春に読むならどんな本? 小学3年生、4年生におすすめのお話10選
小学生の子どもたちにとって、春は新学期の始まりですね。1つ学年が上がり、クラス替えがあったり、担任の先生が変わったり、なんだかそわそわしているのでは!? そんな落ち着かない季節にこそおすすめしたいのが、読むとほっとひと息、リラックスできるような物語。
こちらでは、小学3、4年生におすすめの春のお話を4つのテーマに分けてご紹介します。
- 1. 春に読むならどんな本?
- 1.1. ユーモアいっぱいのお話で深呼吸!
- 1.2. 春の空気を感じるさわやかなお話
- 1.3. 春に起こる不思議なファンタジー
- 1.4. 学校って事件がいっぱい!
春に読むならどんな本?
ユーモアいっぱいのお話で深呼吸!
なんだか緊張することが多い季節に、ユーモアいっぱいのお話はいかが?
気楽な気持ちで読める2作品をご紹介します。
思わず笑っちゃう。 勘ちがい、聞きまちがい、言いまちがい、記憶ちがいのオンパレード!
おさんぽ好きなおじさん、グドーさんは、なかよしのイカサワさん、キーコちゃんと連れだってきょうもふらりと外へ出かけます。3人は、ぶらぶらさんぽしながら、おしゃべりしたり、お茶したり、自由気ままに過ごします。のどかで楽しい日常を彩るのは、3人それぞれの、勘ちがい、聞きまちがい、言いまちがい、記憶ちがいが引き起こす、くすりと笑えるハプニングの数々。おとぼけ3人組がおりなす、力の抜けた新しいお話集。全20話。
読者の声より
春夏秋冬通した日常のお話たち。
グドーさん、イカサワさん、キーコちゃんの3人はいい組み合わせですね。
とぼけたお話たちで勘違いしたりな日々がゆかいでした。
みんないいキャラしているなー。
この3人以外にもキャラクターは出てきますよ。
いつも楽しそうでいいですねー。
20話収録されています。
(みちんさんさん 30代・ママ 女の子6歳、女の子4歳、女の子0歳)
さくらがいっぱいの村で起きる、幸せいっぱいの日常物語。
目に飛び込んでくるやわらかなピンク色に、こんもりとした緑の木々と青い鳥。
表紙を目にしただけで春がやってきたように感じられる、なんて素敵な1冊なのでしょう。
ここは、さくらでいっぱいのさくら村。
さくら村では、子どもが生まれたら、さくらの苗木を1本植える約束があるのだそうで、子どものまだ小さなさくらの木から、もう大人になった人の大きなさくらの木、さらにはひいおじいちゃんやひいひいおばあちゃんのもっと大きなさくらまで、村じゅうがさくら、さくら。さくらでいっぱいなんです。
そんなさくら村に住む、小学三年生のハナと、小学五年生の兄タロウ。もちろん二人のさくらの木もあります。近所に住むお友達のさくらもあります。さくら村では、毎日いろんなことが起きます。とんでもないことや、笑っちゃうことや、それはもうたくさん。こちらは、さくら村で春、夏、秋、冬に起きたちょっとした事件のお話です。
たとえば、自転車のかごに入れておいたお兄ちゃんのヘルメットに起きたびっくりな事件、「売り家」と書かれた「赤いれんがの家」に新しい誰かが越してきた時のこと、村のひとみんなが好きな「カワセミじいちゃん」の話、みんなで「ホタル狩り」に行った時の話‥‥‥。
どのお話の中にも、何かを楽しみに待ったり、村に住む人たちとの温かい交流があったり、ハナをはじめとした子どもたちのわくわくする気持ちがいっぱい詰まっています。読んでいるとそのわくわくがどんどん伝わってくるのですが、同時にびっくりすることもたくさんあって、大いに楽しませてくれます。
お話を書かれた朽木祥さんは、『光のうつしえ』や『八月の光』などヒロシマの平和を願うお話や、『かはたれ』『引き出しの中の家』など長編ファンタジー作品が有名な作家さんですが、幼年向けのお話はその中でもユーモアたっぷりに、やわらかな魅力をはなっています。特筆すべきは、自然描写の美しさ。 生き生きと描かれる自然や生き物たちの様子からは、その色彩や肌触りや匂いなどが五感で豊かに感じられ、その風景が目の前に見えるようです。お話の中には「キセキレイ」「ヘイケボタル」「アカテガニ」「ハマカンゾウ」「スズメウリ」などいろいろな生き物や植物が登場したり、また「雨かざり山」「風色の森」、「風色湾」といった場所を示す名前がとっても魅力的なんです。
印象的な表紙をはじめ、優しく温かな眼差しでお話に挿絵を書かれていらっしゃるのは、大社玲子さん。絵にどこかで見覚えがあるような‥‥‥と思われた方は、それもそのはず。大社玲子さんは、『なぞなぞの好きな女の子』や『番ねずみのヤカちゃん』など長く読み継がれている童話の挿絵をたくさん書かれていらっしゃいます。優しいタッチの絵は、ホッと安心感がありますね。
子どもから大人まで、幅広い年齢の方に味わってほしい、幸せいっぱいの物語。5歳ぐらいから小学2、3年生ぐらいまでは、ぜひ親御さんが読んであげて下さいね。親子で読むと、いっそう幸福感が増しそうです。
(秋山朋恵 絵本ナビ編集部)
春の空気を感じるさわやかなお話
春の温かい風、草花の匂い、元気に活動しはじめた生き物たち……。
物語の中で、春の自然をたっぷり感じてみませんか。
年の離れたふたりの優しい交流。すぎなさん特製のお料理やお菓子にも春がいっぱい!
小学2年生のつくしちゃんは、「魔女」の家のわきをとおらないとおうちに帰れません。そのおうちの垣根のすきまからのぞくと、見たことのない草がはえているお庭と、青い三角形の帽子をかぶったような白いおうちが見えます。
そこに住んでいたのは、すぎなさんというおばあさんでした。すぎなさんが庭で育てているのは、シソ、アロエ、ドクダミ草、サンショウにバジル、月桂樹にトウガラシ……。垣根に〈毒がある草もあります〉なんて注意書きをはるから、魔女だなんて誤解されてしまうのです。
ひとりぐらしで、あまり人とお話することのないすぎなさんは、垣根のすきまからのぞいたモスグリーンのお目目の女の子が、とっても気になるようになりました。すると、なわとびを忘れたことに気づいたつくしちゃんが、すぎなさんのおうちにやってきて……。
小学2年生のつくしちゃんと、おばあさんのすぎなさん。年の離れたふたりが、それぞれの目線で、交互に物語をリレーしていきます。赤ん坊もお年寄りも、外国の人たちも、みーんな手を伸ばせば届くところにいるんです。
すぎなさんのお庭でとれたハーブや植物でつくったお料理が、とてもおいしそう!
いろんな種類の風を作っているのは、実はねこたちだってこと、知っていましたか?
ねこたちの秘密の工場でおこるできごと
町の中にある大きな丸いタンクを見かけたことはありませんか? これは、そんな丸いタンクを持つ工場のおはなしです。工場で働いているのは、町に暮らすねこたち。ねこたちは町の中を走り回って材料を集め、それを工場であれこれ加工して、町を吹き渡る風を作っているのでした。材料や作り方によって、あたたかかったり、つめたかったり、いいにおいがしたり、体が飛びそうだったり、いろいろな風を作ることができます。不思議な材料をみつけたねこ、どこかあやしい新入社員などが登場、思いがけないことが起こる工場の毎日をえがいた三話を収録。
春に起こる不思議なファンタジー
幻想的で美しい春の風景の中では、なんだか不思議なことが起こりそう?
春に起こるファンタジーの心地良さを味わってみて下さいね。
優しいタクシー運転手、松井さんのところには次々に不思議なお客様がやってきます。
松井さんのタクシーのお客さんは、不思議な人ばかり。時にはキツネやタヌキを乗せることだってあるのです。表題作ほか7篇を収録。
読者の声より
「車のいろは空のいろ」シリーズ2作目です。
この本でも前作と同じく不思議で素敵なお話が7話入っています。特に表題の「春のお客さん」と「やさしいてんき雨」が気に入りました。
あまんさんの文章は、本当にリズムがあって読みやすいです。まさに教科書に載っている「白いぼうし」のように、どれも是非声に出して読みたい、そんな作品ばかりです。
松井さんのタクシーは実に不思議なことばかり起きるのですが、それは松井さんの力なのか、はたまた空色タクシーの力なのか・・・いずれにせよ、松井さんと色々様々な体験をしていく心地よさがあります。
お話に出てくる様々な橋や公園、通りや町の名前が、表表紙裏に地図になっているので、息子は読みながら地図で場所を探したりして楽しんでいました。
北田卓史さんの挿絵も、どこか懐かしさを覚えるような温かさがあって素敵だと思います。
(MY HOUSEさん 40代・ママ)
新装版も発売に!(2022年11月刊)
つるばら村のくるみさんとの関係も気になる、養蜂家ナオシさんが出会う不思議な出来事
あまい花のかおりと、まろやかなはちみつのかおり。つるばら村に、春がやってきました。
みつばちが一生かかってあつめるはちみつは、スプーンにわずか半分。養蜂家は、みつばちの世話をすることで、そのたいせつなはちみつをわけてもらうのです。
読者の声より
【あらすじ】
つるばら村で養蜂をしているナオシさんの物語、12話。村で一番高い笛吹山でひとりで蜂を飼っているナオシさんのもとには、いろいろなお客さんが訪れます。時には人間ではない方も交じっていまして…自然一杯の美しい景色と、不思議な世界が入り混じる上質のファンタジー。
【感想】
男っぽい話もあり(天狗と腕相撲するとか、イノシシと綱引きするとか)、淡い恋の予感もあり、奇想天外なファンタジーもあり、盛りだくさんの一冊。養蜂家のことをよく調べてあって、丁寧に物語が作られている。どのお話も読み終わるとこころが温かくなり、不思議な満足感が訪れます。寝る前に1話ずつ読んでもいいかもしれないですね。
後書きも素敵。(この作家さんは、後書きも感動的)
ご縁があって、養蜂家の方から直接いろんなことを教えてもらうことになったいきさつは、奇跡のように感じられます。この人は、上質な物語を書くために、神様が守ってくださっているとしか思えないような素敵な「出会い」をされている気がしてなりません。
蜂が一生かかって集める蜜の量は、ティースプーンに半分ほどという。それを考えると、蜂蜜を、はたして食べていいのか?迷いが生じました。結局、自然からいろいろなものを頂かなければ、人間は生き残れないのだなあ、と思います。
食べるものも、着るものも、そのほかなんでも、自然から頂いた材料で作られているから、それらを大事に扱おうという気になります。
そして、この本は、ほかのシリーズとゆるやかにつながっています。登場人物があっちこっちで関係しているので、村を探検するつもりで、全部の作品を読んでみたいと思います。
(渡辺諦さん 30代・その他の方)
主人公のスキッパーが一緒にかくれんぼした友達は、だれだったのだろう?
スキッパーが森であった新しい友だち。ターザンごっこやかくれんぼと遊ぶうちにいなくなってしまい…大きな桜の木をみつけた。
読者の声より
桜は私が一番好きな花で楽しみに読みました。
幻想的なおはなしでゆめか現か分からなくなります。
ゆめだけどゆめじゃないそんなふしぎなおはなしです。読めば私が何を言っているか分かってもらえるかと思います。
読み終わった後にもう一度読むとあーとなる本です。
もしかしたらスキッパーが出会ったこどもたちの正体に気づかない子がいるかもしれません。
(みちんさんさん 30代・ママ 女の子3歳、女の子1歳)
学校って事件がいっぱい!
たくさんの子どもたちがいて、いろんな先生がいて、毎日何かしら学校では事件が起きている!?
楽しいこと、不思議なこと……。どんな事件が起きているのか学校の様子をのぞいてみませんか?
読者の声より
NHKの番組で室井滋さんが楽しく語っていた「消しゴムころりん」が
この短編集に含まれていると知り、手に取りました。
一つ一つのお話は、登場人物の異なる、独立したお話ですが、
朝から夜まで「ふしぎの時間割」に沿った小学校のエピソードは
どれも不思議で、それでいてリアルで、強く引き込まれます。
章と次の章をつなぐ絵がとても印象的。
次のお話へふわっとワープしていくような感覚で、途中でやめることができませんでした。
息子達に読み聞かせたら、もう夢中。
特に小3の長男は「好きな感じの話じゃないのに、面白かった」と言い、
(普段はひたすら笑えるお話が好き。)翌日も一人読み。
話しかけても全く気付かない、その没頭ぶりに苦笑いした程でした。
息子達のお気に入りは、五時間目の「石ころ」(五年生のお話)。
僕のせいだ、どうしようという泣きたくなるような気持ちと、ラストの安堵感。
聞いている息子達の表情がくるくると変わるのが分かりました。
私が好きなのは一時間目の「ピータイルねこ」(一年生のお話)。
みどりちゃんのドキドキが伝わってきて、応援せずにいられません。
読む人によって、その時の心境によって色々変わるかもしれませんね。
作者は小学校の図工の先生だそうですが
どうしてこんなに子どもの気持ちが分かるのでしょう。
私だって毎日子どもと一緒にいながら、なかなか分かってあげられないのに。
読み聞かせなら小学校低学年から、一人読みなら小学校中学年からでしょうか。
手ごたえのある児童書で、小学生のお父さん・お母さんにもおすすめです!
(ランタナさん 40代・ママ 男の子8歳、男の子6歳)
笑顔とパワーあふれる春野先生に元気をもらえます。
春野先生は、三週間だけ、ぼくら三年一組の担任だった。
その三週間は、ぼくにとって、ミラクル(奇跡)だったんだ。
*
ぼくらは、一人一人自己紹介をした。
「ぼくの名前は、中田俊輔です。得意なことは、……ありません」
「じゃあ、俊輔くん、今、がんばってることは何かな」
「それもありませーん」
そういって、ぼくは座った。
(こんなふうにいうと、きっと、この先生も怒るんだ。だって、二年生の時、ぼくは、ずっと怒られていたんだから。……先生なんてきらいだ)
でも、春野先生はちがった。サッカーが得意で、ピアノがちょっと苦手な先生は、ぼくの「得意なもの」を一緒にさがそうといってくれて……。
できないことばっかりで、先生がきらいだったぼくの毎日が、春野先生の登場で変わりはじめる。読むと学校が好きになるお話。
読者の声より
うちの娘、夢は小学校の先生。目下担任の若い女の先生に憧れてます。
そんな彼女にぴったりの一冊。
ページをめくる毎に娘の「わぁー」というワクワク声が聞こえます。
とにかく、ポジティブ。そして、夢がいっぱい。
夢や希望あふれる小学生に、ぜひ読んでほしいです。
そして、絶対に、「三年二組、みんなよい子です!」を読んでから
この本を読んでください!絶対に!!何故かと言うと・・・・
それだけは秘密です。
こちらを先に読んで、とのレビュー多数!
いかがでしたか。
春のお話はふんわりしていて、表紙も淡い雰囲気で、とっても優しい作品が多いように感じます。
子どもたちだけでなく、ぜひ大人の方も一緒に楽しんでみて下さいね。
秋山朋恵(あきやま ともえ)
絵本ナビ 副編集長・児童書主担当
書店の本部児童書仕入れ担当を経て、私立和光小学校の図書室で8年間勤務。現在は絵本ナビ児童書主担当として、ロングセラーから新刊までさまざまな切り口で児童書を紹介。子どもたちが本に苦手意識を持たずに、まず本って楽しい!と感じられるように、子どもたち目線で本を選ぶことを1番大切にしている。編著書に「つぎ、なにをよむ?」シリーズ(全3冊)(偕成社)がある。
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