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パパも絵本を楽しもう!

【パパも絵本を楽しもう!】読み聞かせの達人パパが選ぶ6月の絵本

「子どもに読んであげる絵本を、パパが選ぶのってすごく楽しい。パパ自身がもっと絵本を楽しんだら、いろんなことを子どもと分かち合えるし、自分にも返ってくる。ママとパパ、複数の目線で選ぶと、子どもの本棚はすごく豊かになるんです。」  そう語るのは、イベントなどでの読み聞かせ活動歴10年以上、ロングセラー絵本の知識はもちろん新刊情報もいち早くキャッチしている読み聞かせの大ベテラン、奥平パパ。2児のパパでもあります。
たとえば、好きな詩を共有するように、パパも絵本を通して子どもたちに思いを伝えられたらいいですよね。
気負わず楽しく、パパ目線で絵本選び。奥平パパから子育て中のパパたちに向けて、絵本を選ぶコツと季節のおすすめ絵本を紹介します!

パパが選ぶ、6月に読みたい絵本

全国的に記録的に早い梅雨入りとなっている今年。大人になった今は、雨となると外出が面倒になったり、洗濯物が乾かないので困ったりするので梅雨ってあまり好きじゃないのですが、子ども時代はそんなことなかったな。レインコートや長靴は、普段は着ないちょっと特別な”おしゃれ”だったし、雨になるとどこからか出てくるカタツムリを見つけたりと、楽しい思い出があります。土砂降りのときに傘をささずに遊んで、びしょ濡れになって楽しんでいたら、風邪を引くといって母親にひどく怒られたこともありました……。

「雨の日にみんなで雨やどり。これ、最高のぜいたくです」

あめかっぱ

その日は朝から雨。お母さんは急ぎの用ができてしまい、出かけるしたくをしています。そこへピンポーンとベルが鳴り、なおちゃんが玄関をあけてみると、「どうも、かっぱです」と、緑色のおかしな生き物が立っているではありませんか! お母さんは「かっぱさんとお留守番しててね。きっとすごーく楽しいから」といって出かけてしまいます。こわくてテーブルの下に隠れたなおちゃんに、かっぱが声をかけました。「なおちゃん、今日はピクニックびよりですよ。」「雨なのに?」「雨だから。」

雨音に耳をすましたり、雨がいっぱい降らないと辿りつけない秘密の場所で遊んだり、雨に洗われた景色を見ながらおやつを食べたり……かっぱが案内する雨の日のピクニックは、すてきなことがいっぱい! 最後には「雨の日にみんなで雨やどり。これ、最高のぜいたくです」というかっぱの言葉が、しっとりと味わい深く心に残ります。

すみずみまで精密で、かつスケール感のあるファンタジックな絵が目にも楽しい、作者渾身のデビュー作です。

僕の奥さんの実家にはかっぱにまつわる伝説があって、地元の小学校でも習うほどなのですが(なにしろ実家の庭にはかっぱが一時過ごしたという池の跡まで残っている)、そこで描かれているかっぱはやっぱりいたずら好きでした。でもこの絵本に出てくるかっぱは、おにぎりを作ってくれたり、本当は濡れるのが好きだと思うのですが子どもと一緒に雨宿りしてくれたり、人に寄り添ってくれるやさしい一面を見せてくれるのがとても暖かい。

加えて圧倒的に絵が素晴らしいです。森の緑のなんと深く、美しいことか。幻想的な感じや色彩のコントラストはアンリ・ルソーをちょっと思い起こしました。著者のむらかみさおりさんは北海道出身だそうで、そういうことも自然の描写に関係しているのかもしれません。雨が降れば降るだけ水かさが増し、池が大きくなり、素敵な光景が……おっとこの先は、ぜひ絵本を手にとって確認してください。

美智子皇后がIBBY世界大会の基調講演で触れられた新美南吉作品

でんでんむしのかなしみ

話題の作品  渾身の絵本化!
美智子皇后がIBBY世界大会でのビデオ講演で「何度となく、思いがけない時に私の記憶によみがえってきた」作品として触れられた新美南吉の「でんでんむしのかなしみ」を初め、心にしみる作品を、絵本にしました。 

1998年、IBBY=国際児童図書協議会のニューデリー大会における美智子上皇后(当時は皇后)の基調講演で紹介されたいくつかの絵本のひとつが、この「でんでんむしのかなしみ」。教科書にも掲載されている新美南吉さんの作品、僕は同郷ということもあって、もしかしたら小学校なんかでは他の地域と比べて余計に触れる機会があったかもしれないのですが、昔から馴染み深い作品です。でんでんむしの殻のなかにある「かなしみ」、それは自分だけのものではないということに気づくという短いお話ですが、「喜び」や「うれしさ」でなく、「かなしみ」が詰まっているというのが切なく、それでいておはなしが後ろ向きでないところが多くの人の気持ちを捉えるのでしょうね。いろいろな版がありますが、この大日本図書版はかみやしんさんの描く抽象絵画のようなでんでんむしが印象的。物語の輪郭をさらに淡い、優しい感じに仕上げていると思います。

うたい継がれ愛される歌の絵本化

にじ

新沢としひこ作詞、中川ひろたか作曲の歌「にじ」。
1991年に発表されて以来、うたい継がれ愛される歌となりました。
この歌が大好きなあべ弘士さんが、この歌から想像をひろげた世界を描いて絵本です。
歌を知らない人も、みんながうっとりする美しい絵本で、プレゼントにもおすすめです。
巻末にメロディ譜付き。

雨は素敵、楽しいといっても、やっぱり雨が上がった後に晴れ間が指してくるとまた気分も格別です。そんなときに気持ちを盛り上げてくれるのが虹。みなさんも必ずやどこかで聞いたことがあるだろう名曲中の名曲、新沢としひこさん作詞、中川ひろたかさん作曲の「にじ」をそのまま絵本にしたこの本、歌詞通りのストーリーなので、歌って読むのが正解。「にじがにじが、空にかかって、きみのきみの気分も晴れて」のきみが2回繰り返されるところがすごく好きです。

止まない雨はない。もうすぐ晴れますように!

ぞうくんのあめふりさんぽ』絵だけじゃなくレタリングにも注目したい

おじさんのかさ』 おじさんのこだわりが子どもっぽくてかわいい。

あめぽぽぽ』木内達朗さんの絵が素晴らしい!歌人・東直子さんがつむぐオノマトペも。

あめのひくろくま』くろくまシリーズから、雨の日を描いたこの本。くろくまはシンプルな絵ですが原画を見るとそのパワーに驚かされますよ。

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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