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【おはなし会】絵本講師ふわはねによる季節の絵本とお話

【ふわはね絵本のある時間】2021年9月におすすめの本

ふわはねさん

絵本講師として10年以上ご活躍中のふわはねさん。絵本講座や絵本コンサル、絵本の読み聞かせ会などを年に200回以上こなしています。そんなふわはねさんに季節にあった絵本と読み聞かせ会の流れについて語ってもらいました。

二十四節気(にじゅうしせっき)を感じる

二十四節気とは…一年を12か月さらにその半分、24個に分けた季節を表す名称です。

 

9月では…

白露はくろ(9月7日)昼夜の気温差が大きくなり、草花が朝露でぬれるようになる頃。

秋分しゅうぶん(9月23日)国民の祝日。昼と夜の長さが同じになる秋分の日。この日を境に陽は短く弱くなっていく。

 

そして今年の十五夜は9月21日です。

十五夜は中秋の名月とも呼ばれ、読んで字の如く秋の真ん中にでる月のことを言います。

(旧暦では8月9月10月が秋)

夜空を見上げ月を愛で秋の実りを感謝するお月見。

こんな日はやっぱりお月さまの絵本を。

【季節の絵本】

この夏出会った一押しのお月さんの絵本『お月さんのシャーベット』

お月さんのシャーベット

「それは それは ねぐるしい
 なつの ばんやった。
 あつくて あつくて ねるどころか
 どうしようもあらへん。」

冒頭からすぐにその熱気が感じられます。そして、ぼんやりと浮かぶ月と、集合住宅の様子。表紙の絵からも、ペク・ヒナさんの独特の世界観が伝わってきます。

「ぽた……ぽた…ぽた
 なんのおとやろ?  お月さん とけてはるがな」

「えらいこっちゃ」しっかり者のおばあちゃんが、お月さんのしずくをたらいで受け取って、どうしたと思いますか? なんと、シャーベットの型に流し込み、冷凍庫に入れて凍らせるのです。ところが、エアコンや扇風機、冷蔵庫フル稼働の集合住宅が停電すると、おばあちゃんの部屋だけシャーベットの光がともっているではありませんか! それはとっても映像的でドラマティック。そして、集まってきた住民に、おばあちゃんがふるまった、シャーベットのお味は? 想像してみてくださいね。

さて、もう一つの難題「消えたお月さんをどうするか」。これもまた、不思議で、ロマンティックで、それでいて妙に納得の解決策ですのでお楽しみに。今夜のお月さんを見る目が変わるかもしれませんね。

『天女銭湯』『あめだま』などの作品で注目を集め、2020年にはアストリッド・リンドグレーン記念文学賞を受賞されたペク・ヒナさん。インパクトのある粘土人形とアングルで独特な世界が印象的でしたが、今作は少し趣が違います。ペク・ヒナさん初期の作品で、紙で作った人形とミニチュア模型が織りなす世界です。長谷川義史さんの軽快で愉快な大阪弁も、世界観を盛り立てくれます。
このシチュエーションと表現方法だからこそ味わえるリアリティ。視覚、聴覚、味覚、体感フル稼働で楽しんでください。住民たちの個性豊かな部屋もサブストーリーとして見逃せませんよ。

今年出会った一押しのお月さま絵本です。あの暑かった夏の夜を思い出しながら…。

それはこんなお話。

暑い暑い夏の晩。暑すぎてねられへん。みんなエアコンびゅんびゅん扇風機ぶんぶんつけてなんとか眠りにつこうとしていた。

そんなとき ぽた・・・ぽた・・ぽた

あれ?なんの音?えらいこっちゃ!お月さんとけてはるがな!

しっかりものの班長のおばあちゃん。おおきなたらいをかかえて飛び出した!

さぁ、どうなるのでしょう。

韓国の作家ペクヒナさんの描くお月さんのお話。

長谷川義史さんが関西弁でまあるく訳されています。

ありえないお話がペクヒナさんの紙で作った人形とミニチュア模型でリアル感を増していく。

細かなところまで作り込まれた世界をゆっくりじっくり見ているうちに、自分もすっかりふしぎの世界の住人に。

ありえないお話を真面目に真剣に本気で取り組む大人が好き。そんな人たちが作る絵本が好き。

全編を構成したメーキングの映像があるのでぜひ見てみてくださいね。

<読み聞かせ時間目安 3分10秒>

 

ショートフィルムをみているような『とっときのとっかえっこ』

とっときのとっかえっこ

 ネリーの成長につれて、年を取るバーソロミュー。子どもの成長と老人の老いが、ご近所のあたたかいまなざしと季節の移り変わりの中に描かれた秀作です。両者のお互いを見つめる視線がやさしくて、すてきな友情に心があたたかくなりますよ。二人の表情が人なつっこく、一度見たらとりこになりそうなほど笑顔が生きています。色使いの少ないペン画が、米国のほのぼのとした町並みの中に、ゆったりとした時の流れを巧みに描き出しています。
――(ブラウンあすか)

順番前後しましたが9月の祝日がもうひとつ。9月20日は敬老の日です。

絵本の中にもおじいちゃんやおばあちゃんが主人公の絵本はたくさんあります。

今回はこちらの一冊を。

『とっときのとっかえっこ』

バーソロミューおじさんはネリーのおとなりさん。ネリーが赤ちゃんだった頃毎日ネリーをカートに乗せて散歩に行きました。

ネリーが歩き始めるようになり、バーソローミューも歳をとっていった。それでも二人は仲良しで、近所の人たちはふたりをハムエッグと呼んだ。いつも一緒だったから。ネリーの成長とバーソローミューの老い。

その間にある信頼、優しさ、つながる愛情。なんて素敵な絵本でしょう。

誰でも子どもだった頃があり、誰もが老いていく。それを忘れなければもっと優しい社会になる気がする。

そんなことに気づかせてくれる絵本です。

<読み聞かせ時間目安 5分30秒>

 

 

【歌絵本】

納豆好きさんもそうでない人もぜひ!『ねばらねばなっとう』

ねばらねばなっとう

『静かな湖畔』のメロディーでうたって、よもう! かえうたえほん

この絵本は、童謡『静かな湖畔』のメロディーで歌って読める替え歌絵本です。なっとうちゃんたちの元気な運動会の様子を歌詞にしました。つなひき、玉入れ、障害物競走……いろんな種目を思いきりねばったり楽しんでいる可愛い表情のなっとうちゃんたち。なんとなく誰かさんに似ているなっとうちゃんもどこかに居るかもしれませんよ。 (「作者のことば」より)

お次は歌の絵本を。

「静かな湖畔」のリズムで歌うは「静かなごはん」

こんなはじまり。

しずかな ごはんの つぶのかげから いとひき つなひき はじめよか
なっとう なっとう なっとう なっとう なっとう(p2-5引用)

読んでるだけでも面白いのに、これを#静かな湖畔 のメロディーで納豆たちが歌うのです。 


しずかな ごはんの つぶのかげから いとひき つなひき はじめよか
なっとう なっとう なっとう なっとう なっとう♪

「しずかな こはんの もりのかげから…」を、「しずかな ごはんの つぶのかげから…。」
ぴったりすぎる。

 

納豆たちの大運動会です。
細かい絵が楽しくて、巻末の#ねばらねばしんぶん を見ると、もう一回!と戻らずにはいられません。

べにしょうがちゃんに、こんぶちゃん。えびちゃん、ミニたまごちゃんに、たまごちゃん。などなど個性豊かな納豆たちの大運動会。

盛り上がること間違いなし。

<読み聞かせ時間目安 1分35秒>

【新刊絵本】

面白いだけでないその先のもう一歩まで楽しめる『どうぶつ勝負はっけよい!』

どうぶつ勝負(かちまけ)はっけよい!

カバの「勝ち」「負け」はどっちが口を大きく開けられるかで決まる?クジャクの「勝ち」「負け」は声の大きさと長さで決まる?
じゃあ、ライオンやナマケモノの勝負は……?
動物にはそれぞれ、リアルな「勝ち」「負け」の理由があるのです。
巻末には楽しくってためになる、動物たちの勝負図鑑もついています。激しいとっくみあい勝負を繰り広げる動物や独特のユニークなくらべっこで勝負を決める動物、歌や造形物など、技術の巧みで勝負する動物もいるんですよ。
さあ、絵本を開いて、ゆかいなどうぶつたちの「勝ち」「負け」の勝負の行方を一緒に見守りましょう。
はっけよい!

お次は新刊より。

インパクトのある表紙に惹かれ手にとった『どうぶつ勝負はっけよい!』

タイトル通り、動物達の相撲大会なのですが一味違う。

リアルな中にも可愛さユーモアのある絵。そして何よりその勝敗の付け方が!

これ面白い!

まずはカバ。「ひがしーかばのやまーかばのやまー」「にーしーひぽぽふじーひぽぽふじー」

はっけよーいのこった!のこった!ぱかっぱかっ!なんとカバは口を大きく開けた方が強いのです。

「決まり手は大口あけでひぽぽふじの勝ちー!」と、どの動物も自然界での勝負の方法がこの絵本でも勝ち負けとなる。

お次はなまけもの・・・。

仕掛けのページがよりその絵の迫力を増し、細かなところまで書き込まれた面白さも相まり、動物達の生き抜くための勝負の付け方を知り、巻末には少しクイズがあったりと盛りだくさんの内容。すーきー!となった一冊でした。

<読み聞かせ時間目安 3分40秒>

【童話を読む】

優しいオニの子のお話『オニタロウ』

オニタロウ

ある日、鬼からの挑戦状がたけのこ園に届きます。「おれさまは、わがままで悪いこどもが大すきだ。相撲で勝負して勝てなければ、おれさまのコブンになれ。まっていろ。~鬼の親分より」。もう、園のこどもたちは大騒ぎ。さっそく相撲の練習をしたり、落とし穴を作ったり、豆を準備したり……。そうして、ついに約束の日がやってきます。が、園に現れたのは弱虫のオニタロウでした。さてさて、どうなることやら。節分に読んでほしいお話。

最後はこちら。幼年童話や児童文学もご紹介していきます。

福音館書店、福音館創作童話シリーズより『オニタロウ』

それはこんな始まり

カキの木山に、オニタロウというわかいオニが、ひとりすんでいました。

(p6引用)

人里離れた山奥にある「オニが谷」この谷で生まれた子オニたちは、十才になるとオニが谷を出ていかなければなりません。

自分で住む山を見つけてしっかりと生活ができてこそ一人前のオニとして認められるのです。

そんなわけでオニタロウもオニが谷からカキの木山にやってきたのです。

気の良いやさしいオニタロウ。動物達と仲良く暮らしていました。

秋も深まったある日、カキの木山にオニタロウのお父さんがやってきます。

たくさんの子分がいると嘘をついてしまったオニタロウ。2月の満月の次の日またやってくるから、子分達に会わせると約束してしまいます。

もちろん子分なんて一人もいません。さあ、オニタロウは子分を作ることができるのでしょうか。

 

面白く引き込まれ一気に読みました。

こさかまさみさんの文章に北村人さんの絵が相まってすっかりオニタロウに夢中に。

どうなるのかと読み進めながら見守ります。

一のまきから六のまきまで章立てされたお話はとても読みやすく、心温まるオススメの一冊です。

【質問にお答えします】 どんな本が読めるのかわかりません。

絵本もそうなのですが、絵本からもっと字のある本を読ませたいと思うのですが、どれが読めるかわかりません。

文字ばかり並んだ本に興味を示すかもわからず、理解できるのかも。

何か選び方の基準のようなものはありますか?

答え:登場人物の年齢を意識して

今回ご紹介した『オニタロウ』は福音館書店さんより出版されている福音館創作童話シリーズ。

裏表紙を見てみると、「読んであげるなら5才から、じぶんで読むなら小学校初級向き」とあります。

絵本もそうなのですが、本によってはお話を楽しめる年齢が裏表紙に載っているものもあります。

これはあくまでも参考程度ですが、本を作る過程でどれくらいの子ども達に届けたいと思っているかがそこには書かれてます。

これは書いてないものもありますよね。ではどうしたらいいか。

これは私の考えなのですが、本に出てくる主人公の年齢というのを意識してみるといいのではないでしょうか。

今回『オニタロウ』は幼稚園の子ども達が出てきました。「読んでもらうなら5才くらいから」がぴったりです。そしてオニタロウは10才。自分と主人公のオニタロウの気持ちを重ね合わせて読み進めることができるのが、それくらいの年齢かなと思います。

主人公の年齢の子を取り巻く社会や世界や思想というと大袈裟かもしれませんが、自分と同い年くらいの子が出てくるお話は、

感情移入もしやすく楽しめるのではないのかと思います。

絵本からもう一歩進んだ幼年童話、絵童話、児童文学と読書が広がる時の一つの参考になれば幸いです。

【その他 9月の読み聞かせにおすすめの絵本】

絵本の読み聞かせについて思っていること

絵本はコミュニケーションツールです。 絵本は子ども達の歩みを助け、その成長を促してくれるかもしれません。 しかしそこには読んでくれる人の温もりを通した生きた声が不可欠です。 人と人とが向かい合い、片手間にはできない読み聞かせだからこそ愛情が注がれるのです。 子どもの持つその心のコップを絵本を使って愛情で満たしてあげてください。大好きな人の声で温もりの中聞く美しく豊かなお話。それはあっという間の子育ての濃密な時間を助け、後にその子どもたちの長い人生の心の支えとなるでしょう。 

ふわはねプロフィール

ふわはね(内田 祐子)

絵本講師・子育てアドバイザー・ふわはねえほん 主宰
 

大学で児童文学を学ぶ。2005年絵本講師1期生として絵本講師資格取得。関西を中心に企業での定期教室をはじめ、幼児教育に携わる先生や書店員への研修。絵本講座、研修、絵本コンサルなどを行っている。大学1年生と高校1年生の娘をもつ。インスタグラム @fuwahane 

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