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スリリングだけどユーモラス!? 憎めない「ワニの絵本」大集合

ぎょろりと開いた目、大きな大きな口に鋭い歯。ワニってこわい? かわいい?……いや、やっぱりこわい? でも愛嬌だってあるよね。

 

スリリングだけどユーモラス。絵本と「ワニ」の相性って意外といいみたい! だってワニが主人公の絵本って、なんだか興味深いテーマばかり。

スリリングだけどユーモラス!? 「ワニの絵本」大集合

ぼくの家の床下には…『ゆかしたの ワニ』

ぼくの家の床下にはワニがいる。ぼくは夜になると大きな歯ブラシを持って、階段を降りてゆく。……そんな衝撃的な始まり方をするこの絵本。登場するのは、想像以上に大きなワニ。大丈夫なのかな?

ゆかしたの ワニ

ゆかしたの ワニ

ぼくは夜になると、頭に懐中電灯をつけて、大きな歯ブラシを持って、床下に出かける。そこには大きなワニがいて、歯磨きをするためだ。

ワニはぼくのことをぎろっとにらみ、でも歯磨きだとわかると口を大きくあける。ぼくはかまれないように、持ってきた棒をつっかえぼうにする。巨大なワニの口の中はまるで洞窟のよう。外側を磨いたあとは、口の中に入って裏側もゴシゴシ。長いベロがぼくを巻き込もうとしたり、だんだんと口が閉じそうになっても、七つ道具があるから大丈夫。

このスリリングで不思議なお話を書いたのは詩人・作家のねじめ正一さん。どうして床下にワニがいるのか、いつから歯磨きをするようになったのか。謎の部分を多く残しながら、でも、細かく描かれた家の断面図や魅力的な7つ道具の絵の描写により、最初からあっという間にこの絵本の世界に引きこまれてしまいます。

ぼくとワニが対峙する場面、大きくあけたワニの口の中をのぞく場面、口の中であおむけになる(!)場面、さらにさらに……緻密で遊び心あふれるコマツシンヤさんの絵はどこまでも具体的。けれどやっぱりそこは幻想の世界であり、最高にワクワクするのです。

ぼくとワニの関係を想像してみたり、続きを考えてみたり。何度も読みながら、そんな楽しみ方もできそうな一冊ですよね。

(磯崎園子 絵本ナビ編集長)

https://www.ehonnavi.net/ehon/175104/%E3%82%86%E3%81%8B%E3%81%97%E3%81%9F%E3%81%AE%E3%83%AF%E3%83%8B/
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…そんなバカな!?『ワニはどうしてワニっていうの?』

登場するのは、ジャングルでおさんぽをするワニの親子。その会話がなんだかちょっと……笑っちゃう?

ワニはどうしてワニっていうの?

ワニはどうしてワニっていうの?

「ねえねえ。おとうさん。ぼくたち『ワニ』はどうして『ワニ』っていうの?」
「それはね、獲物を捕まえる時『ワッ!』って驚かして、獲物がとれると『ニッ!』って笑うからだよ」
「じゃぁ『ブタ』は?どうして『ブタ』っていうの?」
「じゃあ『タヌキ』はどうして『タヌキ』なの?」

ワニの子どもの素朴な疑問が続きます。それに対し、お父さんの回答はそんなバカな! と思わずツッコミを入れたくなるものばかり。そんな風に、ジャングルを散歩中のワニの親子のおしゃべりから、楽しい想像の世界が広がっていきます。

作者は『いちにちパンダ』(小学館)や『うごきません。』(パイインターナショナル)などなど、多くの人気絵本の文章を手がける大塚健太さん。動物の名前を使った言葉遊びはなんとも大胆でユーモラスです。

イラストを描くのは、新鋭の画家うよ高山さん。うよさんの描くゆるくてかわいいイラストたちは、見ていて心が和みます。動物たちのキュートな表情やしぐさ。ページにこっそり散りばめられた脇役たちの活躍も見逃せませんよ!

ユーモラスな画面の中から、親子の間に流れる優しくて温かい空気がしっかり感じられる作品です。この世界観を、ぜひ小さい子どもから大人まで、みんなで味わってくださいね。

(出合聡美  絵本ナビライター)

知識系の絵本かとおもったら
思いっきりだじゃれじゃーん(笑)
読みながら「ぷぷっ」と吹き出してしまい
うまく読んであげられませんでした。
(バムセ♪さん 40代 ママ 女の子2歳)

さびしい人にだけ見える…『ワニのガルド』

絵本作家・漫画家のおーなり由子さんによる、ワニのガルドとヒナちゃんの、ちょっとおかしくてあたたかな物語。

ワニのガルド

ワニのガルド

引っ越したばかりのヒナちゃんは小学三年生。まだクラスに、仲のいい子がいません。

「……学校に、いきたくないな」

ねむい目をこすりながら、歯ブラシをぱくんと口にくわえたその時、いきなり歯ブラシがぐにゃぐにゃと動き出した。思わずほうりなげると、そこにいたのは小さなワニ! しかも人間のように話しはじめたのです。名前はガルド。さびしい人にだけ見える「おばけ」だというのです。

この日から、ガルドとひなちゃんのおかしな日々がはじまります。学校に行けば、ガルドもかまわずついてきて、教室の中にまで入ってくる。ガルドが川に行きたいというから、つれていってあげると気持ちよさそうに泳ぎながら魚を美味しいといって食べている。おばけだから、教室のみんなには見えないはずのガルド。けれど、こちらをじっと見ている子がいます。大勢の子に囲まれて人気者に見えるアヤカちゃんです。どうしてガルドが見えるのでしょう。そんなある朝、教室に入るなりアヤカちゃんが走ってきて……。

絵本作家・漫画家のおーなり由子さんによる、ワニのガルドとヒナちゃんの、ちょっとおかしくてあたたかな物語。さびしい気持ちというのは、いつどんな時もふとやってくるものです。それは、友だちができたって同じこと。けれどヒナちゃんは、そんな時にどうしたらいいのか知っています。それは、ガルドとの出会いのおかげ。何だかうまく友だちができないな、なんて思っている子がいたら。全ページに入っているカラーの挿絵で愛らしいガルドとヒナちゃんが迎えてくれるこの本を、いつでも読んでみてくださいね。

(磯崎園子 絵本ナビ編集長)

https://www.ehonnavi.net/ehon/175764/%E3%83%AF%E3%83%8B%E3%81%AE%E3%82%AC%E3%83%AB%E3%83%89/
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まだまだあるある、ロングセラー「ワニの絵本」

わにさんどきっ はいしゃさんどきっ

わにさんどきっ はいしゃさんどきっ

「わにさん どきっ」
「はいしゃさん どきっ」

あれあれ、怖がっているのはどっち?
これがね、どちらもなんです。

「どうしよう……こわいなあ……」

どちらもイヤイヤ、どちらも怖がっているのです。

確かに、虫歯になったら歯医者さんに行かなくちゃならないし、どんなに鋭い歯を持っている患者さんだって治さなくちゃならないのです。覚悟を決めて、いざ!

読み終わってみれば「歯みがきをしてくださいね」となるのですが。もちろん、そんなシンプルなお話ではありません。五味太郎さんの作品ですからね。どの見開きにも全く同じセリフが2回。ワニさん側と歯医者さん側。それぞれの立場で発せられるのです。その意味はおんなじようで、少しずれていて。その気持ちは全く違うようで、少しだけ重なっていて。しびれるような場面の連続で進んでいくのです。

小さな子には難しい? いえいえ、そんなことはありませんよ。だって、表情を見ていれば、その滑稽さが伝わってきますものね。笑っちゃうものです。それに読み方ひとつでも、反応は変化していくのかもしれませんし。絵本って、面白いですよね。

「いずれ また」

何回でも読んでみてくださいね。

(磯崎園子 絵本ナビ編集長)

https://www.ehonnavi.net/ehon/283/%E3%82%8F%E3%81%AB%E3%81%95%E3%82%93%E3%81%A9%E3%81%8D%E3%81%A3%E3%81%AF%E3%81%84%E3%81%97%E3%82%83%E3%81%95%E3%82%93%E3%81%A9%E3%81%8D%E3%81%A3/

わにわにのおふろ

わにわにのおふろ

お風呂場に嬉しそうに入ってきたのは、ワニのわにわに。わにわにはお風呂が大好きです。きゅるりと蛇口をひねり、じゃばじゃばとお湯を溜め。ぽくんとおもちゃを浮かべ、ずるずりとお風呂によじのぼり、

「じょろろーん!」

体を洗い、シャワーを浴びたら、再びお湯にもぐってじーっと温まります。なんてことない毎日のお風呂の一場面。だけど、最初に書いた通り、わにわにはワニなのです。木版で力強く描かれたその迫力の風貌は、紛れもなくワニなのです。お湯から一部だけを覗かせている強面の不気味さといったら。

……それなのに。

ご機嫌なわにわには、なんて愛らしいのでしょう! 楽しそうなわにわに、なんて愉快なのでしょう!「うりうりオーイェー」と歌い、「ぐにっぐにっ」と体を拭くわにわに。強烈です。そして気が付けば、小さな読者は、みんなわにわにに夢中になっているのです。どうしてなのかって? それは読んで確かめてみてくださいね。

「わにわに」は、シリーズで続きますよ。こちらも合わせてお楽しみください。

(磯崎園子 絵本ナビ編集長)

https://www.ehonnavi.net/ehon/3368/%E3%82%8F%E3%81%AB%E3%82%8F%E3%81%AB%E3%81%AE%E3%81%8A%E3%81%B5%E3%82%8D/

ね。こう見ていくと、ワニって思っているよりもずっと人気者なんです。シリーズものも多いですよね。気になった絵本があったらチェックしてみてくださいね。

 

磯崎 園子(絵本ナビ編集長)

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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