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パパも絵本を楽しもう!

【パパも絵本を楽しもう!】読み聞かせの達人パパが選ぶ4月の絵本

「子どもに読んであげる絵本を、パパが選ぶのってすごく楽しい。パパ自身がもっと絵本を楽しんだら、いろんなことを子どもと分かち合えるし、自分にも返ってくる。ママとパパ、複数の目線で選ぶと、子どもの本棚はすごく豊かになるんです。」  そう語るのは、イベントなどでの読み聞かせ活動歴10年以上、ロングセラー絵本の知識はもちろん新刊情報もいち早くキャッチしている読み聞かせの大ベテラン、奥平パパ。2児のパパでもあります。
たとえば、好きな詩を共有するように、パパも絵本を通して子どもたちに思いを伝えられたらいいですよね。
気負わず楽しく、パパ目線で絵本選び。奥平パパから子育て中のパパたちに向けて、絵本を選ぶコツと季節のおすすめ絵本を紹介します!

パパが選ぶ、4月に読みたい絵本

学校ってなんだろう?

この1年は人が集まることに特別な関心が払われた1年だったと思います。我が家では、2020年3月に娘の小学校の卒業式、続く2020年4月には中学の入学式がありました。そして今年2021年3月には息子の中学の卒業式もありました。それぞれ今までにない、ちょっと変わった、特別な思い出に残る式だったように思います。学校というものについても根源的に色々考えさせられました。そこで、今月は学校ってなんだろう?を考える絵本をご紹介します。学校と一口に言ってもいろいろありますよ!

山岳地帯に住民が作った学校

アフガニスタン 山の学校の子どもたち

26年間アフガニスタンを撮り続けてきた著者が出会った山岳地帯の学校。戦争を経て今、いきいきと学ぶ子供たちの表情を捉えます。

長倉洋海さんは、アフガン内戦などの写真を撮影する戦場ジャーナリストとして知られていましたが、アフガニスタンの反ソ連軍、のちに反タリバーンの北部同盟の中枢人物であったマスードを撮影した写真がとても素晴らしいものでした。僕は長倉さんの存在やマスードの写真集のことを、当時奥さんから教わり、一緒に写真展に通い、長倉さんとも交流をしました(今もしています)。シリアル番号入りのマスードの写真も何枚か持っています。マスードはもちろん軍人なのですが、ものすごく本が好きで、マスードが緑あふれる草原に横たわって本を読んでいるような写真は、戦争の血生臭さとは全く異なる穏やかさや静けさが満ちているのです。長倉さんのことを戦争写真家というのはその点では正確ではないと思います。彼は結局のところ、人が好きなのですね。そういう長倉さんなのでその関心が人――特に無垢な瞳を持った子どもたちに向くのはある意味当然なのかもしれません。
今回紹介するこの写真絵本は、長倉さんがマスードの統一戦線作りの旅に同行した際に宿泊したポーランデという場所に、住民たちが自力で作った山の学校があること、厳しい環境の中でも学びたいと願う子どもたちがいることを教えてくれます。

「いつもは家の手伝いで農作業や羊の世話に追われている子どもたちにとって、学校は友と出会い、好奇心を育み、生活に刺激を与えてくれ、将来の夢を育てる大切な場所です」(長倉さんが代表を務めるアフガニスタン 山の学校支援の会のHPの言葉から)

遅刻の理由は……?

いつもちこくのおとこのこ-ジョン・パトリック・ノーマン・マクへネシー

どうしても遅刻してしまう少年と彼を厳しく罰する先生の立場が、ある日逆転したら…。生きた言葉のくり返しがユーモラスな絵本。

いつもちこくのおとこのこの名前はジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシーといいます。毎回先生がおとこのこをフルネームで呼んで注意するところは、紳士然とした振る舞いです。ただこの先生、ジョンのちこくの理由を信じてくれません。たしかにジョンが話す理由はまるで夢のような突拍子もない事なのですが……。僕が学校に通っている頃は、学校の先生がいつも正しくて、ちこくってすごく悪いことのように感じていたけれど、いろいろ人生経験を積むうちに今はそういう考えも少し変わりました。だからこの本でもちこくするジョンに感情移入をしてしまいます。ところでジョンを信じてくれなかった先生は最後にどうなっちゃうのか!? それは読んでのお楽しみ。

世にもおかしなどろぼう学校

どろぼうがっこう

まぬけな校長先生と生徒たちの世にもおかしなどろぼう学校の話。ある真夜中、みんなは町で一番大きな建物にしのびこみました。

かこさとしさんは、1950年代、60年代にセツルメント活動の中で子どもたちを飽きさせない紙芝居を工夫して作っていたそうですが、この「どろぼうがっこう」もその中から生まれたものだそうです。僕はかこさんの作品が大好きで、とても尊敬しているので、憧れからセツルメント活動をしていたという川崎の古市場というところにある公園を見に行ったことがあります。当時と面影はだいぶ変わっていたと思いますがまだその公園は残っていて、ああここで紙芝居を読んだんだなーと感慨にふけったものです。

かこさんがこの本のあとがきでも書いていますが、自分の論文の裏紙にわずか二色で描いたどろぼうの学校のお話が子どもたちから繰り返し求められたことから、子どもたちは表面の綺麗さではなく、内容の面白さに惹かれているんだということを教わったのだそうです。

くまさかとらえもんというこわ~いどろぼうの先生に教わるだなんて、まるで本来学校で学ぶべきことの真逆じゃないか!?この辺の発想力は今読んでも色褪せることがありません。この本は紙芝居発ということもあるのでしょうか、声に出して読んでみると楽しさ倍増。僕はくまさかとらえもん先生の「ばかやろう」ってどろぼうの生徒をしかるセリフが大好きです。

こんな学校だったら、ちょっと面白いんじゃない?

がっこうだって どきどきしてる

はじめてのクラス、はじめての学校、みんなどきどきするものだけど……学校だってどきどきしてるって知っていた?

学校がちょっぴり怖い子、苦手な子、いやだなあと思う子たちへ――こんな学校だったら、ちょっと面白いんじゃない?

はじめて新しいクラスに入るとき、新しい学校に行くとき、子どもはみんなどきどきして、ちょっぴり不安を感じるものですが、じつは、学校のほうも不安で心配でしかたなかったとしたら!?  生まれたての学校が、子どもたちといっしょに少しずつ「学校って、もちろん楽しいことばかりじゃないけど、でもやっぱり楽しいかも」と思えるようになるまでを、不安な心によりそって描きました。学校といっしょに、どきどきして、切なくなって、げらげら笑える、唯一無二の学校絵本です。

通う子どもたちも新しい環境にどきどきしてるけれど、迎えるがっこうの側だってどきどきしてる。がっこうの気持ちになってみるなんて考えてもみなかったことだけれど、言われてみるとたしかにそうかもしれない。子どもたちに「学校なんて大嫌い」と言われたときのがっこうの気持ちはいかばかりか……。カラフルな色遣いの絵や、多様な子どもたちの姿にも外国発の絵本の面白さがあります。海外の学校の様子を覗いてみるのも楽しいです。

『ともだち Dear Friend』『お~い、雲よ』長倉洋海さんの子どもたちをとらえた素敵な作品はほかにも。

せかいいちうつくしいぼくの村』アフガニスタンがとても豊かな国だと知ることができます。

ことばのべんきょう 4冊セット』学校に上る前、かこさんの本で家庭学習をしていました。懐かしい。

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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