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絵本トレンドライターN田N昌の “大人だってもっと絵本読みたいの!”

大人から大人へ贈るクリスマスプレゼント絵本 2020年のオススメは?

子どもだけが読むなんてもったいない。大人も楽しい絵本の世界を、絵本トレンドライター・N田N昌さんが、独自の視点と「ゴイスー」な語り口でご紹介! 
最近話題の新しい絵本、注目の作家さん、気になる絵本関連スポットなど、絵本のトレンド情報を大人に向けてお届けします。

毎日仕事や家事で忙しい大人の方へ贈りたい、アートな絵本

今回は、大人に人気の絵本の中から、今年のクリスマスプレゼントにオススメな絵本をご紹介させて頂きたく存じます。

今の時期、書店の絵本売り場に行くと、子どもたちへ贈るためのクリスマス絵本がたくさん並べられていますが、今回ご紹介するのは、そこにはおよそ並んでいない絵本でございます。

ご紹介するのは、クリスマスをテーマにした、いわゆるクリスマス絵本ではなく、クリスマスプレゼントとして、パートナーやご友人、職場のご同僚、ママ友などなど、大人の方に贈る用の絵本でございます。

普段、絵本を読んでいない大人の方は、ゴイスーに喜ばれるのではないかと存じます。「え、最近の絵本ってこんななの?」と、驚かれること間違いナッシングでございます。特に、アートが好きな方、映画や文学が好きな方には、間違いなく刺さるはずでございます。

毎日、仕事や家事で忙しく、疲れている大人の方に、就寝前に読んで癒されて頂きたい絵本でございます。毎晩、ページをめくりながら、その絵を眺めているだけで癒される、そんな絵本でございます。

プレゼントする際に、「実はこの絵本、・・・なのよ」と、一言添えられる蘊蓄もご紹介させて頂きますので、プレゼントを渡す際には、是非是非ご活用くださいませ。

まずは、こちら。

社会派で幻想的、美しく懐かしい25の物語

内なる町から来た話

上の階に住むワニ、空を覆い尽くす蝶の群れ。町にいる動物たちをめぐる、不思議で懐かしい25の物語。『遠い町から来た話』の姉妹編、著者待望の最新作! オールカラー。

世界的な大ヒットとなった絵本『アライバル』(河出書房新社)でご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、オーストラリアの人気絵本作家、ショーン・タンさまの新作でございます。

オーストラリア生まれの現代アーティストで、絵本作家、イラストレーター、舞台監督、映画のコンセプトアーティストとマルチに活躍。絵本を映画化した作品『ロスト・シング』でアカデミー賞短編アニメーション賞も受賞されております。そんなショーンさまの『内なる町から来た話』は、今年、世界三大児童書賞のひとつ、ケイト・グリーナウェイ賞(2020年度)を受賞されております。

文学好きにはたまりまセブンな作品でございます。一言で言うと、絵本であり短編小説集であり、画集であり、…と様々な要素が一度に楽しめる、これまでにない新しいスタイルのコンテンツとなっております。

お話は、「会議室で重役がカエルに変わってしまった話」、「ビルの87階に住んでいるワニの話」、「人間を訴えたクマ」、「空を覆い尽くす蝶々」などなど、街に住む様々な生き物が主役の不思議な物語25編でございます。

社会派であり幻想的であり、さらに、そこに添えられている絵がゴイスーな存在感なのでございます。素晴らしい。まさに、大人のエンターテイメントなのでございます。

奇妙で愛らしくて、眺めているだけで癒される絵本

スモンスモン

ゴンゴン星にすむスモンスモンは、トントンにのってロンロンの実をもぎに出かけます。ところが、ゾンゾンに落ちてしまって、さあ大変!助けてくれたのはクロンクロンたちでした。オノマトペで名付けられた生きものたちが、つつましやかに助けあう世界。奇妙で愛らしくて、一度見たら忘れられない絵本です。

こちらは、ドイツの絵本でございます。

10秒で異世界に引き摺り込まれる、日常を忘れさせてくれる絵本でございます。まさに絵本の醍醐味でございます。小説等では、そんな短い時間で異世界に引き摺り込まれることはそうそうございません。絵がある絵本の強みでございます。

この感覚は、是非一度ご体験頂きたいのでございます。

舞台は、遥か彼方にあるゴンゴン星。そこに住む住人(生き物・植物?)がゴイスーに不思議で愛らしいのでございます。

そして、何よりもゴイスーなのが、独特の世界観の絵でございます。眺めているだけで癒されます。

ちなみに、作者のソーニャ・ダノウスキさまは、ナミ国際絵本イラストレーション・コンクールのゴールデンアイランド賞、パチェルダー賞オナーブックなど数々の賞を受賞されております。

この『スモンスモン』も、ドイツで子ども審査員が選ぶ絵本賞やミュンヘン国際児童図書館の“ホワイト・レイヴンス”に選ばれております。

この絵本をプレゼントされる際には、こんな蘊蓄も添えて頂ければと。

ソーニャ・ダノウスキさんの絵本

音楽のうまれる神秘的な瞬間を描いた絵本

ぼくがふえをふいたら

フルーーフルーー……笛の音は風にのり、彼方にこだまして、眠るだれかをよびおこす。タタ、タタ、カチャ、ケチャ、ビーン、ビーン……!重なり広がり響きあい、音は喜びに満ちていく。圧倒的な画力とみずみずしい感性で絵本の新境地に挑む画家・阿部海太が描く、音楽のうまれる神秘的な瞬間。心地よい余韻がのこる絵本。

こちらも、絵がゴイスーに個性的、絵画的でございます。(今回ご紹介する絵本はすべてそうなのですが)画集と言ってもいいくらいでございます。ページをめくるたび、その世界観にグイグイ引き摺り込まれてしまいます。

「音が聞こえてきそうな絵本」というより、さらに、「音が見えてくる絵本」でございます。音が絵として表現されている、その音色が見えてくる、描かれているのでございます。絵本という媒体でなければ表現できないのではないかと。是非、その感覚をご体験頂きたいのでございます。日常を離れ、見知らぬ土地で見知らぬ生き物たちと不思議な夜のひと時を過ごす、そんな擬似体験のできる絵本でございます。

阿部さまは、カルチャー・アート系雑誌で、絵本が紹介される際、必ず紹介される絵本作家さまの一人でございます。肩書きは、“絵描き・絵本描き”。東京藝術大学デザイン科卒業後、ドイツ、メキシコに渡り、帰国後、絵画と絵本の制作活動をされている気鋭の絵本描きさまでございます。

ちなみに先日、毎日新聞にこんな阿部さまのコメントが掲載されておりました。

絵本は一つの芸術作品。プライベートな時間に、おのおののペースで静かな気持ちで接することができるのがギャラリーで鑑賞される絵画との違いだと感じています。絵本には、場所や時間を超えていく力もあります。

(毎日新聞 2019年12月25日 東京朝刊)

 

その通りでございます。今回ご紹介する絵本は、まさに、美術館やギャラリーに足を運ばなくとも、就寝前、ベッドの中でも楽しんで頂けるアートなのでございます。

絵を眺めて、紡がれる物語

怪物園

怪物園

作・絵:junaida
出版社: 福音館書店

遠くから眺めると、それはお城のようでした。けれども、屋根には目玉、窓からは、毛むくじゃらの手、蹄のついた長い足もあります。みんなはそれを怪物園と呼びました。怪物園は、たくさんの怪物たちをのせて、長い旅を続けていました。ある夜、怪物園が眠ったすきに、外の世界へと抜け出した怪物たちは、街までやって来ると、通りを行進しはじめました。『Michi』『の』のjunaidaがつむぐ、どこかのだれかの物語。

作者のjunaidaさまの絵は、どこかでみたことがある、そんな方も多いのではないでしょうか。伊坂幸太郎さまの最新小説『逆ソクラテス』(集英社)のカバーイラストを手掛けているのもjunaidaさまでございます。

雑誌『Casa BRUTUS』で今年、「大人も読みたいこどもの本100」という特集がございましたが、そこでも「いま注目の絵本作家」として紹介され、その際のキャプションが“絵から物語を紡ぎ出すjunaida”でございました。

そのキャプションの通り、junaidaさまの絵本の最大の特徴は、具体的な物語が語られていなくても、その絵を眺めていると頭の中に物語が浮かんでくる、そんな絵本でございます。まさに、眺める絵本でございます。

こちらの最新作も期待を裏切らない一冊になっております。今回は通常の絵本のようにストーリーがございますが、絵を眺めていると、頭の中に物語が浮かんでくるところ、絵を眺めているだけで楽しい、癒される、そこは変わりありません。junaidaさまならではのポップでファンタジーでアートで個性的な怪物たちがたくさん登場いたします。その一頭ずつを眺めているだけで十分に楽しめる一冊でございます。

 

最後に、大人へのプレゼントとしてご紹介いたしましたが、自分へのプレゼント、いわゆる“ご褒美プレゼント”としてもオススメでございます。もちろん、親子でもお楽しみ頂けます。

そのほかにも、年末にかけて、大人からも人気が高い絵本作家さまの絵本が続々出版されております。

キューライスさま、ヒグチユウコさま、中野真典さま、中村至男さま......と、大人絵本ファンには、たまりまセブンな年末でございます。

ゆきだ ゆきだ
こどものとも年中向き 2021年1月号

N田N昌

絵本トレンドライター・放送作家・絵本専門士
絵本の最新情報を発信&大人絵本文化、絵本プレゼント文化の普及活動に日々努めております。  

@NtaNmasa

 

(画像は、イラストレーター・作家の網代幸介さんによる著者肖像画)

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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