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絵本トレンドライターN田N昌の “大人だってもっと絵本読みたいの!”

パパママも一緒に楽しめる!! 夏休みの自由研究に対するモチベーションがゴイスーにあがる絵本

子どもだけが読むなんてもったいない。大人も楽しい絵本の世界を、絵本トレンドライター・N田N昌さんが、独自の視点と「ゴイスー」な語り口でご紹介! 
最近話題の新しい絵本、注目の作家さん、気になる絵本関連スポットなど、絵本のトレンド情報を大人に向けてお届けします。

自由研究絵本でモチベーションをあげよう!

夏休みがやって来ました。お子様の夏休みの自由研究の課題に、お子様以上に頭を悩まされているパパママ、少なくないのではございませんでしょうか。

そこで今回は、お子様が自由研究に対してやる気が起こる!自由研究へのモチベーションがあがること間違いナッシング!さらに、パパママも楽しめてしまう、そんな贅沢な絵本をご紹介させて頂きます。

観察・研究のモチベーションがあがる!

細密画で表現されるいちごの成長

いちご

いちごを育ててみよう! 自然観察絵本
夏の課題図書となった『ひまわり』、2017年度ブラティスラバ世界原画展金のりんご賞を受賞した『たんぽぽ』と、自然観察の絵本で評価の高い荒井真紀さんの新刊『いちご』です。小学館からは、『チューリップ』に続く第2弾です。
いちごを育てると、どのように成長するかを美しい細密画で表現しました。イラスト科学絵本です。
いちごを食べると口の中でプチプチプチと音がします。何の音でしょう? いちごの苗を植えて育ててみましょう。どんな風に葉っぱは生えていますか? 絵本を見ながら自然観察をたのしめる一冊です。

まずは、こちら。繊細な描写&自然観察の絵本で評価の高い絵本作家、荒井真紀さまが去年出版された自然観察絵本でございます。

荒井さまが、その絵を師事したのが、「ファーブル昆虫記の虫たち」の「クマダ チカボズ ワールド」シリーズでも有名、日本の「プチファーブル」と呼ばれ、自然の中の虫や草花を描き続けた画家、熊田千佳慕さまでございます。

16歳から熊田先生に師事し、1984年には第1回国立科学博物館主催ボタニカルアート展佳作に入選。自然観察絵本の第一人者でございます。

『ひまわり』(2013年)は、夏の課題図書に。『たんぽぽ』(2015年)は、2017年度ブラティスラバ世界原画展金のりんご賞を受賞。とにかく、たくさんの自然観察絵本を出されております。実績がゴイスーでございます。

こちらの『いちご』、なにがゴイスーなのかって細密画がとにかく美しい!

のでございます。

「写真では表現できない絵だから表現できる」

何年か前に、わたくしが担当したラジオ番組にゲストとして、メディカルイラストレーターの方をお迎えしたことがございました。

メディカルイラストレーターとは、人や動物の器官や機能、手術の方法など医療の難しい内容を分かりやすくイラストにして伝えるお仕事でございます。

写真ではなくイラストで見せることについて、その方は、こんなお話をしてくださいました。「写真は、正確だけど分かりづらいんです。より正確に描くのではなく、よりわかりやすく伝えるのが大切なんです」「メディカルイラストレーターは写真をそのまま描くのではありません。手術や研究中で何が重要かを聞き、頭の中でいらない情報を省いた上で、イラストにしていく必要があるのです」と。

この言葉を、この絵本『いちご』を読んでいて、ふと思い出したのでございます。

繊細でリアルに描かれていると同時に、写真では表現できない「わかりやすさ」「伝わりやすさ」を同時に叶えている、荒井さまの絵。まさに自然観察絵本なのでございます。

『いちご』は、その構成も素敵でございます。冒頭とラストは、お皿の上に載った“いちご”を食べる前と後。その間に、いちごの興味深い成長の過程や性質(雑学)が絵で表現されております。いちごの表面の粒々の正体、切った断面に見える白い筋の正体など、大人が「へぇ〜」と思える、翌日職場や学校で話したくなる雑学が満載です。そのすべてを、荒井さまの細密画で楽しめるのでございます。こんな贅沢なことはございません。特に、花びらが散ってそこからいちごの実が成長していく過程の絵(図)は、たまりまセブンでございます。

 

長くなりましたが、この絵本を読んだら、好奇心旺盛なお子様は、自分も何かを観察したくなること間違いナッシングでございます。是非、親子でご体験頂きたい自然観察絵本でございます。

 

研究結果をまとめるモチベーションがあがる!

もぐらの世界をユーモアたっぷりに紹介

もぐらはすごい

公園のもりあがった土は、だれのしわざ?じつは、もぐら!大きな手にある秘密、土の中のくらしに合った目や耳、驚きの食べっぷりなど、「もぐらってすごい!」という土の中の世界の感動を、ユーモアのある絵と文で紹介。

こちらは、2019年、第24回日本絵本賞で「日本絵本賞大賞」を受賞した絵本でございます。

もぐらの生態をユーモアあふれる絵と文章で表現した自由研究スタイルの絵本でございます。と、いうか自由研究の究極の“お手本”絵本ではないかと!存じます。

大人もビックリなもぐらの生態(雑学)が、ユニークな切り口で、わかりやすく描かれています。ここがポイントではないかと!

自由研究は、研究、観察したことを、いかにまとめるか(絵や図、文章にするか)が大変! 頭を悩ますところでございます。

そんな時に、ゴイスーに参考になる絵本でございます。例えば、もぐらの手のひらのスケッチのページでは、大きくアップで描いた手のひらと、「ほんとうのおおきさはこのくらい」と、実物大の手のひらが併記されております。

さらに、力持ちを表現するページでは、女の子がお相撲さん四人を持ち上げる絵で表現。食いしん坊なもぐらの食べる量の表現も、人間のご飯に例えて、お茶碗をずらりと並べて表現されております。(実際にはミミズを食べるのですが)

観察・研究をするのが楽しくなるのが『いちご』であるなら、研究結果をまとめるのが楽しくなるのが『もぐらはすごい』ではないかと。

工作のモチベーションがあがる!

家をせおって歩く かんぜん版

みなさんは、どんな家に住んでいますか? アパート? マンション? それとも一軒家? アーティストの村上慧さんは、発泡スチロールで作った小さな白い家をせおって歩いて、日本各地を移動しながら生活しています。さらに、このくらしをするために韓国やスウェーデンへも行きました。お風呂はどうするんだろう? トイレは? 食事は? どんな寝心地? 何だか大変そう、でも楽しそうな、小さな家とのくらしを紹介します。

こちらは、工作のモチベーションがあがること間違いナッシング! 産経新聞社賞も受賞、出版当時、かなり話題になりましたのでご存知の方も多いかと。

工作で家を作ってみた。その家を背負って各地を移動しながら生活してみた。そんな内容の絵本でございます。まさに自由研究本でございます。

ちなみに、作者は美術家の村上慧さま。大学で建築を専攻、作られた家には、瓦もあれば、ドアもポストもあるクオリティ。何度か建て替えも行われ、そのたび、雨よけ等の機能が上昇しているとか。

テーマ選びのモチベーションがあがる!?

こちらは、わたくしも大好きなナンセンス絵本コンビ「おおなり修司&丸山誠司」さまの言葉あそび絵本でございます。大人も楽しめるナンセンス絵本をたくさん出されている絵本作家さまお二人が今年1月に出版された絵本でございます。

「おいらはたぬき。どんな“た”でもぬいちゃうぞ」と、“た”の字を抜いて遊ぶ、悪戯好きのたぬきのおはなしでございます。例えば、大きなタカにおまじないをかけて、小さなカ(蚊)に変身させたり、盗賊が見つけた宝箱を、ただの空箱に変身させたり…。

「た」という文字を抜くだけで、まったく違う意味の単語になるという言葉遊びの絵本でございます。

お子様はもちろん、パパママも、他にもどんな言葉があるか探したくなること間違いナッシングでございます。

こんな言葉遊びを自由研究のテーマにするのもありではないかと!!

身近なことからのテーマ探しも楽しくなるはずでございます。

こちらの『たぬきのおまじない』に続き、8月には「おまじないシリーズ」第二弾が早くも登場でございます。その名も『ことりのおまじない』。今度は、“こ”の字を取る小鳥のおはなしのようでございます!

「おまじないシリーズ」第二弾!

今年の自由研究は、自由研究絵本でモチベーションをあげて、パパママも一緒に楽しく取り組んで頂ければと存じます。

N田N昌

絵本トレンドライター・放送作家・絵本専門士
絵本の最新情報を発信&大人絵本文化、絵本プレゼント文化の普及活動に日々努めております。  

@NtaNmasa

 

(画像は、イラストレーター・作家の網代幸介さんによる著者肖像画)

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絵本ナビ編集部
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