鮮やかな色彩と自由な世界、荒井良二さんの絵本
JBBY賞、講談社出版文化賞、小学館児童出版文化賞、産経児童出版文化賞、日本絵本大賞、ボローニャ国際児童図書展特別賞など、国内外で数多くの賞を受賞し、2005年には児童文学界のノーベル賞と称される「アストリッド・リンドグレーン記念文学賞」を日本人で初めて受賞された荒井良二さん。
鮮やかな色彩と自由な構図で、読む人すべてのこころをときめかせる荒井良二さんの絵本の中から、特におすすめしたい作品を、絵本ナビに寄せられたレビューとともにお届けします。
- 1. 荒井良二さんの魅力が詰まったオリジナル絵本、おすすめ5選
- 2. 大切な人へのプレゼントにおすすめの本
- 3. あの名作を荒井良二さんが手がけたら……
- 4. 作家とのコラボ絵本も名作ぞろい!
- 4.1. ◆中川ひろたか×荒井良二
- 4.2. ◆江國香織×荒井良二
- 4.3. ◆森絵都×荒井良二
- 4.4. ◆あさのますみ×荒井良二
- 4.5. ◆内田麟太郎×荒井良二
- 4.6. ◆もとしたいづみ×荒井良二
- 4.7. ◆石津ちひろ×荒井良二
- 4.8. ◆長田弘×荒井良二
- 5. 震災以降の世界に生きる全ての人へ、思いを込めた本
- 6. 荒井良二さんってどんな人?もっと知りたい方へ
- 7. 荒井良二さんが生み出す、唯一無二の世界をご堪能下さい
荒井良二さんの魅力が詰まったオリジナル絵本、おすすめ5選
大胆な構図に、鮮やかな色使い、そして自由な世界観。
読んでいるとにおいがしたり音楽が聞こえてくる感覚になるほど、五感を刺激する荒井良二さんのオリジナル絵本。
数多くの名作の中から、特に読んでほしい5作をピックアップしてみました。
第1回JBBY賞受賞、あふれる色彩が音楽のように鳴り響く傑作絵本
複雑で重厚になっていく絵(もちろん軽やかさは変わりません)とは対照的に、よりシンプル、より力強くなった印象の文章。進化していく荒井良二の新しい世界です。
たいようがオルガンをひくと朝が来て、明るい一日の始まりの世界が画面一杯に広がります。その大きな大きなたいようオルガンが見守る中、細いみちをゾウバスが走り出すのです。どんどん進むゾウバスの感じる世界は・・・。
「はながさいている」「かぜ きもちいい」「ちょうちょ いる」「みち つづく」「ひと のったりおりたり」
あまりにもストレートに述べるこれらの言葉に思わず「ほんとだほんとだ。」。画面の隅々、ちょこまか荒井ワールドに引き込まれてしまいます。その先のお話はみんながそれぞれ考えるのかな?でも私は最近の荒井さんのこの感覚が大好き。ささいなこと、当たり前のことをこんなに新鮮な気持ちで見つけられる喜びを感じずにはいられません。
そしてゾウバスはボートに乗ったら一休み、「お茶いただきまーす。」なんて幸せそうな表情なの・・・。まだまだ進むゾウバスです。
たいようオルガン、夕方になったらどうなるの?夜になったらどうなるの?最後の2場面はとってもニクイ演出。
さぁ、あなたはどう読む?
■読者の声
音がきこえてくるようです
この絵本を開くと、ドキドキうきうき、
まるで冒険へ出かけるような楽しい気持ちになります。
どこまでも聞こえてくるオルガンの音、絵から、それが本当に聞こえるようです。
すべてのページがパワフルで、圧倒されます。荒井良二さんの作品の中でも、とても好きな一冊です。
(なーお00さん 30代・その他の方 )
だれか、私に読んで~!!
色がきれいな絵本です。オレンジ色っぽい黄色い色から、タイトルにある太陽の明るさ、暖かさが伝わってきます。そして絵本全体から、楽しさとエネルギッシュな感じが伝わってきます。
読んでいると、なんだか落ち着かない気分になりました。言いたい、言いたい・・・。「誰か、私に読んで~!!」と。
この絵本は、リズムのある文章に身をまかせながら、うっとりと、じっくりと絵を眺めたい・・・私にとって、そんな絵本です。一人で一度に、読むことと見ることの両方はできない・・・。
手をあげれば誰でも乗れる、乗り降り自由、いろんなところを通ってどんどん進むゾウのバス。楽しそう~。ゾウバスに乗って、どこか遠くへ行きたくなりました。「どうぞ どうぞ」という言葉がたくさんあって、ウェルカムな感じが嬉しいです。
太陽の輝き、静かな月の光、素朴な音色のオルガン、その下で走り続けるゾウバス。読み終って心に残ったものは、「自由」でした。
(なみ@えほんさん 50代 ママ 大阪府)
長新太さんに捧げる、最新作にして新たなる代表作
今日も水平線から日が昇る。いつもの風景、季節の移ろい、突然の雨、特別な夜。
繰り返す日々のなかで、みんな、いつもなにかを待っている。
船が通るのを、貨物列車を、雨上がりを、夜明けを……。
◆国内外で活躍する荒井良二の新しい代表作が誕生!
ぼくが大学生の時に、長新太「ちへいせんのみえるところ」を
手に取ることがなかったら、絵本を作っていなかったと思う。
今だにぼくは、この地平線の見える風景の中にいて、
優しさや不安や笑いや寂しさや怖さや希望の風に吹かれている。
そう、まるでこどもの時のぼくがそうして立っているように。
ぼくが絵本を作る時は、必ず頭の中で一本の線を引き、
そこからぼくの絵本の旅を始める。
やがて、その線は見えなくなってしまうが、
時おり顔を出してはこどもの時のぼくが「ちへいせん」を眺めて立っている。
いつか、ぼくの「ちへいせんのみえるところ」を描いてみたいと思っていたが、
もしかしたら、この「こどもたちはまっている」が、そうなのかもしれない。
そして、この本を長さんに捧げたいと思う。
荒井 良二
(亜紀書房HPより)
■絵本ナビ編集長・磯崎園子がおすすめする、”見どころ”ポイント
はるか遠くの地平線を眺めながら。
明るい空や山を見上げ、どこまでも広がる海や川を見つめながら。
子どもたちは何をしているのでしょう。
目の前には大きな窓があり、橋がかかり、布団が広がっている。
大好きな場所にいて、大好きな時間を過ごしながら、
子どもたちは「まっている」のです。
そこに船が通るのを。
ロバやラクダが来るのを。
雨上がりや、お祝いの日を。
そして……。
絵本を開き、目の前に広がるのは輝くばかりの美しい絵。ひかりにあふれ、豊かな色彩に包まれた自然の風景や、窓から見える景色。そして、そこには子どもたちが待ちわびているものが大切に大切に描かれています。
そう、子どもたちにはいつだって「見えている」のです。あの懐かしい夏の日差しや雪の眩しさが。その景色にふさわしいものたちが。そして作者の荒井良二さんにも見えているのでしょう。どこまでも大胆で力強く、一方でとても繊細で愛らしく、神秘的であり開放的でもある数々の場面。
私たち大人は、その景色の素晴らしさに感嘆し、息を飲み、思い出していくのです。私たちだって「待っていた」ということを……。
子どもと大人の世界をつないでくれる、そんな大事な一冊なのだと思います。
平和とは?幸せとは?明るく問いかける話題作
はっぴぃさん、はっぴぃさん、ぼくらのねがいをきいてください!どうぞ、どうぞ…。荒井良二が6年ぶりに発表する新作絵本。
<あらすじ>
はっぴいさんは困ったことや願い事を聞いてくれるのです。
はっぴいさんは山の上の大きな石の上に、時々来るのだそうです。
なんでものろのろのぼくは、のろのろじゃなくなるようにと、なんでもあわててしまうわたしは、あわてなくなるように、はっぴいさんに会いに行き、その途中で出会います。
待っても待っても、はっぴいさんは現われませんでした。
「のろのろは なんでもていねいだからだとおもうわ」
「あわてるのは なんでもいっしょうけんめいだからだとおもうよ」
はっぴいさんは来ませんでしたが、太陽を見ているうちに、二人はなんだかはっぴいさんに会えたように思いました。
■読者の声
涙が出ました・・・
この絵本、親のほうがじ~んときます。
初めて読み聞かせた時、感動して泣いてしまって、娘に「だいじょうぶ??」と心配されました。(笑)
この絵本はいただきもので、最初のページに戦車みたいなものが描いてあるし、なんだか怖いなぁ…と思いながら読み始めたのです。
でも読み進めていくと、性格のまったく違う「ぼく」と「わたし」の重なり合いに引き込まれてしまいました。
二人とも「はっぴぃさん」という具体的な、でも実体のないものを追いかけていたのですが、ふと気づくのです。
そして気づいて、晴れやかな気持ちで別れていくのです。
読みながら共に気づけたとき、娘も感動できるようになるのでしょう。
その時まで、大事にとって置いてあげようと思う絵本です。
(やまももママさん 30代・ママ 女の子3歳)
第11回「日本絵本賞」受賞、「荒井良二ワールド」が広がる唯一無二の絵本
国内外に多くのファンを持つ絵本作家として、高い評価を得ている荒井良二。過去にも様々な受賞歴がありますが、2005年、”児童文学のノーベル賞”といわれる[アストリッド・リンドグレーン記念文学賞]を日本人として初めて受賞! そして待望の受賞後初の作品『ルフラン ルフラン』が完成しました!!
主人公のルフランは、引越しの途中で大きな王冠を発見します。持ち主を探すルフランは、森に住むケナゲナと出会い、2人は楽しい時間を過ごします。森のみんなが持つ王冠がないことをさみしく思うルフランに、ケナゲナが贈ったものとは?? 優しさ溢れるストーリーと、2人の交流をそっと見守るあたたかな挿絵が読む人を幸せな気持ちにしてくれる、「荒井ワールド」が広がる絵本です。
■読者の声
世界にひとつしかないような絵本
荒井良二さんの絵本、娘が大好きです。なんだか、登場人物がとってもかわいいみたいで、いつも、“うふっ”て笑いながら見ています。
“ルフランルフラン”もやっぱり、大のお気に入りです。
ページをめくると、きれいな色づかいの絵がぱぁっと拡がって、目をひきつけます。文も、とてもかわいいのです。
言葉ではうまく伝えられないような世界・・・でも、世界にひとつしかないような、すてきな絵本です。
(nanakoさん 30代・ママ 女の子2歳)
『ルフランルフラン』こちらもどうぞ!
自由な発想でのびのびと描かれた、デビュー25周年記念作!
『こどもる』。なんとも不思議なタイトル。
中を見ると、色鉛筆を使って描かれた、色鮮やかなたくさんの子どもの姿。
口を開けている姿は「声る」、ゴミを触っている姿は「ごみる」、
ガラスに貼りついている姿は「ガラスる」……。
子どもたちの動き、目線、興味のある物、それらの後ろに、すべて「る」がついているのです。
どうして「る」がついているの? 「る」がついているということは動詞って意味?
……など、いろいろ考えてしまいそうですが、ここはただ純粋に、子どもたちの動きを楽しむのが正解。
絵本の中の子どもたちの、無心で、一生懸命で、ひたすら楽しんでいる姿をじーっと見ていると、これが「こどもる」ことだというのが、実感できます。
子どもたちのありのままの姿を「る」という言葉をつけて、表現した荒井良二さん。
1990年に処女作『MELODY』で絵本作家としてデビューし、その後、第46回小学館児童出版文化賞、ボローニャ国際児童図書展特別賞、アストリッド・リンドグレーン記念文学賞など数々の賞を受賞した、日本を代表する絵本作家のデビュー25周年を記念して出版された作品です。
■読者の声
幼児の感覚
脈絡もなく「※※る」で終わる言葉たちと、そんな言葉とセットになったような幼児絵。
このすご技に圧倒されます。
覚えたばかりの言葉で、勝手に応用編をつくる、意味不明の可能性の塊を、荒井さんはしっかりと理解されているようです。
同じ言葉が繰り返されたり、何の絵だかもよくわからない絵を描いて見せる荒井さんは、本当は幼児なのではないでしょうか。
(ヒラP21さん 60代・パパ )
大切な人へのプレゼントにおすすめの本
大切なものを大切だと思う気持ちが伝わる荒井良二さんの絵本は、大切な人へのプレゼントにもぴったりなんです。
中でも特に贈り物におすすめの絵本をご紹介します。
■読者の声
きゅーん(胸が)
はいけい、ぼくのキュートナ
私はキュートナになった気がしたのです。
そしてこんなに優しいラヴレターを戴いて、
すっかり荒井良二先生のファン。。。
ユメゴゴチで読んだ後の余韻が
ずーっとのこりついに購入してしまいました!!
旦那様、奥様へのプレゼント。
また愛しい人にはどんな記念日にでもオッケー
いつも照れて好きを伝えれない人にも
この本をラヴレター代わりでどうかな?
要チェックですよぉ(●^o^●)
(もこもけさん 20代・その他の方 )
相手を想う温かい気持ちが伝わる、荒井良二さんのデビュー作
ユックリはアコーデオンをひきます。ジョジョニは音楽にあわせて踊ります。そんなふたりの心あたたまる〈出会い〉の絵本。 1991年に発行された、人気イラストレーターの新鮮でやさしい絵本。
■読者の声
プレゼント・ブック
とても目を引く色とデザインです。
また、ユックリとジョジョニ、という題名も、一度聞いたら忘れられません。
個人的には、荒井良二さんの絵本によく登場する、「汗をかきながら笑う人」の絵がとても好きなのですが、
この絵本は、ちょっとシリアスなので、そちらは登場しません。
でも、荒井さんの別の一面がでている絵本で、こちらもとても素敵です。
「ブーバ・トリロリ…」とアコーディオンを弾く、歌の上手なユックリは森に住み、
「クルリ・クル」とダンスも上手なジョジョニは、町に住んでいます。
二人は出会い、踊り、いつしか、知らない町にきていました。
まだ、恋とも呼べないような、淡い思い。
それがとてもやわらかく描かれています。
子供は、ただ絵を楽しみ、文章の音を聞き、楽しんでいるようでした。
大人は…もう少し違う思いで、この絵本に惹かれることでしょう。
個人的な意見ですが、この本は、あげたい人や、その場面がいろいろと思い浮かびました。
プレゼントブックとしても、いいのではないでしょうか。
(ルートビアさん 30代 ママ 宮城県 男の子4歳)
大切な人に、応援のメッセージを届けてみませんか
「はいけい ぼくのともだち」「こんにちは ぼくのおきゃくさん」の2編から成る四季をとおして届く「ぼくのおとぎ話からの手紙」。
■読者の声
心がほっこり
手のひらを広げるよりも少し大きめのサイズと、色とりどりのイラストの明るさにひかれて読みました。
荒井さんのお手紙は、読む私に向けられたメッセージのようにも応援歌のようにも聞こえ、ことばに添えられた優しい表情をもったイラストには、心ふにゃふにゃにさせられました。
人ではなく、ひとつひとつの「もの」へのお手紙。「もの」に気持ちを注ぐなんて、もう何年もしていない気がするなと、気づかされました。荒井さんの優しさ、気持ちの深さに感動。
お友達にプレゼントしたい、そんな一冊です。
(けいご!さん 40代・ママ 女の子13歳、男の子9歳)
出産や誕生のお祝いにおすすめしたい絵本
荒井良二3年ぶりのオリジナル絵本
「きょうもあしたも特別な日。毎日はかがやいている」。愛馬“あさやけ”とともにお祝いの旅に出た“ぼく”が出合う、たくさんのうれしくて、しあわせな瞬間。毎日はよろこびと感謝の連続で、世界はどこまでもつながっている。日常にちりばめられたまばゆいひとコマを、豊かな色彩とやさしいまなざしで描いた、子どもから大人まで心温まる物語。
■読者の声
いのちがうまれる おめでとう! 未来が明るくなりそうな・・・
荒井良二さんの世界が 命の誕生を おめでとうと 喜び
みらいちゃんという名前をつけて なんだか 未来に 夢が開けるような 気持ちにさせてくれました
声にだして 読んでみてください
とってもいい 詩的な 世界が 開けて 良い気持ちになれます
あさやけ という 白い馬にのって ぼくは、どこまでも どこまでも 走っていくのです
未来に 幸せをもとめて 自由に 走っていく様子が 気持ちよかったです
(にぎりすしさん 60代・その他の方 )
あの名作を荒井良二さんが手がけたら……
グリム童話や文豪の作品など、あの名作を荒井良二さんが手がけたら、一体どんな絵本になるのでしょうか……?
自由で独特な感性が光る、名作の新たな世界をお楽しみください。
グリム童話の不朽の名作『眠り姫』を荒井良二が描く!
グリム童話の不朽の名作を荒井良二が描いた傑作!
NHK連続テレビ小説「純と愛」のオープニングを担当する荒井良二が描き下ろす、夢とファンタジーに満ちた物語。グリム童話の世界を、「アストリッド・リンドグレーン賞」受賞作家がオリジナリティー豊かに描いた、心温まる絵と文章で贈る、子どもから大人まで幅広くいつまでも楽しめる愛蔵版。
[編集者からのおすすめ情報]
荒井良二さんがこれまであまり扱ってこなかった古典に対する、荒井さんならではの読み手を楽しませる「挑戦」がふんだんに盛り込まれた絵本です。誰もが知っている物語だからこそ、あえて荒井さんのイメージにある物語を描いた“荒井良二らしさ”にあふれています。同時に、古今東西、老若男女、誰が読んでも色あせることなく広く知られる古典ならではの魅力もつまった、いつまでも読み続けられる「一生の宝物」の一冊です。
■読者の声
荒井良二さんのセンスで グリムのおはなしが
荒井良二さんの絵は 独特なセンスで描かれています
お話しはグリムのねむりひめ 絵がかわいいので 他のねむりひめのイメージと違うんです
絵本の魅力は絵のもあるので 華やかな 絵本になっていると思いました
むかしむかしの 話です むかし むかしの・・・・・ でも 昔話が現代的なイメージに思えました
やはり、私は グリムのお話には 重厚な絵が似合うように感じました
読む人の感じ方ですから この絵本の良さをもう一度味わいたいと思いました
お話しはグリムのおはなしでした 絵がなくて 語りで聞くのも味わいがあると思います
自分のイメージで お話しを想像できるからです
(にぎりすしさん 60代・その他の方 )
宮沢賢治の名作が、荒井良二の絵の力で蘇る
「オツベルときたら大したもんだ。稲扱器械の六台も据えつけて、のんのんのんのんのんと、・・・」ある日、地主のオツベルのところに大きな白い象がやってきて、オツベルは象をうまく騙して思うがままに過労をさせる。初めは労働を楽しんでいた白象だが、徐々に食べ物を減らされて弱っていく。白象は月の助言で仲間たちに手紙を書き、それを読んだ仲間の象たちはオツベルの邸へと押し寄せていく・・・仲間達が一体になって、助ける姿に感銘を覚えます。最後の燃えるような「赤」が印象的な作品。決してハッピーエンドではないこの物語を荒井良二が色鮮やかに描きあげた絵本です。
▼「宮沢賢治の絵本」シリーズ
■読者の声
絵の底力を感じさせてくれる一冊。
日常の言い回しに「真っ赤になって怒る」とか「無垢な白」とか「顔色を失う」とか、色にまつわる表現はたくさんあるけれど、はて、それはどういった状態を指すのか具体的に説明しろ、と言われると困ってしまう。
宮沢賢治の紡ぐこの物語は、ストーリーそのものは大人にとっても難解で、活字を追うだけでは内容がストンと腹に落ちてこない。
けれど、絵の力が加わるとどうだろう。白い象には柔らかな清らかさを、鼻の穴から黒々とした毛を生やすオツベルには強欲を、赤く群れなす象に怒りを、感じる。
色の持つ温度や線の強弱が、文字で読み解くよりも直球に、肌感覚にゾワゾワと話の内容を伝えてくれる。
まさに、絵本だからこその、名作の楽しみ方が、この一冊にはある。
子どもたちがやがて大人になったとき、自分の力ではどうにもならない事態に出会うこともあるでしょう。そんな時、あの白い象のようにあ「苦しいです。サンタマリア。」とため息をつくかもしれない。けれど、白象に童子が手を差し伸べ、仲間が助けに訪れたように、どんな理不尽な状況にも、救いがきっと訪れるはず。そんな小さな希望という財産が、鮮やかな色彩の記憶とともに、子どもの心の根っこに残っていてくれれば良いと思います。
(kiyokiyokiyoさん 40代 ママ 千葉県 女の子2歳)
■読者の声
かわいらしい靴屋さん
やはり日本昔話、グリム童話・・・といった
お話には子どもたちを惹きつける力が
あるなぁと再確認しました。
お話はみんなが知っている「こびとのくつや」
ですが、荒井良二さんのなんともかわいらしい
イラストが、靴屋の夫婦やこびとたちのかわいらしさを
更に引き立てている絵本だと思いました。
こびとたちにお礼を考える夫婦のドアップのページは
かなりかわいらいく、あたたかい気持ちになります。
(いちいちごさん 20代・せんせい )
作家とのコラボ絵本も名作ぞろい!
たくさんのオリジナル絵本を発表されている荒井良二さんですが、画家として、いろんな作家さんとコラボした絵本も数多く出版されています。
これもまた、名作ぞろい!
全作品を紹介したいところなのですが、スペースの関係上、注目作品をピックアップしてご紹介します。
◆中川ひろたか×荒井良二
■読者の声
誰のぼうしかな?
少しだけ変わった形のぼうしです。
「誰が、かぶっているのかな?」と想像すると、楽しくなりますね。
荒井良二さんの絵も、素敵です。
シンプルな文章と構成なので、かなり小さな子供から楽しめると思いました。
コンパクトなサイズも、手軽でいいですね。
(なしなしなしさん 30代・ママ 女の子9歳、女の子4歳)
◆江國香織×荒井良二
最高に贅沢な顔合わせの文庫版絵本
最高に贅沢な顔合わせの文庫版絵本。
夢にでてきた、それはきれいなピンクの壁があるところ、モンテロッソへいかなくちゃ! 猫のハスカップの旅が続く…。荒井良二氏の美しい絵で誘う江國ワールド。描き下ろし多数。(エッセイ・金原ひとみ)
■読者の声
絵にリードされたおしゃれな物語
怠惰な猫のハスカップが、モンテロッソの国を目指す冒険の旅が、一見脈絡もなく語られているのですが、荒井良二さんの絵で、とても説得力のあるおしゃれなファンタジーになっています。
でも、読み終えてからもう一度絵を見返してみると、絵は物語に同化していて、自立しているページは多くありません。
素晴らしいコンビネーションです。
何だかくすぐられるような作品です。
(ヒラP21さん 60代・パパ )
◆森絵都×荒井良二
■読者の声
何が面白いって、荒井良二さんの絵です。
子供が学校でカルタ作りをするというので、参考になれば、と思って、借りてきた1冊です。
例えばこんな文が載っています。
「あきすに 「いんどに 「うみべで
あったら いったら うわさの
あきらめな」 いんどかれー」 うみぼうず」
「あ」なら、「あ」で始まる言葉のだじゃれみたいな語呂合わせなんだけど、子供はけっこう受けていました。
言葉も面白かったけど、それを更に面白くしてくれていたのは、「荒井良二」さんのおちゃめな絵。
子供の落書きみたいなかわいい絵がなんとも言えません。
絵も描いて、紹介できるといいのにって、すごく思います。
(てんぐざるさん 30代・ママ 7歳、2歳)
「森絵都×荒井良二」コラボ作、こちらもどうぞ!
◆あさのますみ×荒井良二
声優としても活躍する浅野真澄さんとのコラボ絵本
エリちゃんのカーデガンに5つ並んで付いている、ボタンのなかよし5人兄弟、
パッパ、ピピ、プー、ペーペ、ポッポは、「はる」を見たことがありませんでした。
あたたかくなると引き出しの奥にしまわれてしまうので「はる」をしらなかったのです。
ある日、エリちゃんが「もうすぐはるだね」といいました。
それを聞いたパッパは「はるって、どんなものだろう?」気になります。
「はるはあたたかい」
「はるは、とってもいいにおい」
「はるくがくるとうれしくなる」
おてんばのピピも、くいしんぼうのプーも、のんびりやのペーペ、すえっこのポッポも
想像をふくらませてかんがえます。
はるって……カーディガンみたいで、ホットケーキに似ていて、あしがあるものかな!?
文章を書いているのは「小学館おひさま大賞」受賞作家、あさのますみさん。
冬の間、エリちゃんを寒さから守るため、「きたかぜなんかにまけないぞ」と
ボタンあなのなかでうんと胸をそらせる兄弟たちの、けなげで愛らしいことといったらありません。
さあ、ピューピュー吹いていた北風がやみ、おひさまが顔をだした日、
しばらく家を留守にしていたエリちゃんのおかあさんが帰ってきた日に
パッパ、ピピ、プー、ペーペ、ポッポがはじめて見た「はる」とは、どんなものだったのでしょう?
人気絵本作家、荒井良二さんが描く、かわいい絵に、もう、夢中!
最後の場面では、思わず、はるってこんなにすてきなものだったのか!とつぶやきたくなりますよ。
もうすぐあかちゃんがうまれる家のお子さんにぜひ読んであげてくださいね。
ページからほんわりあたたかい温度がつたわってくるみたい。
いのちの訪れと、やさしさいっぱいの心をかんじられる絵本です。
■読者の声
お話と絵がぴったりあっている
図書館の特別展示、「春のコーナー」で見つけました。
えりちゃんのカーディガンに付いているボタンの5人兄弟。
春には引き出しの奥にしまわれてしまうので、兄弟たちは春を知りません。
はるってどんなもの?とそうぞうするボタンたちが、可愛くて、ほのぼのします。
荒井良二さんの絵が、お話とぴったりあっていると思いました。
(クッチーナママさん 40代・ママ 女の子15歳、女の子13歳、男の子10歳)
「あさのますみ×荒井良二」コラボ作、こちらもどうぞ!
◆内田麟太郎×荒井良二
第46回小学館児童出版文化賞を受賞した、思わず笑ってしまう傑作絵本
レトロなスーツに帽子をかぶった、まんまる顔のおじさん。
おじさんは、何があっても笑いません。
「カメが、かめを かめないでいても。」
絵の中で、カメが甕(かめ)を噛めなくて泣いています。
読み手はまず、この腰砕けるダジャレが画面いっぱいの絵になってるだけで吹き出してしまいます。
さらに、海中では別のカメがカメラでカメを撮影していたり、
散りばめられた遊びにも、じわじわ可笑しさがこみあげてきます。
でも、絵本の中のおじさんは涼しい顔。
「イタチが、としを はたちといっても。」
輪っかのピアスをしたイタチのとぼけた横顔!
吹き出しで「わたし、はたちよ」なんて言っています。
それでも、おじさんは無表情。
どんなおかしなダジャレの光景が目の前にあっても、このおじさんは笑わないんです。
なぜって?おじさんの正体は・・・。
作者 内田麟太郎さんの繰り出すダジャレの数々に「どうだ!」とばかりに応える荒井良二さんの絵のパワー。
言葉と絵の絶妙なタッグが生み出す、ハイセンスでナンセンスなダジャレワールド。
最後に残る余韻には、大人も「うーむ・・」とうなってしまいます。
じっくりと味わってみてください。
ダジャレや言葉遊びが分かるようになったら、親子で一緒に声に出して読むのも楽しいですね。
■読者の声
不覚にも・・笑ってしまった自分に笑える!
「このおじさんは わらいません。
ニワトリが 二わ トリをかっていても」
ではじまり、
くだらない(?)ダジャレのオンパレード♪
私も途中までは笑わなかったんですが、1箇所笑ってしまったところがあります。
あ~やられた・・・という感じで、
笑ってしまった自分がおかしくて(笑)
小さな子どもさんにはちょっと理解できないと思うんですけど、とても面白い絵本でした。
ところで、私が笑ってしまったのは
「このおじさんは わらいません。
イタチが としを はたちといっても」ということろです。
(まりん♪さん 30代・ママ 女の子11歳)
「内田麟太郎×荒井良二」コラボ作、こちらもどうぞ!
◆もとしたいづみ×荒井良二
子どもに大人気、『すっぽんぽんのすけ』で盛り上がろう!
「お風呂上りは裸がいちばん」
誰ですか、そんなことを堂々と宣言しているのは。早くパンツをはきなさい。ところが……彼はただの子どもじゃなかった。外へ出ると出会ったのは悪い忍者たち。
「ややっ あやしいやつ。なをなのれ!」
「ぼくは、すっぽんぽんのすけだ~えいっ!」
忍者たちを蹴散らし、町を闊歩するすっぽんぽんのすけ。さらわれたねこのみいちゃんを助けるため、忍者の親分と対決するのです。あれ……なんだかカッコいい?
読めばすぐに「これは困ったことになるぞ…」と直感してしまったおかあさま方、その予感は当たっています。すでに子どもたちの目は光っています。ところが困ったことにこの絵本、声に出すと実に気持ちよく、さらにたまらなく面白いのです。やめられないのです。
ああ、気づくと我が家にも……。
よっ、われらがヒーロー、すっぽんぽんのすけ様の参上です!
仕方がないですね。
■読者の声
すっぽんぽん
何とも痛快なお話。
タイトルのとおり、ほんとにすっぽんぽんなのが潔いですね。
お風呂上がりに、服を着たがらないではだかのままって、うちの娘たちもよくあったので、懐かしく読みました。
すっぽんぽんのまま外へ飛び出し、悪者と戦うという有り得ない展開ですが、絵本だから許せるユーモアと、下品さを感じない絵とストーリーが良かったです。
(tori.madamさん 30代 ママ 大阪府 女の子6歳、女の子3歳)
「もとしたいづみ×荒井良二」のコンビが贈る『すっぽんぽんのすけ』シリーズ、こちらもどうぞ!
◆石津ちひろ×荒井良二
■読者の声
なぞなぞ100個!
頭の体操にとっても良いと思います。なぞなぞ100問があり、隣にこたえが絵で描いてあります。絵の中から答えを見つけるのもまた面白いのです。
最後のページにこたえも書いてあるので、難しいときは活用できます。
たくさんあるので1日では終わらず、何日かにわけて少しずつやっていきました。でも大人でもピンとこないものがあり、面白いと思います。
(えみりん12さん 30代・ママ 女の子7歳)
遊び心をくすぐる!胸がきゅんとなるおしゃれな絵本
にちようび、ハナちゃんはおさんぽにでかけます。ちいさなときから、ずっとなかよしのバンビさんもいっしょです。
……おもちゃのバンビさんにのってお出かけしたハナちゃんは思わぬことで、バンビさんとはなればなれになってしまいます。スヌーピーに出てくるライナスの毛布のように、物であっても、かけがえのない自分の一部のような存在感をもつものがあります。大事なものをなくしてしまう悲しさ、そして、めぐりめぐって出会えるうれしさ、荒井良二さんのキュートな絵とともに、胸がきゅんとなるおしゃれな絵本です。
さいごに、ほほう、なるほどと思わせることばあそびのオチが……。
■読者の声
スゴイ!感動した!
こどもがつくったような、お話だな~って感じながら、読み進めていました。
次に何が飛び出すか、まったく予想がつかない!
だから、ぐいぐい惹きこまれて、目が離せないんです。
石津さんも、荒井さんも、こどものようなココロをもった方たちなんだなぁ・・・なんて、感心しながら、最後まで読み進めて、更にビックリ☆!!
こどもがつくったように脈絡なく、つくられていると思っていたストーリー、実は、“あるしかけ”を組み込んだ計算された展開だったんです。
しかも、ただの“しかけ”ではなく、世の原理というか、これって哲学!?
これには、もう感動でした☆
(しゅうくりぃむさん 40代 ママ 大阪府 女の子6歳)
「石津ちひろ×荒井良二」コラボ作、こちらもどうぞ!
◆長田弘×荒井良二
■読者の声
森へ行こう。
子どもにはちょっと難しいかな?と思って読みましたが、
4才の息子がしばらく毎晩「これ読んで!」と持ってきました。
絵がきれいだからか、言葉に魅力を感じるからか、
何が良かったのか、あえて聞くことはしませんでした。
できるだけ読後に余韻を残した方がいいように思います。
4才で読んでもらった時、14才で読んだ時、
そして24才で読んだ時・・・それぞれにどう感じるのか。
長く長く手元において欲しい絵本です。
子どもには確かに難しいかもしれませんが、
どうか決めつけずに、折をみて読んであげて欲しいと思います。
もちろん大人の癒しにもおすすめです。
そして、親子でいつか、森を歩いてみませんか?
(たんたくんさん 30代・ママ 男の子4歳、女の子3歳)
震災以降の世界に生きる全ての人へ、思いを込めた本
山形県で生まれ育った荒井良二さんは、東日本大震災直後から東北各地へ通い、絵を描くワークショップなどの支援活動を行っていました。
そして、被災地で暮らす人、震災以降の世界に生きる全ての人々にエールを贈る本が生まれました。
こんな時代だから、今こそ読んでほしい本です。
宮城県で生まれた曲をもとに、被災地の子どもたちと一緒に作った絵本
「メリーしあわせ基金」をきっかけに、“明けない夜はないから”の歌詞に、無くしたくないものや思い、未来への希望をのせて、荒井良二と宮城県の子どもたちが一緒に作った絵本。見る者に勇気をあたえる1冊。
■読者の声
忘れないこと・つなぐこと
宮城県の子どもたちと荒井良二さんが一緒に描いた絵。
そこに『明けない夜はないから』というメッセージ。
1つ1つの絵に、子どもたちの想いがギュッと詰まっています。
それは、この本の中にも書かれていますが、『あの日』であったり、『未来』であったり。
絵からすごく伝わってくるものがありました。
この『明けない夜はないから』が、そのまま歌詞となった歌があります。
この絵本を手にしたならぜひ聞いてほしいと思います。
(☆だ~なさん 30代・ママ 男の子8歳、男の子6歳)
現代を代表する32人の絵本作家が描いた、震災をめぐる絵とエッセイ
――3.11と子どもの本の作家たち。
現代を代表する絵本作家たちが描く、震災をめぐる或る日の記憶。
*『翻訳できない世界のことば』のイラストブックシリーズ。
*現代を代表する絵本作家たちによる、絵とエッセイを収録。
*初のエッセイ書き下ろしとなる作家も多数。
【イラストとエッセイ】(五十音順)
阿部海太/荒井良二/飯野和好/石黒亜矢子/植田真/及川賢治/大畑いくの/加藤休ミ/軽部武宏/きくちちき/坂本千明/ささめやゆき/スズキコージ/高山なおみ/tupera tupera 亀山達矢/寺門孝之/中川学/中野真典/nakaban/長谷川義史/ハダタカヒト/原マスミ/樋口佳絵/穂村弘/牧野千穂/町田尚子/ミロコマチコ/村上慧/本橋成一/本秀康/ヨシタケシンスケ/吉田尚令
【編者より】(前書きより抄録)
僕は絵本編集者だ。2002年からこの仕事をしているのだが、2011年3月11日以降、出る絵本の傾向が変わったと感じるようになった。生命力にあふれたもの、逆に死をテーマにしたものも増え、以前なら「怖い」といって避けられたようなインパクトのある絵や物語を描く絵本作家も多くなった。
僕が日々感じる「楽しい」も「嬉しい」も「悲しい」も「寂しい」も、その根っこはあの日を境に大きく変わった。読者の中にも見えない、でも消えない感覚がうずき始めたのかもしれない。そして、絵本作家はそのことをより切実に抱え込んで、絵と言葉を紡ぎ始めたように思えるのだ。
この本は32人の絵本作家による、ごくごく個人的なエピソードの集積で出来ている。それは一見あなたには関係ない、もしかしたら些細に思える、あの日にまつわる、ある日の物語。
しかし、読み進めるうちに、いつしか自分を重ねる瞬間がやってくるかも知れない。自分の物語を誰かに聞いて欲しい。近しい誰かの物語を知りたい。他の誰かが抱えているものを、気持ちを、共有することはきっと出来ない。それでも、みんなあの日から同じ地続きの日々を生きている。何かを乗り越えたりせず、ただただ抱えて生きている。
あの日にまつわる、個人的な、他人にとっては些細な物語。そんな物語を沢山聞いてみたい。
どこからでも、この本を開けば、誰かのそんな瞬間の物語に出会う事ができる。そしてそれを、心強く思う日があるかも知れない。
あの日からの絵と言葉の物語は、僕やあなたと同じ日々を歩んでいるはずだ。
■インタビューもぜひどうぞ!
◆このインタビューに出てくる本
被災地への想いが詰まった、第59回産経児童出版文化賞・大賞受賞作
なにげない日々の繰り返しの中に幸せがある
新しい1日をむかえるために窓をあける子どもたち。なにげない日々の繰り返し、その中にこそある生きることの喜びを描いた絵本。
<編集者より>
2011年は、わたしたち1人1人にとって忘れられない年になりました。日々を暮らしていくということについて、多くの方があらためてさまざまな思いをめぐらせたのではないでしょうか。この夏、荒井良二さんは、被災地の方々と一緒に取り組むワークショップのために、東北地方沿岸部の町を訪ねる旅を繰り返しました。そして、思いをこめて1冊の絵本を描き上げました。美しい絵本です。この絵本の美しさにこめられたポジティブな力がどうぞ読者のみなさんに届きますように。
■読者の声
朝の光
震災の後、自分に何ができるのかを考えた方は多かったと思います。ある思いは募金へ、ある思いへは被災地に絵本を送るという行動へと向かいました。
10か月経った今、私もそのことを考え続けています。最近、仙台空港に行くことがありました。
仙台空港は震災後の早い時期に復興しましたが、空港の周辺は瓦礫は片付けられたものの枯れた草が生い茂る空き地が広がっていました。
そこには、震災前は当然家や店があったのだろうと思います。一階が津波でやられて二階だけが残っている家。少し行くと住宅街の中に仮設住宅があり、同じ市内の中でも被害が違うということを物語っているような光景。すべてを見たわけてはないのですが、胸がつまる思いでした。
この絵本は、震災後に荒井良二さんがやはり自分にできることを探されての作品ということです。
この作品の前に、長田弘さんと荒井良二さんの『空の絵本』を読みました。そこには、震災後も変わらずにある空の移り変わりがありました。
どんな時にも明けない朝はないと言います。それでも今回の震災は原発事故もあり、そのために復興が遅れているという事情もあります。
そして、東北出身の荒井さんの絵本をもう一度読み返してみると、果たして私は震災後に東北の街や人々の気持ちに思いを馳せたものの、本当にわかっていたとは言えなかったということがわかりました。
朝の光は私たちに希望と勇気を与えてくれます。『空の絵本』と同じくこの絵本の絵もとてもきれいで、心にすっと入ってきます。
私にできることの一つは、こうしてこのような思いを持った一冊を人に紹介していくことだと思いました。
(はなびやさん 40代・ママ 男の子9歳)
第22回日本絵本賞で大賞を受賞。『あさになったので まどをあけますよ』と対になる作品
夕暮れの迫る広い公園で、ベビーカーの中からあかちゃんが、空を見ています。
「きょうは そらに まるいつき」
バレエの練習がおわって、バスで帰る女の子が、窓の外の空を見上げています。
「きょうは そらに まるいつき」
遠い山のくまの親子。
新しい運動靴を買って、バスで帰る男の子。
店じまいのカーテンを閉める母娘。
どのひとたちの上にも、空にはまるい月があって……。
月からは、しずかな光がふりそそいでいます。
「きょうは そらに まるいつき」
このくりかえしの合間に描かれる風景は、べつべつのようでいて、つながっています。
近くと、遠く。時間と空間をつないで、月はかがやいています。
まるい月は、あかちゃんから、おじいさんやおばあさんまで……
森のどうぶつや海のくじらまで……
みんなのもの。
荒井良二さんはそれをそのまま言葉にはしませんが、たったひとことで、この幸せを表現します。
そのひとことは……?
最後まで読み終えて、涙がにじむのはなぜでしょうか。
『あさになったのでまどをあけますよ』と対をなすような美しい絵本。
窓のむこうの風景や、空の月が描かれていながら、これらの本は窓のこちら側にある日々のくらしを愛しみます。
窓をあける。
空の月を見上げる。
そのなにげない時間の中に、明日へのたしかな希望や、今日を生きるしずかなよろこびがひたひたと浸されています。
どんな幼い子も、体のどこかで感じ取って知っている、「おつきさまだ」と思って夜空を見上げる瞬間。
その美しい瞬間を、とじこめたくなる絵本です。
夕闇の公園に広がっていく、お祭りのテントの灯りが幻想的です。
ぜひ最後まで、荒井良二さんが描く夜空の月をごらんください。
■読者の声
いつまでも心に残る絵本です
詩的な文章と幻想的なイラストがとても素敵で、読んだあともいつまでも心に残るような、独特の雰囲気を持った絵本です。
どんな場所でも見上げるひとに平等に降り注ぐ月の光。そこにあるのは同じひとつのおつきさま。
登場する人々や生き物が、それぞれに別々ながらも、ひとつの月の下で生活を営んでいる様子がリアルに感じ取れます。月を見つめる赤ちゃんの無垢な瞳が深く深く胸に刻まれます。
美しくて優しくて、上質な絵画を鑑賞しているような気持ちになる荒井さんのイラストが本当に大好きです。
「ごほうびのようなおつきさま。」
夜空を見上げるたびにこの言葉を思い浮かべます。
(ouchijikanさん 40代 ママ 東京都 女の子11歳、女の子5歳)
すべての子どもと大人に贈りたい、「再生」の物語
荒井良二が地球のすべての子どもと大人に贈る!
小さな家に生まれた子どもが言う。「なんて いいんだ ぼくのせかい」。毎日楽しく幸せに成長した子どもが、突然、泣く。そしてまた新たに…。「再生」の物語は、100年後の世界でも読み継がれる絵本!
■読者の声
子どもの世界が広がっていく様子
子どもの世界が成長とともに広がっていく様子が、素敵だなと思いました。
成長とともに、できることが増えていって、楽しいこと、笑うこと、泣くことも増えていって、それのすべてが無駄ではない、素敵な世界なんですね。
最後には新たな命が生まれる場面があり、そこにもじーんと来ました。
(こにゃららんさん 20代・せんせい )
■読者の声
春をまっている ワクワクのあなたへ!
寒い冬を みんな乗り越えて 春を待ちます
春は 新しい始まり 1年生 入学おめでとう!
卒業して 新しい仕事をする 就職 おめでとう!
春には いろんな カラフルな花が咲いてくれます
ほら チューリップの花が 優しく 開きますよ
「じゅんびは いいかい」 タイトルがいいですね~
荒井良二さんの絵が 春にふさわしいです
朝がきて 「おはよう」と 明るい声が聞こえます
暖かくなると なんだか 外へ出かけたくなります みんな みんな やさしいかぜに 誘われて・・・・ 春がきました
じゅんびは いいですか?
自転車 ブランコ そして 梅の花には うぐいすの声が
聞こえます
新しい 春を待つているんです みんなの顔が 明るく ウキウキ はじけます
春を 心待ちにしているのは 私たちだけじゃ ありません
鳥も 花も 虫も 冬眠からさめた動物たち 春を みんなが 待っていたんだな~
なにかしら 開放感がありますね~
(にぎりすしさん 60代・その他の方 )
ドキドキ。ウキウキ。ハッピーが詰まった1冊!
そりゃあもう!そりゃあもう!
ぬいぐるみのクマが、初めてもらった手紙に大喜び! 手紙をくれた相手の元をたずねて旅をすることにしたのですが、「そりゃあもう!」なことがいっぱい。初めてのドキドキ感とウキウキ弾む気持ちが満載の絵本です!
ぬいぐるみのクマが、初めてもらった手紙に大喜び! 手紙をくれた相手の元をたずねて旅をすることにしたのですが、「そりゃあもう!」なことがいっぱい。初めてのドキドキ感とウキウキ弾む気持ちが満載の絵本。
何度読んでもハッピーな気持ちに包まれます。
■読者の声
ハッピー!
なんか陽気な絵本でしょう。
楽しくて、かわいくて
ただただハッピーなお話だと思いました。
このぬいぐるみのクマは
片足をあげてジャンプするほど
テンションがあがってるんでしょうね。
表情をみると、こちらも気分があがります。
(ジョージ大好きさん 40代・ママ 男の子11歳)
荒井良二さんってどんな人?もっと知りたい方へ
ここまで、荒井良二さんが生み出してきた名作絵本の数々を見て、荒井良二さんの頭の中って一体どうなっているんだろう!?と思われた方は少なくないはずです。
荒井良二さんってどんな人なんだろう?もっと知りたい!と思われた方へ、とっておきの2冊をご紹介します!
その創作活動の原点を、ぜひ覗いてみてくださいね。
自らの個人史にも立ち返りながら、創作と発想の核心について記す、見逃せない一冊
自分の中の「子ども」の部分を引っ張りだして描く――
起承転結のないストーリーに、プロが描いたとは思えない絵。
大人の常識にしばられず、子どものように自由に考え、描くのが「荒井良二の絵本づくり」だ。
折れた色鉛筆の芯を使ったり、絵の具を指で塗りたくったり……。
型破りな創作術に、100冊以上の絵本を生み出してなお、尽きることのないイマジネーション。その秘密は、自分の中の「子ども」の部分にあった。
日本を代表する絵本作家が自らの個人史にも立ち返りながら、
子どもから大人までを魅了してやまない、創作と発想の核心について記す。
■読者の声
荒井さんの作品を読み返してみたくなる
絵本を読む、絵を見るまでは楽しくても私の中では絵を描くというのは、結構ハードルが高いように思っていました。
この荒井さんの本を読んで、輪郭を描くとか物を正確にスケッチするということにとらわれなくても自由に描きたいままに描いてもいいのかなっていう気持ちになりました。
荒井さんのこれまでの軌跡と、絵本観について描かれた本です。創作の時の方法も紹介されていて、これから絵本作家を目指す方にも参考になりそうだと思いました。
創作には関係ありませんが、大学受験の時の受験票が載っていたこと、随分物持ちがいい方なんだなあって、変なところで感心してしまいました。
「言葉のリズムを重視します」というところでは『ねんどろん』という絵本のことを思い出しました。声に出して読むと、ラップのような心地のよいリズム感がある絵本だからです。
この本を読んで、もう一度荒井さんの作品を読み返してみたくなりました。
(はなびやさん 40代・ママ 男の子12歳)
絵と写真と言葉でお届けする、1冊丸ごと荒井良二の世界。アトリエ写真はファン必見!
『Pooka』の誌面を飾ってきた人気イラストレーターや絵本作家たち。その一人もしくは一組に焦点を絞った『Pooka+』シリーズ。第三弾は日本を代表する絵本作家・荒井良二のまるごと特集。「絵本」「旅」といったキーワードで荒井の魅力にせまる。
■読者の声
旅すること
日常じゃあにぃって素敵な言葉ですね。
旅って、遠くに行くだけじゃないんだ。
荒井さんの絵本を開くのも旅ならば、いつでもどこでも、私達は好きな場所へ行ける。
絵本って、そういうものなのかもしれない…。
荒井さんってきっとすごくチャーミングな方だ。
荒井さんの絵本、写真、文章を見ると、その人柄が伝わってきます。
この本は丸ごと一冊、荒井良二の世界。
見応えあります!浸れます!
私はアトリエを覗けたのが、すごく嬉しかったです。
束見本のラフは味があって、このままでも十分素敵ですね。
実際の絵本と比べると、ラフそのままに仕上がっていたり、全く違う構図になっていたり、おもしろいです!
荒井さんが手がけられた本の紹介ページでは、思わず顔が緩みました。
だってとってもカラフル!さすが荒井さん!
色彩が本当にきれい。
リョウジくんのミニバスは、もったいなくて作れないです。
すっごく飾りたいけど…。
荒井さんファンにはたまらない一冊です!
(ねんねこしゃんさん 20代・その他の方 )
荒井良二さんが生み出す、唯一無二の世界をご堪能下さい
荒井良二さんが生み出す、唯一無二の世界。
ぜひ、たっぷりじっくり、ご堪能いただければ幸いです。
編集協力・執筆:洪愛舜(ほんえすん/ライター・編集者・絵本作家)
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