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パパも絵本を楽しもう!

【パパも絵本を楽しもう!】読み聞かせの達人パパが選ぶ8月の絵本

「子どもに読んであげる絵本を、パパが選ぶのってすごく楽しい。パパ自身がもっと絵本を楽しんだら、いろんなことを子どもと分かち合えるし、自分にも返ってくる。ママとパパ、複数の目線で選ぶと、子どもの本棚はすごく豊かになるんです。」  そう語るのは、イベントなどでの読み聞かせ活動歴10年以上、ロングセラー絵本の知識はもちろん新刊情報もいち早くキャッチしている読み聞かせの大ベテラン、奥平パパ。2児のパパでもあります。
たとえば、好きな詩を共有するように、パパも絵本を通して子どもたちに思いを伝えられたらいいですよね。
気負わず楽しく、パパ目線で絵本選び。奥平パパから子育て中のパパたちに向けて、絵本を選ぶコツと季節のおすすめ絵本を紹介します!

パパが選ぶ、8月に読みたい絵本

9月20日まで東京・世田谷文学館で開催されている「安西水丸展」に先日行ってきました! もうね、これが本当に素晴らしい展覧会でしたよ。青春を思い出しました!

展覧会、美術館も予約制だったりしてちょっと行きにくくなっているところもありますが、混雑していない環境で落ち着いて観られるのは良いところかもしれません。今月はこの安西さんの手がけたこの絵本から!

安西水丸さんの名作絵本

がたん ごとん がたん ごとん

走る汽車にのせてもらうのは、コップとスプーン、哺乳ビン、りんごとバナナ。それからねずみやねこまでのりこみます。どれもあかちゃんになじみのものばかりです。

安西水丸さんの絵本「がたんごとんがたんごとん」には、我が家も子どもたちが小さい頃は本当にお世話になりました。最初にこの絵本を知ったとき、「ああイラストレーターの安西水丸さんは絵本も描いているのか」という感想を持ちましたが、その後の子育て生活の中で、いつのまにか認識の順序が逆になり、絵本作家としての安西水丸さんをずっと意識していました。今回改めて500点ほどの作品を観て、安西さんが村上春樹さん、都築響一さん、嵐山孝三郎さん、それにガロといった面々・雑誌を介して、僕のこれまでの人生に強く関わっていたことを改めて認識しました。たとえば村上春樹さんの『蛍・納屋を焼く・その他の短編』や『中国行きのスローボート』の表紙の原画を見て「おおおお!!」と声を出しそうになるくらい、それほど深~く刻まれていたのです。旅先にもっていったカメラがライツミノルタだったとか、普段来ているGジャンがLeeのものだったりと、作品以外のライフスタイルにまでいちいち反応してしまいました。

『がたんごとんがたんごとん』にはその続編というべき『がたんごとんがたんごとん ざぶんざぶん』という夏らしい作品もあります。これらの原画も展示されていますので、もしチャンスあればぜひ!1Fのフロアでは『がたんごとんがたんごとん』が大きく拡大されたキャラクターが立っていました。

『がたんごとんがたんごとん』には同僚のお嬢さんが小さな頃、会社に来たときに膝にのせて読んで聞かせてあげたことがあります。そのとき「のせてくださ~い」のところで必ずびくっとして僕の顔を見る、というとてもかわいらしい反応をされたことがあります。シンプルな絵だけでなく、絵本の王道、「くりかえし」をきっちり抑えてある『がたんごとんがたんごとん』はやっぱり名作です!

トミーのユニークな夏休み

はちうえはぼくにまかせて

夏休み、お父さんの仕事が忙しくて どこへも旅行に行けない少年トミーは、近所の人たちの鉢植えを預かって世話をするアルバイトを思いつきます。
預かった鉢植えの植物たちは トミーの上手なお世話のおかげで、ぐんぐん成長し、家の中はまるでジャングルのよう。ある日、植物が育ちすぎて家を壊してしまう夢を見たトミーは、図書館から本を借り、剪定の仕方を学びます。
夏休みが終わる頃、より活き活きと素敵になった鉢植えを手にした人びとの笑顔がご近所にあふれました。そして夏休みが終わる頃、お父さんからトミーにあるうれしいことが伝えられます。トミーのやることにしかめ面だったお父さんの表情が、夏休みの最後にはどう変化しているのか・・・にも注目です。

どろんこハリー』のジーン・ジオン、マーガレット・ブロイ・グレアムと同じペアによるこの作は、トミーのユニークな夏休みの過ごし方を描いた作品。トミーのまっすぐで健やかなキャラクターと、グレアムさんの絵がぴったりマッチしています。家中、町中が緑に覆われていくさまはとてもさわやかでこの季節に読むのに最適です。淡い色遣いも素晴らしい。ああ僕もこんなジャングルみたいな家で暮らしてみたい。

昆虫の不思議な生活、驚きに満ちた行動を紹介

今森光彦 昆虫記

1年の300日以上をフィールドですごす昆虫写真家の、12年に及ぶフィールドノートとともに、その時々に見られた昆虫の不思議な生活、驚きに満ちた行動を1700枚の写真により紹介。

僕が今森光彦さんと「里山」という言葉を知ったのは、割と遅くて2004年。NHKの「映像詩 里山 命めぐる水辺」を見てからです。滋賀県の琵琶湖近辺にこのような豊かな環境があるのかという驚きとともに、山の奥深くでなく、人の生活と自然が共存している「里山」という概念は強烈な印象を持って僕の心に残りました。写真家である今森さんには多くの著作もありますが、どうせならこの季節、たとえば『昆虫記』を読んで、近隣の里山を堪能することをおススメします。

海辺で砂のお城を作ったら……?

すなの おしろ

海辺で砂のお城を作ったら、世界中から王様やお妃様がやってきた。パーティーを開いたまではよかったけれど、料理もベッドも砂だらけだと、みんなが怒って…。ページをめくるたびに広がる奇想天外な空想の世界を楽しむ絵本。

今年の新刊から、絵がとても素敵な絵本をご紹介。この「すなのおしろ」はイスラエルの作家エイナット・ツァルファティさんの作品。ちょっと洗練されたエキゾチックさ、なんとなく中東の感じのする絵は、さすがイスラエル。お話も奇想天外、ではあるんだけど、鳥取砂丘にある砂の美術館には、実際にこれが現実に体験できそうなお城があるんじゃないかと勝手に想像。まだ行ったことないのですが機会を見つけて確認してみたいです。

うみざざざ』このシリーズはとにかく傑作。夏ならこの本!

今森光彦フィールドノート 里山』 夏の風景を写真で楽しめます!

どろんこハリー』こちらも傑作!ハリーがとてもかわいい。

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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