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【読み聞かせ会】絵本講師による季節の絵本とお話

【ふわはね絵本のある時間】2021年8月におすすめの本

ふわはねさん

絵本講師として10年以上ご活躍中のふわはねさん。絵本講座や絵本コンサル、絵本の読み聞かせ会などを年に200回以上こなしています。そんなふわはねさんに季節にあった絵本と読み聞かせ会の流れについて語ってもらいました。

二十四節気(にじゅうしせっき)を感じる

二十四節気とは…一年を12か月さらにその半分、24個に分けた季節を表す名称です。

 

8月では…

立秋りっしゅう(8月7日)暑さがピークを迎えていますが暦の上では秋を迎えます。この日を境に暑さは残暑となり、暑中見舞いも残暑見舞いへと変わります。

処暑しょしょ(8月23日)暑さが止まるという意味の処暑。日中はまだまだ暑さが続きますが朝夕頬にあたる風や、耳に届く虫の声に秋の気配を感じる頃。

 

暑い日が続きますが暦の上では秋を迎えます。と、言われてもまだまだあつーい!

ということで今月も夏らしい絵本を集めてみました。

絵本には季節があります。その季節は体験体感するからこそよりリアルに感じることができます。

いや、すいかに足を入れたことなんてないけれど、絵本の中で感じとることもある。

この現実との境界線のなさは絵本ならでは。たくさんの実体験と絵本や本の中での仮体験を繰り返し成長するのです。

この夏もたくさんの体験を!絵本と一緒に!

 

【季節の絵本】

繰り返しの楽しさと奥深さ『だっぴ』

だっぴ!

おやおや、生き物たちが、なんだかもぞもぞしているよ。その姿をよーく観察してみると…、あっ、脱皮してる!!
ダンゴムシやザリガニたちは脱皮するとピッカピカのツーヤツヤ。
「もぞもぞ」「だっぴ!」とくりかえすリズムで楽しく読める、自然や生き物に興味を持ちはじめた子どもたちにぴったりの絵本です。

夏は心も身体もぐんと成長する季節と言われます。

そんなことを思いながらこの絵本を本棚から手に取りました。
『だっぴ』
それはこんな始まり
「もぞもぞもぞもぞ…ダンゴムシ だっぴ!」
ちわーってダンゴムシ一皮剥けます(笑)
短いテンポの良い繰り返しの楽しい絵本ですがこれは立派な科学絵本。
ヘビにイモリにセミに…。最後はあの子も だっぴ!? 
夏を超え、そこには殻の強くなったひと回り大きくなった子ども達。

大人も負けずにこの夏一皮剥けた成長をしたいものです。

さっくさっくさっく空想の世界へ足を踏み入れる『すいかのプール』

すいかのプール

大きなすいかがぱかっと割れたら、うきわを持ってでかけよう。葉っぱのジャンプ台から飛びこんだり、ぶあつい皮ですべり台をつくったり、すいかのジュースをパシャパシャさせたり……。思い切り遊んだ一日はあっというま。でもだいじょうぶ。きっと来年もすいかのプールはひらくから。子どもの楽しい空想をいきいきと描く韓国の絵本。

初めてこの絵本を見たときの衝撃たるや…。

すいかに入ってる…。すいか?すいかのプール???

おとなり韓国の絵本です。真夏のお日さまの下、すっかり熟したすいかが「ちゃっ」と音を立てまっぷたつ。

そこへ、梯子を抱えた麦わら帽子のおじいさん。

おじいさんはスイカに足を踏み入れ「さっくさっくさっく」

種を「すぽっ」と手に取り、種の後の穴をつぶしながらひろげすいかのジュースが溜まったところに肩まで浸かり「うーむ、きもちいい」

衝撃!!そこへ浮き輪を抱えた子どもたち!たくさん集まってすいかのプールが!!

これがまた特別な感じでもなく、皆当たり前のように楽しんでいるあたり。

やられました。微妙に食べ物で遊ぶような背徳感を感じながら、すいかのプールという夢を目の当たりにして。

いつの間にやらレジへと運んでいた一冊。ありえない世界の中で存分に楽しめる。まいった。

すごい絵本です。絵本ならではの良さ力を感じた絵本でした。

【新刊絵本】

私でも読める怪談絵本『ついてくる』

ついてくる

ついてくる

作・絵:小川 育
出版社: 教育画劇

遊びに夢中になっていったら、すっかり……帰るのが、遅くなってしまった。早く帰らなくちゃ。
ひた、ひた、ひた……かさ、かさ、かさ……くわ、くわ、くわ……ぴち、ぴち、ぴち……ぼう、ぼう、ぼう……ぺと、ぺと、ぺと……
だれかが あとを ついてくる音がする……?
ページをめくるたび繰り返される、ドキドキの<緊張>と安堵の<弛緩>。
さあ、あなたも絵本を開いて、一緒に後ろをふりかえってみませんか?

怖い本は苦手です。怪談話も大嫌い。夜トイレに行けなくなっちゃうほどの怖がりだから、怖い絵本の存在の意味すら分からないとさえ思っている。でも見つけた出会った、好きと思える怖い絵本。

ドキドキしながらページをめくる。怖いもの見たさで次に進む。

ひた、ひた、ひた…

かさ、かさ、かさ…

ぺた、ぺた、ぺた…

ドキドキしながらめくるページのその先は!!!

小学校の読み聞かせにもおすすめ。

ドキドキのその先にある面白さ。

大好きな人の温もりの中聞く怖いお話。この夏体験しませんか。

新感覚『かんじるえ』

かんじるえ

字だけの絵本です。えっ、絵本なのに字だけって、どういうことなのでしょう!?文章だけのフツーの本ではありません。はたまた、絵文字の本でもありません。じつはこの絵本、「絵」がすべて「漢字」だけで描かれています。数えきれないほどの字で埋め尽くされた空、海辺、牧場、田んぼ、池、花火……。字だけで描かれた夏の風景を通して、アートの世界を感じてみませんか。百聞は一見にしかず、ぜひ手にとってご覧ください。

季節の絵本であり新作でもあるこの絵本。字のない絵本です。いや、絵のない絵本と言った方が正しいのかもしれません。

字はあるんです。いや字しかないんです。どういうこと??ですよね。

夏の1日が漢字で表されているのです。空が空という字で描かれ、その空を飛ぶ鷹は鷹という漢字で描かれています。

いやーこれは本当にぜひ手に取ってほしい。

まだまだ絵本の世界の自由度無限度可能性を感じます。

漢字しか書かれていないこの絵本。漢字を感じる。勉強とは違う漢字との出会い方を子ども達にしてほしい。"漢字って面白いやん”と感じてほしい。まさにずっと見ていたくなる絵本です。そこには新たな発見があるかもしれません。

 

【課題図書より】

本の主人公達と過ごすひと夏『サンドイッチクラブ』

サンドイッチクラブ

珠子はダブル塾通いをする小学6年生。ぼんやりむかえた夏休みに、無心に砂像を作るヒカルと出会う。強烈な個性をもち、成績もトップクラスのヒカルは「戦争をなくすためにアメリカの大統領になる」という。家庭環境も性格も異なるふたりの少女が、たがいを受け入れ、まっすぐに世界と向きあっていく姿をさわやかに描く。

先月に引き続き、青少年読書感想文全国コンクール課題図書を一冊。

小学校高学年の部からこちらを。

小学校6年生。ダブル塾通いをする受験を控えた珠子が出会った塾の特待生ヒカル。でも彼女は少し変わっていた。

成績もパッとしない、受験をする理由も見当たらない珠子が砂像作りに出会う。

一生懸命になっている人に出会って、一生懸命になれるものに出会い変わっていく珠子。

この本に挿絵があったらもっとよかったのにと思う反面、「この世界に永遠なんてない。形あるものは遅かれ早かれ消えていくと思えばこういう表現方法があってもいいと思うんだ」という砂像作家のシラべさんの言葉と重なり、絵として見ることなく頭の中で想像として浮かべ消えていく砂像達に思いを馳せる。想像の中ではどんなものにだって形となり生きる。

珠子達と一緒に暑い暑いひと夏を過ごしたような読了感でした。

 

【質問にお答えします】読書感想文どうやって書いたらいいかわかりません。

読書感想文の書き方が分かりません。子供に聞かれても「もう高学年なんだから自分で考えて書きなさい」と言ってしまいます。

私自身も作文が得意ではなく、なんと言ってやっていいかも分かりません。

読書感想文にチャレンジしてほしいのですが、子どもにどうアドバイスしてあげたらいいでしょうか。

(小学生高学年子をもつママより)

答え

読書感想文の書き出しで迷ってる子どもたちがいたら、まずどうしてこの本を選んだのか。
そんなところから書くのはどうでしょう。私はこのご紹介した本を選んだ理由があります。

まずは興味をひかれたタイトル『サンドイッチクラブ』。そしてこの表紙の絵。

なんだかみたことあるような…。と画家さんを探してみたら装画・扉絵小西英子。

『サンドイッチサンドイッチ』の小西英子さんじゃないですか!

見覚えのあるサンドイッチの絵が幼い頃何度も楽しんだサンドイッチの絵本とリンクして読んでみたいと思ったのです。

どんなお話なのか興味がわいた。これももちろん立派な理由です。

絵本のように全部読んでから、面白かった、なんか書けそうと思ったから。というわけにはいきません。

その表紙や出だし、文字の大きさ、バランス、ペラペラとめくったときの感じ、紙の質感なんていうのも実は理由のひとつかもしれません。

分厚さや本の大きさ、これは装丁ですね。これも大事。そして信頼できる人のおすすめなどその絵本を選んだストーリーがどの本にもあると思います。そんなところから書くのはどうでしょう。

そして読み終わった後は、砂像というものに興味が湧きました。見に行ってみたいと思いました。

小さい子の作文のような感想ですが、こんなんでいいんですよね。

まずはここから。自分の思ったこと、感想を箇条書きでもいい。そこから自分の体験を重ね合わせていく。

家族で取材に行ってもいいですよね。鳥取砂丘の砂の美術館はどうでしょう。自分の目で実際に見るとより感じるものが出てきて、伝えたくなることが溢れてくるのではないかと思います。それが読書感想文だと思うのです。

【その他 8月の読み聞かせにおすすめの絵本】

絵本の読み聞かせについて思っていること

絵本はコミュニケーションツールです。 絵本は子ども達の歩みを助け、その成長を促してくれるかもしれません。 しかしそこには読んでくれる人の温もりを通した生きた声が不可欠です。 人と人とが向かい合い、片手間にはできない読み聞かせだからこそ愛情が注がれるのです。 子どもの持つその心のコップを絵本を使って愛情で満たしてあげてください。大好きな人の声で温もりの中聞く美しく豊かなお話。それはあっという間の子育ての濃密な時間を助け、後にその子どもたちの長い人生の心の支えとなるでしょう。 

ふわはねプロフィール

ふわはね(内田 祐子)

絵本講師・子育てアドバイザー・ふわはねえほん 主宰
 

大学で児童文学を学ぶ。2005年絵本講師1期生として絵本講師資格取得。関西を中心に企業での定期教室をはじめ、幼児教育に携わる先生や書店員への研修。絵本講座、研修、絵本コンサルなどを行っている。大学1年生と高校1年生の娘をもつ。インスタグラム @fuwahane 

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掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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