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パパも絵本を楽しもう!

【パパも絵本を楽しもう!】読み聞かせの達人パパが選ぶ9月の絵本

「子どもに読んであげる絵本を、パパが選ぶのってすごく楽しい。パパ自身がもっと絵本を楽しんだら、いろんなことを子どもと分かち合えるし、自分にも返ってくる。ママとパパ、複数の目線で選ぶと、子どもの本棚はすごく豊かになるんです。」  そう語るのは、イベントなどでの読み聞かせ活動歴10年以上、ロングセラー絵本の知識はもちろん新刊情報もいち早くキャッチしている読み聞かせの大ベテラン、奥平パパ。2児のパパでもあります。
たとえば、好きな詩を共有するように、パパも絵本を通して子どもたちに思いを伝えられたらいいですよね。
気負わず楽しく、パパ目線で絵本選び。奥平パパから子育て中のパパたちに向けて、絵本を選ぶコツと季節のおすすめ絵本を紹介します!

パパが選ぶ、9月に読みたい絵本

つい先日、アフガニスタンの政権がタリバンによって倒され、大統領が国外に逃亡したとの記事が大きく出ました。アメリカが20年にわたる軍事介入をやめると宣言したことからバランスが崩れたとの報道が大多数で、以来そのことを悲観的に取り上げるニュースばかりが報道されています。一方、タリバンの支配は市井の人々には受け入れられていた、女性にも寛容であったというようなことを、現地で長くボランティア活動をしていた中村哲さんが雑誌「SIGHT」のインタビュー(2002年)で答えています。欧米の視点によるニュース、国家の成り立ちの違いへの無理解などの指摘がされていましたが、違う文化の国を自分たちのものさしで語ることの難しさを感じますね。今回はそんなアフガニスタンのことを描いた絵本から紹介します。

今読みたい、アフガニスタンを描いた絵本

アフガニスタンの、今はない小さな村の日常を描いた絵本

せかいいちうつくしいぼくの村

小さなヤモは戦争にいったにいさんのかわりに市場へさくらんぼを売りにでかけます。戦争の中でも明るく力強く生きる人々を描く。
1996年度産経児童出版文化賞フジテレビ賞

中村哲さんは「食べるために兵隊に入る人が多い、みなが食べることができるようになれば戦争はなくなる」という内容のことをおっしゃっていました。ご自身の晩年の活動の中に、当時荒廃が進み砂漠と化した大地に再び緑を取り戻すために用水路の建設を行ったというものがあります。大変な苦労の末、今は緑が生い茂る大地となり、60万人!もの人の生活を救ったとNHKのドキュメンタリーなどで知りましたが、そう、アフガニスタンは決して砂埃が渦巻く黄土色の国ではなく、もっともっと色鮮やかで豊かな農業の国だったはずなのです。僕はこのことを『せかいいちうつくしいぼくの村』で知りました。一日も早く、アフガニスタンの人々がこの絵本で描かれているような、平和で自然豊かな国で暮らせるようになりますように。

中村哲さんがアフガニスタンに遺した志

カカ・ムラド~ナカムラのおじさん

2019 年12 月4日、中村哲医師は支援先のアフガニスタンで、銃で撃たれて亡くなりました。 この本は、中村さんに助けてもらったことを後世に語り継ぐために、アフガニスタンで出版された2冊の絵本、『カカ・ムラド ~ナカムラのおじさん』と『カカ・ムラドと魔法の小箱』に解説を加えてまとめたものです。
『カカ・ムラド~ナカムラのおじさん』は、中村さんがアフガニスタンで行ってきたこと、事実をもとに描かれた創作です。『カカ・ムラドと魔法の小箱』は、作者のイメージする中村さんが登場するファンタジーです。 診療所を建てて病気を治したり、日照りが続いて乾いてしまった土地に水をひいて緑に変えたり――。
中村哲さんの志を受け取ったアフガニスタンの人々の思い、またアフガニスタンに寄せられた日本からの思い、2つの思いがひとつの形になった1冊です。

そして中村哲さんの功績を人々に伝えるために現地で刊行された絵本の日本語版がこの「カカ・ムラド」。絵本というには少し文章が長い作品ですが、子どもたちにもわかりやすく中村さんのやってきたこと、その思いが描かれています。御存知の通り中村哲さんは2019年12月に凶弾に倒れ、本当に残念ながらお亡くなりになりましたが、その残された用水路は今もきっと大地を潤し、人々の平和な暮らしを支えていることでしょう。こういう日本人がいたことを忘れてはならないと思います。

敬老の日に読みたい絵本

おじいちゃんの顔! 千変万化する顔の表情を写真で見る絵本

ぼくのおじいちゃんのかお

泣いた顔、笑った顔、しかられた顔、聞こえないふりの顔……。千変万化する顔の表情を、今は亡き名優加藤嘉さんをモデルに写真でとらえたユニークな絵本。人間の顔って面白い!

子どもの頃、僕がどうしても観たいとリクエストして「八つ墓村」というこわい映画を観に行きました。映画の冒頭、主役の萩原健一が初めて会う祖父の役で出ていたのが加藤嘉さんでした。加藤さんはちょっと思い出すだけでも「砂の器」や「仁義なき戦い」「八甲田山」など多くの昭和の名監督の作品に出ていたと思いますが、とにかく最初から最後までおじいさんの役をやっていたような記憶があります。僕を含めた昭和生まれの人にとって、おじいさんといえばこの方を思い浮かべる人が多いんじゃないでしょうか。シワシワで、気難しそうで、野球のボールが窓ガラスを割ったらコラーッと言って着物を振り乱して追っかけてくる、みたいな町のちょっと怖いおじいさん。

この加藤さんの豊かな表情を捉えたのは、沼田早苗さん。昔、女性写真家といえばこの人しか知らない時代が長くあった、それくらいのパイオニアが撮った写真と、僕の学生時代のバイブルとも言うべき雑誌「広告批評」の主宰・創刊編集長であった天野祐吉さんの軽妙な言葉による写真絵本が、この『ぼくのおじいちゃんのかお』です。文、写真、モデルと昭和な香り満載でとてもとても懐かしい。最近はおじいちゃんと言うには、スタイリッシュで若々しい見た目の方が増えたように思います。実際自分もどちらかといえばすでにそっちの年齢に近づいているわけですが、おじいちゃんはやっぱりこうであってほしい、そういう「理想のおじいちゃん」がここにはいます。

韓国のお盆

韓国のお盆「チュソク」を、見てみよう!

ソリちゃんのチュソク

韓国のチュソク(秋夕)は、旧暦の8月15日、ちょうど十五夜のころ、ふる里へ帰り、先祖のおまいりをします。お隣の国の習慣を、ソリちゃんと見に行きましょう。

旧暦の8月15日、今の9月中旬には韓国では日本のお盆にあたる「チュソク」という行事があるそうです。この時期、都会から一斉に人が動くので、道中は大渋滞、でも田舎に帰ると親族が集まって、というのは本当に日本のお盆と同じです。この本には、ソリちゃんという女の子が過ごした、ある年のチュソクのことが丁寧な韓国の風俗とともに描かれています。道中のドライブイン?サービスエリア? での様子が日本とちょっと違っていて面白い。田舎の平屋建ての伝統家屋や色鮮やかなチョゴリなど、今や韓国歴史ドラマでもおなじみの雰囲気も細かく描かれています見開きの絵はすべてが映画のワンシーンのようでとても美しいです

ハンヒの市場めぐり』韓国の文化風俗を知るにはこんな本も。どの国に行っても市場は最高に楽しいです。

ワタネ・マン―わたしの国アフガニスタン』 アフガニスタンといえば長倉洋海さん。生き生きと生きる子どもたちの姿がここにあります。

おじいちゃんの小さかったとき』『おばあちゃんの小さかったとき』この2冊とも、1988年刊行のものを2019年に改めて刊行したもの。当初は「父さんの小さかったとき」「母さんの小さかったとき」だったようですが、時が過ぎ、祖父祖母の時代の絵本として生まれ変わりました。丁寧な暮らしをしていた昭和が蘇ります。

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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