にもなった明治時代の悲劇の女流作家、樋口一葉の作品
ノーベル文学賞を受賞した、近代純文学を代表する作家、川端康成の作品
川端康成の代表作『伊豆の踊子』を読んでみよう
長く国民に親しまれてきたノーベル文学賞作家の不朽の作品!
ふりがなと行間注で、最後までスラスラ!
<収録作品>
●川端康成
伊豆の踊子
百日堂先生
掌の小説(抄)
●林芙美子
風琴と魚の町
泣虫小僧
「日本自然主義派の到達点」と称される島崎藤村の作品
■読者の声
心の移ろいの視覚化
なにげなく暗唱していた島崎藤村の詩の名作ですが、そこに描かれている恋心そのものを改めて感じることができました。
リンゴ畑に見る季節の移ろいと、明確に表現しきれない心象風景が描かれているようで、繰返し声に出していたら次第に恋心というものに寄り添えていくように思いました。
初恋ってこんなものだったのかも知れません。
(ヒラP21さん 60代・パパ )
島崎藤村の小説もぜひ読んでみよう
読みやすい!『10歳までに読みたい日本名作』シリーズも読んでみよう
絵本で日本文学に親しんだら、ぜひ小説の形式でも読んでみませんか。
日本文学の名作を子どもにも読みやすく編集したこちらのシリーズは、オールカラーのイラストつきなので、お子さんも楽しく読んでいただけます。
お子さんの好みに合う作品から、まず1冊ぜひどうぞ!
■読者の声
中学年によさそう。
小学校の理科で星座を習う予定の我が家の娘が、理科の教科書に「銀河鉄道の夜」の紹介が載っていて、読んでみたいと言い出しました。
「銀河鉄道の夜」、なかなか難しく奥深いお話なので、小学校4年生が読むにはどれがわかりやすいか。
こちらの本も読みやすい1冊に思いました。
(まゆみんみんさん 40代・ママ 女の子10歳)
■読者の声
小学生のうちに。
親の私はあまり読書の好きな子供ではなかったので、子供時代に宮沢賢治の作品は読んだことなく題名暮らししか知らない子供でした。
我が家の娘にはぜひ子供のうちに触れてほしい作者の一人に思っています。
こちらの本は大変読みやすく、小学生中学年くらいのお子さんの読書にぴったりに思います。
(まゆみんみんさん 40代・ママ 女の子10歳)
■読者の声
読みやすい
読みやすいシリーズなので、あっという間に読みきっていました。
物語の背景などが写真付きで紹介されていて、坊ちゃんの舞台が馴染みのある場所なのでとても興味深く眺めていました。
物語も面白かったそうです。特にキャラクターの名前(赤シャツなどのあだ名)が面白いと言っていました。
(lunaさん 30代・ママ 男の子9歳)
日本語の美しさを味わいながら国語力も身につく!
こちらで紹介した作品はどれも、世界的にも有名な日本文学の代表作ばかりです。
親子で読んだり、学校や園での読み聞かせに取り入れたり、子どもが自分で読んだりと、日本語の美しさを味わいながら国語力も身につく日本文学の名作を、ぜひお楽しみください。
編集協力・執筆:洪愛舜(ほんえすん/ライター・編集者・絵本作家)
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